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ブリッジレポート:(1729)三光ソフランホールディングス vol.1

(1729:大証ヘラクレス) 三光ソフランホールディングス 企業HP
高橋 誠一 社長
高橋 誠一 社長

【ブリッジレポート vol.1】2008年8月期決算業績レポート
取材概要「08/8期は大きな最終損失を計上したものの、キャッシュ・フローはしっかりと確保されていた。実際、ストックビジネスである賃貸管理事業や介・・・」続きは本文をご覧ください。
2008年10月28日掲載
企業基本情報
企業名
三光ソフランホールディングス株式会社
社長
高橋 誠一
所在地
さいたま市大宮区大成町1-212-3
決算期
8月末日
業種
建設業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年8月 24,046 953 652 -2,179
2007年8月 25,091 1,929 2,647 1,143
2006年8月 16,677 933 1,831 1,134
2005年8月 13,795 941 1,085 599
2004年8月 10,230 242 350 163
2003年8月 8,583 521 439 226
2002年8月 6,836 653 593 307
2001年8月 5,007 472 433 226
株式情報(10/18現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
30円 59,361,652株 1,781百万円 - 1,000株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
2.5円 8.3% 15.16円 2.0倍 52.91円 0.6倍
※株価は10/18終値。発行済株式数は直近期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
三光ソフランの2008年8月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
子会社26社及び関連会社1社でグループを形成、建設不動産事業、賃貸管理事業及び介護事業を展開している。グループの中核をなすのは、不動産の有効活用や相続対策等のコンサルティングを行ない、これにより派生する建築請負、不動産販売等を手掛ける三光ソフラン(株)、賃貸管理を手掛ける(株)アップルと(株)ハウジング恒産、及び介護施設運営を手掛けるメディカル・ケア・サービス(株)【名証セントレックス:2494】の4社。

マンションやアパート、或いは認知症高齢者向け介護施設「グループホーム」等、立地条件に応じて最適なソリューションを提供するべく事業を拡大してきたが、08年6月、機動的な事業運営を行うと共に、競争力強化のためのグループ戦略策定とその推進に取り組むべく、持株会社体制へ移行した(事業会社として三光ソフランを会社分割)。

事業は、建設不動産事業、賃貸管理事業、介護事業に分かれ、事業会社三光ソフランを中心とする建設不動産事業では、戸建・注文住宅、マンション・アパート等の建設・販売及び収益物件の販売を手掛ける。賃貸管理事業はアパマンショップのNo.1フランチャイジー(FC)でもある(株)アップル及び08年8月にグループに加わりサブリースを得意とする(株)ハウジング恒産が展開。介護事業はメディカル・ケア・サービス(株)を中心にグループホームなど介護施設の運営・管理及び付帯事業を手掛けている。
 
 
2008年8月期決算
 
 
前期比4.2%の減収、同75.3%の経常減益。
拠点拡大で介護事業の売上が伸長、賃貸管理事業も堅調に推移したものの、米国サブプライムローン問題に端を発した市場環境の悪化で主力の建設不動産事業の売上が落ち込んだ。利益面では、原油高等による建築資材の高騰等で建設不動産事業の営業利益が大幅に減少、増収効果と施設オペレーションの効率化で介護事業の営業利益が増加したもののカバーできず、連結営業利益は同50.6%減少した。投資事業組合等投資損失467百万円を営業外費用に、投資有価証券評価損2,156百万円を特別損失に、それぞれ計上したため、2,179百万円の当期純損失となった。

上記のように大幅な当期純損失の計上を余儀なくされたものの、損失の大半が評価性の損失であったため、キャッシュ・フロー(CF)の面から見るとかなり状況が異なる。営業CFは1,378百万円のプラス(黒字)となり、黒字幅が前期比175百万円拡大。投資CFが450百万円のマイナスとなったものの(前期は投資有価証券の売却等で203百万円のプラス)、これは定期預金等の預け入れによるもの。フリーCFは928百万円の黒字だが、実質的には、1,378百万円の黒字と考えて良い。
 
セグメント別動向
 
建設不動産事業
米国のサブプライムローン問題に端を発した不動産市況の悪化を受けて昨秋以降、買い控えが顕著となり分譲住宅や収益用不動産の販売が大きく落ち込んだ他、建設事業の売上も減少した。利益面では、売上が減少する中、原油高等による建築資材価格の高騰が響いた。
尚、3月に高橋社長が『「お金持ち大家さん」への道』を出版。300名の読者から問い合わせやコンサル依頼のメールが届き、このうち約30名が既に物件を購入、残る希望者も、現在、物件の選定を進めている。
 
賃貸管理事業
賃貸物件の管理戸数増加に向けて新規出店を積極的に進めた。新規出店効果で売上が増加したものの、当期は新規出店に伴う先行投資負担を吸収するまでには至らなかった。
 
介護事業
グループホームが前期比14棟増加。増収効果と施設オペレーションの効率化、更には全社的な経費削減への取組みが成果を上げ、営業利益が大幅に増加した。
 
収益構造と財務面での特徴
(1)収益構造 :安定成長が可能なストック型ビジネスへの転換が進む
 
 
賃貸事業及び介護事業の売上構成比が上昇しており、ストック型ビジネスへ収益構造の転換が進みつつある。
 
(2)財務  :販売用不動産は伸びを抑制、有利子負債は削減と長期へのシフトを推進
 
販売用不動産は前期松に比べてわずかに増加したものの、中間期末との比較では減少。有利子負債は減少が続いており、短期から長期へのシフトを進めている。
 
2009年8月期業績予想
 
 
前期比33.1%の増収、経常利益は同2.4倍に拡大する見込み。
ハウジング恒産の売上高(60億円)・利益(営業利益4.3億円)が上乗せされる事に加え、介護事業で高い売上・利益の伸びが見込まれる。この他、建設不動産事業で緩やかな業績回復が見込まれる他、アップルの業績も堅調に推移する見込み。営業利益の大幅な増加に加え、前期に株式関連の評価損で悪化した営業外損益及び特別損益も改善、900百万円の最終利益が見込まれる。
 
ハウジング恒産買収のメリット
ハウジング恒産とグループ各社との関係を強化し、シナジーを高めていく考え。ハウジング恒産は、東京、神奈川、埼玉でマンション・アパートのサブリース事業(サブリース戸数4,470戸、集金管理2,892戸)を中心に、自社不動産の賃貸・管理業務、リフォーム等の工事、不動産売買、ホテル経営等を行なっている。
ハウジング恒産がサブリース事業を展開しているエリアに、入居者募集や建物管理に強みを持つアップル(現在、埼玉県南部及び東京北部を中心に展開)が出店し、サブリース物件の入居募集や建物管理を行なう事でグループシナジーを高める事ができる。また、サブリース物件には古い物件があるため、三光ソフランがリフォームやコンサルティングによる再活用の提案を行なっていく考え。更にJAとの関係が強い事もハウジング恒産の特徴で、JA関連の高齢者住宅の建設を手掛けた実績もある程。このため、JA経由のグループホーム用土地情報の提供等でメディカル・ケア・サービスとも連携を強めていく考えだ。
 
主要子会社の見通し
※ 08/8期は、07年9月~08年5月までが、旧三光ソフラン。6月~8月が会社分割した事業会社 新三光ソフラン。
 
引き続き厳しい事業環境が予想されるものの、需要の多い5,000~6,000万円程度のアパートの提案を強化する他、これまで手付かずの状態に近かったリフォームの営業を開始する。また、『「お金持ち大家さん」への道』の出版により開拓した資産家及び個人投資家向けの物件販売も寄与する見込み。建築資材も落ち着きを取り戻しつつあり、利益率の改善も見込まれる。
 
※ 06/8期は決算期変更に伴い14ヶ月間の売上高及び営業利益。
 
ハウジング恒産が強みを有する中央線沿線、小田急線沿線、及び東横線沿線に支店を開設してシナジーを追及する。11月に荻窪及び西荻に、09年1月に下北沢及び豪徳寺に、それぞれ支店を開設する予定。期末賃貸管理戸数7,716戸(前期は6,466戸)、同サブリース戸数3,670戸(同3,030戸)、入居率96.0%(同93.8%)が目標。
 
 
今期より連結業績に寄与する。グループ各社との連携を強化し、売上・利益プラスアルファの貢献を目指す。期末賃貸管理戸数2,892戸(前期末2,892戸)、同サブリース戸数4,703戸(同4,470戸)、入居率97.5%(同97.4%)が目標。
 
 
M&Aによる5等を含む15棟の新規オープンを計画。自社開発の10棟については既に商談が進んでおり、M&A案件も多数持ち込まれている。
 
 
取材を終えて
08/8期は大きな最終損失を計上したものの、キャッシュ・フローはしっかりと確保されていた。実際、ストックビジネスである賃貸管理事業や介護事業は堅調に推移しており、特に介護事業は利益体質が定着してきた。不動産関連事業は時として高い成長性が見込めるが、その反動が大きい事は歴史の示すところ。このため、今後は不動産事業のボラティリティを抑えつつ、賃貸管理事業や介護事業といったストック事業の拡大とグループシナジーの追及により成長軌道に回帰させる考えだ。
株式市場の低迷が続き、景気の先行きに不透明感が強い中では、不動産関連銘柄は選別の対象外と言う事なのだろうが、予想PER 2.0倍、PBR 0.6倍、配当利回り8.3%の株価水準は悲観的過ぎる。当面、厳しい事業環境が予想されるものの、キャッシュ・フローの裏付けがある。多少時間がかかるかもしれないが、景気の回復局面では大きなリターンが期待できよう。