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(2437) Shinwa Wise Holdings株式会社

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ブリッジレポート:(2437)シンワアートオークション vol.7

(2437:大証ヘラクレス) シンワアートオークション 企業HP
倉田 陽一郎 社長
倉田 陽一郎 社長

【ブリッジレポート】シンワアートオークション vol.7
(取材概要)
「1月27日(土)開催予定の近代美術オークションには、エスティメイト1億円~1億5千万円の藤田嗣治作「マドンナ」が出品予定。また、2月24日(土)開催・・」続きは本文でご覧ください。
企業基本情報
企業名
シンワアートオークション株式会社
社長
倉田 陽一郎
所在地
東京都中央区銀座 7-4-12
決算期
5月
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2006年5月 2,334 562 567 311
2005年5月 1,940 440 410 235
2004年5月 1,680 319 311 174
2003年5月 1,222 234 231 122
2002年5月 1,158 139 129 70
2001年5月 1,105 200 202 38
2000年5月 1,302 218 201 109
株式情報(1/19現在データ)
株価 時価総額 発行済株式数 単元株数 決算データ年月 1株配当
255,000円 14,748百万円 57,834株 1株 2006年11月 2,500円
配当利回り PER(単) 1株利益(単) PBR(単) 1株株主資本(単) ROE
0.98% 15.28倍 16,692.96円 2.23倍 114,397.78円 18.48%
シンワアートオークションの2007年5月期中間決算について、会社概要と共にブリッジレポートにてご報告致します。
 
会社概要
 
「公明正大且つ信用あるオークション市場の創造と拡大」を企業理念として掲げ、美術品を中心としたオークションの企画、運営を中心に事業展開を進めています。
世界のオークション市場の規模は約7,600億円と推定されています。これに対して日本の市場規模は約170億円と、世界市場の2%の規模に過ぎません。日本の美術品市場において、オークション取引の認知度は高まりつつありますが、同社では「日本の経済規模を考えれば、今後の市場の拡大余地は極めて大きい」と考えています。
 
<事業内容>
事業は、主力のオークション事業とその他事業に分かれます。その他事業は、絵画等の美術品の直接取引を希望する顧客間のマッチングを行うプライベートセールが中心となっています。 オークション落札価額(注.1)やプライベートセールの取引価格に対する手数料収入(注.2)、及びオークションの出品者から徴収するカタログ掲載料やオークション参加者に対するカタログ販売が主要な収入源となっています。ただ、営業戦略上、同社が一旦買取ってオークションに出品したり、プライベートセールで売却する場合があります。この場合は、オークション落札価額や売買代金が売上高として計上されます。
 
(注.1)オークション落札価額
出品者にとっては、一般のコレクター(最終消費者)が多く参加して競るため、一般買取価格より高く換金できる可能性が高く、落札者にとっては、流通の利ざやがなく、公開の場で価値観を共有する参加者との間で価格を決定する満足感が得られます。つまり、オークションを利用することにより、出品者は高く売ることができる一方、落札者は納得のいく価格で買うことができます。
 
(注.2)
手数料収入は、落札手数料と出品手数料に分かれ、それぞれ下記の料率で徴収されます。
落札手数料:100万円まで15.75%(税込)100万円を超える部分10.50%(税込) 出品手数料:10.50%(税込)
 
<オークションの種類と取扱高の推移>
 
1.オークションの種類
同社が開催するオークションは、次のように区分されています。
 
 
2.取扱高の推移
主力の近代美術オークションを中心に取扱高は順調に拡大しています。
 
 
<財務基本方針>
 
 
<市場シェア>
国内美術品オークション市場において、同社は圧倒的な市場シェアを有しています。
 
 
社名の横の金額は平均落札単価です。平均落札単価の違いから同社の経営理念に基づいた組織的営業力が大きな優位性を発揮していることも読み取ることができます。
同社は、主力の近代美術オークションにおいて、より質の高い高級品・高額品分野にフォーカスしています。日本の美術品オークション市場が世界に追いつき、追い越すためには、日本の高度な経済力・文化基盤を背景に更なる高額商品の取り扱いの拡大が不可欠と考えているからです。
 
2007年5月期中間決算
 
<非連結>
 
 
前年同期比では減収・減益となりましたが、計画比では取扱高以外の売上高・営業利益・経常利益・中間純利益が期初予想を上回りました。

前年同期は上場記念オークションを開催しており、その取扱高が14億5千万円ありました。今期は例年通りのオークションスケジュールに戻り、業績はスケジュールに準じたものとなったわけです。

取扱高が計画を下回ったのは、先高期待の売り渋り(出品の手控え)や11月開催予定のコンテンポラリーアートオークションが12月に変更となった事等によります。ただ、在庫戦略が奏功しプライベートセールが伸びた事や人件費が計画を下回ったこと等から、営業利益以下の各利益段階で計画を上回りました。

美術品市場はデフレとインフレの狭間にあり、先高期待の売り渋り等で2006年9月は停滞感が強まりましたが、11月には回復の兆しが見られました(右図)。
 
<貸借対照表>
 
換金市場の長期安定的な運営には、健全な財務が不可欠です。中間期末の財務内容は、上記の視点から見てほぼ理想的な状態。商品が増加したのは、デフレからインフレへ向かう経済情勢を鑑みて、1年ルールの厳守を前提に在庫戦略を進めたためです。
 
<売上総利益の推移>
高額品オークションが低迷したものの、在庫戦略(仕入)を積極的に進めプライベートセールで補いました。
 
 
<取扱高>
先高感から起こった高額品売り渋りの状況が如実に現れています。
 
<販売及び一般管理費>
 
前年同期との比較では、顧客開拓の諸経費支出により広告宣伝費が46.9%増加したものの、紹介手数料の減少により支払手数料等(支払販売手数料+支払手数料)が70.1%減少、全体では、前年同期比13.4%の減少となりました。
計画との比較では、取扱高の計画未達に伴うプロフィットシェアリングの減少や採用の遅れ等で人件費が19.3%計画を下回りました。もともと計画が保守的であったこともあり、全体では16.2%計画を下回りました。
 
※プロフィットシェアリング制度
役員及び従業員へのインセンティブとして、業績に応じ経常利益の13.25%を上限として支給する賞与で、目標値を全て達成した場合は100%、目標を達成できなかったが増益の場合50%、減益の場合25%、赤字では支給しないこととしています。
 
<キャッシュ・フロー>
 
営業活動によるキャッシュ・フローは、前渡金、売掛金の増加及びオークション未払金の減少により、2億4百万円の資金流失となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、保険金の新規差し入れが減少したものの、定期預金への預入及び有形固定資産(営業車両等)の取得により37百万円の流出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローが1億44百万円の流出となったのは、配当金の支払によります。
 
<主な落札実績>
 
中間期には落札金額が1億円を超えるものはありませんでした。
 
<平均落札価額の推移>
 
<市場動向>
シンワアートオークション近代美術インデックス
 
 
シンワアートオークション近代美術インデックスから、日本の美術品市場は回復基調にあるものの、水準自体は未だ低位に甘んじていることがわかります。
ただ、再評価に向けた胎動は感じられ、コンテンポラリーアートオークションの開催などを通して、ここ半年くらいで新しいコレクターが生まれている事を実感しているそうです。「今後、新しいコレクターやアートファンドの登場により、現存の有力作家によるコンテンポラリーアート等が評価されて行くことで美術品市場全体が再評価されていく」と同社では考えています。
 
※コンテンポラリーアートオークション コンテンポラリーアートオークションは、今後整備が進むであろうプライマリーマーケットに近いマーケットであり、未だ評価が定まっていない作家の作品に値をつけるオークションです。このため、このオークションに出品される作品の作者の全てが、数年後に芸術活動を続けている保証はありません。
このタイプのオークションは先進国各国で一般化していますが、日本で本格的に稼動するのは初めてのことです。
 
 
2007年5月期業績予想
 
<非連結>
 
増収・増益の予想です。 JEWELLERY & WATCHESオークション、コンテンポラリーアートオークションの育成・強化に取り組むと共に、業務提携による販路拡大(例、ソネット・エムスリー、フィデック)に取り組みます。
 
<下半期見通し>
 
通期で6億67百万円の商品売上を計画しています。一時期ほどではないにしても、先高期待の売り渋りが続いているため、今後の状況によってはプライベートセールを強化する事でカバーする考えです。
 
<取扱高>
 
下半期の取り組み
 
JEWELLERY & WATCHESオークション及びコンテンポラリーアートオークションの育成・強化に取り組みます。
 
<12月度オークション実績>
 
12月に第2回目のコンテンポラリーアートオークションが開催されました。第1回目は落札率が72.4%にとどまりましたが、第2回目は95.0%と大きく改善しました。また、近代陶芸オークションでは、1,000万円を超える落札が4点あり、取扱高は2億5,276万円と過去最高の落札実績となりました。
一方、JEWELLERY & WATCHESオークションは、一般の参加者が通常よりも少なかったためやや低調でした。このため、今後、マーケティングを強化し新規顧客の開拓に努めていく考えです。
 
<JEWELLERY & WATCHES>
宝石の国内市場は1兆円を超え、また、高級時計の国内市場は2,000億円を超えています。ただ、宝石は絵画等と比べて流通形態が複雑です。海外では換金市場が存在しており、国内でもシンプルな換金市場として認知度が高まれば、同社のJEWELLERY & WATCHESオークションも拡大が期待できます。
 
 
<コンテンポラリーアート>
新たな市場の開発、作家の育成として取り組んでおり、近代美術とは異なる事業モデルです。現存作家をオークションにより価値付けし、日本の文化を世界に向けて発信すると同時に、将来の換金市場に耐えられる天才作家群を発掘していきます。
 
 
<商品戦略の転換>
1年ルールの厳守を前提に、能動的に在庫確保を進めます。 多様な換金需要への即応体制の確立、事業チャンスを取りこぽさないための作品購入が目的です。このため、全体で3億5千万円の予算を確保し、各部門で在庫の最大水準を予算化しました(うち近代美術2億円)。予算を上回る可能性のある大きな購入案件は、経営会議で検討を行い、リスクをコントロールした上で収益の可能性が高い案件に関して個別で承認し、購入します。もちろん、能動的在庫確保は、取得1年以内のオークションもしくはプライベートセールで売却する1年ルールの厳守が前提です。
 
<下半期見通し>
 
<1月以降のオークションスケジュール>
 
 
取材を終えて
1月27日(土)開催予定の近代美術オークションには、エスティメイト1億円~1億5千万円の藤田嗣治作「マドンナ」が出品予定。また、2月24日(土)開催予定のコインオークションには、同3,500万円~5,000万円の天正長大判金の出品が予定されているそうです。
同社にとっての当面のリスク要因は先高期待の売り渋りです。実際、上半期は1億円を越える落札案件がありませんでした。しかし、徐々にではありますが、売り渋りが解消されつつあるようです。