ブリッジレポート
(8860) フジ住宅株式会社

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ブリッジレポート:(8860)フジ住宅 vol.11

(8860:東証1部,大証1部) フジ住宅 企業HP
今井 光郎 社長
今井 光郎 社長

【ブリッジレポート】フジ住宅 vol.11
(取材概要)2007年8月21日掲載
「同社の収益を見る上で、売上高、利益と並んで重要な項目が契約動向です。当第1四半期の成約状況は順調に推移しています。来期以降の収益拡大も楽しみな・・・」続きは本文をご覧ください。
企業基本情報
企業名
フジ住宅株式会社
社長
今井 光郎
所在地
大阪府岸和田市土生町1丁目4番23号
決算期
3月
業種
不動産業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2007年3月 52,221 4,233 4,090 911
2006年3月 41,333 3,229 3,196 1,312
2005年3月 43,954 3,208 2,799 1,661
2004年3月 34,387 2,034 1,891 684
2003年3月 32,905 1,198 1,028 545
2002年3月 33,419 899 692 297
2001年3月 31,433 2,928 2,681 1,503
2000年3月 34,268 1,596 1,117 -2,237
株式情報(8/10現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
425円 36,608,205株 15,558百万円 7.3% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
17円 4.0% 30.62円 13.9倍 376.23円 1.1倍
※株価は8/10終値
 
フジ住宅の2008年3月期第1四半期業績について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
会社概要
 
地盤である大阪府下を中心に戸建分譲等、住宅・不動産事業を展開。主力の戸建分譲は、分譲ながら間取りや設備仕様等、建築基準法の範囲内で最大限に顧客の要望を取り入れる「自由設計方式」と50~200戸規模で街並みの統一性を重視した開発を行う「街づくり」に特徴があります。また、戸建分譲のノウハウを活かした中古住宅の改装販売も単なる中古住宅の流通とは異なる独自のビジネスです。同社の他、建築の設計管理・請負、及び賃貸管理を手がける連結子会社2社で企業グループを形成しています。
 
<事業概要>
現在の事業は、「分譲住宅事業(戸建・マンション)」、「土地有効活用事業(建築請負)」、「賃貸及び管理事業」、「不動産ファンド等向け賃貸マンション販売事業」、「中古住宅の販売及び仲介事業」に分かれます。
 
1.分譲住宅事業(戸建・マンション)
用地仕入・許認可の取得から、宅地造成、設計、建築、販売までの一貫体制を構築しています。もともと建売を中心に展開していましたが、02/3期前半に戸建住宅の販売不振に陥りました。その原因を分析する中で、同社の中心購買層(25~35才)のニーズが"洗練された外観デザインと自由な間取り、多彩なオプション仕様"にあるということがわかり、顧客の要望を最大限に取り入れる「自由設計方式」(大手の戸建分譲会社では対応が難しい)を導入しました。体制の変更に6ヶ月間を要しましたが、02年1月より販売が好転。以降も工夫を重ねながら、販売活動は順調に推移しています。また、03年1月以降、本格的に営業地域を拡大。より需要層が厚く、販売単価の高い大阪北部、兵庫県南部へ進出しました。
 
2.土地有効活用事業(建築請負)
対象顧客は既契約者、金融機関や既契約者からの紹介による土地所有者で、賃貸管理と分譲住宅事業のノウハウを活かして、美観性が高く、居住性に優れた木造賃貸アパート「フジパレス」、「エンフィールド」、RC造賃貸マンション「エフ・コンスパイヤー」、さらには2006年1月に木造賃貸住宅「フジパレス戸建」を商品化し、事業を展開しています。単なる建築請負ではなく、サブリースを前提とした土地所有者との運命共同事業として、徹底した市場調査・企画・設計・建築・竣工引渡後の建物の運営管理までのトータルルサポートシステムを顧客個々の状況に合わせた「安定・安全・安心」の事業として提案しています。
 
3.賃貸及び管理事業
賃貸マンションの建物管理や入居者募集、賃料回収、事務等の管理業務及び分譲マンションの管理組合からの運営受託等を、100%出資子会社フジ・アメニティサービス(株)が手掛けています。安定収益となるばかりでなく、事業のノウハウが土地有効活用事業や不動産投資ファンド等向け賃貸マンションの販売及び分譲マンションの建築に役立っています。
 
4.不動産ファンド等向け賃貸マンション販売事業
分譲住宅事業、土地有効活用事業、賃貸及び管理事業等で培ってきたノウハウを生かした事業です。建物の完成時点での引渡しだけでなく、新築物件を一定期間保有し、稼動実績を付けて販売する方式なども取り入れています。ただ、継続的に拡大を図る事業と言うよりも、需要動向を見ながら、臨機応変に対応していく事業です。
 
5.中古住宅の販売及び仲介事業
中古住宅再生事業としての手法を確立している改装付中古住宅「快造くん」が人気を博しています。地域密着型の営業による交差点単位での地域情報とその分析による物件の鑑定力、仕入、販売価格の査定の速度と正確性及びリフォームのマニュアル化による独自のノウハウが強みです。また、06年2月に新業態の中古住宅を中心とする豊富で鮮度の高い住まい探しの情報拠点として「お・う・ち・館」を開設し、物件情報の提供のみならず住宅ローン及び持家の売却相談や無料査定に至るまでの専門のアドバイザーによるコンサルティングスペースとして、住宅に関する地域のコミュニティセンターを目指した店舗運営を通じて業績への寄与を図る考えです。
 
2008年3月期第1四半期業績
 
<連結>
 
 
<事業別売上高>
 
○不動産販売事業 売上高6,911百万円(前年同期比15.6%増)
 
戸建住宅   売上高4,339百万円(前年同期比2.9%減)
引渡し戸数は127戸(前年同期136戸)に留まり、売上高は前年同期比減少となりました。一方、当第1四半期中に販売を開始した「ジーズランド光明池」(和泉市・全183戸)の受注契約戸数が70戸となるなど、当第1四半期の受注契約高は6,419百万円(前年同期比6.1%増)となりました。
 
中古住宅   売上高1,537百万円(前年同期比13.0%増)
堺市方面への事業拡大により引渡し戸数が増加し、売上高は順調に推移いたしました。
 
土地販売   売上高125百万円(前年同期比2.9倍)
 
不動産投資ファンド等向け賃貸マンション   売上高910百万円(前年同期比8.7倍)
個人富裕層向け一棟売り賃貸マンション3棟を当第1四半期に引渡したことにより、大幅増収となりました。
 
○土地有効活用事業 売上高215百万円(前年同期比58.6%減)
当第1四半期における引渡し件数は3件のみであったため、大幅減収となりました。一方、営業体制の強化を図ったことにより、当第1四半期の受注契約高は1,853百万円となり前年同期に比べ1,865百万円の大幅な増加となりました。
 
○賃貸及び管理事業 売上高1,498百万円(前期比12.9%増)
 
○その他の事業 売上高49百万円(前期比0.6%減)
 
<契約動向>
 
当第1四半期は受注契約ベースの粗利益で当初予算を上回りました。受注粗利益の対予算比は、不動産販売事業セグメントにおいては、主として分譲住宅事業で110%(136百万円増)、土地有効活用事業セグメントで264%(359百万円増)となり、同社グループ全体で受注粗利益の対予算比132%、590百万円の粗利益増となりました。なお、業績への反映は来期以降になる見込みです。
 
<財政状態>
 
 
当第1四半期末における総資産は52,906百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,907百万円増加しました。
 
(資産)
流動資産は45,245百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,882百万円の増加となりました。主な要因は、たな卸資産の増加2,379百万円や現金及び預金の減少854百万円等です。固定資産は7,661百万円となり、前連結会計年度末に比べ25百万円の増加となりました。
 
(負債及び純資産)
流動負債は19,163百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,488百万円の増加となりました。主な要因は、短期借入金の増加4,220百万円や未払法人税等の減少836百万円等です。固定負債は20,310百万円となり、前連結会計年度末に比べ240百万円の減少となりました。主な要因は、長期借入金の減少216百万円によるものです。
純資産の部は13,432百万円となり、前連結会計年度末に比べ340百万円の減少となりました。主な要因は、当四半期純利益の増加21百万円及び配当金の支払い329百万円の減少等によるものです。この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の27.0%から25.4%となりました。
 
<キャッシュ・フロー>
 
当第1四半期末おける現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ854百万円減少し3,058百万円となりました。
 
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の減少は4,294百万円となりました。これは主に、分譲住宅用地の積極的な仕入方針の下でのたな卸資産の増加額2,379百万円、仕入債務の減少額460百万円及び法人税等の支払額861百万円を反映したものです。
 
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は150百万円となりました。これは主に、分譲住宅販売に係る販売センター等の有形固定資産の取得及び本社設備に係る支出による減少額102百万円を反映したものです。
 
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の増加は3,590百万円となりました。これは主に、分譲住宅用地の仕入に伴う短期借入金・長期借入金の純増加額4,004百万円及び配当金の支払額329百万円を反映したものです。
 
2008年3月期業績予想
 
<連結>
 
中間期、通期の業績予想は、5月2日に発表したものから変更していません。
 
 
連結業績予想に対する当第1四半期の進捗率は、売上高は18.5%、営業利益は2.3%、経常利益は2.2%、四半期純利益は1.9%となりました。
一般に、マンション・住宅等の引渡し(売上計上)時期は第4四半期、特に3月に集中する傾向があります。
同社グループは、不動産販売事業における戸建住宅を中心とした引渡し時期の平準化に努めていますが、08年3月期にいても、売上及び利益面の下期偏重の傾向は変わらず、当第1四半期における物件の完成引渡し戸数は少ない状況となっています。
 
取材を終えて
同社の収益を見る上で、売上高、利益と並んで重要な項目が契約動向です。当第1四半期の成約状況は順調に推移しています。来期以降の収益拡大も楽しみな情況だと言えます。
ただ、契約後の解約等にも目配りが必要です。例えば、土地有効活用事業で、前年同期は547百万円の受注契約高を計上しましたが、大型案件の解約が重なったため受注契約高の純額は11百万円の減少とまりました。
同社は四半期業績の発表でも丁寧な説明を記載しますので、この辺りを念頭において投資を考えると良いかもしれません。