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(4849) エン・ジャパン株式会社

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ブリッジレポート:(4849)エン・ジャパン vol.11

(4849:大証ヘラクレス) エン・ジャパン 企業HP
越智 通勝 社長
越智 通勝 社長

【ブリッジレポート】エン・ジャパン vol.11
(取材概要)
「採用した人材を早期に戦力化するシステムが確立されているため、積極的な人材採用が売上高の拡大につながっています。しかも売上総利益率約90%・・・」続きは本文をご覧ください。
企業基本情報
企業名
エン・ジャパン株式会社
社長
越智 通勝
所在地
東京都新宿区西新宿 6-5-1
決算期
12月
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2006年12月 16,919 5,605 5,607 3,105
2005年12月 11,491 3,791 3,826 2,203
2004年12月 6,980 2,245 2,254 1,253
2003年12月 4,372 1,749 1,754 1,038
2002年12月 3,107 1,305 1,283 663
2001年12月 1,876 933 898 464
2000年12月 620 254 249 132
株式情報(2/23現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
665,000円 241,816株 160,808百万円 37.4% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
15,542.65円 42.8倍 39,746.13円 16.7倍
※株価は2/23終値、ROEは前期実績
 
会社概要と共にブリッジレポートにてご報告いたします。
 
会社概要
 
インターネット上で、転職・就職情報サイト[en]を運営。取材に基づく公正で詳細な企業情報が高い評価を得ており、主力の「[en]社会人の転職情報」は、転職情報サイトとしてはリクルートのリクナビNEXTに次いで第2位、" 人材紹介会社集合サイト[en]転職コンサルタント "及び" 派遣会社集合サイト[en]派遣のお仕事情報 "はそれぞれ業界No.1の実績を誇ります。
 
 
 
 
2006年12月期決算
 
 
6期連続の増収・増益となりました。
当初予想(売上高154億円、経常利益47億円)を大幅超過、修正予想(売上高166億円、経常利益51億円)をも上回りました。修正予想に対しては、中途採用事業の売上高が2.6億円、新卒採用事業の売上高が0.4億円、それぞれ超過する一方、広告宣伝費・販促費が1.3億円、その他の費用が0.7億円、それぞれ下回りました。
 
 
その他事業とは、アウトソーシング事業及び教育・評価事業等です。
[en]社会人の転職情報
新入社員の戦力化により、掲載件数、平均単価共に大幅に伸長、売上高は過去最高を更新。会員数も順調に増加し、12月末時点で143万人に達しました。
また、9月調査の顧客満足度で89.2%の高水準を維持したほか、求職者満足度調査では過去最高の97.8%(12月調べ)を記録しました。
 
 
 
[en]転職コンサルタント
過去最高の売上高(業界No.1)を更新、12月末時点の掲載社数は前年同期比34社増の314社。2005年10月に実施した価格改定が2006年9月に一巡、第4四半期の単価は前年同期比23%上昇しました。
 
 
 
[en]派遣のお仕事情報
過去最高の売上高(業界No.1)を更新、12月末時点の掲載社数は前年同期比104社増の522社。インターワイヤード社調査(2006年)において、利用者満足度で2年連続No.1となりました。
 
 
 
[en]本気のアルバイト
過去最高の売上高を更新。IT業界及び営業職を中心に掲載社数が伸長、12月末時点の掲載社数は前年同期比203社増の367社。また、同時点での会員獲得数は約12.5万人に達しました。
 
 
[en]学生の就職情報
売上高は前年同期比65%増の4.2億円。2008年3月度卒業生向け「[en]学生の就職情報2008」が10月にグランドオープン。同サイトの12月末時点の掲載社数は前年同期比259社増の1,172社。独自の企画である「プロの仕事研究」掲載人数は12月末時点で同27%増の2,008人。11月には、東京ドームにて「プロの仕事研究カンファレンス」を開催(参加191社、来場学生は14,000人超)。同サイトではカンファレンスを30回開催予定。
 
<損益計算書の科目別増減要因>
 
人件費、広告宣伝費等の増加を売上総利益の増加で吸収して、大幅な営業増益となりました。勘定科目別の増加要因は次の通りです。
 
売上原価
業容拡大に伴う原稿制作費が2.5億円、サイト運営費が1.4億円、その他が1.2億円、それぞれ増加しました。
 
人件費
中途採用事業分で10.7億円、新卒採用事業分で2.6億円、それぞれ増加しました。
 
広告宣伝・販促費
中途採用事業分で11.8億円増加しました。
 
その他
業務委託費で0.9億円、拠点増に伴う地代家賃、水道光熱費等で1.5億円、減価償却費0.5億円、それぞれ増加しました。
 
マーケット動向
 
 
 
紙媒体は歴史的な高水準にありますが、有料求人誌は前年同期比(10-12月)で約20%減、フリーペーパーは微増にとどまりました。
 
※求人広告件数とは、社団法人 全国求人情報協会会員が発行する求人情報誌に掲載された求人広告件数です。有料情報誌及びフリーペーパーを対象としており、折込広告、新聞、ネット広告は含まれません。
 
<中途求人広告市場の広告件数の推移>
社団法人 全国求人情報協会が全国主要64社を対象にした平成18年12月版「求人広告掲載件数」によると、求人サイトが伸びる一方、有料求人情報誌が減少。全体としては、緩やかな増加基調にあります。
 
 
<求人広告市場の現状と今後の見通し>
同社では、新卒、中途、アルバイト・パートを合わせた求人広告市場の規模を6,000億円と推定しています。
 
 
また、2010年にかけて求人広告市場のネット化が進み、ネット広告市場が3,200億円に拡大する一方(2006年1,530億円)、紙媒体市場が900億円に縮小(同 4,470億円)すると考えています。
 
<市場別の現状と今後の見通し>
同社の推定による市場別の現状と今後の見通しです。既に新卒市場ではネットのシェアが100%。中途求人広告市場では、2010年にかけてネットが2.2倍に、アルバイト・パート求人広告では3.3倍に拡大するとみています。
 
 
<ネット求人広告市場(中途採用)と同社の位置付け>
ネット求人広告市場における2006年の同社シェアは推定で16%。2010年にかけて現状のシェアにとどまったとしても、市場の拡大により売上高は288億円に達し、シェアが20%に高まれば、売上高は360億円に拡大する見込みです。
 
 
上記のシェアは、[en]社会人の転職情報、[en]転職コンサルタント、[en]派遣のお仕事情報を対象としており、[en]学生の就職情報及び[en]本気のアルバイトを含めていません。
 
2007年12月業績予想
 
 
売上高及び費用の増加要因は次の通りです。
売上高   中途採用事業52.5億円増、新卒採用事業10億円増
売上原価  サイト運用費3.8億円増、人件費2.4億円増、カンファレンス費用1.3億円増
販管費   41.7億円増(人件費13.7億円増、広告宣伝費・販促費16.9億円増、その他3.7億円増)
 
 
 
2007年12月期はこれまでに発表していた全社売上高予想223億50百万円を232億円に上方修正する一方、同経常利益予想を71億75百万円から70億円に引き下げました。競合他社の広告宣伝強化に対応して、広告宣伝費・販促費を増やす計画です。経常利益70億円を必達目標として、7期連続の上方修正を目指しています。
 
 
株主還元
 
 
2007年3月30日に実施する配当は、1株当たり800円増配の3,100円を予定しています。
 
今後の事業展開
 
<採用ビジネス>
2006年に続き大量の人材採用を行い、2007年末までに271人の増員を図る予定です。また、中途採用事業と新卒採用事業の制作及び開発チームを統合し、業務の効率化とノウハウの共有化を促進します。
 
[en]社会人の転職情報  効果を武器に市場シェア拡大を図る共に、採用アウトソーシングを強化します。
 
[en]学生の就職情報   リピート率の向上、1社当たり単価の引上げを図ります。
 
<採用ビジネスの海外展開>
2006年6月に中国で合弁会社(英才網聯(北京)科技有限公司)を設立しました(非連結子会社)。
 
 
<HR周辺事業>
ヒューマンリソース周辺事業の育成に取り組みます。
 
(1)3e(employment-education-evaluation)メソッドに基づき、企業の「採用-活躍-定着化」を支援
(2)リテンションに着目した新商品の開発
(3)テスト商品の販売強化及び新分野向けテスト商品の開発
 
<新分野参入>
2007年3月1日に新規事業推進室を設置します。また、自社立ち上げやM&Aにより積極的に新規事業展開を図ると共に、同社のクライアントで将来有望なベンチャー企業に投資します。
 
取材を終えて
採用した人材を早期に戦力化するシステムが確立されているため、積極的な人材採用が売上高の拡大につながっています。しかも売上総利益率約90%、営業利益33%と高収益体質であるため、利益面でのレバレッジが効きやすいのが同社の特徴(わずかな売上高の増加でも利益が大きく増える)。期初予想は6期連続で上方修正されていますが、予想を上回る利益の一部は追加的な広告宣伝費等に充当されているため、期初計画通りの経費であれば、より大きな利益の伸びが実現されていたはずです。
2009年12月期にかけての業績予想が開示されていますが、人材採用が計画通りに進めば、予想に沿った高い利益成長が実現できるものと考えます。