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(4955) アグロ カネショウ株式会社

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ブリッジレポート:(4955)アグロ カネショウ vol.21

(4955:東証2部) アグロ カネショウ 企業HP
櫛引 博敬 社長
櫛引 博敬 社長

【ブリッジレポート vol.21】2008年12月期中間期業績レポート
取材概要「中間期の売上高、営業利益、経常利益は計画をやや上回って着地した。今期は先行投資の年と位置づけられ、通期予想は減損損失による特別損失を・・・」続きは本文をご覧ください。
2008年8月26日掲載
企業基本情報
企業名
アグロ カネショウ株式会社
社長
櫛引 博敬
所在地
東京都港区赤坂 4-2-19
決算期
12月
業種
化学(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2007年12月 13,391 533 476 258
2006年12月 12,851 576 497 272
2005年12月 12,154 442 385 114
2004年12月 10,742 536 366 186
2003年12月 7,322 -220 -208 -278
2002年12月 7,792 113 150 41
2001年12月 7,733 242 279 63
2000年12月 8,300 662 709 423
1999年12月 7,821 642 656 224
株式情報(8/13現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
671円 6,196,894株 4,158百万円 2.3% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
20円 3.0% - - 1,677.30円 0.4倍
※株価は8/13終値。発行済株式数は直近中間期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
アグロ カネショウの2008年12月期中間期業績について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
人と自然と環境にやさしい農薬づくりに取り組む農薬専業メーカー。農薬は果樹・野菜向けを主体とし、農家密着型の営業展開により他の農薬メーカーと差別化を図っている。一般の農薬流通は、農薬メーカーを起点として川上から川下に商品を押し込むプッシュ型だが、同社は農家を起点として需要をくみ出すプル型の流通体制を構築している。
 
 
<グループ>
グループは、同社の他、連結子会社2社、非連結子会社1社で構成されている。 連結子会社は、03年に独BASF社から事業買収した土壌処理剤を取り扱う、三井物産(8031)との合弁会社「Kanesho Soil Treatment(KST)」及び04年に子会社化した染料、医薬、農薬等の受託製造・販売を行う三和化学工業(株)。非連結子会社は、この07年 3月に新設したグリーン カネショウ(株)がある。
 
 
2007年の日本における農薬の出荷金額は、約3,193億円。農薬メーカーには、総合化学メーカー、医薬品メーカー、外資系化学メーカー等があり、住友化学、石原産業、日産化学、バイエルクロップサイエンス、日本曹達、クミアイ化学等の外資系を含む総合化学メーカー6社が70%のシェアを有している。こうした中、同社は業界唯一の農薬専業メーカーとして、国内17位のポジションにある。しかしながら同社はダニ防除剤の開発・販売を得意とし、99年に自社開発のダニ剤「カネマイト」(マイト:miteとは英語でダニ)の登録を取得し、海外展開もしている。加えて、03年には独BASF社から土壌処理剤事業を買収、これらが原動力となり日本国内の農薬出荷金額が漸減傾向にある中で業績拡大が続いている。
 
2008年12月期中間期業績
 
<連結業績>
 
中国からの輸入冷凍食品の安全性に対する不安や穀物の国際価格の高騰等、国産の農作物への関心は高まってきているが、国内における農薬需要の減少傾向は続いている。

このような情勢の中で同社グループは、「安全・安心」な農作物生産に欠くことのできない安全性が高く、環境負荷の少ない農薬の開発・普及に努めてきた。
また同社は引き続き、果樹、野菜、花卉など園芸農家を中心に技術普及を重視した農家直結の営業方針を堅持し、農家、会員店・販売店と同社が密に連携する「トライアングル作戦」を展開し、強力に需要の開拓と販売促進に努めてきた。

当中間期の売上高は前年同期比1.9%(1億48百万円)減少して77億45百万円となったが前期予想に比べては売上高、営業利益及び経常利益は、ほぼ順調に推移した。また国内連結子会社の財政状態を考慮し、減損損失を計上した結果、中間純利益は、連結子会社である三和化学工業㈱の財政状態を考慮して減損損失を特別損失として計上したことにより、中間純利益は6億76百万円減少して1億18百万円の中間純損失となった。

なお、同社グループの売上高は事業の性質上、業績に季節的変動があり、下半期に比べ上半期の割合が大きいため、連結会計年度の上半期売上高と下半期売上高との間に著しい相違がある。
 
<事業別の動向>
 
農薬事業
(害虫防除剤)
生物農薬「ファイブスター顆粒水和剤」、合成ピレスロイド系害虫防除剤「兼商バイスロイドEW」は伸長したものの、ダニ剤「カネマイトフロアブル」は他社競合剤の登場により減少した。その結果、売上高は前年同期比8.6%(1億53百万円)減少し、16億40百万円となった。

(病害防除剤)
主力分野である土壌処理剤「D-D」、「バスアミド微粒剤」は普及販売を強力にすることで伸長した。その結果、病害防除剤全体の売上高は前年同期比3.6%(1億7百万円)増加し、30億97百万円となった。

(除草剤)
非農耕地分野における「カソロン6.7」及び「カソロン2.5粒剤」は前年並みに推移したものの、水田分野での「モゲトン粒剤」が5月長雨の影響による藻類の発生が少なかったことにより、売上高は前年同期比3.3%(36百万円)減少し、10億42百万円となった。

(その他・輸出)
展着剤、植調剤は前年並ながら液肥剤及び国内原体、バルク販売が伸長した。輸出は南米、欧州、韓国等で順調に売上を伸ばしたが、北米向け製品の落込みにより、売上高は前年同期比2.7%(1億21百万円)減少し、15億29百万円となった。
 
その他事業
機能性化学品の受託が計画より増加したため、売上高は前年同期比14.4%(54百万円)増加し、4億35百万円となった。
 
<セグメント別の状況>
日本セグメントでは、売上高が前年同期比1.3%(88百万円)減少し、65億62百万円、営業利益は試験研究費の一部中止や下期へのずれ等により前年同期比13.2%(78百万円)増加し、6億74百万円となった。

欧州セグメントでは売上高が前年同期比4.8%(60百万円)減少し、11億83百万円、営業利益は収益性の高い製品の下期へのずれや製品供給元からの出庫遅れ等により減少し、10百万円の営業損失(前期は営業利益2億92百万円)となった。
 
<財政状態>
 
当中間期末の総資産198億18百万円は、売上の増加により売上債権が増加し流動資産が2億59百万円増加する一方、固定資産が主に減価償却及び減損処理の実施により8億92百万円減少し、前年度末の204億51百万円に比べ6億33百万円の減少となった。

負債70億38百万円は、仕入増加による流動負債が増加する一方、主に海外子会社の借入の減少により、前年度末の70億54百万円に比べ16百万円の減少となった。

純資産(少数株主持分を除く)は前連結会計年度末に比べ6億10百万円減少した。
この結果、自己資本比率は53.6%、1株当たり純資産は1,714円20銭となった。
 
<キャッシュ・フロー>
 
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは9億13百万円の支出(前中間期間は18億5百万円の支出)となった。これは主に税金等調整前中間純利益(1億45百万円)、減価償却費の計上(6億60百万円)、減損損失の計上(5億28百万円)による収入及び、売上債権の増加(22億86百万円)、その他流動負債の減少(1億90百万円)による支出によるもの。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは1億19百万円の支出(前中間期間は15百万の支出)となった。これは主に定期預金払戻(25百万円)による収入及び、有形固定資産取得(1億37百万円)による支出によるもの。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは9億68百万円の支出(前中間期間は5億90百万円の支出)となった。これは主に長期借入金返済(4億59百万円)による支出、配当金の支払(1億33百万円)による支出、自己株式の取得(3億75百万円)による支出によるもの。

以上の結果、当中間期間末の現金及び現金同等物は、前年度末残高に比べ 20億23百万円の減少となった。
 
<キャッシュ・フロー関連指標の推移>
 
2008年12月期業績予想
 
通期の連結業績予想は、08年2月15日に発表した前回予想から、当期純利益のみ修正した。
 
 
連結子会社である三和化学工業㈱の財政状態を考慮して特別損失として約5億 28百万円の減損損失を計上することによる修正。
 
トピックス
 
<所沢工場を閉鎖>
1956年の開設以来、同社創業の地として52年間が経過した所沢工場は、老朽化が進んでいるため6月30日をもって閉鎖し、福島工場へ全面移転すると発表した。
所沢事業所には研究所・倉庫・事務棟が併設されているが、これらの業務は同事業所に残し、創業60周年を迎える2010年秋までにこれらの施設も全面建替えを終える計画。
 
取材を終えて
中間期の売上高、営業利益、経常利益は計画をやや上回って着地した。今期は先行投資の年と位置づけられ、通期予想は減損損失による特別損失を行ったため、大幅減益の見通しとなっているが、先行投資が来期以降の収益にどのように表われるか注目したい。
食の安全・安心に対する意識は年々高まっており、国内農産物の需要は今後さらに増大するだろう。その生産に欠かせない農薬、適正な技術普及、同社のビジネス拡大の余地は大きいと思われる。