ブリッジレポート
(4829) 日本エンタープライズ株式会社

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ブリッジレポート:(4829)日本エンタープライズ vol.2

(4829:東証2部) 日本エンタープライズ 企業HP
植田 勝典社長
植田 勝典社長

【ブリッジレポート】日本エンタープライズ vol.2
(取材概要)2007年10月16日掲載
「同社の売上高は第2四半期及び第4四半期に集中する傾向があります。第1四半期の前年同期比33%の経常減益は多少ショッキングでしたが、第1四半期は通期業績・・」続きは本文をご覧ください。
企業基本情報
企業名
日本エンタープライズ株式会社
社長
植田 勝典
所在地
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-17-8
決算期
5月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2007年5月 3,677 774 783 447
2006年5月 3,416 694 688 418
2005年5月 3,018 587 570 348
2004年5月 1,958 205 168 226
2003年5月 1,752 134 131 58
2002年5月 1,704 51 53 23
2001年5月 1,417 301 262 126
株式情報(10/12現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
18,700円 375,800株 7,027百万円 18.6% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
350円 1.9% 1,303.89円 14.3倍 6,551.85円 2.9倍
※株価は10/12終値
 
日本エンタープライズの2008年5月期第1四半期業績について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
会社概要
 
モバイルコンテンツ事業を展開しています。音楽やゲーム・動画などのコンテンツを制作し携帯等を通じて配信するコンテンツサービスと、企業のコンテンツ制作・運営や業務効率化のためのシステム構築等を手掛けるソリューションが2本柱です。
また、海外展開にも力を入れており、特に中国においては子会社を設立して、現地有力企業との提携によるコンテンツ配信など多角的に事業を進めています。
 
<沿革>
1989年にパソコンの販売、及びソフトウェアの開発・販売を目的として設立され、その後、携帯電話やPHSの販売、携帯電話向けコンテンツ制作へと展開し業容を拡大。2001年2月にナスダック・ジャパン(現ヘラクレス)へ、2007年7月に東証2部へ株式を上場しました。
 
<事業内容>
コンテンツサービス
携帯電話等のキャリア(移動体通信事業者)が運営するi-mode、EZweb、Yahoo!ケータイ、CLUB AIR-EDGEといったインターネット接続可能な携帯電話の公式サイトにコンテンツを提供し、月額課金あるいはダウンロード課金制により、その代金をキャリアから受取っています。同社の代表的なコンテンツとしては、「うた&メロ取り放題」、「@LOUNGE RECORDS」といった音楽系コンテンツ、総合ゲームコンテンツ「最強!GAME王国」及び総合デコレーションメールコンテンツ「デコデコメール」などの公式コンテンツがあります。
 
ソリューション
自社コンテンツを提供している上記のコンテンツサービスとは違い、ソリューションでは他社コンテンツの制作・運営、企業の業務効率化に役立つシステムの構築を行っており、携帯電話はもちろん、パソコン等のあらゆるメディアに対応したソリューションを提案しています。
 
2008年5月期第1四半期業績
 
<トピックス>
1.コンテンツ事業
「うた&メロ取り放題」の退会抑止対策を実施すると共に、「うた&メロ取り放題フル」のブランド統一(@LOUNGE RECORDS)とコンセプト設定を行い、主力分野(音楽)のてこ入れを行いました。
 
2.ソリューション事業
(1)ソリューション
①今期の受注に向けた大型案件の推進
②ニーズに合わせた自社コンテンツの2次利用の拡大
 
(2)ソリューションコンテンツ
①クライアントからの受注継続
 
(3)広告
①一般サイド「無料!うたメロ♪ゲーム`s」の拡大 ②店頭アフィリエイトの契約店舗数・成約数の拡大
 
(4)物販
①レーベル化に伴うCD販売開始
 
3.海外
(1)瑞思豊通(北京)信息科技有限公司の設立
(2)電子書籍の大量生産体制の構築
(3)教育機関と連携強化
 
<連結>
 
減収・減益ながら、概ね計画通りです。
外注を減らし自社制作化を進めた事及びコンテンツ制作費削減等で売上総利益率が改善(54.8%→61.6%)、売上総利益も増加しました。ただ、人件費の増加に加え、東証上場に伴う新聞広告や一般サイトの会員獲得のための広告宣伝費の増加、更には組織効率を高めるためのサポートセンターの移転費用等を吸収できず、営業減益となりました。東証2部上場費用17百万円を営業外費用に計上、経常利益は前年同期比32.5%減少しました。
 
<セグメント別四半期売上高>
 
 
サービスの転換期に当たるコンテンツサービスの売上高は504百万円と前年同期比18.9%減少しましたが、概ね計画通り。第2四半期以降につながる取組は進んでいます。ソリューションは同15.5%増の287百万円、クライアントからの受注や広告売上高が増加しました。
 
コンテンツサービス
「うた&メロ取り放題」の会員が減少、一方「@LOUNGE RECORDS」の会員は想定ほどには増えず、主力の音楽の売上高が減少しました。
 
 
ソリューションサービス
中間期末及び期末に売上高が集中する傾向があります。大型の開発案件の受注に成功。第2四半期以降、売上計上される見込みです。
 
 
国内事業の概況と今後の展開
 
<音楽コンテンツ>
 

EZwebにおけるカテゴリーが「J-POP」から「アレンジ」に移動した事で入会者が減少する一方、競合サイトの増加により退会者が増加しました。対策として、次の施策を講じました。
 
 6月… プレゼント企画(継続会員限定)を実施
 8月… J-POPにある「うた&メロMUSIC」のリニューアルを実施(=うた&メロ取り放題へ誘引)
 9月… 歌詞デコレーションメール、待受Flashをポイント制で付与。リニューアルを図り、クオリティを向上
10月… 「着うた」カテゴリーと共に、「デコレーションメール」カテゴリーに、ダブルエントリー
 

着うたフルヘのシフト遅れ、対応機種の普及遅れ、パケット定額制の普及遅れ等で会員数が想定ほどに伸びませんでした。対策として、次の施策を講じました。
 
 6月… DoCoMo(うた・ホーダイ)向けに、新しいコンセプト※として、@LOUNGE RECORDSをスタート
(※旬のテーマでセレクトしたコンピレーションをメインに、午後のティータイムにぴったりの心地よいLoungeスタイルのカバーアレンジサウンド)
 7月… 「うた&メロ取り放題」会員からの誘引
 8月… CD「pure flavor」の発売に合わせて、リアル連動
 8月… サイト名の統一(EZweb「うた&メロ取り放題フル」を「@LOUNGE RECORDS」へ)
 9月… サイト名の統一(Yahoo!ケータイ「うた&メロ〔取放〕フル」を「@LOUNGE RECORDS」へ)
 9月… サイト名統一に伴い、リニューアルを実施
 

 
CD「pure flavor#1~color of love~」を8月22日に発売しました。TOWER RECORDS、HMV、TSUTAYA、ヴィレッジヴァンガード、新星堂、文教堂、すみや等の大手流通を通して販売・レンタルされています。
 

 
同社の音楽レーベル事業は、リアル連動も特徴です。CD購入特典として、同社のモバイルサイトからCDに収録されていない3曲を無料でダウンロードする事ができます。
第2弾のCD発売も決定しました。
 
モバイルコンテンツ業界の動向と同社の戦略
ネットワークの高速大容量化とパケット定額制の普及によりユーザートレンドが2極化しています。10代が広告収入に依存する無料の一般サイトにシフトする一方、20代以降は課金方式の公式サイトの利用が増えています。
 

 
こうした中、一般サイト向けに「無料!うたメロ♪ゲーム`s」、公式サイト向けにリラックス・癒しの「@LOUNGE RECORDS」のサービスを提供して行く考えです。
 

 
<ソリューション>
ソリューション
第2四半期以降に発生する大型案件の受注、及びトヨタ自動車オリジナル携帯電話TiMOの会員向けコンテンツサービス「無料コンテンツ倉庫」の2年目の受託に向けて推進していきます。また、自社コンテンツの2次利用を更に拡大した他、ユーザーサポート・デバッグ等の業務を安定的に拡大させるため、サポートセンターの移転を完了しました。今後は、電子書籍の制作代行業務の受注拡大にも取り組みます。
 
ソリューションコンテンツ
技術力と高品質な実績により、クライアントからの受注が継続しています。
 
広告
一般サイト「無料!うたメロ♪ゲーム's」が拡大しています。ナショナルクライアントが出稿する良質な媒体として育成していく考えです。また、店頭アフィリエイトの契約店舗数・成約数の拡大にも取り組みます。
 
物販
レーベル化に伴うCD販売に加え、ぺそぎんのライセンスビジネスヘのシフトに伴い、販売を検討しています。
 
今後の端末販売モデル
携帯電話会社が携帯電話販売店に支払う販売報奨金を削減して、通信料に上乗せしていた販売奨励金を削減する「分離プラン」の普及に伴い、今後、端末価格の上昇や買い替えサイクルの延長が予想されます。このため、携帯電話販売店や携帯電話メーカーの経営環境も変わらざるを得ません。
 

 
新たな収益源を育成する必要に迫られる携帯電話販売店に対して、同社は店頭アフェリエイトやCRMのサービスを提供していく考えです。また、自動車メーカーとタイアップして自動車の買い替え時期に携帯電話の買い替えを連動させたスポンサード携帯電話サービスの提供等のビジネスチャンスも広がります。
 

 
海外事業の概況と今後の展開
 
<中国の携帯電話市場動向>
2007年6月に中国の携帯電話契約件数が5億件を突破しました(8月末5.15億件)。
 

 
同社では第3世代向けのサービスを準備中ですが、中国移動(チャイナモバイル)のTD-SCDMAネットワーク端末の専用電話番号発行が遅れる見通しで、一般ユーザー向けの正式発行は、2008年の4-5月頃になる見込みです。
ただ、中国移動(チャイナモバイル)で実施している3Gのコンテンツに関するワーキンググループに、同社は参画しており、様々な検討課題について、話し合いを行っています。
 
<概況と今後の展開>
基礎コンテンツ(第2世代)
政府の規制が強化される中、第3世代向けコンテンツの提供を視野に現状維持の状態です。
 
観光地図情報サービス
合弁会社「瑞思豊通(北京)信息科技有限公司」を設立して、観光地図情報サービスを今年中に開始する予定です。
 
デジタル化ファクトリー
電子書籍の大量生産体制を整備中です。期初には1,000ページだった月間生産量が、現在10,000ページに拡大しており、今期中に30,000ページヘ拡大させる考えです。
 
教育事業
地元大学との提携により、下記のモバイルコンテンツ技術者養成講座を開講・準備中です。学生募集も順調との事です。
 
江南大学  :9月開校(21名)
天津工業大学:短期コース(定員45名)、1年コース(定員45名)
北京建設大学:3年コース(定員60名)
 
この他、天津職業大学と共同で新学科設立に向け協議中である他、高大一貫教育プロジェクトについて、中国(高校グループ)と日本(高校グループ、大学グループ)との産学連携を検討中です。
 
2008年5月期業績予想
 
<連結>
 

 
業績予想に変更はありません。
 
第1四半期は前年同期比9%の減収、33%の経常減益となりましたが、予想の範囲内との事です。今後の見通しとしては、コンテンツサービスでは、引き続き「着うたフル」の苦戦が予想されるものの、CD販売が好調です。また、一般サイト事業を積極展開していく考えです。また、ソリューションサービスでは、コンテンツの2次利用が順調な上、第2四半期以降、大型案件やトヨタ系案件の売上計上が始まる予定です。
 
取材を終えて
同社の売上高は第2四半期及び第4四半期に集中する傾向があります。第1四半期の前年同期比33%の経常減益は多少ショッキングでしたが、第1四半期は通期業績に占めるシェアが低いため、第2四半期以降の業績でカバーする事は十分可能です。ただ、今期の業績は下期にプレッシャーがかかる計画であるため、中間決算が未達となると難しいかもしれません。中間決算に注目したいと思います。