ブリッジレポート
(2925) 株式会社ピックルスコーポレーション

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ブリッジレポート:(2925)ピックルスコーポレーション vol.1

(2925:JASDAQ) ピックルスコーポレーション 企業HP
荻野 芳朗 社長
荻野 芳朗 社長

【ブリッジレポート vol.1】2008年2月期決算業績レポート
取材概要「08/2期は、国産野菜価格の高騰や物流費・人件費の増加が響き営業減益となったが、09/2期は、量販店惣菜売場向けが拡大し・・・」続きは本文をご覧ください。
2008年5月20日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ピックルスコーポレーション
社長
荻野 芳朗
所在地
埼玉県所沢市くすのき台3-18-3
決算期
2月末日
業種
食料品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年2月 17,870 286 373 205
2007年2月 16,775 293 355 218
2006年2月 16,563 158 205 -37
2005年2月 18,186 74 146 144
2004年2月 18,038 268 285 99
2003年2月 18,047 101 98 36
2002年2月 16,542 548 514 230
2001年2月 16,895 302 287 266
株式情報(4/30現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
376円 6,395,600株 2,405百万円 4.1% 1,000株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
10円 2.7% 27.78円 13.5倍 788.73円 0.5倍
※株価は4/30終値。発行済株式数は直近期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
ピックルスコーポレーションの2008年2月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
浅漬を中心とした漬物メーカー。トレーサビリティの確保された国産の野菜原料、保存料・合成着色料を使用しない「安全な食へのこだわり」が特徴。
08/2期は国産野菜価格の高騰や物流費・人件費の増加が響き営業減益となったが、09/2期はスーパーや生協など量販店向け売上が拡大、価格転嫁も進み大幅な営業増益が見込まれる。
11/2期に売上高215億円、営業利益5億円の達成を目指している。低いハードルではないが、スーパーや生協等の量販店開拓の余地は大きいと考える。
会社概要
 
浅漬・惣菜の製造・販売及び青果物・漬物等の仕入販売を行なっている。ふる漬メーカーとしては最大手で、「きゅうりのキューちゃん」で知られる東海漬物(株)が株式の49.6%を保有する(取引は少なく、08/2期の仕入依存度は5.5%)。
自社製品は、契約栽培によるトレーサビリティの確保された国産の野菜を中心に、保存料・合成着色料を使用しない等、「安全な食へのこだわり」は強い。販売面ではセブン&アイ・ホールディングス(3382)への依存度が高く、08/2期は売上高全体の55%を占めた。
製造は、所沢、所沢第二、千葉、湘南、大宮、宮城、福島、中京の国内8拠点。所沢工場に隣接する物流管理センターでは、自社製品だけでなく、梅干など商品の仕入れ、在庫管理、出荷も行なっている。
 
<製品紹介>
 
<沿革>
 
1977年2月、(株)東海デイリーとして愛知県で設立。翌3月には埼玉県志木市で工場が稼動し、漬物・佃煮の製造・販売を開始した。同年12月には(株)セブンイレブンとの取引が始まり、その後、取引はイトーヨーカ堂、デニーズジャパン等、イトーヨーカ堂グループ(現・セブン&アイ・ホールディングス)の主要企業へと拡大。93年9月、商号を(株)ピックルスコーポレーションに変更。01年、株式を店頭登録(現JASDAQ)した。
 
<漬物市場の規模>
市場規模は約4,000億円と推定され、同社のシェアは約4%。成熟市場ではあるが、同社はシェアアップにより成長を目指している。中期的には、10%程度に引き上げたい考え。
 
 
2008年2月期決算
 
-増収ながら原価率が上昇、販管費の増加を吸収できず営業減益-
 
 
量販店向けの販売拡大等で売上高が増加したものの、1. 需要増に対応した増産体制整備に伴う人件費増、2. 原油高によるコストの上昇、3. 厳冬及び中国産冷凍餃子中毒事件の影響による国産野菜価格の高騰等が響き、原価率が80.1%と0.4ポイント上昇。物流費や人件費の増加も負担となり、営業利益は同2.4%減少した。
受取配当金(投資ファンド分配金)や容器リサイクル費用返戻金の増加で営業外損益が改善した他、工場再編関連の損失一巡で特別損益も改善したものの、税効果会計の影響で当期純利益は同5.8%減少した。

尚、中国産冷凍餃子中毒事件は、創業以来、国産野菜を使用してきた同社製品が見直されるきっかけとなり、その後の惣菜等の販売好調につながっている。
 
(1)品目別売上高
 
惣菜売場向け製品の好調で惣菜の売上高が伸びた他、主力の浅漬が堅調に推移した。また、子会社が手掛けるふる漬等も売上規模は小さいながら二ケタの増収。この結果、製品売上高は8,981百万円と前期比9.1%増加、製品の売上構成比が50%を超えた。
 
(2)子会社及び不採算部門の損益改善状況
 
過去数年間損益改善に取り組んできた(株)八幡屋は、ほぼ再建が完了。野菜価格の高騰等により営業利益が計画未達となったものの、生協等への販売が伸びた他、製造の効率化も進んだ。一方、(株)札幌フレストは、生協や地元スーパー等への販売強化に取り組んだが、不採算製品の整理等により売上高は減少し、野菜価格の高騰等により営業損失となった。
中京地区(同社中京工場)は、セブンイレブンの店舗数増加、地元スーパーへの拡販により、売上高が増加し、営業損失も減少した。また、東北地区(同社宮城・福島工場)は、地元スーパーなどへの販売が伸長、営業損失が半減した。
 
2009年2月期業績予想
 
-量販店向け売上が拡大、価格転嫁も進み大幅な営業増益へ-
 
 
自社製品を中心に量販店向けの販売拡大が見込まれ、売上高は19,328百万円と前期比8.2%増加する見込み。利益面では、野菜や調味料等の原材料価格の上昇が続いているものの、商品の切り替え等の際に価格転嫁を進めていく考え。また、利益率の高い製品売上の構成比上昇(50.3%⇒51.6%)や人員体制の見直しによる製造人件費の改善等で、売上総利益率が20.2%と0.3ポイント上昇。物流費の増加や営業マンの増員等による販管費の増加を吸収して、営業利益は366百万円と同27.8%増加する見込み。
ただ、営業外で投資ファンド分配金(前期は11百万円を計上)を見込まない一方、特別損失に固定資産除却損50百万円を見込む等で、当期純利益は177百万円と同13.7%減少する見込み。

増産余力が乏しくなってきた子会社(株)彩旬館の新工場建築を計画しており、現在、工場用地を探しているところ。今期は、設備投資247百万円(前期は224百万円)、減価償却費343百万円(同344百万円)を計画しているが、今期中に着工できれば、設備投資は400百万円程度が上乗せされる。
 
(1)経営戦略
売上の拡大に向けて、惣菜売場への提案強化等で量販店や生協への拡販を図ると共に、電車広告の実施や西武ドームでの広告の継続、更にはキャンペーンの実施など広告や販売促進にも力を入れる。
製品・商品戦略としては、惣菜売場向け製品の開発を強化する。販売好調な叙々苑との共同開発製品については、第2弾として「叙々苑キムチミックス」の発売を予定している。商品については、ラインナップの拡充と利益率の改善に努める。
この他、製造・物流コストの削減や生産性の改善に取り組むと共に、品質・衛生管理の徹底を図るため、HACCP認定、ISO9001認証取得、更には従業員教育の強化等をとおして、信頼される製品づくりを目指していく。
 
(2)子会社及び不採算部門の損益改善への取組
 
子会社及び不採算部門共に、損益の改善に向けて量販店惣菜売場への提案を強化する。その上で、(株)札幌フレストについては、地元スーパーへの拡販を図り、黒字化を目指す。中京地区(同社中京工場)については、地元スーパーへ惣菜を中心に拡販を図り、10/2期の黒字化を目指す。また、東北地区(同社宮城・福島工場)については、地元スーパーへの拡販に努め、10/2期の黒字化を目指す。
 
(3)品目別売上高予想
 
新規取引先の拡大に加え、国産野菜の使用にこだわる同社製品に対する評価の高まりもあり、量販店向けに浅漬や惣菜の売上が拡大、製品売上が9,964百万円と前期比10.9%増加する見込み。引き続き製品売上比率の上昇が続く。
 
中期経営目標
 
-11/2期に売上高215億円、営業利益5億円へ-
 
 
同社は、中期的な目標として、11/2期に売上高215億円、営業利益5億円の達成を掲げている。この目標達成に向けて、浅漬及び惣菜の量販店向け販売を強化する。具体的には、強みである全国ネットワークを活用してスーパーや生協向け販売の拡大に取り組むと共に、惣菜売場向け製品及びナショナルブランドの製品開発に取り組んでいく考え。また、関西地区に新工場を建設し、能力増強も図る。
 
 
取材を終えて
08/2期は、国産野菜価格の高騰や物流費・人件費の増加が響き営業減益となったが、09/2期は、量販店惣菜売場向けが拡大し、大幅な営業増益が見込まれる。
漬物市場は成熟しているものの、同社の場合、セブン&アイ・ホールディングスへの依存度が高く、スーパーや生協など量販店は今後の開拓の余地は大きいと考える。全国的な生産体制の整備に加え、製造・物流コストの削減や生産性の向上、更には品質・衛生管理の強化・徹底を図る事で、中期経営目標の達成が一段と現実味を帯びてこよう。