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(2687) 株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア

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ブリッジレポート:(2687)シー・ヴイ・エス・ベイエリア vol.16

(2687:東証1部) シー・ヴイ・エス・ベイエリア 企業HP
泉澤 豊 社長
泉澤 豊 社長

【ブリッジレポート】シー・ヴイ・エス・ベイエリア vol.16
(取材概要)
「厳しい事業環境が続いており、業界最大手のセブン-イレブン・ジャパンでさえも、株式を上場した1979年以来、初めての減益決算を余儀なくされました。・・」続きは本文をご覧ください。
企業基本情報
企業名
株式会社シー・ヴイ・エス・ベイエリア
社長
泉澤 豊
所在地
千葉県浦安市入船1-5-2 明治安田生命ビル9F
決算期
2月
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2007年2月 23,347 699 610 310
2006年2月 22,332 1,018 1,055 600
2005年2月 20,956 1,081 1,101 578
2004年2月 17,236 946 1,048 499
2003年2月 14,024 880 878 390
2002年2月 12,358 847 873 445
2001年2月 11,835 753 722 386
2000年2月 9,840 641 673 306
株式情報(4/17現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
224円 24,780,400株 5,551百万円 7.6% 1,000株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
7円 3.1% 14.92円 15.0倍 166.40円 1.3倍
※株価は4/17終値、ROEは前期実績
※配当を除く1株当たりの指標は連結ベース
 
シー・ヴイ・エス・ベイエリアの2007年2月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
会社概要
 
千葉県及び東京都のベイエリア地域を中心に、コンビニエンス・ストア(以下、コンビニ)を直営店舗主体で展開しています。(株)サークルKサンクスと企業フランチャイズ契約を締結し、東京都9区(新宿区、千代田区、中央区、江東区、江戸川区、港区、葛飾区、足立区、台東区)及び千葉県全域に直営店方式のコンビニ「サンクス」を展開。また、同地域のエリアフランチャイズ本部として、コンビニ経営希望者とサンクス・フランチャイズ・チェーン加盟店契約を締結し、経営ノウハウとその情報等の供与及び資金面の支援等を行なっています。
2007年2月末現在の店舗数は132店舗。
 
<沿革>
1981年2月、コンビニ経営を目的にしたシビルサービス(株)として、千葉県市川市に設立されました。89年11月、(株)サンクスアンドアソシエイツ(現サークルKサンクス)とフランチャイズ・チェーン加盟店契約を締結、97年には東京都9区、千葉県10市におけるサンクス地域本部となりました。
2000年7月には、クリーニング24時間取次ぎ、ヘアカットサービスを開始。02年9月には事業エリアが千葉県内10市から千葉県全域へ拡大、同年10月の東証2部上場を経て、06年2月に東証1部に指定替えとなりました。また、04年夏以降、「大規模マンション向けクリーニング」や「リネン」事業の拡大にも取り組んでいます。
 
<特徴>
コンビニでありながら、規定のコンビニの概念にとらわれない便利さの追求が、同社の特徴です。
既存店売上高の前年割れ状態が続くなどコンビニ業界は厳しい事業環境が続いていますが、同社は従来のコンビニの概念にとらわれない独自の店舗戦略と商品・サービス戦略により、一店舗当たりの平均日販で業界トップクラスの座を維持しています。
 
1.店舗戦略
店舗戦略は、量(店舗数)よりも質(1店舗の売上高)を重視しており、店舗の約8割は直営店。社員が実際に運営する事で効率的な店舗運営を実現しています。
 
2.商品・サービス戦略
サンクスのチェーン店と変わりがないように見える同社の店舗ですが、その店づくりには同社ならではの工夫が随所に見られます。
 
(1)店長・副店長による店づくり
同社では、お客様に応える店づくり、地域に合わせた店づくりを店長・副店長に任せています。買いやすい売り場、ボリュームのある売り場、楽しい売り場など、その店ならではの店づくりを展開しています。
 
(2)「お客様が求めるものはすぐに並べろ」が基本方針
例えば、倉庫に挟まれて駅方面からは全くの死角になるなど、周辺を倉庫に囲まれた人通りの少ない「サンクス新木場店」の店頭には、トラックの運転手さんに人気の「刺身」が並びます。夕方のピークタイムにあわせて並べる一品盛りと二点盛りの刺身は、コンビニではほとんど見ることのないもの。しかし、並べるそばから次々と売れていくそうです。
 
(3)独自の商品・サービス開発
各店舗の地域特性を考えた同社オリジナル商品に加え、「クリーニングの24時間取次ぎサービス」や「1000円ヘアカットサービス」など、サービスメニューの拡充による商機の拡大に努めています。昨夏からは「宝くじ」の取扱いを始めました。
 
 
数より質を重視し、年間約12店のペースで出店を継続。積極的にScrap&Buildを実施したうえで、店舗純増を目指しています。
 
 
免許品に関連した加盟店の直営店化がほぼ一巡(前期は1店舗)した事で、ロイヤリティ収入の減少による営業利益率の低下にも歯止めがかかりつつあります。
(07/2期加盟店変動要因:営業権引受2店舗、直営化1店舗、閉店2店舗)
 
2007年2月期決算
 
 
ハイウェイカードの販売終了(前期1億44百万円)、天候不順、新店不振等で全店売上高が微増にとどまりました。また、営業利益に比べて経常利益の落ち込みが大きいのは、幕張ビル取得に伴う不動産取得税(2億14百万円)の納税の影響です。
 
<予算との比較>
営業総収入   予算比 △4億68百万円
競争激化、天候不順等により既存店売上高が2.4ポイント低下した事、及び新店平均日販の予算未達(予算比△49,000円/日・店)が要因です。
 
 
機器賃貸料が減少したのは、リースアップした店舗OA機器を再リースしたためです。
 
 
投資不動産管(幕張SCEビル他)理費用5億02百万円のうち2億14百万円は、不動産取得税。このため、実質的な不動産管理費用は2億88百万円です。また、関係会社貸倒引当金は、連結子会社 (株)FA24への貸付金にかかるものです。
 
 
 
有形固定資産の減少(5億56百万円)は、「FA24ビル」売却によるものです。また、譲渡担保付融資残高の増加等で投資その他の資産が8億78百万円増加しました。
 
 
天候不順、競争激化により来店客数は減少しましたが、客単価は下げ止まり基調にあります。また、ハイウェイカードの販売終了による粗利改善効果があったものの、タバコの売上増加や「宝くじ」販売開始等の影響で相殺され、粗利率全体が改善するには至りませんでした。今後、自社PB(プライベートブランド)商品の改廃で、粗利率の向上を目指します。
 
 
2007年2月末現在、都内28店舗、千葉県内8店舗において、「宝くじ」を販売しています。「○○ジャンボ」宝くじや、「ミニロト」、「ロト6」の売上が好調に推移しています。1月抽選の「初夢宝くじ」では、1等(=1億円)の当選があったそうです。今後の集客力向上が期待できる商材であり、ハイウェイカードやチケット販売に比べて、粗利益率が格段に良い商材でもあります。
尚、ATM導入店舗は、足下、109店舗に拡大しています。
 
 
天候不順やハイウェイカードの影響を受けた上期こそ、既存店の売上高が前年同月を下回りましたが、下期後半には前年同月並みに回復。大手でさえも、前年同月の実績を上回る事が難しい中、その強さが際立っています。
 
2008年2月期業績予想
 
 
宅配事業、食堂事業の初期費用が発生するため、営業減益となりますが、不動産取得税(2億14百万円)が無くなることで、経常利益は前期比3.2%増加する見込みです。
新規出店12店舗、閉店8店舗、期末店舗数136店舗を計画。また、既存店売上高は前期並みを想定しています。
 
 
(株)FA24を連結し、2007年2月期より連結決算を導入しました。
連結業績も、個別業績と同様に営業利益が減少するものの、経常利益は増加する見込みです。
 
※連結子会社(株)FA24について
(株)FA24は、(株)シー・ヴイ・エス・ベイエリアの100%子会社で、会社設立は2001年3月。資本金は9,500万円です。
 
事業内容
各種サービスの提供及び新規事業の研究開発を行っています。具体的には、クリーニング事業、1000円ヘアカット事業、コンビ二事業の主力3事業の他、その他商品販売等を手掛けており、新規事業として介護施設紹介事業を育成中です。主要事業の概要は次の通りです。
 
クリーニング事業 :コンビニ併設以外のマンションクリーニング及び各種リネン
1000円ヘアカット事業 :コンビニ併設以外の単独店舗の運営(7店舗)
コンビニ事業 :「ポプラ」ブランドでのコンビニ店舗運営(大田区、渋谷区 3店)
 
業績
2007年2月期は、営業総収入が7億14百万円。クリーニング事業の売上高が前期比31.0%増の2億49百万円、1000円ヘアカット事業の売上高が同1.0%減の1億05百万円、コンビニ事業の売上高が同27.8%増の3億09百万円となりました。主力3事業は黒字ですが、フリーペーパー創刊経費やEC事業の投資費用を計上したため、営業損失となりました。
2008年2月期の業績予想は次の通りです。
 
新規事業の状況
(1)介護施設紹介事業
有料老人ホーム紹介サイト「憩 ikoi」を、4月16日にリニューアルしました。当事業は、介護施設内のクリーニング事業を通じ、施設により稼動率に差があることに着目して始めた事業です。現在、紹介している施設は約250施設(介護施設の紹介サイトとしては、恐らく最大)、掲載許諾施設数は350施設を突破しています。将来的には、1,000施設の情報掲載を目標としています。
当事業は、初期投資の負担から若干の赤字状態ですが、早期の収支均衡を目指しています。
 
(2)ユニフオームの「レンタル&クリーニング」事業
昨年、ビックカメラ(25店舗)のユニフォーム(制服)のクリーニング業務を開始しました。現在、外食チェーンとの商談が進んでいます。「コンビニ」、「マンション・寮」に続く収益の柱として期待がかかります。
 
上記以外にも、高齢化社会に対応したビジネスを展開していく考えです。一方、フリーマガジン「hatsukoi(はつこひ)」を12月に休刊しました。同誌は、「成熟世代のためのワクワク・ドキドキ発信」を、キーワードに、昨年4月に創刊しました。1ヶ月分のテレビガイドを掲載する等、手元に残してもらうことで媒体価値を高め、配布場所と合わせて、他誌との差別化を図りました。この結果、配布する病院や読者からは高い評価を得る事ができましたが、広告の出稿が伸び悩んでいました。
 
コンビニ・ビジネスをベースにした新たな取り組み
 
<宝くじ販売>
2006年7月よりコンビニ店頭にて、「宝くじ」を販売しています。都内10店舗でのテスト販売からスタートし、既に36店舗に拡大しています。「ナンバーズ」、「ロト6」等の「数字選択式」も秋から販売を開始しました。
「宝くじ」の取り扱いにより、競合店舗との差別化を推進します。また、販売手数料収入による収益向上や、集客力アップによる既存店の活性化も期待できます。2007年2月期は、初期投資もあり損益均衡にとどまりましたが、今期より利益貢献が始まります。「宝くじ」に続く新商品・新サービスも計画しています。
 
 
<「インターネットカフェ」をオープン>
3月、「インターネットカフェ」を浦安市内に新規オープン。賃貸面積の有効活用として、コンビニに併設して出店しました。天井を高くする等で高級感・開放感を演出。総座席数は97席(うちオープンカフェ30席)で、2万冊の蔵書を誇ります。コンビニ店内からの商品を持ち込む事も可能です。現在、新浦安地区では競合がありません。
 
 
<食堂を鎌ヶ谷市内にオープン>
4月、郊外型の駐車場のあるコンビニ店舗を食堂に転換しました。食堂チェーンを展開している企業がありますが、他社FCに加盟するのではなく、自社商品網を活用しながら自社運営しています。未だ、オープンから日が浅く(1~2週間)知名度が低いため、同社が想定していた貨物車両のドライバーや営業マン等の利用が少ないにもかかわらず、日商が想定の5割程度の水準にまで高まってきました。現在の利用は、近所のお年寄りの方が中心との事です。今のところ新規開拓物件として出店する計画はありませんが、同店が順調であれば、郊外型のコンビニ店舗の業態転換を進める考えです。
 
 
<「BAY EXPRESS」オープン>
3月、宅配事業のマーケティング及び物流拠点となる「BAY EXPRESS」を、江戸川区にオープンしました。有機・オーガニック食品(生鮮・加工品)を中心に約500品目を取り揃えており、準備が整い次第、宅配事業を始める考えです。
 
 
1株当たり配当金・配当性向
 
 
配当は1株あたり7円を据え置く予定です。配当性向は45.5%となる見込みです。現在の株価水準では、配当利回りが3%を超えています。
 
取材を終えて
厳しい事業環境が続いており、業界最大手のセブン-イレブン・ジャパンでさえも、株式を上場した1979年以来、初めての減益決算を余儀なくされました。コンビニ各社は、店舗の過剰感や多業態の営業時間延長等の影響を受け、従来の物販中心の長時間営業というだけでは業績を伸ばす事が難しくなってきています。
同社は直営店舗主体のチェーン展開と言う特徴を活かした個店対応を進め、既成概念にとらわれない、より便利なコンビニエンス・ストアを実現する事でこの苦境を乗り切る考えです。その一環として、既に「宝くじ」販売、クリーニング、ヘアカット等の事業を手掛けており、今回の説明会では、インターネットカフェや食堂といった新たな取り組みも紹介されました。各種サービスを更に強化して店舗に取り込む事で、生活インフラとしてのサービスの向上と手数料収入の増大を図っていく考えです。