ブリッジレポート
(7590) 株式会社タカショー

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ブリッジレポート:(7590)タカショー vol.6

(7590:JASDAQ) タカショー 企業HP
高岡 伸夫 社長
高岡 伸夫 社長
企業基本情報
企業名
株式会社タカショー
社長
高岡 伸夫
所在地
和歌山県海南市阪井 1793
決算期
1月
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2006年1月 11,112 528 541 305
2005年1月 10,895 528 498 270
2004年1月 10,153 466 346 213
2003年1月 10,057 360 257 162
2002年1月 9,457 -17 -83 -89
2001年1月 9,045 523 467 177
2000年1月 8,535 580 575 258
株式情報(9/27現在データ)
株価 時価総額 発行済株式数 単元株数 決算データ年月 1株配当
542円 4,488百万円 8,279,814株 100株 2006年1月 7.50円
配当利回り PER(連) 1株利益(連) PBR(連) 1株株主資本(連) ROE(連)
1.38% 14.36倍 37.75円 1.28倍 422.62円 9.81%
タカショーの2007年1月期中間決算について、会社概要と共にブリッジレポートにてご報告いたします。

会社概要
 
「やすらぎのある空間づくり」を基本コンセプトに、人工・天然の竹木製フェンスやガーデンファニチャー、緑化資材等の庭園資材を製造・販売。照明機器、池・滝・噴水などのウォーターガーデンや坪庭なども手掛けています。
商品の企画から製造、販売まで一貫体制をグループで確立しており、製造は国内及び中国、販売面では子会社を通じて北米、欧州へも展開しています。
日本においても確立した市場となりつつある「ガーデニング市場」の牽引役として、今後も安定した収益拡大が見込まれます。
 
<沿革>
1980年8月、現社長の高岡伸夫氏が友人4人と共に、「ガーデンエクステリア(庭空間)」にカテゴリーを絞った提案型庭園事業を目的に、株式会社タカショーを設立しました。
以降、風・光・水・緑に象徴される庭をテーマに「やすらぎのある空間づくり」のコンセプトの下、業容を拡大し、1998年9月に株式を店頭登録(現ジャスダック市場上場)しました。
 
<グループ>
グループは、同社の他、連結子会社10社、持分法適用会社1社からなります。


(連結子会社は上記の他、6月27日に全株式を取得した株式会社デジライト)
 
<販売ルート>
工務店向け「プロユース」、ホームセンターへの卸売を中心にした一般消費者向け「ホームユース」、「通信販売」、「輸出」等があります。構成比は、2007年1月期予想(単体ベース)で、それぞれ48%、46%、3%、3%です。
「プロユース」では、プロユーザー向けのカタログ「プロエクス」を業界最大の約20万冊印刷し、造園業者、設計士、エクステリア施工店、商業施設などにダイレクトメールで配布しています。カタログは単なる商品紹介ではなく、商品を使った庭園イメージの写真もついており、顧客はこの写真を見ながら実際に施工する場所と庭園の簡単な図面を書いてファックスで申し込みます。注文を受けると、CAD(コンピュータによる設計支援システム)、CG(コンピュータ映像)を駆使した完成予想図と共に見積書を当日中に返送し、正式な注文があれば商品を1週間以内に届けます。現在では、Webを使った積算も可能です。
 
<事業戦略>
同社では、次のような事業戦略を策定しています。
 
1.市場動向
団塊世代が定年退職を迎えます。退職金の総額は150兆円と言われており、退職後の豊かな暮らしを実現するための一助としてガーデン市場への資金流入が期待されています。日本のガーデン市場の規模は、国内総生産比でドイツ・イギリス等に比べて小さく、しかも、金属エクステリアが過半を占めています。ガーデン市場そのものの拡大余地に加え、同社が得意とする人工・天然の竹木製フェンスやガーデンファニチャー、緑化資材など自然の趣を持つ製品群の成長余地は大きいと言えます。
 
2.コンセプト
同社では、ガーデン市場には「和風」(眺める庭)と「洋風」(暮らす庭)の二つの市場があり、今後の需要は和風1に対して洋風9と考えています。そして、物置やカーポート、アルミ製品等で埋め尽くされた日本の庭を欧米のような健康的にゆったりと過ごせる庭、つまりリビングガーデンに変える提案を行っていく考えです。
企業コンセプトは、トータルに人の暮らし方を演出するライフスタイル型&創作型メーカー。ガーデンに特化した、ガーデンの総合メーカーとして、価格や量だけの競争ではなく、販売ルート、組み合わせ、提案、販売手法、価値、デザイン発想など開発と販売の両面から差別化を図っていく考えです(創造的価値を持たせたブルーオーシャン戦略)。
 
<商品と施工例>
 
人工強化竹垣
京都の伝統職人技を大切に受け継いだ、同社ならではの豊富なバリエーション。節目の仕上げもすべて手作りの立体感ある製法による情緒と品格を兼ね備えた最高品位ブランドです。
 
 
エバーアートウッド
「エバーアートウッド」は、様々な木の表情を忠実に再現したアルミ材です。耐久性と耐候性に優れた「エバーアートウッド」シリーズは、美しさと使いやすさを兼ね備えています。
 
 
ライティング
LED(発光ダイオード)のあかりが、幻想的で美しい庭空間を創り出します。和風・洋風の豊富なデザインの品揃えに加え、庭のシーンに合った機能性を兼ね備えています。
 
 
ウォーターガーデン
ビオガーデン(BIO GARDEN)とは、「生物がいきる場所」という意味を持つドイツ語の「ビオトープ」とガーデンを組み合わせた造語です。自然環境の循環がうまく機能する水辺、ビオトープの考えを庭に取り入れる事によって昆虫や鳥、魚や植物が生息し、自然の循環がうまく機能し、お互いが共に生きるバランスを保ちます。
 
 
 
枝穂を使った創作的なデザインと発想や、和風のモダンなテイストで現場に調和している点が評価されました。e-ウッドの別注色が現場の雰囲気に活かされています。
 
 
庭に古竹さらし竹がとても馴染んでいます。植栽とのバランスも良く、天然の竹松明垣とも調和しているため、天然竹のように見えます。
 
2007年1月期 中間決算概要
 
<連結>
 
増収・減益となりました。
売上面では、4月以降の天候不順や梅雨明けの遅れによる夏物の不振が響きました。
利益面では、原材料高による原価の上昇が利益の圧迫要因となりました。
 
<商品分類別動向>
 
ガーデンフェンス
一般住宅の洋風化が進む中でガーデニングフェンスにおいて、人工竹木フェンスでは自然の趣をもつ人工木「エバーアートウッド」や天然竹木フェンスであるウッドフェンス関連の商品群が伸びました。
 
庭園資材
ディズニーキャラクター商品や木製ガーデンファニチャーなどデザイン性を追求した商品群が堅調に推移しました。
 
照明機器
夜の庭のデコレーションとなるデザイン性が良く簡単施工のソーラーライト関連やイルミネーションライト関連の商品群の売上が伸びました。
 
池・滝・噴水
自然との共生をテーマにするビオトープをベースとする「ビオガーデン」の市場拡大に努めましたが、未だ日本のガーデニング市場では適合性が低いため、売上は減少しました。
 
<ルート別売上高(個別)>
 
<粗利率低下要因>
1.夏物商材の売上げ不振
・天候による季節商材の大幅な低下(10億74百万円→9億14百万円、160百万円減少)
・小売店では雨及び気温の影響でレジャー・日除け関連が80%と大幅マイナス
 
2.原材料高騰による原価の上昇
2007年1月21日に価格改定を実施するため、来期は粗利が平均10%増加する見込みです。
 
3.得意先への輸入商品直接納品増加
直接コンテナ納品売上の増加により売上は8億21百万円と前年同期比24%増加しましたが、粗利率が低下しました。
 
 
<販管費の増減要因>
1.出荷戸数の減少(4億84万個→4億14万個)により商品発送費が93百万円減少しました。
 
2.得意先直送ヘの切り換えによるコンテナ取扱量の減少(1,719本→1,394本)で、デバン料が64百万円、横持料が6百万円減少。支払手数料全体で38百万円減少しました。
 
3.人員増加増加(19名増)及び給与改定により、給与及び手当が61百万円増加しました。
 
4.ディズニーへのロイヤリティ(17百万円)、リフォームガーデンクラブ発足費用(13百万円)、力タログ制作費(10百万円)等で販促費及び広告産伝費が55百万円増加しました。
 
<貸借対照表>
 
流動資産
受取手形が4億07百万円減少する一方、アイテム及び売上増加に伴いたな卸資産が4億25百万円増加しました。合併作業に伴い東京三菱UFJの流動化サービスが一時的に停止したため、手形割引を利用したことが受取手形の理由です
 
固定資産
新社屋建設予定地購入(2億05百万円)や製造子会社の工場建設(1億59百万円)等により有形固定資産が増加しました。株)デジライトのM&Aに伴う連結調整勘定の計上(52百万円)により無形固定資産も増加しました。
 
流動負債
未払金の減少(1億47百万円)が主な要因です。
 
固定負債
タカショーヨーロッパの運転資金の調達(2億97百万円)や(株)デジライトM&Aに伴う資金調達(1億円)等で長期借入金が増加しました。
 
純資産額
利益剰余金(24億70百万円)、自己株式(31百万円)が主な増加要因です。
 
<キャッシュ・フロー>
 
営業キャッシュ・フロー
売上債権や法人税等の減少によりキャッシュ・アウトが減少しました。

投資キャッシュ・フロー
有形固定資産・連結子会社株式の取得によりキャッシュ・アウトが増加しました。

財務キャッシュ・フロー
長期借入により、財務キャッシュ・フローが増加しました。
 
<トピックス>
 
総合カタログ「PROEX」(プロエクス)の発刊
「リビングガーデンの楽しみ方」をテーマに庭という空間を、アウトドアにあるもうひとつのリビングと捉え、そこでゆっくりすごしてみようという考え方を提案しています。
 
人工木「エバーアートウッド」のカラーバリエーションと形状バリエーションの拡充
新商品として天然素材の表情を再現した人工木「エバーアートウッド」のカラーバリエーションと形状バリエーションを拡充し、様々な庭空間に対応できる体制を確立しました。
 
「1/f 庭ゆらぎ」シリーズの投入
環境に優しいLED(発光ダイオード)ライティングにおいて人に心地良さや癒しなどの快適感を与える「1/f 庭ゆらぎ」シリーズを投入、プロユーザーから一般ユーザーまで幅広く提案、販売活動の強化に努めました。
 
「タカショーリフォームガーデンクラブ」の会員社数拡大
庭のリフォームをテーマとした大規模な自社展示会「タカショーリフォームガーデンフェア」の開催や個人消費者と施工業者を結びつける販売ネットワーク「タカショーリフォームガーデンクラブ」の会員社数拡大等、市場への啓発活動にも力を注ぎました。
 
ディズニーキャラクター商品の発売開始
「庭にディズニーを」をテーマにディズニーキャラクターをデザインした商品の発売、庭のスタイルに合わせたガーデンファニチャーやガーデンデコレーションライティングによる季節毎の提案と定番商品の販売活動の強化に努めました。
 
2007年1月期業績予想
 
<連結>
 
増収・増益の予想です・ 下期は収益性の高いLED製品の伸びが見込まれます。
 
<ルート別売上高予想(個別)>
 
<会社別予想>
 
事業戦略
 
基本コンセプトである「やすらぎのある空間づくり」に基づき、様々な住まいの庭での暮らし方を提供することで売上の拡大を図ります。具体的な施策は次の通りです。
 
<プロユース事業戦略>
タカショーリフォームガーデンクラブの拡大による販売戦略、及び付加価値の高いアートウッド等のフェンス関連商品群、価格競争力を強みとする「e-シリーズ」、更には次世代照明として注目を集めるLED関連商品を中心にした商品戦略を展開します。
 
<ホームユース/通販事業戦略>
より収益性の高い通販及びGMS・専門店チャンネルの拡大とブランディング戦略により事業規模の拡大と収益性の向上を図ります。 販売チャネルは、ホームセンター、通販、GMS・専門店、ディスカウント、百貨店に分けることができ、全体の市場規模は推定で200億円。現在、収益性の低いホームセンターがガーデン市場の大半を占めていますが、今後は通販及びGMS・専門店チャンネルの拡大が予想されます。ブランディング戦略、シーズン提案(春夏、秋冬の2シーズンに分け、商品を提案)により販売を強化すると共に、中国協力工場よりダイレクトに販売先の物流センターへ納品するロジスティックの構築により物流費・販売管理費の削減を目指します。
 
<青山ガーデン事業計画>
1.法人向けサイトのオープン http://www.aoyama-g.co.jp/b2b/ 従来から引き合いの多かったレストラン・カフェテリア等の店舗、ホテル・旅館等の宿泊施設、及び結婚式場や各種会館等が、インターネット上でも簡単に業務用価格で購入できる窓口の開設が目的です。イメージとしては、ガーデニング用品版アスクルと言ったところです。
ガーデニング用品に関するビジネスモデルとしては他に例がないため、会員登録制を導入し、早期の顧客囲い込みを図る考えです。
 
 
2.ギフト・雑貨部門の拡充
ギフト色の強い品揃えでガーデニング愛好者の幅広い層にアピールします。また、ガーデン用品の売上が落ちる時期をカバーする効果も期待できます。更に、オランダのガーデニング雑貨「エッシャーデザイン」の商品の販売や、他社サイトとのコラボレーションによるワインや食器など生活・ライフスタイル関連のアイテムを展開します。
 
<タカショーヨーロッパ秋冬販売戦略概要>
連結子会社 タカショーヨーロッパは、春夏商戦は順調な伸びを示していますが、秋冬商戦が課題です。このため、国内で好評を得ているLED関連商品を立ち上げると共に、メタル園芸品(ワイヤー関連アイテム)商品中心であった秋冬商戦の根本的な見直しを行いました。2006年はLED関連商品をクリスマス商戦に投入すると共に、他社にない売場コンセプト(ドイツの伝統的なクリスマスハウスの提案)をもって売上の拡大を図ります。
 
 
取材を終えて
成熟が進む日本経済。経済成長率も企業の業績も大きな伸びが期待できなくなりつつあります。しかし、経済が成熟し物的な要求が満たされると、人は精神的な充足感を求めます。このため、精神的な充足感を提供できる企業の業績は大きな伸びが期待できるのではないでしょうか。
同社が基本コンセプトとする「やすらぎのある空間づくり」とは、住む人に精神的な充足感を与えてくれるものです。同社の売上高が一貫して増え続け、株主数の増加も続いている理由がわかるような気がします。
利益面では伸び悩み気味でしたが、2007年1月に値上げを実施する計画ですから、来期は利益面でも期待できます。