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ブリッジレポート:(4709)インフォメーション・ディベロプメント vol.27

(4709:JASDAQ) インフォメーション・ディベロプメント 企業HP
舩越 真樹 社長
舩越 真樹 社長

【ブリッジレポート vol.27】2009年3月期第3四半期業績レポート
取材概要「厳しい事業環境だが、第3四半期のみ(08年10月-12月)の営業利益は277百万円と健闘している。同社は、既存顧客における情報化投資動向から、受・・・」続きは本文をご覧ください。
2009年3月3日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社インフォメーション・ディベロプメント
会長
尾﨑 眞民
社長
舩越 真樹
所在地
東京都千代田区二番町 7-5
決算期
3月
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年3月 18,032 1,200 1,191 594
2007年3月 14,692 1,024 1,024 550
2006年3月 13,028 851 845 430
2005年3月 11,378 550 557 119
2004年3月 11,203 625 628 203
2003年3月 11,668 598 591 274
2002年3月 11,081 548 546 272
2001年3月 9,738 756 735 242
2000年3月 8,468 640 586 320
株式情報(1/28現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
524円 7,428,050株 3,892百万円 11.5% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
19円 3.6% 90.20円 5.8倍 745.48円 0.7倍
※株価は1/28終値。発行済株式数は直近第3四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
インフォメーション・ディベロプメントの2009年3月期第3四半期業績について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
銀行・保険等の金融向けITアウトソーシング業務に強みを有する独立系の情報サービス会社。ソフトウェア開発、システム運営管理、データ入力等のサービスを提供している。
 
<事業内容>
事業は、システム運営管理、ソフトウェア開発・保守事業、ビジネスプロセスアウトソーシング事業(BPO)、その他事業に分かれる。
 
システム運営管理
1,000名規模の技術者を擁する専門部隊が、導入後のシステム運営管理をサポート。ミドルウェアのカスタマイズからハードウェアの保守、24時間体制のオペレーションまで、トータルかつ高付加価値のアウトソーシングを実現している。
 
ソフトウェア開発・保守
「独立系SE集団」として、特定のマシン、OS、ツール、開発言語にとらわれず、顧客の開発ニーズに合わせたシステム構築をサポート。大型汎用機から携帯端末まで、金融、公共、サービス分野を中心に豊富な実績を誇る。
 
ビジネスプロセスアウトソーシング事業(BPO)
金融機関等へ「データ入力業務」、「バックオフィス業務」、「ヘルプデスク業務」等のサービスを提供している。
 
その他事業
コンサルティング&セキュリティ事業を中心に展開している。「セキュリティ・マネジメント」、「外部からの攻撃対策」、「内部不正への対策」の3つの側面から企業をサポート。世界の大手ベンダーと提携し、各種セキュリティ製品の提供からコンサルティング、セキュリティ環境の構築・導入・運用・サポートまで一貫したサービスを提供している。
 
<IDグループ>
同社の他、日本ユニシス(株)との合弁会社(株)ソフトウエア・ディベロプメント(出資比率80%)、情報システム設計・開発の方法論の保有・販売及びコンサルティング等を手掛ける(株)プライド(同54.4%)、中国のソフトウェア生産拠点として、04年4月に設立した艾迪系統開発有限公司(ID武漢:同100%)、06年12月に業容の拡大及び営業拠点の拡充を目的に子会社化した(株)日本カルチャソフトサービス(以下、NCS:100%)、及び08年8月に子会社化した(株)シィ・エイ・ティ(同59.5%)の連結子会社5社で企業グループを形成している。
 
2009年3月期第3四半期業績
 
<連結業績>
 
当第3四半期間(2008年4月1日-12月31日)における情報サービス産業は、国内景気が後退局面に入るなか、企業のIT投資計画の先送りや抑制が顕著になりつつある。この情勢を受け、顧客による選別化や低価格化競争にいっそう拍車がかかり、受注環境は非常に厳しい状況下となっている。
経済産業省が行っている特定サービス産業動態統計調査(2009年1月23日発表)によると、業界全体の売上高は、4月から8月までは対前年比増加を続けたものの、9月、10月、11月は減少に転じている。

このような事業環境において、同社グループは、グループ一体となって競争力の強化および収益力の向上に努めるべく、グループ全体での資源調達、外注と内製のバランスの見直し、拠点活用などの業務の効率化に取り組むとともに、グループの総合力を活かし既存の顧客を中心にBOO(注)の推進による総合的なサービス提供、プロジェクト管理の強化、生産性の向上、高品質サービスの維持などに努めてきた。

この結果、同社グループの当第3四半期間における売上高は133億28百万円(前年同期比3.2%増)となった。これは主として、システム運営管理部門の売上高が5.1%増加したことによるもの。
収益面においては、パートナー(提携関係を結んでいる外注先IT企業)の効率的な活用、品質・生産性の向上に取り組んだものの、販売費及び一般管理費は増加を抑制するに至らず、営業利益は7億74百万円(前年同期比6.5%減)、経常利益は7億76百万円(前年同期比5.2%減)となった。当期純利益は、前年同期に比べ特別損失が減少したことにより、3億95百万円(前年同期比0.1%増)となった。

(注)BOO(ビジネスオペレーションズアウトソーシング)とは、顧客のコンピュータ部門からの直接的な業務の獲得に止まらず、関連する業務の川上から川下に至る広い範囲のビジネス展開。
 
<事業部門別動向>
 
<システム運営管理部門>
低価格化や受注競争が激化する中で、システム運営管理業務のアウトソーシング化の需要を捉え、既存顧客における個別案件の売上が増加したことにより、売上高は71億43百万円(前年同期比5.1%増)となった。

<ソフトウエア開発部門>
一部子会社における開発案件の受注減があったものの、同社の既存顧客における金融・保険関連の受注が引き続き堅調に伸びたことにより、売上高は46億88百万円(前年同期比0.2%増)となった。

<データ入力部門>
証券業務の個別案件増および株式会社シィ・エイ・ティを連結子会社化した効果等により、売上高は11億21百万円(前年同期比17.4%増)となった。

<その他(セキュリティ業務、コンサルティング業務等)>
セキュリティ業務およびコンサルティング業務の受注が減ったことにより、売上高は3億75百万円(前年同期比23.1%減)となった。
 
<財政状態>
 
当第3四半期末における財政状態の変動状況は、前年度末に比べ、総資産では3億9百万円の減少となった。これは主に、現金及び預金の減少93百万円、売上債権の減少5億74百万円、仕掛品の増加3億6百万円、のれんの増加2億93百万円および繰延税金資産の減少2億67百万円などによるもの。

負債の減少6億6百万円は、主に仕入債務の減少91百万円、有利子負債の増加1億76百万円、未払法人税等の減少2億81百万円および賞与引当金の減少4億90百万円などによるもの。

純資産は四半期純利益3億95百万円および配当金の支払1億41百万円などにより2億96百万円増加し、自己資本比率は59.5%となった。

なお、第2四半期末において新たに株式会社シィ・エイ・ティを連結したことに伴い当第3四半期末では流動資産1億30百万円、固定資産21百万円、のれん3億40百万円、流動負債42百万円および少数株主持分44百万円が増加している。
 
<キャッシュフロー>
 
当第3四半期連結会計期間末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前年同期間末に比べ2億47百万円増加し、当第3四半期間末には14億37百万円となった。
当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおり。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は2億98百万円となった。
これは主に、税金等調整前四半期純利益7億68百万円、売上債権の減少6億7百万円、たな卸資産の増加3億円、賞与引当金を含むその他の流動負債の減少額3億49百万円および法人税等の支払額4億4百万円などによるもの。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は4億24百万円となった。
これは主に、新規連結子会社株式会社シィ・エイ・ティの取得による支出3億39百万円、有形固定資産の取得による支出56百万円および無形固定資産の取得による支出27百万円などによるもの。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は32百万円となった。
これは主に、長期借入れによる収入3億円、長期借入金の返済による支出33百万円、社債の償還による支出89百万円、配当金の支払額1億40百万円などによるもの。
 
2009年3月期業績予想
 
<連結業績>
業績予想は期初予想(08年5月13日発表)から修正はない。
 
 
国内の急激な景気減速が企業の情報化投資行動に影響を与えることが予想されるなど、同社グループを取り巻く経営環境はいっそう厳しい状況が継続するものと予想している。
このような状況だが、同社グループの09年3月期の連結業績予想は、既存顧客における情報化投資動向から、受注、売上とも期初計画の水準を確保できるものと見込んでいる。現時点で08年5月13日に公表した業績予想に変更はない。
同社グループは、グループ全体の資源調達、拠点活用など、業務の効率化に持続的に取り組み、期初の計画達成に向けて努力していく、としている。
 
トピックス
 
<「湖北経済学院ID日本語講座基金」(中国・武漢市)を設立>
08年11月4日に、日中間のIT事業の発展を促進し、日本企業と中国の大学とのソフトウェア分野での協力関係を強化するために、湖北経済学院計算機学院において日本語講座基金を設立する合意書を、同学院との間で締結したと発表した。
内容は、同学院の3年次または4年次の学生のうち、卒業後に日本のシステム運営管理あるいはシステム開発業務への従事を希望する者に対し、第二外国語の選択科目として、新たに日本語講座を開設するというもの。受講者は1学年度50名を目処として、希望者の中から選抜を行う。
今後少子化が進み日本国内のIT技術者不足が懸念されるなか、同講座を通して高い日本語力を持つIT技術者を育成し、将来的には当社および当社100%子会社である艾迪系統開発武漢有限公司(ID武漢)の技術者確保を図るもの。
同社は2006年9月に、湖北省武漢市にある華中科技大学において、将来的にIT技術者になることを志望する学生に対する援助を目的とした奨学金制度を設立している。
 
取材を終えて
厳しい事業環境だが、第3四半期のみ(08年10月-12月)の営業利益は277百万円と健闘している。同社は、既存顧客における情報化投資動向から、受注、売上とも期初計画の水準を確保できるものと見込んでいるが、国内景気は急激な減速となっており、同社グループを取り巻く経営環境はいっそう厳しい状況となるものと見られる。同社は収益の安定しているシステム運営管理が売上の50%以上を占めているため、不況に対する抵抗力は強いと言えるが、通期業績達成のハードルは低くはない。