ブリッジレポート
(9445) 株式会社フォーバルテレコム

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ブリッジレポート:(9445)フォーバルテレコム vol.15

(9445:東証マザーズ) フォーバルテレコム 企業HP
谷井 剛 社長
谷井 剛 社長

【ブリッジレポート vol.15】2009年3月期第2四半期業績レポート
取材概要「景気の悪化で同社がターゲットとする中小企業の経営が厳しさを増している。また、大手メーカーを取引先とする子会社においても、世界的な景気の悪化・・・」続きは本文をご覧ください。
2009年1月5日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社フォーバルテレコム
社長
谷井 剛
所在地
東京都千代田区神田小川町 3-9-2
決算期
3月
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年3月 13,466 337 344 192
2007年3月 12,461 845 840 975
2006年3月 11,024 859 868 841
2005年3月 7,740 470 452 726
2004年3月 6,114 214 205 205
2003年3月 7,746 93 40 69
2002年3月 11,879 -1,732 -1,779 -4,939
2001年3月 18,224 284 134 45
2000年3月 20,503 53 -50 88
株式情報(12/15現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
14,700円 166,824株 2,452百万円 8.8% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
1,500.00円 10.2% 2,397.74円 6.1倍 12,727.31円 1.2倍
※株価は12/15終値。
 
フォーバルテレコムの2009年3月期第2四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
電話機やOA機器の販売を手掛けるフォーバル(8275)グループで通信事業を展開。光ファイバー対応IP電話「FTフォン」の販売を中心に、インターネットサービス、セキュリティサービス、モバイルサービス等の各種アドオン・サービスの強化に取り組んでいる。電気通信事業者から回線を仕入れてエンドユーザーに再販する回線リセーラー(再販業者)であり、ターゲットは中小企業。もっとも、単に回線を再販するだけでなく、一般番号ポータビリティー(従来と同じ電話番号での使用が可能)や携帯電話への発番通知等、独自のサービスを付加している。また、同社のサービスを利用すれば、国内電話、国際電話、インターネット等の請求が一本化される(ワンビリングサービス)ため、ユーザー企業は事務処理を簡素化する事ができる。
 
<沿革>
95年4月、フォーバルグループの通信事業を担う戦略子会社「フォーバル・インターナショナル・テレコミュニケーションズ(株)」として設立され、国際電話サービスfit(フィット)コールを開始した。96年に市外電話サービスを、97年に市内電話サービスを、それぞれ開始。98年8月の現社名への商号変更を経て、「fit接続サービス」や「fitホスティングサービス」といったインターネット関連ビジネスを本格化。通信事業の拡大を受けて、2000年11月に東証マザーズに株式を上場した。02年2月、ソフトバンクグループのソフトバンクBB(株)と合弁会社を設立し、中小法人向けVoIP(インターネット上で音声データを送受信する技術)及びADSLサービスを開始。03年には、光ファイバー対応IP電話「FTフォン」サービスを開始した。
 
<事業内容>
事業は、「FTフォン」等の法人向けVoIPサービスを提供する新通信サービス事業、法人向け国際電話・市内外電話等のサービスを提供する旧音声系サービス事業、連結子会社(株)トライ・エックス及び同社の子会社(株)新英、タクトシステム(株)が手掛ける印刷や特注文具(ファイル・バインダー等)の製造・販売のドキュメント事業、及び連結子会社(株)FISソリューションズが手掛ける保険関連のコンサルティング等の経営支援サービスやオフィスセキュリティマーク取得コンサルティング等のセキュリティサービスを中心としたその他事業に分かれる。
 
2009年3月期第2四半期決算
 
 
前年同期比16.8%の増収、同26.3%の経常増益。
主力の新通信サービス事業が順調に拡大、タクトシステム(株)の連結子会社化(4月)に伴い人件費やのれん償却費が増加したものの、増収効果と利益率の改善による売上総利益の増加で吸収、営業利益は同27.6%増加した。四半期純利益が減少したのは、新通信サービス事業における債権区分の見直しに伴い貸倒引当金繰入額111百万円を特別損失に計上したため。
 
 
「FTフォン」の拡販を中心に各種アドオン・サービスの強化を進めた新通信サービス事業の売上高・営業利益が増加する一方、新通信サービス事業への移行を進めた旧音声系サービス事業が減収・減益。印刷、特注文具(ファイル・バインダー等)の製造及び販売を手掛けるドキュメント事業は、子会社化したタクトシステム(株)が増収に寄与したものの、子会社化に伴って発生したのれん償却費が負担となった。その他事業では、情報通信機器販売等が伸びたものの、経営・保険コンサルティング事業の苦戦等で営業利益が減少した。
 
 
新通信サービス事業の売上高及び営業利益は順調に拡大している。第2四半期が第1四半期比で減収・減益となったのは、営業日数が少なかったため。
 
(2)売上総利益
ストック収益(課金)は通話に伴う収益、同(その他)は業務受託収益、一時収益は契約獲得時の収益。
個別決算の計数で同社が最も重視しているストック収益(課金)が順調に拡大した。一時収益は成功報酬として代理店へキックバックするため、利益貢献は同社が新規開拓した契約相当分のみとなる。
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
第2四半期末の資産合計は、前期末比549百万円増の6,056百万円。現預金が減少する一方、M&A関連でのれん等の固定資産が増加した。負債では、M&A資金として有利子負債が1,141百万円と前期末比360百万円増加。純資産はほぼ前期末の水準を維持したものの、有利子負債の増加により、自己資本比率は35.1%と前期末比3.5ポイント低下した。

営業CFは298百万円の黒字。売上債権の回収が進み、前年同期の△252百万円から大幅に改善した。ただ、M&Aに伴い投資CFが△358百万円となったため(前年同期は△485百万円)、フリーCFは△60百万円となった。長期借入金の返済や配当金の支払いにより財務CFも△162百万円となったため、第2四半期末の現金及び現金同等物残高は904百万円と前期末に比べて222百万円減少した。
 
 
2009年3月期業績予想
 
 
前期比13.6%の増収、同30.5%の経常増益予想。
工作機械や輸出用自動車等のマニュアル需要の落ち込みで子会社が苦戦するものの、課金回線数の増加で主力の新通信サービスの売上拡大が続く。上期に貸倒引当金処理した債権の回収が見込まれ、当期純利益が倍増する見込み。
 
通信領域における取り組み
 
現在、固定通信、移動体通信、アプリケーションをIP電話網でつなぎ、1パッケージにした「リテール型IPセントレックス商品」の開発を進めている。固定電話とモバイルのシームレスな環境を提供する事で、顧客のコスト削減と利用単価の引き上げを図る考え。年明けにはサービスが始まる見込み。
 
 
携帯電話の利便性とIP電話の経済性を融合したサービスを提供して行く考え。有線から無線への流れに乗り、モバイルを主軸にした商品構成に変えていく他、従来からのリース販売には逆風が強い事から、今後はレンタルによる提供も検討している。顧客は利便性と経済性を高める事ができ、同社はサービス領域を、従来の固定電話から携帯電話へ広げる事で収益機会を拡大させる事(利用単価の引き上げ)ができる。

また、既存の販売チャネルでの販売が頭打ち傾向にある事から、販売チャネルも多様化していく考え。
 
取材を終えて
景気の悪化で同社がターゲットとする中小企業の経営が厳しさを増している。また、大手メーカーを取引先とする子会社においても、世界的な景気の悪化を受けて工作機械や輸出用自動車等のマニュアルの需要が落ちている。このため、今期は好決算が予想されるものの、来期以降については楽観を許さない。
ただ、通信サービスのディスカウンターである同社にとって、企業に一段のコスト削減を迫る景気悪化は追い風でもある。年明けにサービスを始める予定の「リテール型IPセントレックス商品」は、有線から無線への流れに乗り、かつコスト削減にもつながるため、まさにタイムリーなサービスと言える。