ブリッジレポート
(7590) 株式会社タカショー

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ブリッジレポート:(7590)タカショー vol.10

(7590:JASDAQ) タカショー 企業HP
高岡 伸夫 社長
高岡 伸夫 社長

【ブリッジレポート】タカショー vol.10
(取材概要)2008年4月8日掲載
「9/1期も高い利益成長が期待できます。建築基準法改正による混乱が一巡する事に加え、下期の売上対策の成果が期待できる事、更に前期に発生した一時的な・・」続きは本文をご覧ください。
企業基本情報
企業名
株式会社タカショー
社長
高岡 伸夫
所在地
和歌山県海南市南赤坂20-1
決算期
1月
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年1月 13,437 597 474 289
2007年1月 12,420 424 414 183
2006年1月 11,112 528 541 305
2005年1月 10,895 528 498 270
2004年1月 10,153 466 346 213
2003年1月 10,057 360 257 162
2002年1月 9,457 -17 -83 -89
2001年1月 9,045 523 467 177
2000年1月 8,535 580 575 258
株式情報(3/31現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
315円 8,491,490株 2,675百万円 8.0% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
14円 4.3% 44.78円 7.0倍 447.60円 0.7倍
※株価は3/31終値。発行済株式数は直近期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
タカショーの2008年1月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
会社概要
 
やすらぎのある空間づくり」を基本コンセプトに、人工・天然の竹木製フェンスやガーデンファニチャー、緑化資材等の庭園資材を製造・販売。LED(発光ダイオード)ライト等の照明機器、池・滝・噴水などのウォーターガーデンや坪庭なども手掛けています。
商品の企画から製造、販売まで一貫体制をグループで確立しており、製造は国内及び中国、販売面では子会社を通じて北米、欧州へも展開しています。日本においても確立した市場となりつつある「ガーデニング市場」の牽引役として、今後も安定した収益拡大が見込まれます。
 
 
<沿革>
1980年8月、現社長の高岡伸夫氏が友人4人と共に、「ガーデンエクステリア(庭空間)」にカテゴリーを絞った提案型庭園事業を目的に、株式会社タカショーを設立しました。以降、風・光・水・緑・心に象徴される庭をテーマに「やすらぎのある空間づくり」のコンセプトの下、業容を拡大し、1998年9月に株式を店頭登録(現ジャスダック市場上場)しました。
 
<販売ルート(営業部門)>
営業部門は、販売ルート別に設計・施工が必要な工務店向け「プロユース」、ホームセンターへの卸売を中心にした一般消費者向け「ホームユース」、「通信販売」、及び「輸出」に分かれます。売上構成比は、2008年1月期実績(単体ベース)で、それぞれ49.2%、43.8%、3.4%、3.6%です。
 
「プロユース」では、プロユーザー向けのカタログ「PROEX(プロエクス)」を業界最大の約20万冊印刷し、造園業者、設計士、エクステリア施工店、商業施設などにダイレクトメールで配布しています。カタログは単なる商品紹介ではなく、商品を使った庭園イメージの写真もついており、顧客はこの写真を見ながら実際に施工する場所と庭園の簡単な図面を書いてファックスもしくはWebで申し込みます。注文を受けると、CAD(コンピュータによる設計支援システム)、CG(コンピュータ映像)を駆使した完成予想図と共に見積書を当日中に返送し、正式な注文があれば商品を1週間以内に届けます。
 
 
<グループ概要>
 
 
グループは同社の他、連結子会社9社及び関連会社8社で構成されています。LEDライト事業の強化に向けて、07年7月に(株)タカショーデジテックが(株)デジライトを吸収合併したため、連結子会社が10社から9社に減少。また、持分売却に伴い広東高秀花園製品有限公司が持分法の適用範囲から除外されました。
 
<連結業績推移>
 
 
07/1期は、下半期の売上低迷もあり、先行投資負担を吸収できず減益となりましたが、08/1期は利益も回復。安定成長が続いています。
 
2008年1月期決算
 
<連結>
 
 
体質強化が進み、営業利益率が4.4%と1ポイント改善。営業利益は前期比40.7%増加しました。支払利息の増加や為替差損を計上により経常利益が14.3%の増加にとどまったものの、特別損益の改善により当期純利益は同58.1%増加しました。尚、役員退職慰労引当金戻入益など157百万円を特別利益に計上する一方、固定資産除却損など特別損失107百万円を計上しました。
 
<計画との差異>
 
 
改正建築基準法の施行に伴う混乱の影響を受けて、プロユース部門の売上高が計画を223百万円ショートしました(達成率96%)。また、ホームユース部門の売上高も、販売価格の上昇による消費者の買い控え等で計画に達しませんでした。経常利益は計画を271百万円下回りました。主な要因は、売上計画未達成に伴う売上総利益額の減少(129百万円)や為替差損の計上(97百万円)等です。また、計画外の特別損失として、旧社屋の改装計画の変更による除却損(44百万円)、貸付先倒産による回収不能額の引当金見積り計上(23百万円)、内部統制を見据えた関係会社の整理による売却損(20百万円)、投資有価証券の除却損(17百万円)を計上しました。
計画未達要因のうち、一時的なものは要因による利益の減少は210百万円。この影響を考慮した実質的な当期純利益は410百万円程度になります。
 
 
また、第4四半期の計画が強気過ぎた面もあります。
 
<ルート別売上高(個別)>
 
 
プロユースでは、エバーアートウッドが前期比341百万円増と好調な販売が続いています。一方、ホームユーでは、シェード(日除け)商品が同240百万円増加した他、環境に優しいソーラーライトも同117百万円増加しました。ホームユースは価格面での厳しさが残っていますが、淘汰が進み過当競争は終息しつつあります。
また、輸出は欧州の好調に加え、韓国や豪州での市場開拓が進みました。
 
<商品別売上高>
 
 
人工竹木フェンスでは、人工竹が前期比10%程度増加しました。また、LEDライトやソーラーライトの好調で照明機器が同2.9倍に拡大しました。季節商品では、5年保証を付けた紫外線除去機能のあるシェードの売上高が伸びました。
 
<販管費>
 
 
積極投資に伴い高水準で推移してきた販管費比率が、ここ数年は低下傾向にあります。その要因は、物流体制の再構築による物流効率の改善で、07/1期に13.7%だった物流費比率が、08/1期は13.0%に低下しました。
 
 
現在、更なる物流の効率化を目指して国内外で物流体制の再構築を進めています。具体的には、在庫の削減による倉庫費用・横持ち費用等間接経費の抑制、及び中国からの直送です。
中国工場では、販売計画に基づいて製造する事で、過剰在庫の削減や横持費用の削減を進めています。季節性の高い業界のため、粗利率は高いものの、低回転率で高コストになりがちです。このため、四季に応じた商品政策と販売計画に基づく製造により、在庫回転率の向上に努めています。
 
 
上記施策により、10/1期までに1億20百万円のコストダウンを図る計画です。
 
 
<貸借対照表>
 
 
<キャッシュ・フロー>
 
 
事業拡大に伴いたな卸資産が増加する一方、役員退職慰労金制度の廃止に伴う引当金の取崩の減少(前年同期比149百万円減)や手形流動化に伴う売上債権の減少が前年同期比590百万円減少したため、法人税等や利払いを吸収できず、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなりました。投資活動によるキャッシュ・フローのマイナスは、新社屋建設を含む有形固定資産の取得(655百万円)や関係会社に対する短期貸付金(159百万円)等によります。この結果、フリー・キャッシュ・フローが765百万円のマイナスとなったため、第三者割当増資による株式の発行(206百万円)や短期及び長期借入金の借入(357百万円)により賄ったため、財務活動によるキャッシュ・フローは1,094百万円のプラスとなりました。
 
<連結財務指標>
 
 
2009年1月期業績予想
 
<連結>
 
 
改正建築基準法の影響が一巡する中、天然素材の表情を再現した人工木「エバーアートウッド」を用いた「ポーチガーデン」シリーズ、天然の木製品として薬品を使わずに防虫防腐加工を施した人に優しい「タンモクウッド」シリーズ、更には、環境対応型商品としてLEDライトを使用した屋外照明とサインシステムの売上拡大が見込まれます。
 
尚、目標とする配当性向を20%から30%に引き上げ、1株当たり年間配当を13.5円(3.5円増配)とする考えです。仮に業績が悪化した場合でも、1株当たり5円の年間配当を実施する意向です。
 
今後の課題と戦略
 
今後は、グローバル、デザイン、環境をテーマに成長のスピードを上げ、プ口ユース、ホームユース、及びEコマースを含めた無店舗販売の充実、更にはヨーロッパ、アジア、オセアニアを中心とする販売ネットワークの強化と海外での売上げ拡大とに取り組んでいく考えです。
 
プロユース
プロユースは1年を通して安定したビジネスです。現場の庭、空間、暮らしの作品を商品とするライフスタイルメーカーとして同社の認知度が向上しており、全国の有力施工店の組織であるタカショーリフォームガーデンクラブの加盟店が設立2年で500社を超えた事に加え、間屋との連携による販売ネットワークの強化も進んでいます。
今後、"5th ROOM(5番目の部屋)"をテーマに、リビング、ダイニング、キッチン、ベッドルームに次ぐ5番目の部屋、言い換えれば、同社の市場ターゲットであるガーデンという部屋を提案し、コンセプトと共に商品を供給していく考えです。例えば、ポーチガーデン。近年、日本の家からひさしがなくなってきていますが、ひさしをつくり、その下に縁側の世界をつくっていき、それを具体的に暮らしとしてもっていく。従来の日本家屋には必ず縁側があり、ヨーロッパの家も皆デッキがあり、そこに暮らし方があります。「第5番目の部屋=屋根のない部屋=ひさしのある縁側の復活」というコンセプトでポーチガーデンを展開していく考えです。また、これに付随して、ガーデンキッチン、エバーアートウッド、タンモクウッド、ロハスガーデン、省エネタイプLEDサイン等を販売していく考えです。
 
ホームユース
ホームユースは低価格化に対応した利益確保と季節性への対応(下期の売上確保)が課題です。利益確保については、ディズニー、ワーナーブラザース、ローラアシュレイに加え、自社ブランドのG-スタイルや、G-ストーリーをはじめ、専売ブランドの展開により収益性を高めると共に、海外及び国内の工場との連携により物流コストの削減に取り組む考えです。また、収益性の低下から他社の撤退が相次いでいる事もプラス要因です。
尚、ディズニーブランドについては、日本に続き韓国でもガーデン分野の専売権を取得した事から、グローバル化も進めていく考えです。海外については、韓国以外でも、中国、ヨーロッパ、オーストラリア等で販売が伸びており、特にタカショーEU(ドイツ)はドイツの大手ガーデニングメーカーからアジアの供給ベンダーとして指定された事もあり、商品の供給先が3,000店に拡大しています。
また、物流面では、国内生産品の定番配送に加え、海外生産品を工場から国内の配送センターへコンテナ直送する体制が整いました(プロユースの製品は、ほぼ100%国内の自社又は関連工場で生産)。
季節性への対応策としては、リアルな人工植物や照明製品のラインアップの拡充と販売強化、更にはディズニーとの提携によるハロウィーン商品の開発等に取り組んでいく考えです。照明製品はニトリ等の家具チェーンや家電量販店への納入も増えています。
 
 
取材を終えて
09/1期も高い利益成長が期待できます。建築基準法改正による混乱が一巡する事に加え、下期の売上対策の成果が期待できる事、更に前期に発生した一時的なコストがなくなる事が要因です。また、「庭の価値を上げると、家の価値が上がる」と言う認識が定着しつつあり、住宅メーカーが庭に注力している事に加え、消費者も庭への投資を惜しまなくなってきているため、目先の業績にとどまらず、中期的にも明るい展望を描く事ができます。
過去数年の業績は一進一退を繰り返していましたが、この間に取り組んできた海外展開や物流体制の整備等、戦略が一応の形になってきました。競合企業の淘汰も進んでいる事から、今後の業績に注目したいと思います。