ブリッジレポート
(2435) 株式会社シダー

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ブリッジレポート:(2435)シダー vol.4

(2435:JASDAQ) シダー 企業HP
山崎 嘉忠 社長
山崎 嘉忠 社長

【ブリッジレポート】シダー vol.4
(取材概要)
「高齢者人口の増加や介護サービスの認知度向上に伴い、更なる介護サービスの需要拡大が予想される一方、新規参入の増加等による競争の激化も予想されます。また、この4月に実施された介護保険制度の改定・・・」 続きは本文をご覧ください。
企業基本情報
企業名
株式会社シダー
社長
山崎 嘉忠
所在地
北九州市小倉北区大畠 1-7-19
決算期
3月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2006年3月 4,251 309 297 166
2005年3月 3,649 352 288 164
2004年3月 3,125 122 97 41
2003年3月 2,352 111 104 30
2002年3月 1,594 17 21 11
2001年3月 281 -20 -21 -14
株式情報(12/6現在データ)
株価 時価総額 発行済株式数 単元株数 決算データ年月 1株配当
262円 1,503百万円 5,738,000株 100株 2006年3月 5.00円
配当利回り PER 1株利益 PBR 1株株主資本 ROE
1.91% 9.04倍 28.99円 1.48倍 177.20円 15.71%
シダーの2007年3月期中間決算について、会社概要と共にブリッジレポートにてご報告致します。
 
会社概要
 
デイサービスを中心とした介護サービス事業を九州・山口地区及び関東地区を中心に展開しています。
医療機関において、長い間リハビリテーションにかかわってきた山崎社長が、医療機関でリハビリに取り組んでも、自宅に帰ったあとのサービスが無く、体が弱って再度入院する方が多いという現実に疑問を感じ、起業されました。このため、リハビリテーションを重視した介護サービスに特徴があります。
 
社名の「シダー(CEDAR)」とは、英語で杉の木のことです。長寿の木として知られています。
 
<沿革>
医療法人財団池友会(福岡県北九州市、以下池友会)傘下の病院にリハビリ職員として勤務していた山崎社長が中心となり2000年10月に事業を開始。事業開始に当たり、地元の医師などから資金を募ったほか、01年1月には池友会の職員168名が同社に移籍するなど、地元の医師会や池友会の支援を受けての事業立ち上げとなりました。
01年7月、デイサービスセンターとして、小文字デイサービスセンターを福岡県北九州市に開設。05年3月にJASDAQに株式を上場しました。同年9月には、千葉県千葉市緑区に有料老人ホーム あすみが丘を開設、デイサービスに次ぐ第2の収益の柱として施設事業を育成中です。
 
<事業内容>
事業は、デイサービス事業、訪問看護事業、ホームヘルパー事業、ケアプラン事業、施設事業、その他事業に分かれます。
 
デイサービス事業 (2007年3月期中間決算 売上構成比 60.6%)
介護保険法に基づく要介護認定者に対し、デイサービスセンターにおいて食事、入浴、その他日常生活の世話、機能訓練などの生活支援を行います。
 
訪問看護事業(同 8.2%)
主に介護保険等による給付対象のサービスで、看護士が利用者の自宅を訪問し、医師の指示書のもとに療養の世話等の医学的ケアサービスを行う訪問看護事業、理学療法士及び作業療法士等の専門家が医師の指示書のもとに自宅でリハビリテーションを行う訪問リハビリ事業からなります。
 
ホームヘルパー事業(同 3.5%)
要介護認定者の日常生活の世話を行う事業で、介護福祉士やヘルパー資格保持者が利用者の自宅を訪問し、生活全般にわたる援助を行います。
 
ケアプラン事業(同 4.7%)
介護保険法に基づく要介護認定者について、専門知識を持ったケアマネージャーが利用者個々の要望と必要に応じたサービス計画を立て、介護サービスの選択、マネジメントを行います。
 
施設事業(同 22.8%)
要介護者などを対象に、グループホームにおいて入浴、食事等の介護やその他日常生活上の世話および機能訓練を行います。
 
その他事業(同 0.2%)
 
2007年3月期中間決算
<非連結>
 
有料老人ホームを新規に4施設開設し、将来の事業基盤の足固めを図りました。施設は、松山市、札幌市、干葉市、大阪市に、それぞれ1施設ずつ開設しました。
ただ、本年4月の介護報酬改定の影響を受けた事で、売上高はほぼ横ばいにとどまりました。
一方、利益面では、上記の介護報酬改定の影響に加え、有料老人ホーム開設費用及び管理強化によるコストの増加等で営業利益が前年同期比6.2%減少しました。
 
<セグメント別動向>
 
デイサービス事業
本年4月からの予防給付への移行(介護度の見直しによる利用額の減少)、報酬単価の引下げ(10%の報酬カット)等により利用単価が減少。人員配置・業務手順の見直し(有料老人ホームへの配置転換等)やパートの活用等により、損益構造の改善に取り組みました。登録者数、施設稼働率については、計画の範囲内で推移しています。
 
*予防給付への移行と報酬単価の引下げについて
・本年4月からの予防給付への移行に伴い、介護度の見直しが行われ、利用額が減少しました。
 
 
・報酬単価の引下げが実施され、大型施設に対する報酬が10%カットされました。下に示した試算は一例ですが、改定前に684万円あった収益が、合理化努力をしないと、改定後には432万円に減少してしまいます。
 
 
訪問看護事業
本年4月の介護保険法改定の影響により、訪問リハビリの利用者が減少しました。
改定の影響とは、介護保険法改定の解釈通知により示された、「訪問看護計画において、理学療法士等の訪問が保健師又は看護師による訪問の回数を上回るような設定がなされることは適切でない」との方針によるもので、「理学療法士等の訪問は、保健師又は看護師による訪問の回数を上回らないように計画せよ」といった趣旨のものです。自宅での継続的なリハビリを軽視しているような方針ですが、訪問リハビリの回数を抑制せざるを得ませんでした。
厚労省が見直し等を考慮した一定期間(6ヶ月)を設けていますが、一定期間経過後であっても、やむを得ないと認められる場合については、各自治体の判断により算定できる等の例外規定があるとの事で、現場の混乱が続いています。
 
デイサービス事業の売上及び経常利益の推移
 
デイサービス利用者数の推移
 
ホームヘルパー事業
施設の新規開設が続いている施設事業へ経営資源をシフトしており、当事業は現状サービス・施設の維持を念頭に事業が進められています。加えて今中間期は、介護報酬改定の影響を受けました。
 
ケアプラン事業
ホームヘルパー事業と同様の状況です。
 
施設事業
第二の主力事業として育成中の有料老人ホームを新規に松山市、札幌市、干葉市、大阪市に、それぞれ1施設ずつ、合計4施設開設。将来の事業基盤の足固めを図りました。
一部の施設において開設が遅れましたが、開設後の利用者獲得は概ね堅調に推移しています。
 
新規施設開設の状況
 
 
2007年3月期業績予想
 
<非連結>
 
増収ながら先行投資負担が続く見込みです。
 
売上の面では、既存施設の顧客確保と新規施設の利用者獲得に向けての業務改善に取り組みます。また、有料老人ホームの新規開設は、下期7施設、通期11施設を予定しています。
 
利益面では、来期以降の老人ホーム事業の収益の拡大に向けた人材育成費、営業活動費、及び広告宣伝費等の先行投資費用が発生し、利益圧迫要因となります。また、老人ホーム事業の一部の施設において当初計画より開設時期が遅れたことも、利益面での痛手となります。
 
<セグメント別予想>
 
今後の事業計画及び取り組み
 
 
<有料老人ホーム等の施設事業計画>
 
来期までの計画は次の通りです。
 
 
<高約者住宅運営数全国ランキング>
 
今期末までの事業計画を含めると、同社は17件、887室となります。
また、来期末までの事業計画を含めると、20件、1007室となります。
 
<介護付有料老人ホームの強化>
自由で上質な暮らしに住み替え、暮らし替えることで、安心がより身近なものとなるよう、生活全般にわたるサービス・支援に務めています。
 
 
1.居室 落ち着いた快適な居住スペース
 
各居室は、広さが約11畳、個室のためプライバシーも万全です。また、使い慣れた家具類の持込みも自由です。
 
 
2.リハビリ・トレーニング設備 充実のトレーニングメニュー
 
専門の職員による指導と充実のトレーニングマシーンに加え、体調に合わせた最適なメニューが提供されます。
 
 
3.食事 栄養バランスの優れた美味しい食事
 
リビング感覚の明るく開放的な食堂で、栄養バランスの取れた美味しい季節のメニューを楽しむ事ができます。
 
 
4.アミューズメント施設 本格的な娯楽施設
 
カラオケ、映画等を自由に楽しめる空間に加え、図書スペースやパソコン室等も準備されています。
 
 
5.入浴 温泉気分でリフレッシュ
 
温泉気分でゆっくり入浴できる大浴場が用意されています。また、職員の介護サービスにより安心して入浴できます。
 
 
6.年間行事・イベント 四季折々の楽しいイベント
 
日中の囲碁・将棋や手工芸などの趣味活動はもちろん、春夏秋冬、季節に合わせた各種イベントの企画に加え、入居者とスタッフとの懇親会や、多彩なレクリエーション等も行っています。
 
 
*介護付き有料老人ホームの入居者推移
 
前期に出店した施設の黒字化が進んでいます。
 
 
<各拠点へのリハビリ職員の配置>
 
 
<ドミナントエリアの拡大>
ドミナントエリア拡大の一環として、デイサービス及び有料老人ホームにおけるサテライト施設の構築を進めます。
 
 
<地域に根ざしたコミュニティーケア>
地域住民の方々との交流・活気・元気を大切にできる施設作りを目指しています。図書・パソコンルームやトレーニングルーム等コミュニティースペースの地域への開放に加え、周辺他施設のスタッフの指導・育成・組織づくり等の支援を行う考えです。また、健康教室や介護相談会の開催や地域に根付いたリハビリ・ヘルパーの派遣などにも取り組みます。
 
例えば、「あおぞらの里」デイサービスセンターと介護付き有料老人ホーム「ラ・ナシカ」では、トレーニングルームを一般の方々に開放しています。
 
<教育の充実>
トレーナー、介護職員、理学療法士・作業療法士、それぞれについて、入社時から管理職育成までの教育研修プログラムが整備されています。
 
1.トレーナーの研修プログラム
講義30時間、施設研修10時間(2日間)の予防介護トレーナー講座が実施されています。
 
 
2.介護職員の研修プログラム
 
 
3.理学療法士・作業療法士の研修プログラム
 
 
取材を終えて
高齢者人口の増加や介護サービスの認知度向上に伴い、更なる介護サービスの需要拡大が予想される一方、新規参入の増加等による競争の激化も予想されます。また、この4月に実施された介護保険制度の改定では、介護度の軽度者への給付の抑制と新規参入の規制強化を目的とした5つの基本方針に沿って、介護サービスの給付適正化が方向付けされました。
こうした中、同社は、既存施設の効率運営に取り組み、社会的に必要とされるリハビリテーションサービスや介護サービスを中心にしたサービスの提供で差別化を図っていく考えです。また、地域に根ざしたコミュニティーケア等に取り組む事で介護保険外のサービスの提供を通じて、介護報酬の改定による影響を受け難い収益体質の構築にも取り組みます。