ブリッジレポート
(4317) 株式会社レイ

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ブリッジレポート:(4317)レイ vol.14

(4317:JASDAQ) レイ 企業HP
分部 日出男 社長
分部 日出男 社長

【ブリッジレポート】レイ vol.14
(取材概要)2007年10月30日掲載
「今年は東京モーターショーの開催年である事もあり、下期は広告ソリューション事業とテクニカルソリューション事業の売上・利益が上期比拡大する見込みで・・」続きは本文をご覧ください。
企業基本情報
企業名
株式会社レイ
社長
分部 日出男
所在地
東京都港区六本木 6-15-21
決算期
2月
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2007年2月 9,861 31 -35 -28
2006年2月 9,533 782 773 416
2005年2月 8,237 386 380 226
2004年2月 7,649 434 429 207
2003年2月 6,761 142 126 34
2002年2月 8,184 800 763 429
2001年2月 7,030 634 599 266
2000年2月 6,169 309 262 73
株式情報(10/19現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
119円 13,646,810株 1,624百万円 6.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
0円 0.0% - - 154.58円 0.8倍
※株価は10/19終値。発行済株式数は直近中間期末の発行済株式数から自己株式。
 
レイの2008年2月期中間決算について、ブリッジレポートにてご報告いたします。
 
会社概要
 
企業のSP(セールスプロモーション)、キャンペーン、展示会、ショールーム等の企画制作、TVCM等の映像制作、映像機器による演出と機器レンタル、映像編集加工、及びコンテンツの製作・販売等を行っています。企画制作だけでなく、充実したポストプロダクション機能を備えていることが特徴です。
また、純粋持株会社方式を採用しており、グループは経営戦略の立案・遂行と各事業会社の管理業務を代行する持株会社(株)レイと、事業体である子会社7社で構成されています。
 
<沿革>
同社グループは、学生サークルであった「早稲田大学レーザーディスプレイ研究会」を母体とします。1981年に(株)スタジオ・レイとして法人化、文系出身者が多いこの業界で数少ないコンピュータを扱える技術者集団として、レーザーイベント(レーザー光はコンピュータ操作で行う)の演出等を数多く手掛けました。
90年に現在の事業基盤をなすデジタル映像事業に進出。91年の現社名への変更以降、事業を本格化させました。デジタル映像事業は、高度なコンピュータ操作の延長線上にあるデジタルの映像加工技術と映像演出技術を有する同社ならではの事業と言えます。92年に映像機材レンタルを、96年にTVCMの映像制作をそれぞれ開始。01年10月にJASDAQに株式を上場しました。
 
<事業内容>
これまで同社の事業は、セールスプロモーションを市場とするビジネスコミュニケーション事業と映像制作を市場とするデジタルコンテンツ事業にセグメントされていましたが、今期以降、TVCMやセールスプロモーション等の企画制作を行う広告ソリューション事業と、保有する各種映像インフラを活用し実制作を行うテクニカルソリューション事業、及びDVD等の企画発売や映画の製作・配給を行うコンテンツ事業の3セグメントに区分変更しました。 職種別の区分からターゲット先別の区分に変更したわけです。
 
 
広告ソリューション事業
クライアントの販売戦略に応じて、キャンペーンやイベント、展示会、TVCM等の企画制作を行っています。 子会社毎の事業内容は次の通りです。
 
(株)ウイーズ・ブレーン SP、展示会、イベントの企画制作
(株)プレイズ SP、展示会、イベントの企画制作
(株)ティーシー・マックス TVCM企画制作
モバイルゲート(株) 簡易な携帯サイト付POP "ドコデジ" サービスを行っています。
 
※主要事業である展示会における仕事の流れとグループの役割
クライアント及び広告代理店が方向性や戦略を決定し、企画・制作会社は戦略に基づいて詳細な実施計画を立案し、実制作作業を各種業者に発注します。
同社グループは、実施計画を立案するプロデュース部門と制作実施を担当するプロダクツ部門を持ち、ワンストップでビジネスコミュニケーションのソリューションを提供できることができます。
 
テクニカルソリューション事業
広告ソリューション事業が提案する企画制作を実現する事業です。デジタル映像編集スタジオを保有し、撮影から加工までの一貫した制作基盤と、各種催事に使用するデジタル映像機材のレンタルを行う映像関連インフラを持つ事業体です。子会社毎の事業内容は次の通りです。
 
(株)プレント 映像機器演出、運営、レンタル
マックレイ(株) 映像撮影、加工、編集
 
※主要事業であるTVCM制作における仕事の流れとグループの役割
企業、TV局、映画会社及び広告代理店は、方向性や戦略を決定し、企画・制作会社へ発注します。企画・制作会社は戦略に基づいて詳細な実施計画を立案し、実制作作業を各種業者に発注します。
同社グループは、TVCMや研究開発のシミュレーション映像の企画を立案するプロデュース部門と映像のデジタル加工や音声編集をおこなうプロダクツ部門を持ち、ワンストップで企画から制作までを行う事ができます。
 
デジタルコンテンツ事業
デジタル映像制作技術をバックボーンに総合プロデュースを行います。子会社デジタルサイト(株)が、映画製作と劇場配給、及びDVD化権を取得してコンテンツの配給や販売を行っています。
 
※主要事業であるDVD発売における仕事の流れとグループの役割
発売元は、著作権者より、DVDのコンテンツを期間を定めて購入します。コンテンツ毎に取決めた金額をベースに最低保証金額を支払います。発売元は、原版をDVDに商品化し、流通元と組んで販売戦略を決めます。流通元とは、コンテンツ毎に卸値を決めますが、コンテンツによっては、最低購入金額の約定が結ばれることもあります。同社グループには、DVD化を行うテクニカルソリューション事業があるため、技術面や流通元の意見を反映しやすい体制となっています。
 
2008年2月期中間決算
 
<連結>
 
機材販売からの撤退やフリーマガジン事業の売却等が影響し、前年同期比75百万円の減収となりました。
利益面では、コンテンツ事業において、映画の配給が赤字になった事や、DVDの販売不振から償却負担が膨らんだ事、更には事務所統合費用や機材販売部門の在庫処理に伴う損失の計上等により、営業利益は179百万円の赤字となりました。投資組合損益分配額45百万円の計上により経常利益は147百万円の赤字となりましたが、減損損失等を特別損失に計上した事で174百万円の最終赤字となりました。
 
<中間期の主な受注実績>
セールスプロモーション(SP)イベントでの大口受注がなかったものの、全般に受注は堅調でした。
 
 
 
<セグメント別売上高>
 
 
*07/2期中間期実績は、新区分で算出したものです。
 
<営業利益分析>
広告ソリューション事業
注:セグメントの営業利益は、本社経費(全社で244百万円)配賦前の数値です。
 
SPイベントは、販管費の削減等を進めましたが、大型展示会が減少した事が響き、減収・減益となりました。TVCMは、昨年度5月に子会社化したティーシー・マックスの寄与で増収となった事に加え、販管費の削減等コストコントロールが機能し始めた事で黒字転換しました。新規事業については、モバイルビジネスが、ベンチャーキャピタルの出資を受けて新体制で再スタートする一方、苦戦が続いたフリーマガジンは売却しました。
 
テクニカルソリューション事業
注:セグメントの営業利益は、本社経費(全社で244百万円)配賦前の数値です。
 
販管費の削減を進めた映像機器レンタルは、売上高・利益共にわずかに前年同期を上回りました。ポストブロダクションは、TVCM以外の分野への進出や営業強化策が実を結び、増収・増益となりました。撤退した機材販売は、撤退に伴う在庫等の処理損失(8百万円)を特別損失に計上しました。
 
コンテンツ事業
注:セグメントの営業利益は、本社経費(全社で244百万円)配賦前の数値です。
 
売上高は、下半期に予定していた大型DVDの発売が上半期に前倒しされた事により、ほぼ前年同期並となりました。ただ、利益面では、今期公開した映画の配給が赤字となった事、及び販売が伸びなかったDVD在庫等を償却した事で大きなマイナスとなりました。
 
<付加価値分析>
 
直接原価が増加したのは、コンテンツ事業において映画の配給が赤字となった事、及びDVD在庫等の償却負担が大きかったためです。また、維持費営業の増加及び百分比の上昇は、広告宣伝費の増加によります。
 
<維持費分析>
 
人件費等の削減が進んだものの、映画コンテンツにかかるプロモーション費用(広告宣伝費)や事業所統合に伴う経費が発生した修繕費が増加しました。このため、維持費全体で、わずかに増加しました。
 
<営業利益増減要因>
営業損失が前年同期比160百万円増加しました。160百万円の内訳は、付加価値率低下による影響が116百万円、売上減による影響38百万円、維持費増加による影響6百万円です。
 
<特別要因>
 
DVD共同事業出資金は、上記の他に全負担分として売上原価に24百万円計上しています。
尚、コンテンツ事業については、今後の方向性を見直す考えです。
 
2008年2月期通期業績予想
 
<連結>
 
 
通期では経常黒字に転換する見込みです。
下期は、映画「カタコンベ」の公開が予定されている他、各種キャンペーンや映像制作等が見込まれ、上期の損失をカバーできそうです。上記予想プラスアルファの業績を目指します。
 
<セグメント別予想>
 
 
中間総括と見通し
 
<全体方針中間総括>
1.期首方計
(1)事業体の統括を従来の販売促進系のビジネスコミュニケ-ション事業と映像企画制作系のデジタルコンテンツ事業から、顧客ターゲットをより明確にした3セグメント(広告ソリューション事業・テクニカルソリューション事業・コンテンツ事業)に移行。
(2)本社機能を五反田に移し、コンテンツ系のコントロール強化と経費削減。
(3)レイグループ全体の外注費・経費コントロールを強化するため、各セクションに業務管理担当を配置。
(4)上記セグメント変更に伴い、TVC M子会社を六本木のSPイベント部隊と合流(芝大門事業所閉鎖)。
(5)フリーマガジン事業は、抜本解決を模索中
(6)機材販売事業は縮小し、映像機器レンタル業に統合。
 
2.中間総括
既に3セグメントへの移行を完了し、経費や外注費の削減等、コストコントロールが機能しはじめている他、TVCM子会社と六本木のSPイベント部隊が合同でコンペに参加しています。
また、フリーマガジン事業については保有株式を売却、機材販売事業からは撤退しました。
 
<広告ソリューション事業>
 
注:セグメントの営業利益は、本社経費(全社で509百万円)配賦前の数値です。
 
1.期首事業方計
(1)TVCM子会社を六本木のSPイベント部隊の合流による、大手広告代理店への新しい付加価値の提供。
(2)コスト削減(家賃等)に加え、従来販促企画が持っていたコンテンツチームの相互運用による付加価値の高い商品の提供。
 
2.中間総括
合流効果を生かした合同でのコンペ参加等による高付加価値化やコスト削減効果が顕在化しつつあります。
現在大手広告代理店向けに行っている合同コンペを積極的に活用し、IT系の大型展示会から他の業種(SPイベント)ヘの展開を図ると共に、Webを視野に入れた映像企画ビジネス(TVCM)を進め、量的拡大、コストコントロールの徹底による収益確保を図っていく考えです。
 
3.通期見通し
SPイベントは、秋にイベントの繁忙期がありますが、昨年ほどの大型JOBが受注出来ず、売上は前年同期並みにとどまりそうですが、営業利益率が改善する見込みです。TVCMは増収に加え、事務所統合等による経費削減効果で損益が大幅に改善、黒字転換が見込まれます。
 
<テクニカルソリューション事業>
 
注:セグメントの営業利益は、本社経費(全社で509百万円)配賦前の数値です。
 
1.期首事業方針
(1)一方の顧客が他方の顧客になる可能性があり、同じ顧客に両方からアプローチ(顧客情報の一元化:例えば、ポストプロダクションから映像機番レンタルにTV局の紹介等)
(2)同社として歴史が長く、管理人財豊富な映像機器レンタル業の機器投資、稼働率維持等のノウハウを共有。
(3)制作系人材交流により、ポストプロダクションが持つクリエイティブノウハウを共有
 
2.中間総括
現在、3ヶ月に一度営業合同会議を開催し、顧客情報の一元化に取り組んでいる他、映像機器レンタル部門から業務管理の人材をボストプロダクション部間に異動しノウハウの共有を進めています。
ポストプロダクション部門では今期導入し、稼動が順調なinfemoLinux(編集機器)、映像機器レンタル部門では下期に導入したMitrix(新型LED)等を武器に異分野への進出を進めると共に、営業強化とコストコントロールの徹底により収益確保を図っていく考えです。
 
3.通期見通し
映像機器レンタルは、学会系の受注や繁忙期である秋のイベントの受注が堅調に推移しており、売上、利益共に伸びる見込みです。また、ポストプロダクションについては、売上は上期並を見込んでいますが、営業利益率は上期が特に高かった事もあり、下期は若干下がる(前年同期並み)見込みです。
 
<コンテンツ事業>
 
注:セグメントの営業利益は、本社経費(全社で509百万円)配賦前の数値です。
 
1.期首コンテンツリスク対策
リスクは残さず早期に償却していく。この方針の下、販売不振だったDVD在庫等の償却を実行しましたが、これにより多大な損失を計上した事は反省材料であるとの事です。また、今後のコンテンツ事業については、適正在庫の維持に努めていく考えです。
 
2.中間総括
上記以外のコンテンツ投資(来期公開予定映画)については、ファンドの活用による負担軽減、リスク分散等に積極的に取り組んでいきます。また、現在、コンテンツ事業の抜本的見直しを行っています。
 
3.通期見通し
コンテンツ事業は、映画「カタコンベ」の公開、大型DVDの発売等を予定していますが、映画の公開による広告宣伝費の増加等により上記売上高・営業利益を見込んでいます。
 
取材を終えて
今年は東京モーターショーの開催年である事もあり、下期は広告ソリューション事業とテクニカルソリューション事業の売上・利益が上期比拡大する見込みですが、コンテンツ事業は、大型作品「カタコンベ」のプロモーション等で赤字が続く見込みです。同事業は抜本的見直しを行っているとの事ですから、今後の動向に注目したいと思います。