ブリッジレポート
(7590) 株式会社タカショー

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ブリッジレポート:(7590)タカショー vol.11

(7590:JASDAQ) タカショー 企業HP
高岡 伸夫 社長
高岡 伸夫 社長

【ブリッジレポート vol.11】2009年1月期中間決算業績レポート
取材概要「ガーデニング業界は、素材価格の高騰や不安定な為替相場、更には改正建築基準法の影響等から、厳しい事業環境が続いている。ただ、その一方で、・・・」続きは本文をご覧ください。
2008年10月7日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社タカショー
社長
高岡 伸夫
所在地
和歌山県海南市南赤坂20-1
決算期
1月
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年1月 13,437 597 474 289
2007年1月 12,420 424 414 183
2006年1月 11,112 528 541 305
2005年1月 10,895 528 498 270
2004年1月 10,153 466 346 213
2003年1月 10,057 360 257 162
2002年1月 9,457 -17 -83 -89
2001年1月 9,045 523 467 177
2000年1月 8,535 580 575 258
株式情報(9/26現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
284円 8,491,490株 2,412百万円 8.0% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
13.5円 4.8% 44.78円 6.3倍 484.47円 0.6倍
※株価は9/26終値。発行済株式数は直近中間期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
タカショーの2009年1月期中間決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
「やすらぎのある空間づくり」を基本コンセプトに、人工・天然の竹木製フェンスやガーデンファニチャー、緑化資材等の庭園資材を製造・販売。LED(発光ダイオード)ライト等の照明機器、池・滝・噴水等のウォーターガーデンや坪庭等も手掛けている。商品の企画から製造、販売まで一貫体制をグループで確立しており、製造は国内及び中国、販売は国内のみならず、欧州、アジア、北米、オセアニアへも展開。天候要因で業績が振れやすい面はあるものの、日本においても確立した市場となりつつある「ガーデニング市場」の牽引役として期待がかかる。
 
<販売ルート(営業部門)>
営業部門は、販売ルート別に設計・施工が必要な工務店向け「プロユース」、ホームセンターへの卸売を中心にした一般消費者向け「ホームユース」、「通信販売」、及び「輸出」に分かれます。売上構成比は、09/1期中間期実績(個別ベース)で、それぞれ44.7%、47.1%、3.4%、4.8%。
「プロユース」では、プロユーザー向けのカタログ「PROEX(プロエクス)」を業界最大の約20万冊印刷し、造園業者、設計士、エクステリア施工店、商業施設などにダイレクトメールで配布している。カタログには商品を使った庭園イメージの写真が掲載されており、この写真を見ながら実際に施工する場所と庭園の簡単な図面を書いてファックスもしくはWebで発注すると、CAD(コンピュータによる設計支援システム)、CG(コンピュータ映像)を駆使した完成予想図と共に見積書を当日中に返送し、正式な注文があれば商品を1週間以内に届ける。
 
 
2009年1月期中間決算
 
 
前年同期比2.3%の増収、同4.6%の経常減益。
建築需要の落ち込みでプロユースの売上が減少したものの、ホームユースの売上増及び海外子会社の寄与で増収を確保。商品別では日よけ製品や子会社が手掛ける照明機器の売上が伸びた。ただ、増収となったホームユースも販売形態が直貿に移行したため利益率が悪化、売上総利益は前年同期比0.9%増とほぼ前年同期並みにとどまった。一方、減価償却費や人件費の増加で販管費が増加ししたため、営業利益は同9.3%減少した。為替差益の計上等で営業外損益が改善したものの、特別利益の減少で中間純利益は同15.9%減少した(前年同期は、役員退職慰労金制度廃止に伴う引当金の戻入益142百万円など特別利益151百万円を計上)。
 
(1)ルート別売上(個別)
 
住宅着工戸数減少等の影響を受けて市場全体が低迷したプロユースが苦戦したものの、猛暑による日よけ商品の販売拡大等でホームユースの売上が増加。過当競争が一巡し、大手の寡占が進みつつあるホームセンター向けでは、品揃えと物流体制が整備されている同社の存在感が高まっている。また、未だ規模は小さいものの、タカショーヨーロッパをけん引役に輸出が大きく伸びた。通販の売上が減少したのは、取引先通販会社の売上低迷による。
 
(2)商品分類別売上
ガーデニングフェンスでは、和風スタイルの住宅が減少している事等で人工竹垣関連商品の売上が減少したものの、市場規模が大きく、フェンスやポーチガーデン等に使用され洋風スタイルの住宅に調和する人工木「エバーアートウッド」(前年同期比21.1%増)や「エバーエコウッド」(同10.7%増)の売上が増加した。庭園資材では、猛暑の影響で、よしず、すだれ等の日除け商品が同3.0%増と堅調に推移(ただ、紫外線カット機能のある日よけ商品で欠品による機会ロスが発生)、人口植物の売上も増加した。照明機器では、夜の庭を演出する商品として、省エネでデザイン性が良く施工が簡単なソーラーライト(同52.5%増)及びLEDライト(同19.2%増)等の売上が増加した。
 
(3)連結子会社の状況
国内では商業施設向け「サイン」や定番商品の寄与でタカショーデジテックの売上・利益が大きく伸びた。サイン事業の売上は前年同期比25.4%増の97百万円、定番商品等のEXライティング事業の売上は同160.6%増の227百万円。
海外では、ユーロ高の影響もありタカショーヨーロッパの売上・利益が伸長。南方高秀は中国国内販売強化に注力し、代理店ネットワークが10社に拡大した。
 
 
(4)販管費
販管費は人件費や新社屋建設に伴う減価償却費の増加等で2,852百万円と前年同期比3.2%増加したものの、予算(2,955百万円)を3.5%下回った。物流費の削減効果等が徐々に現れ始める等、収益体質の強化が着実に進んでいる。
 
2009年1月期業績予想
 
 
前期比9.4%の増収、同39.7%の経常増益予想。
下期もプロユースを中心に不透明感は強いが、第1四半期に下振れして赤字となった業績が、第2四半期は売上の回復とコストコントロールにより上振れすると共に黒字転換。天候要因もあると思われるが、トレンドは上向き。加えて、タカショーデジテックが手掛けるソーラーライトやイルミネーションの販売拡大も期待できる事から通期業績予想を据え置いた。
ただ、いずれにしても不透明感が払拭できているわけではない事、同社は売上高・利益が期末の1月に集中する傾向がある事等を頭に入れておく必要がある。
尚、1株当たり期末配当は3.5円増配の13.5円を予定している。
 
今後の課題と戦略
 
(1)プロユース
新製品の開発や営業強化によりリフォーム、ハウスメーカー、商業施設、リフォームガーデンクラブ、CADデータバンクシステム、屋上緑化の分野に注力する。
 
①リフォーム
目隠し等、機能別に商品を絞り込んで市場の開拓に取り組む。
 
②ハウスメーカー
"5th ROOM(5番目の部屋)"をテーマに、リビング、ダイニング、キッチン、ベッドルームに次ぐ5番目の部屋、言い換えると、同社の市場ターゲットであるガーデンという部屋を提案し、商品を供給していく。
 
③商業施設
高級感のある新シリーズ「京町家シリーズ」により和の空間提案を強化する。
 
④リフォームガーデンクラブ
現在、会員企業数(月額3,000円の会費)は558社を数え、月間ページビューは50万ページビューを超えている。将来的には会員企業及び消費者の囲い込みを行い、新たな事業展開につなげていく考えだが、当面、会員企業数及びページビューの引き上げに努める。
 
⑤CADデータバンクシステム
エクステリア・造園・外構設計用のCADソフト「RIK CAD」の開発・販売及びエクステリア・造園・外構等の設計を手掛ける株式会社リック(兵庫県神戸市)と提携、タカショー製品が「RIK CAD」のデータベースに登録された。新たなプロユースの販売チャネルとして他のCADソフトメーカーにも提携を広げていく。
 
⑥屋上緑化
同社商品の強みである軽さと耐久性を武器に屋上緑化資材のマーケットの開拓を進める。
 
 
(2)ホームユース
販売先であるホームセンター業界は大手による寡占化が進みつつある。大手ホームセンターは仕入先に対して、在庫保有(資金力が必要)、消費者の安全や保護等も含めたコンプライアンス、提案力、そして商品開発と生産の両面での海外からの供給力等を求めているが、こうしたニーズを満たせるメーカーは少なく、同社の存在感が高まっている。ただ、ホームセンター向けは価格面で厳しいだけに、コスト削減による収益力の強化は必須。このため、中国、韓国、ベトナム、オセアニアへと製造拠点を広げていく。また、「飾るガーデン」から「暮らすガーデン」への提案営業を強化すると共に商品開発を進め、高付加価値化を図る。
 
取材を終えて
ガーデニング業界は、素材価格の高騰や不安定な為替相場、更には改正建築基準法の影響等から、厳しい事業環境が続いている。ただ、その一方で、高齢化や団塊の世代のリタイヤ等によりガーデニング人口は増加傾向にあり、オープンガーデンやリビングガーデンといった屋外での暮らしとなる庭空間の需要も緩やかに拡大しつつある。また、地球温暖化防止など環境問題への取組みの一環として、都市の緑化計画等も動き始めている。今期の業績については下振れ懸念を払拭する事ができないものの、中期的な方向性としては同社にとって良い方向に進んでいるものと考える。