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(4849) エン・ジャパン株式会社

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ブリッジレポート:(4849)エン・ジャパン vol.17

(4849:大証ヘラクレス) エン・ジャパン 企業HP
越智 通勝 会長
越智 通勝 会長
鈴木 孝二 社長
鈴木 孝二 社長
【ブリッジレポート vol.17】2008年12月期中間業績レポート
取材概要「求人広告市場の成長性が特に高かったわけではないが、ここ数年は「求人広告の紙媒体からネットへのシフト」が急速に進展、好業績を背景に企業の・・・」続きは本文をご覧ください。
2008年8月19日掲載
企業基本情報
企業名
エン・ジャパン株式会社
会長
越智 通勝
社長
鈴木 孝二
所在地
東京都新宿区西新宿 6-5-1
決算期
12月
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2007年12月 22,686 7,564 7,573 4,168
2006年12月 16,919 5,605 5,607 3,105
2005年12月 11,491 3,791 3,826 2,203
2004年12月 6,980 2,245 2,254 1,253
2003年12月 4,372 1,749 1,754 1,038
2002年12月 3,107 1,305 1,283 663
2001年12月 1,876 933 898 464
2000年12月 620 254 249 132
株式情報(8/8現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
130,100円 237,986株 30,962百万円 36.5% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
- - 18,514.71円 7.0倍 51,206.58円 2.5倍
※株価は8/8終値。発行済株式数は直近中間期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
エン・ジャパンの2008年12月期中間決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
インターネット上で、[en]ブランドの5つの転職・就職情報サイトを運営している。求人・求職をめぐっては、「実際の業務に就いてみたら、業務内容が事前の説明と違った」と言うトラブルが多いが、同社では、営業担当者が求人企業を取材し、求人企業やその業務内容について、客観的で公正かつ詳細な情報提供を念頭に原稿作成が行われている。こうした取材に基づく公正で詳細な企業情報が求職者から高い評価を受けていることはもちろんだが、求職者は企業や業務内容を十分理解して入社するため、「戦力化が早い一方、離職者が少ない」と求人企業からも高い評価を受けている。
尚、売上高の大半を求人企業からの求人広告掲載料収入が占め、求職者から登録料等は徴収しない。
 
運営サイト
 
 
<サイト売上表示区分の変更について>
これまで、中途採用、新卒採用における採用アウトソーシング商品は「テスト」の売上と共に、それぞれ「中途関連その他」、「新卒関連その他」に含まれていたが、これら採用アウトソーシング商品についてはサイト商品との関連性が強いため、今期より「中途採用アウトソーシング商品」は「[en]社会人の転職情報」のサイト売上に、「新卒採用アウトソーシング商品」は「[en]学生の就職情報」のサイト売上に含めている。
また、2008年12月期より開始した新規事業「[en]高校生」については、「教育・評価事業、その他」に計上する。
 
 
2008年12月期中間決算
 
 
前年同期比5.6%の増収、同1.9%の営業減益。
増収ながら主力サイト「[en]社会人の転職情報」の売上が前年同期比7千万円の減収となった。売上の減収する中、人員増と昇給により原価人件費及び人件費(販管費に含まれる)が合計で約4.7億円増加。中間決算ではあるが、上場以来、初めての減益となった。
尚、中間純利益の減少幅が大きいのは、特別損失として関係会社(英才網聯)株式評価損の計上による。
 
 
中途採用関連事業
「[en]社会人の転職情報」の苦戦により売上が伸び悩む中、人件費の増加が負担となり、営業利益は3,665百万円と前年同期比1.3%の増加にとどまった。サイト別の業績動向は次のとおり。

「[en]社会人の転職情報」の売上高は、前年同期比0.6%減の5,982百万円。会員数の増加は続いているものの(6月末219万人)、今期に入り、平均単価、納品件数共に減少が続いている。特に5月以降は、不動産やメーカー等で採用の削減や採用を停止する企業が増えており、第2四半期は前年同期比4.4%の減収となった(旧区分での比較)。尚、携帯版サイト「[en]社会人の転職情報ケータイ版」が5月26日にスタートした。

※サイボウズ・メディアアンドテクノロジー(株)が実施した「転職サイト比較調査2008」において、「[en]社会人の転職情報」が、11項目のうち7項目でNo.1を獲得すると共に、総合評価でも2年連続でNo.1に選ばれた。
このアンケート調査は、転職サイト30サイトについて、過去1年以内の転職経験者かつ転職サイト利用者を対象に行なわれたもので、「認知率」、「訪問率」、「転職活動時利用率」、「定期利用率」、「最利用率」、「信頼度」、「情報量」、「情報の探しやすさ」、「総合満足度」、「再利用意向度」、「最も役に立ったサイト」の11項目について実施。1,176件の有効回答を得た。
 
 
「[en]転職コンサルタント」の売上高は同21.9%増の1,164百万円。6月末時点の掲載社数は同10.3%増の385社、会員数も同22.9%増の44.5万人と順調に拡大したが、第2四半期の売上高が第1四半期の売上高をわずかに下回る等、今後の展開に不安を残した。
「[en]派遣のお仕事情報」の売上高は同18.0%増の1,796百万円。07年11月に実施したサイトリニューアルすると共に、大口顧客向けの営業を強化した事が奏功し、受注単価が上昇した。6月末時点の掲載社数は同10.4%増の649社、会員数は同26.8%増の49.05万人。

※インターワイヤード社が実施した「人材派遣サイト利用実態調査2008」(派遣サイトを訪問した事がある約2,000人が対象)において、「[en]派遣のお仕事情報」が05年、06年に続き(07年は調査が行なわれなかった)、利用者満足度No.1に選ばれた。
 
 
「[en]本気のアルバイト」の売上高は同10.4%増の604百万円。08年2月の新サイトのオープン効果もあり、応募数が同2.1倍に拡大した。6月末時点の会員数は同56.6%増の24.8万人。
 
新卒採用関連事業
「[en]学生の就職情報」は順調に売上を伸ばしたものの、08年10月にオープンするサイトの掲載企業数の増加に向けて、営業活動を前期よりも早く開始したため、その他の売上高が減少。人件費の増加が負担となり、営業損失が拡大した(-505百万円 → -517百万円)。
 
教育・評価関連事業他
「[en]高校生」の事業がスタートする等で売上高は増加したものの、人件費や広告宣伝費の増加を吸収できず、59百万円の営業損失(前年同期は34百万円の営業利益)となった。

・「[en]高校生」の6月末時点の会員数は2.2万人。厳格な入会審査により会員数の伸びは緩やかなものの、3月末に比べて2.6倍に拡大した。ページビュー(PV)も順調に増加しており、5月の月間PVは1,000万を超えた。また、会員データベースをもとに、進学等に関する意識調査も実施した。今後は調査の幅を広げ、一般企業へ調査結果を提供していく予定。
・VC事業は、最大3億円の投資枠を設定して今期に臨んだが、6月末時点での投資実績はゼロ。事業環境の変化を踏まえ、今後は投資先を同社事業との相乗効果が見込める企業に限定していく考え。
・中国事業の中間期実績は、売上高が前年同期比50.8%増の10,980千元(170百万円)、経常利益が同184.6%増の1,430千元(22百万円)。通期では、売上高25,000千元(380百万円)、経常利益2,500千元(38百万円)を見込む(2008年6月末時点の為替レート:1元=15.51円で円ベースに換算)。
 
2008年12月期業績予想
 
 
通期予想に変更は無く、前期比15.0%の増収、同5.8%の営業増益予想。
ただ、リスク情報として次の3項目を挙げており、業績予想の達成について楽観はできないようだ。
(1)景気の減速に伴う、企業の採用意欲の低下
(2)求人広告マーケットの成長鈍化に伴う競合環境の激化
(3)営業体制強化・社員育成の遅延

企業の採用意欲が低下しているため、顕在化したニーズを汲み上げるだけでなく、潜在ニーズの掘り起しが必要と考えている。また、競合環境の激化に対応し、価格面での柔軟性も含めて、多様なニーズに応えうるサービスラインナップの拡充にも努める。この他、上半期から取り組んでいる営業体制の強化と共に、管理職の人材育成に注力する。
 
中期経営方針 (社内向け改革プロジェクト)
 
景気の悪化、ネット求人広告市場の成熟、更には急成長による歪みの顕在化等で、従来の管理手法や営業手法の限界が見えてきた。このため、更なる飛躍を目指し、社内改革プロジェクト「リノベーション 2011」に取り組む考え。
具体的な取り組みとして、コア事業の深堀、風土改革・人材育成、新規事業の立上げの3点を挙げている。
 
コア事業の深堀
磐石な経営基盤を確立するべく、コア事業の深堀を進める。具体的には、事業目的の明確化と直販の強みを生かした顧客パートナー主義の実現によりサービスレベルを引上げる事で、成熟市場においてもシェアアップにより成長を維持する。
 
風土改革・人材育成
大きく変化する事業環境に対応するべく、企業風土の改革と人材の育成も必要だ。このため、働き方の改善と能力開発の仕組みづくりに取り組む事で企業風土を改革する。また、これまでは社員へ答えを与えてきたが、今後はコミュニケーション手法を変革し、自ら考え、自ら答えを出せる人材の育成に努める。
 
新規事業の立上げ
継続的な成長と収益基盤の強化に向け、新規事業の育成にも取り組む。同社では採用事業周辺領域で未だ成長余地は大きいと考えており、ドメインに沿った事業展開により新規事業の立上げに取り組む。
 
取材を終えて
求人広告市場の成長性が特に高かったわけではないが、ここ数年は「求人広告の紙媒体からネットへのシフト」が急速に進展、好業績を背景に企業の採用意欲の高まりもあり、インターネット求人広告市場は急拡大した。しかし、「紙媒体からネットへのシフト」が一巡しつつある中、景気の悪化や業績の先行き不透明感から企業の採用意欲が低下傾向にあり、今後、事業環境は厳しさを増していくものと思われる。このため、同社の真価が問われるわけだが、ポイントは新たな成長ステージに立つべく会社を変えていく事ができるかどうか。「リノベーション2011」の進展に期待したい。