ブリッジレポート
(2435) 株式会社シダー

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ブリッジレポート:(2435)シダー vol.6

(2435:JASDAQ) シダー 企業HP
山崎 嘉忠 社長
山崎 嘉忠 社長

【ブリッジレポート】シダー vol.6
(取材概要)2007年12月25日掲載
「2006年4月に施行された改正介護保険法の影響に加え、大手介護事業者の不正事件等に端を発した介護サービスの質の向上や法令遵守に対する管理体制の強化・・」続きは本文をご覧ください。
企業基本情報
企業名
株式会社シダー
社長
山崎 嘉忠
所在地
北九州市小倉北区大畠 1-7-19
決算期
3月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2007年3月 4,519 -403 -406 -247
2006年3月 4,251 309 297 166
2005年3月 3,649 352 288 164
2004年3月 3,125 122 97 41
2003年3月 2,352 111 104 30
2002年3月 1,594 17 21 11
2001年3月 281 -20 -21 -14
株式情報(12/11現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
258円 5,738,000株 1,480百万円 - 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
0円 0.0% 13.94円 18.5倍 140.39円 1.8倍
※株価は12/11終値。
 
シダーの2008年3月期中間決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
会社概要
 
デイサービスセンターの運営を中心に、介護付有料老人ホーム、訪問看護、ホームヘルプサービス、ケアプラン、グループホーム、ショートステイ、小規模多機能型居宅介護などへ事業展開しています。2007年3月31日現在、国内59(福岡、山口、岡山、滋賀、愛媛、香川、大阪、千葉、北海道)の拠点を構え、施設内のコミュニティースペースの開放、介護相談会の開催など「地域に密着したサービス」を行っています。
 
 
<沿革>
2000年10月、デイサービス事業に参入に向けて、株式会社福岡メディカル販売から株式会社シダーに商号を変更。01年1月に、下関デイサービスセンターを開設しました。05年3月には、ジャスダック証券取引所に株式を上場、同年9月に有料老人ホーム事業に参入しました。
 
<事業内容>
事業は、施設に来て頂いてサービスを提供するデイサービス事業、施設に入居して頂いてサービスを提供する施設事業、自宅にお伺いして介護サービスを提供する在宅サービス事業に分かれます。
 
1.デイサービス事業
介護保険法に基づく要介護・要支援認定者に対し、デイサービスセンターにおいて食事、入浴、その他日常生活のお世話、機能訓練等のサービスを提供しています。同社が運営するデイサービスセンター「あおぞらの里」は、60~80人まで利用できる大規模施設を基本としており、リハビリのための十分なスペースと充実した設備が特徴です。また、余生を静かに過ごす場所ではなく人生を楽しむためのステージであるとの考えから、障害者・高齢者向けの施設のイメージを一掃し、明るいデザインやインテリアを配置し、他社施設との差別化を図っています。
 
2.在宅サービス事業
看護士が利用者の自宅を訪問し、医師の指示のもと看護士が自宅で療養している方お世話や診療補助等のケアサービスを行う訪問看護サービス、理学療法士及び作業療法士等のリハビリ専門スタッフが日常生活訓練や機能訓練等を行う訪問リハビリサービス、介護福祉士やヘルパー資格保持者が利用者の自宅を訪問し、日常生活のお手伝いを行うホームヘルパーサービス、及び介護保険法に基づき、ケアマネージャーが利用者個々の要望と必要に応じたサービス計画を立て、介護サービスの選択、マネジメントを行うケアプランサービスを提供しています。
 
3.施設事業
一般的な有料老人ホームは入居一時金が高額で、入居を躊躇する人が増加しているのが現状です。そこで同社は敷金のみで気軽に入居できる24時間体制の介護付き有料老人ホーム「ラ・ナシカ」を展開しています。デイサービスセンター同様に、明るいインテリアやリハビリテーションや体力づくりに役立つトレーニングルームの完備、大画面で映画を鑑賞できるシアタールームなど、一人ひとりの趣味・嗜好に合わせて楽しめる設備が整備されています。
有料老人ホーム事業をデイサービスに続く第二の主力事業と位置づけて積極的に拠点の開設を進めており、07年11月現在、14施設、847室を展開しています。
 
 
2008年3月期中間決算
 
<非連結>
 
 
有料老人ホームの入居者率上昇で施設サービスの損益が改善、介護職員確保のための雇用条件の見直しに伴う人件費増や求人費用及び広告宣伝費等を計上したものの、赤字幅は半減しました。
 
<事業別動向>
 
 
今後の事業展開や経営環境等を見据えて、相互のサービスを一元的に管理してより効果的に機能させる必要があるとの判断から、訪問看護事業、ヘルパー事業、ケアプラン事業を、在宅サービス事業として統合しました。
 
デイサービス事業
デイサービス利用者数は増加しましたが、要介護認定者が介護報酬減額の対象(予防給付の対象)となり、売上高は1,371百万円と前年同期比2.7%減少しました。尚、予防給付の対象となった利用者数は前年同期の445人から853人にほぼ倍増しました。
 
 
施設サービス事業
前期に開設した有料老人ホームの開設後の利用者獲得が堅調に推移、9月末時点の居室稼働率は73.0%(10月末現在77.4%)に上昇。売上高は、1,075百万円と同3.5倍に拡大しました。
 
 
在宅サービス事業
訪問看護の利用者数は増加したものの、2006年4月の改正介護保険法施行の影響もあり(訪問看護の回数上に訪問リハビリを利用できなくなりました)、訪問ヘルパー、訪問リハビリ、ケアプランの利用者が減少、売上高は369百万円と同4.5%減少しました。
 
 
2008年3月期業績予想
 
<非連結>
 
 
入居率の上昇により施設事業の売上が前期比2.6倍に拡大、同事業の損益改善により営業損益以下の各段階で黒字転換が見込まれます。
 
 
<事業別見通し>
 
 
デイサービス事業、及び在宅サービス事業は、利用者の予防給付への移行に伴う利用単価の低下等により業績が低迷していましたが、登録者数の増加による利用件数のUP、人員配置や業務手順の見直し等、効率的な運営に取り組むことで収益は改善に転じています。有料老人ホームの入居者の増加で施設サービス事業の売上高が前期比2.6倍に拡大する見込みです。同事業は第3四半期に月次ベースでの黒字転換が見込まれています。
 
 
経営のポイント
 
<事業別売上構成比>
 
 
2006年3月期は、デイサービス事業と在宅サービス事業の売上高が売上高全体の96%を占めましたが、施設サービス事業の業容拡大により、3本柱によるバランス経営が可能となり、収益の安定性が高まりました。
 
デイサービス事業
心のケアを重視して、仲間や友達との出会いの場としてのコミュニティ作りを意識したサービスを展開していきます。
 
 
 
また、大型施設の強みを活かし、認知症デイサービスを開始しました。
 
 
施設サービス事業
デイサービスのノウハウを活用できることが、介護付き有料老人ホームを展開するにあたってもっとも大きなメリットです。
 
 
有料老人ホームの入居率を向上させるため、積極的な営業活動を展開しており、着実に施設稼働率を向上させています。
 
 
採算ラインは1施設35~45人です。入居者数が順調に増加しており、大半の施設が採算ラインを超えてきました。
 
 
人口20万人以上の都市をターゲットとしており、自治体の許認可情報を受けて物件の選定を行っています。今後の開設予定は次の通りです。
 
 
<教育制度 スタッフのモチベーションアップ>
教育・研修制度の充実により、スキルの向上を図ります。この一環として、介護保険法、関係法令、接遇・安全管理、介護技術論等を網羅した運営・管理マニュアルの整備と充実に取り組んでいます。また、研修制度としては、入社時研修、サブリーダー研修、リーダー研修、教育担当研修等、スキルと経験に応じた研修が用意されています。
この他、施設内事故防止委員会、施設美化委員会、送迎管理委員会と言った委員会の設置によりサービスの充実にも取り組んでいます。
 
<質の高いサービスの提供  顧客満足度の向上>
体組成計Physion Physion XPの導入、健康教室の実施、更には家族会・イベントの実施など、サービスの充実による顧客満足度の向上にも取り組んでいます。
 
1.体組成計Physion Physion XP導入
(1)高齢者の介護予防・健康増進におけるトレーニング効果のチェック
(2)筋肉量、筋力の測定により、体の強化度合いを数値化
(3)トレーニングにおける筋肉量情報や健康管理情報の提供
(4)事故、疫病による長期入院等で弱った身体部位の強化及び機能回復のチェック
 
2.健康教室実施
(1)健康チェック
(2)健康に関する講話(「要介護状態を予防するには」等)
 
<内部監査の充実>
同社は7名体制で内部監査を実施して、日々の業務について自主的に監査を行っています。
 
 
1事業所における内部監査実施内容
1.介護保険請求に関わる全書類チェックの報告を受ける :毎月
2.会計、運営管理(消防訓練、感染症対策、苦情対応、事故対応)に関する
   書類の確認、並びに改善指導
:年2回
3. サービスに関する確認 :毎月
4. 全書類の改善の確認 :年2回
 
取材を終えて
2006年4月に施行された改正介護保険法の影響に加え、大手介護事業者の不正事件等に端を発した介護サービスの質の向上や法令遵守に対する管理体制の強化要請、更には都市部における介護職員の人材不足等、介護サービス業界は厳しい事業環境が続いています。ただ、同社の場合、先行投資負担が重く損益が水面下にあった施設事業が、第3四半期に月次ベースで黒字転換する見込みです。来期は新施設の立上げ費用を吸収して、更なる利益の増加が期待できます。