ブリッジレポート:(2468)フュートレック vol.7
(2468:東証マザーズ) フュートレック |
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企業名 |
株式会社フュートレック |
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社長 |
藤木 英幸 |
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所在地 |
大阪市淀川区西中島 6-8-31 |
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決算期 |
3月 末日 |
業種 |
サービス業 |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2008年3月 | 1,598 | 264 | 277 | 159 |
2007年3月 | 1,253 | 249 | 256 | 162 |
2006年3月 | 1,443 | 173 | 165 | 99 |
2005年3月 | 1,059 | 69 | 79 | 33 |
2004年3月 | 907 | 9 | 6 | -1 |
2003年3月 | 736 | 12 | 12 | 3 |
2002年3月 | 435 | 17 | 34 | 29 |
株式情報(7/1現在データ) |
※発行株数は3/31時点。 |
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今回のポイント |
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会社概要 |
グループは、同社の他、ソフトウェア開発の(株)インストーム、組込みソフトウェアとアウトソーシングの(株)シンフォニック、及び音声認識技術事業のサービスを手掛ける(株)ATR-Trekの連結子会社3社。 <沿革>
会社設立は2000年9月。01年3月には現在の主力商品となっている音源IPを完成し、ライセンス販売を開始した。02年5月、ソニーからメモリースティックROMの製造権・販売権を取得。03年にはインストームを子会社化してソフトウェア開発を強化した。04年には松下電器産業から3D音響IPライセンスを受けて提携。05年1月にNTTドコモと音源の利用許諾契約を締結。NTTドコモの携帯電話の音源が同社の音源ICで統一される事となった。また同年同月、大手予備校が実施する模擬試験向けコンテンツをメモリーカードへ書き込む業務を受託し、メモリーカードを販売するビジネスに参入。同年12月に東証マザーズに株式を上場した。06年5月には、NTTドコモと資本・業務提携契約を締結。これにより、当社の株式の10%以上をNTTドコモグループが所有する事となり、NTTドコモが開発する様々なサービスに協力する事になった。ハード音源等、半導体の設計からスタートした同社だが、ソフト音源や分散音声認識技術などソフトウェア分野へ活動範囲を広げている。ソフトウェア技術をベースとした音声認識システムの販売や音声翻訳サービスの提供等も始めており、中期的には「技術開発型会社」から「技術開発サービス型会社」へと業態転換を進めていく考え。 <事業の概要>
事業部制を敷いており、音源事業の第一事業部、受託開発事業とカード事業の第二事業部、音声認識事業の第三事業部に分かれる。08/3期の売上構成比は、それぞれ64.3%、17.3%、18.3%。
1.第一事業部(携帯電話音源LSI設計データと組込みソフトウェアの開発・設計)
携帯電話用音源LSI設計データと組込ソフトウェアのパッケージを音源IPや3D音源IPとして知的財産権化して、キャリアや携帯電話端末メーカー等にライセンス販売している事は既に説明した通り。同社が受け取る対価には、LSI設計データと組込ソフトウェアの使用許諾契約時に発生するイニシャル収入(初回のみ)、顧客の生産台数に応じて発生するロイヤルティ収入(生産1台当たり)、IPをユーザーのインターフェイスに合わせる実装設計(カスタマイズ)に伴う収益、及び音源動向の情報提供やコンテンツ作成のアドバイス等に伴うコンサルティング収入がある。
2.第二事業部(カード事業及び研究開発を兼ねた受託開発)
カード事業は、大学受験生向け模擬試験の英語リスニングテストで使われるメモリーカードや携帯電話のコンテンツ入りメモリーカードの書き込み事業を行っている。また、受託開発事業は、付加価値の高いセンサや携帯関連の受託開発が中心だが、単なる受託開発ではなく、新たな技術の習得や商品開発につなげるための研究開発として位置付けている。受託開発の1事業であった音声認識事業が、事業部として独立した他、08/3期にはアナログ信号をデジタル信号に変換するIC(バーニアADコンバータ:VAD)が開発フェーズを終え、販売フェーズに入った。
3.第三事業部(音声認識事業)
06年12月に(株)国際電気通信基礎技術研究所(以下、ATR)と業務提携した事を受けて、07年4月に受託開発事業から分離・独立した。ATRが保有する音声認識の技術とフュートレックが保有する携帯電話関連の技術及びフュートレックグループが保有するサーバーシステム開発技術を融合した音声認識・音声翻訳等の事業を進めている。システムの使用許諾契約時に発生するイニシャル収入や毎月の生産数及びサービス数に応じたロイヤルティ収入が収入源となる。さらにフュートレックグループ自身がコンテンツプロバイダとなった「しゃべって翻訳」のサービス提供を始めている((株)ATR-Trek)。尚、音声認識とは、機器に向かって音声で入力すると、様々な発音・声質から言葉を聞き分け、語彙を特定し、文字等に変換するものである。携帯電話での想定されるサービスとして、携帯電話に話しかけるだけで言語の翻訳ができたり検索ができたり、様々なサービスの実現が期待されている。 |
2008年3月期決算 |
NTTドコモのFOMA全機種にフュートレックの音源IPが搭載され、ロイヤルティ収入が増加。組込みソフトウェアとアウトソーシングを手掛ける(株)シンフォニックの立上げ費用に加え、VADや音声認識・音声翻訳技術の研究開発費を吸収して営業利益は同6.0%増加した。当期純利益が減少したのは、(株)シンフォニックが創業赤字を計上したため。尚、1株当たり配当金を500円増配の1,600円とした。 <セグメント別売上高>
第一事業部(音源事業)
NTTドコモのFOMA全機種にフュートレックの音源IPが搭載され、売上高が大幅に増加した。国内外を合わせた同社の音源搭載台数は、前期末比13,568千台増の28,258千台。このうち、国内市場における同社の音源搭載台数は、前期の12,305千台から23,029千台(期初予想20,751千台)へ10,723千台(87.1%)増加。海外市場も5,229千台(同4,520千台)と前期比2,845千台(119.4%)増加した。ただ海外市場は、ハイエンド製品の市場が伸び悩む等、成長性の面で課題を残した。尚、携帯電話向けLinuxの開発に取り組む業界団体「LiMo Foundationに参画した。 第二事業部(受託開発・カード事業)
受託開発事業において、音声認識事業が第三事業部に分離・独立したため、見かけ上大幅な減収となった。内訳は、受託開発事業が前期比63.4%減の160百万円(同278百万円減少)、カード事業が同12.6%減の116百万円(同16百万円減少)。受託開発事業ではVADの基本動作を確認、センサ向けに販売を開始した。カード事業は、英語リスニング用模擬試験ビジネスが順調に推移したものの、一般書込みビジネス(携帯電話同梱用)が減少した。期初予想は、受託開発事業181百万円、カード事業126百万円。
第三事業部(音声認識事業)
07年11月にNTTドコモより発売された携帯電話の新機種(905i、705iシリーズの一部)に音声認識フロンエンドトエンジンが搭載された事に伴い、イニシャル収入及びロイヤルティ収入を計上した。また、音声認識バックエンドエンジンをゼンリンデータコム(「ゼンリン地図+ナビ」の「地図アプリ」向け)へ販売した他、NTTドコモ905i、705iシリーズの一部の携帯電話において、同社独自のコンテンツサービスである音声翻訳サービス「しゃべって翻訳」を開始した(連結子会社ATR-TreKがサービスを提供)。
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2009年3月期業績予想 |
FOMA向け音源IPや音声認識フロントエンドエンジンのロイヤルティ収入が通期で寄与する。車載用ソフトウェア開発やVADの販売体制の確立と更なる研究開発等、引き続き先行投資が続くものの、利益率の高いロイヤルティ収入の増加で吸収、営業利益は397百万円と同50.1%増加する見込み。 尚、1株当たり配当金は700円増配の2,300円を予定。 <セグメント別予想>
第一事業部
前期比8.7%の増収見込み。前期にNTTドコモのFOMA全機種に搭載された音源IPにかかるロイヤルティ収入が通期で寄与する。搭載台数の前提は国内が前期比971千台増の24,000千台、海外が同2,229千台減の3,000千台。海外が大幅に減少する見込みだが、これは需要が読み難いので保守的な見込みとしたため。また、車載用センサ開発におけるこれまでの実績及び携帯電話のソフト音源開発で培ったソフトウェア開発技術を活かして、自動車分野に参入する。具体的には、連結子会社シンフォニックと共に車載用ソフトウェアの開発に取り組む。
第二事業部
前期比21.3%の増収見込み。内訳は、受託開発事業が228百万円(同67百万円増)、カード事業が107百万円(同9百万円減)。受託開発事業では、燃費や静音コントロール等の車載用センサの受託開発案件が増加している。また、本格的な業績への寄与は来期以降となる見込みだが、特定のアプリケーション向けにVADの販売活動を開始した。カード事業では、英語リスニング用模擬試験ビジネスを中心とした事業展開を継続する。
第三事業部
前期比66.2%の増収見込み。音声認識フロントエンドエンジンのロイヤルティ収入が通期で寄与する他、「しゃべって翻訳」での多言語仕様(6月から中国語を開始)や対応機種の増加等で音声翻訳サービスの拡大も見込まれる。また、コンテンツプロバイダ向けの音声認識バックエンドエンジンの拡販をはかるとともに、携帯電話以外の分野も視野に入れて事業を強化する。
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