ブリッジレポート
(6914) オプテックスグループ株式会社

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ブリッジレポート:(6914)オプテックス vol.26

(6914:東証1部) オプテックス 企業HP
小林 徹 社長
小林 徹 社長

【ブリッジレポート vol.26】2008年12月期第3四半期業績レポート
取材概要「国内や欧米での建築需要の低迷など世界の景気停滞や、円高の影響を大きく受けている。通期の業績予想は、7月に続いて今期2度目の下方修正となっ・・・」続きは本文をご覧ください。
2008年11月18日掲載
企業基本情報
企業名
オプテックス株式会社
社長
小林 徹
所在地
滋賀県大津市雄琴 5-8-12
決算期
12月
業種
電気機器(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2007年12月 22,167 3,854 4,075 2,377
2006年12月 20,294 3,728 3,921 2,282
2005年12月 19,012 2,655 2,776 1,584
2004年12月 17,138 2,159 2,321 1,297
2003年12月 15,173 2,203 2,215 1,354
2002年12月 13,047 1,595 1,546 951
2001年12月 11,507 1,173 1,305 544
2000年12月 11,240 1,081 1,213 620
1999年12月 11,201 1,133 957 861
株式情報(11/4現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
945円 16,957,803株 16,025百万円 13.4% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
40円 4.2% 91.42円 10.3倍 1,108.73円 0.9倍
※株価は11/4終値。発行済株式数は直近中間期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
オプテックスの2008年12月期第3四半期業績について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
赤外線を応用した防犯・自動ドア等のセンサ大手。世界でもトップクラスのシェアを有する屋外用センサ等の防犯用製品、自動ドアセンサ、環境関連製品等を製造・販売。子会社を通して産業機器用センサの分野にも展開している。
1979年に設立され、その翌年には、世界初の遠赤外線利用の自動ドア用センサを開発。創業以来信頼性の高いセンサシステムを提供してきた。98年にはデジタル監視カメラシステム「Wonder Track」を発売し、画像関連分野に参入。2004年には、客数情報システム、来場者計数装置、駐車台数管理システム及び警戒管理、防犯システム等を手掛ける技研トラステムを子会社化。2005年には交通関連事業に進出する等、業容拡大を続けている。
 
<事業内容>
事業は、防犯事業、自動ドア事業、産業機器事業、環境関連事業、交通関連事業、生産受託事業その他に分かれる。
 
防犯関連事業
主な製品は、屋内外で使われる各種センサ、ワイヤレスセキュリティシステム、画像記録システム等。屋外用センサでは、世界でもトップクラスのシェアを有し、近年では、デジタル画像技術・通信技術等を活かした製品開発にも取り込んでいる。
 
自動ドア関連事業
主な製品は、無目付け用センサ、シートシャッター用センサ、ワイヤレスタッチセンサ等。世界で初めて自動ドア用センサを開発した同社だが、近年では、画像センシング技術の活用により、ドアの自動開閉だけでなく、入退室者の管理や来店者数カウントなど人の動きを分析できる製品も供給している。
 
産業機器関連事業
連結子会社 オプテックス・エフエー(株)の事業領域。人体用センサだけでなく、物体検知用各種センサにも注力しており、ポータブル型や据置型の非接触温度計、カラービジョンセンサ、レーザ変位センサ等を手掛けている。特にCCDカメラ・液晶モニタ・操作部が一体となった世界初のカラービジョンセンサ「CVSシリーズ」は現場ニーズに即して開発した製品で独自性が高い。
また、近赤外線を利用した水の透明度自動測定システムを開発し、そのノウハウを活かした透視度センサ等も供給している。
なお、当期より従来別記していた環境関連製品事業を含んで産業機器関連事業としている。
 
交通関連事業
危険な瞬間を記録する「ドライブトレーナー」がこの事業の主な製品。創業以来培ってきた画像技術及びセンシング技術を応用し、2005年にこの分野に参入した。「ドライブトレーナー」は、交通事故時の映像を録画するだけでなく、日常的に運転履歴を蓄積できる新しいカテゴリーの製品である。
 
 
2008年12月期第3四半期業績
 
<連結業績>
 
売上高は、日本を含む先進各国における景気後退の影響を受け162億2百万円(前年同期比1.9%減)となった。利益面は、将来の事業成長に向けた開発関連投資を強化したことにより営業利益は22億26百万円(前年同期比29.9%減)、円高による為替差損の発生により経常利益は22億2百万円(前年同期比34.2%減)、投資有価証券の時価下落による減損処理などにより四半期純利益は11億70百万円(前年同期比38.2%減)となった。
 
<セグメント別状況>
 
電子機器関連事業
(防犯関連事業)
海外市場は、米国やヨーロッパの市場成長が減速に転じた事に加え、円高(対ドル、対ポンド、対ウォン)の影響を受けた結果、売上高は前年同期を下回った。国内市場は、警備会社向け製品群の受注が伸び悩み、前年同期を下回った。これらの結果、売上高は75億65百万円(前年同期比10.1%減)となった。
 
(自動ドア関連事業)
海外市場は、関連会社であったセキュマティック社(2008年9月1日よりOPTEX TECHNOLOGIESB.V.に社名変更 オランダ)を子会社化したことにより、売上高は前年同期を上回った。国内市場は、建築需要の低迷により自動ドアの新規設置台数が減少したことの影響を受けたものの、客数情報システムの売上高が好調に推移したため前年同期を上回った。これらの結果、売上高は41億26百万円(前年同期比7.5%増)となった。
 
(産業機器関連事業)
海外市場は、ヨーロッパ向け制御機器製品群は堅調に推移したものの、アジア向け非接触温度計の売上が低迷したこともあり、売上高は前年同期を下回った。国内市場は、設備投資低迷の影響を受け始めたものの、これまで注力してきたアプリケーション機器群が立ち上がり始めた結果、売上高は前年同期比微増となった。これらの結果、売上高は31億37百万円(前年同期比0.1%減)となった。
 
(交通関連事業)
交通関連事業は、国内企業の設備投資抑制の影響を受けた結果、売上高は59百万円(前年同期比53.6%減)となった。
 
(生産受託関連事業)
生産受託関連事業の売上高は、受託生産機種数が増えたことにより11億22百万円(前年同期比21.6%増)となった。
 
(その他事業) その他事業は、2008年8月に㈱ジーニックを子会社化したことにより売上高は、1億44百万円(前年同期22百万円)となった。
 
その他の事業
アウトドアスポーツクラブ事業は、売上高は46百万円(前年同期比17.7%増)となった。
 
<財政状態>
 
(資産)
資産の状況は、資産合計が前年度末に対し8億82百万円減少し、228億19百万円となった。前年度末と比して変動の大きかったものは、自己株式取得やM&A実施に伴う現金及び預金の減少10億37百万円、譲渡性預金等の取崩しによる有価証券の減少6億2百万円。
 
(負債及び純資産)
負債の状況には、負債合計が前年度末に対し3億19百万円減少し、38億97百万円となった。この主な要因は、納税に伴い未払法人税等が3億51百万円減少したことによるもの。
一方、純資産合計は、為替換算調整勘定の減少や自己株式の増加により、前年度末に対し5億62百万円減少し189億21百万円となり、自己資本比率は0.2%増加し78.7%となった。
 
<キャッシュ・フロー>
 
営業活動の結果獲得した資金は10億21百万円となった。これは主に法人税等の支払額(13億18百万円)及びたな卸資産の増加(5億14百万円)による資金の減少があったものの、税金等調整前四半期純利益の確保(19億58百万円)及び売上債権の減少(3億14百万円)により資金が増加したもの。

投資活動の結果使用した資金は8億54百万円となった。これは主に新規連結子会社の取得による支出(3億20百万円)及び有形固定資産の取得による支出(2億78百万円)によるもの。

財務活動の結果使用した資金は11億95百万円となった。これは主に配当金の支払額(6億78百万円)及び自己株式の取得による支出(4億84百万円)によるもの。なお、急激な円高進行により外貨建の預金等に為替評価損が発生していることから、現金及び現金同等物に係る換算差額は△5億8百万円となった。

これらの結果、当第3四半期間末の連結ベース資金は、前年度末と比較して15億37百万円減少し62億97百万円となった。
 
2008年12月期業績予想
 
<連結業績>
7月14日に公表した業績予想を修正した。
 
防犯関連事業は、欧米での建築需要の低迷による市場の成長率が更に鈍化していること、第3四半期に市場投入した新製品の立ち上がりに時間を要していること等に加え、国内の警備業界向け画像機器が上期から依然伸び悩んでいることにより、売上高は前回予想値を下回る見込み。また、自動ドア関連事業においても、欧米での自動ドア新規設置台数の減少の影響を受ける見込み。

これらの結果、売上高は前回業績予想を5.7%下回る見込み。利益面では、売上高の減少による粗利益額の減少、当第3四半期に計上した為替差損及び投資有価証券評価損等を踏まえ、前回業績予想を営業利益で19.0%、経常利益で20.6%、当期純利益で26.2%下回る見込み。

予想にあたっては、当年度(08年1月1日~08年12月31日)の通期平均為替レートを対米ドル104円、対ユーロ154円で算定している。
 
取材を終えて
国内や欧米での建築需要の低迷など世界の景気停滞や、円高の影響を大きく受けている。通期の業績予想は、7月に続いて今期2度目の下方修正となった。ただ、収益低迷の要因の中には、開発関連投資の強化といった将来に向けての前向きな要因も含まれている。通期の予想達成ハードルも低くはないと思われるが、早期の収益回復に期待したい。