ブリッジレポート
(9445) 株式会社フォーバルテレコム

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ブリッジレポート:(9445)フォーバルテレコム vol.11

(9445:東証マザーズ) フォーバルテレコム 企業HP
谷井 剛 社長
谷井 剛 社長

【ブリッジレポート】フォーバルテレコム vol.11
(取材概要)2008年1月8日掲載
「下期以降も代理店への顧客獲得支援コストが負担となりますが、契約回線数の増加が続いているため、今後は売上高と連動して利益が増えてくるものと思われ・・」続きは本文をご覧ください。
企業基本情報
企業名
株式会社フォーバルテレコム
社長
谷井 剛
所在地
東京都千代田区神田小川町 3-9-2
決算期
3月
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2007年3月 12,461 845 840 975
2006年3月 11,024 859 868 841
2005年3月 7,740 470 452 726
2004年3月 6,114 214 205 205
2003年3月 7,746 93 40 69
2002年3月 11,879 -1,732 -1,779 -4,939
2001年3月 18,224 284 134 45
2000年3月 20,503 53 -50 88
株式情報(12/21現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
37,650円 166,752株 6,278百万円 7.2% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
2,000円 5.3% 2,998.46円 12.6倍 13,534.88円 2.8倍
※株価は12/21終値。
 
フォーバルテレコムの2008年3月期中期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
会社概要
 
電話機やOA機器の販売を手掛けるフォーバル(8275)グループで通信事業を展開。NTT等の電気通信事業者から回線を仕入れ、割引サービスを受けることが難しい中小企業に割安な通信サービスを提供しています(回線の再販)。同社のサービスを利用すれば、国内、国際、インターネット等の請求が一本化される(ワンビリングサービス)ため、ユーザー企業は事務処理を簡素化することもできます。現在、光ファイバー対応IP電話「FTフォン」を中心とした新通信サービス事業の拡大に注力しています。
 
<沿革>
95年4月、フォーバルグループの通信事業を担う戦略子会社「フォーバル・インターナショナル・テレコミュニケーションズ(株)」として設立され、国際電話サービスfit(フィット)コールを開始しました。
96年に市外電話サービスを、97年に市内電話サービスを、それぞれ開始。98年8月には現社名へ社名変更しました。その後、「fit接続サービス」や「fitホスティングサービス」といったインターネット関連ビジネスを本格化。通信事業の拡大を受けて、2000年11月に東証マザーズに株式を上場しました。
02年2月、ソフトバンクグループのソフトバンクBB(株)と合弁会社を設立し、中小法人向けVoIP(インターネット上で音声データを送受信する技術)及びADSLサービスを開始。03年には、光ファイバー対応IP電話「FTフォン」サービスを開始しました。
 
<事業内容>
事業は、「FTフォン」等の法人向けVoIPサービスを提供する新通信サービス事業、法人向け国際電話・携帯電話・市内外電話等のサービスを提供する旧音声系サービス事業、連結子会社(株)トライ・エックス及び同社の子会社(株)新英が手掛けるドキュメント事業、連結子会社(株)FISソリューションズが手掛ける保険関連のコンサルティング等の経営支援サービス及びセキュリティサービスを中心としたその他事業に分かれます。
 
(株)フォーバルテレコムの事業内容
 
 
現在、収益性の高い新通信サービス事業の拡大に力を入れており、旧音声系サービス事業は積極的な営業活動を行っていません。
 
フォーバルテレコムグループの顧客層
 
 
(株)フォーバルテレコムが中小規模の法人に対してサービスを提供しているのに対して、(株)トライ・エックス及び(株)FISソリューションズは大手法人向けのサービスに軸足を置いています。尚、(株)トライ・エックスが手掛けるi-BOXサービスは、大企業向けのプリントサービスを中小企業向けにダウンサイジングして提供されているサービスです。
 
ドキュメント事業 :(株)トライ・エックス
 
 
Netとデジタルプリンターを活用した短納期・小ロット対応が高い評価を受けており、マツダの中近東向け輸出車用マニュアル、富士重工の海外ディーラー向けマニュアル、或いは早稲田大学や広島大学のテキスト等を手掛けています。
 
保険事業(その他事業) :(株)FISソリューションズ
(株)FISソリューションズが、保険関連のコンサルティング等の経営支援サービスを提供します。
 
(株)FISソリューションズの概要
沿革
1999年8月 前身のケイ・ワイズファクトリー(株)設立
2001年2月 前身のグローバル・ワン(株)設立
2007年4月 2社の全株式を(株)フォーバルテレコムが取得
2007年10月 2社の合併により(株)FISソリューションズ発足
2007年10月 (株)フォーバルテレコム傘下で情報通信機器販売・コンサルティング事業を開始
代表者
代表取締役社長 今藤貫徳 代表取締役副社長 石山健一
在籍FP
42名(2007年10月現在)
取扱保険会社
生保21社、損保11社
社名由来
F(Finance) ・・・ (株)フォーバルテレコムのグループにファイナンシャル・プランニング部門として参画する事で、中小企業のお客様に財務のインフラソリューションを提供していきます。
I(Insurance) ・・・ 30社を超える保険会社を取り扱う独立系の保険代理店ですので、どこの保険会社にも偏らずお客様に最適なソリューションを提供する事ができます。
S(Security) ・・・ お客様に対して不測の事態に備えた予防策だけではなく、保険を活用する事によってお客様に「安心感」を提供していきます。
提供サービス
『役員退職慰労金制度』
『各種助成金制度のご相談』
『従業員退職慰労金制度と福利厚生制度』
『生命保険、損害保険等のアドバイス』
 
(株)FISソリューションズが実施した独自の調査によると、(株)フォーバルテレコムがターゲットとする中小規模の法人は、保険等に関心が高いものの、相談相手となる良きアドバイザーに恵まれないのが現状。公認会計士や税理士等への相談が多いものの、専門外である事もあリ、積極的に対応してくれるわけではないようです。
 
 
セキュリティ事業(その他事業)
また、(株)フォーバルテレコムは、オフィスセキュリティマーク取得コンサルティングにも取り組みます。
情報漏洩は、物理的セキュリティや組織的・人的セキュリティによって、その8割近くを防ぐ事ができます。また、情報漏洩の経路も、その6割近くが物理的セキュリティや組織的・人的セキュリティによって、遮断する事ができます。
 
 
メインターゲットは従業員20名以下の企業です。
 
 
P(プライバシー)マークやISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)を取得するためには、1年程度の期間を要し、費用も1,000万円程度かかります。しかし、オフィスセキュリティマークであれば、3~5ヶ月の期間で取得でき、費用も100万円程度で済みます。
 
2008年3月期中間決算
 
<連結>
 
 
販促のため販売代理店へ支払う一時金手数料が負担となり、同社ビジネスの中核をなす新通信サービスが、増収ながら減益となった事が会社全体の業績に影響しました。
 
<セグメント別動向>
 
 
新通信サービス事業は、「FTフォン」、「おとくライン(直収型固定回線サービス)」、「携帯電話」がセットとなったサービスの販売強化、及び新規獲得ユーザーの回線開通に注力した結果、売上高は前年同期の実績を上回りましたが、拡販を目的とした販売代理店への一時金手数料が負担となり営業減益となりました。
 
 
<売上総利益分析>
 
NTTが「光電話サービス」の販売を強化しているため、対抗上、「FTフォン」の販売代理店への支援を強化した事が利益を圧迫しました。
具体的には、「FTフォン」の契約獲得時に支払われる一時金手数料が負担となりました。NTTの「光電話サービス」は、同社のブロードバンドサービスである「Bフレッツ」とセットで販売されますが、現在、「Bフレッツ」は工事費が無料となっています。電話料金自体は「FTフォン」の方が若干安いそうですが、「FTフォン」はユーザーが工事費を負担する必要がありました。このため、一時金手数料を原資に販売代理店が工事費を負担する事で、ユーザーが工事費を負担しなくても済むようにしたわけです。
「FTフォン」は、(株)USEN(4842)グループの回線をリセールしており、その収益は、契約獲得時の一時的な手数料収入と毎月の通話料金をベースにしたストック収入に分かれます。今期から(株)USENグループから受け取る契約獲得時の一時的な手数料収入が、販売代理店に支払う一時金手数料に充当されています。一時的な手数料収入、ストック収入共に売上高として計上されますが、同社に売上総利益として残るのは、ストック収入のみとなるため、この中間期は売上高が増加する一方で、売上総利益が減少しました。一時的な手数料収入は、売上高として計上されるものの、同額を原価として代理店へ支払われるため、売上総利益の増加には寄与しません。
「FTフォン」を手掛けているのはフォーバルテレコム単体ですから、単体の売上高、売上総利益にそれが表れています。
 
 
<販管費分析>
 
 
販管費の増加は、2006年7月に(株)新英が、2007年4月に(株)FISソリューションズが、それぞれ子会社となった事が主な要因です。
 
<財政状態>
流動資産では前期末比95 百万円減の3,6 51 百万円。現預金が減少(871 百万円)する一方、9月末が金融機関の休日であった事等から売上債権が増加(416 百万円)。固定資産は、同371 百万円増の1,7 56 百万円。M&Aに伴うのれんの増加(254百万円)が主な要因です。
流動負債は、短期借入金の増加(168 百万円)や未払金の増加(144 百万円)等で2,951 百万円と同277 百万円増加。固定負債は、長期借入金の増加(9百万円)及び退職給付引当金の増加(4百万円)により166 百万円と、同14 百万円増加しました。尚、借入金は798百万円。(株)トライ・エックス480百万円、(株)FISソリューションズが18百万円。フォーバルテレコム単体は300百万円となっております。
純資産は、少数株主持分の減少等で2,289 百万円と同16 百万円の減少。この結果、中間期末の自己資本比率は41.7%。
純資産は着実に増加しており、財務体質の強化が進んでいます。
 
 
<キャッシュ・フロー>
営業活動によるキャッシュ・フローは、252 百万円の赤字(前年同期は359 百万円の黒字)となりました。ただ、9月29日及び30日が休日のため、ファイナンス会社からの売掛金515 百万円の入金が同年10 月1日となった影響が大きく、これを考慮すると営業活動によるキャッシュ・フローは実質264 百万円の黒字です。
投資活動によるキャッシュ・フローは、485 百万円の赤字(前年同期は520 百万円の赤字)。前年同期に比べて子会社株式の取得による支出が増加する一方、貸付による支出が増加しました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払等で134 百万円の赤字となりました(前年同期は短期借入金の増加により468 百万円の黒字)。
 
 
2008年3月期業績予想
 
<連結>
 
 
業績予想に変更はありません。
 
取材を終えて
下期以降も代理店への顧客獲得支援コストが負担となりますが、契約回線数の増加が続いているため、今後は売上高と連動して利益が増えてくるものと思われます。ただ、成長速度は緩やかなものに変わりますから、今後の成長のカギを握るのはドキュメント事業、保険事業やセキュリティ事業と思われます。新規事業の進捗に期待したいと思います。