エン・ジャパン 基本データ
- 株式情報(8/15現在データ)-
株価
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時価総額
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発行済株式数
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単元株数
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580,000円
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11,078百万円
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19,100株
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1
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エン・ジャパンの2006年12月期中間決算について、会社概要と共にブリッジレポートにてご報告いたします。
○ 会社概要
インターネット上で、転職・就職情報サイト[en]を運営。取材に基づく公正で詳細な企業情報が高い評価を得ており、主力の「[en]社会人の転職情報」は、転職情報サイトとしてはリクルートのリクナビNEXTに次いで第2位、“
人材紹介会社集合サイト[en]転職コンサルタント
”及び“ 派遣会社集合サイト[en]派遣のお仕事情報 ”はそれぞれ業界No.1の実績を誇ります。
「転職は慎重に」と、人気お笑いタレント「爆笑問題」が語りかけるテレビCMも好評です。
<沿革>
1983年、越智社長が(株)日本ブレーンセンターを設立し求人広告事業をスタートさせました。12年間あまりの求人広告事業の実績を元に、95年にインターネットを媒体とした求人広告事業に参入、2000年1月に同社のデジタルメディア事業部が分離・独立し、エン・ジャパン(株)が設立されました。同年2月には、人材紹介会社の集合サイト「[en]転職コンサルタント」をプレ・オープンしました。
01年6月にナスダック・ジャパン(現ヘラクレス)市場に株式を上場。04年6月に、(株)日本ブレーンセンターの新卒採用事業等を会社分割により統合しました。
<ビジネスモデル>
売上高の大半を求人企業からの求人広告掲載料収入が占め、求職者から登録料等は徴収しません。
<同社の強み・特徴>
同社のサイトに掲載する求人広告は、営業担当者が求人企業を取材して求人原稿を書き上げます。「より多くの方に仕事の場で活躍して欲しい、そのためには真剣に自分が輝ける仕事を選んで欲しい」との思いから、客観的で公正かつ詳細な情報提供を念頭に詳細な原稿が作成されます。
求人企業側に立った一方的な情報提供では、「実際の業務に就いてみたら、業務内容が事前の説明と違った」等と言うことになりかねず、求職者はもちろん、時間と費用をかけて採用した求人企業にとっても大きな痛手となります。
求職者にしてみれば、詳細原稿によって十分理解したうえで入社するので会社や業務に馴染むのも早く満足感も大きい。また、求人企業にしてみれば、「戦力化が早い一方、離職者が少ない」といったメリットがあります。詳細原稿は、結果として競合他社との差別化の決め手となりましたが、出発点は「転職は慎重に」と言う同社からのメッセージだったのです。
実際、同社のサイトは高い評価を得ています。例えば、ネットアンドセキュリティ総研の「転職サイト比較調査2006」によると、同社サイトの総合評価はリクルートのリクナビNEXTを抜いて、前年の3位から2位(1位はハローワークインターネットサービス)へランクアップしました。総合評価は7つの指標から算出されますが、そのうち「最も役に立ったサイト」、「認知率」、「訪問率」、「定期利用率」の4指標において、No.1に選ばれたそうです(民間24サイトの比較)。
結果として競合他社との差別化の決め手となった詳細原稿ですが、問題はコストです。このため、この業界で同社以外に、サイトに掲載する企業全てについて詳細原稿を作成する企業はありません。求人広告のガリバーであるリクルートの場合、自社作成の比率は全体の40%程度にとどまるようです(60%程度を求人企業自身が作成している模様)。リクナビNEXTの直近の掲載社数は、3,000社強ですから、自社作成の比率を40%とすると、リクルート自らが詳細原稿を作成している企業数は約1,200社。[en]社会人の転職情報の掲載社数は1,258社ですから、詳細原稿の掲載社数は拮抗しています。
求人企業と求職者双方に支持された結果、ヘラクレスに上場した01/12期に18.7億円だった売上高が、05/12期には115億円弱に拡大、今期は154億円が見込まれています。
○ 2006年12月期中間決算概要
<非連結>
(単位:100万円)
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実績
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前年同期比
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売上高 |
7,097
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+40.1%
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営業利益 |
2,378
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+26.9%
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経常利益 |
2,362
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+25.3%
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中間純利益 |
1,244
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25.6%
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増収・増益となりました。
企業の採用意欲が旺盛な上、紙媒体からインターネットへのシフトも進行しています。
[en]社会人の転職情報が前年同期比29%増加、[en]派遣のお仕事情報は社数・売上共に業界首位となりました。
新卒採用事業も予想を上回るペースで推移しており、1年前倒しで今期の黒字化が視野に入ってきました。
利益面では、原稿制作費やサイト運用費用の増加による売上原価の増加(2.5億円、前年同期比56.4%増)に加え、積極的な営業活動や人材採用により販管費も増加(12.8億円、同46.5%増)しましたが、売上総利益の増加で吸収、営業利益は前年同期比26.9%増加しました。
<セグメント別動向>
中途採用事業
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売上高61億77百万円(前年同期比40.4%増) |
営業利益 24億80百万円(同28.3%増) |
新卒採用事業 |
売上高 8億35百万円(前年同期比37.8%増) |
営業損失 1億34百万円 |
教育・評価事業 |
売上高84.8百万円(前年同期比42.0%増) |
営業利益 32.4百万円(同489.1%増) |
<第2四半期のサイト別動向>
1.[en]社会人の転職情報
(1)前年同期比3.9億円(26%)の増収
(2)掲載件数は過去最高となりましたが、単価減により、第1四半期比では売上高がわずかに減少しました。
(3)会員数が順調に増加し、6月に130万人を突破しました。
(4)ネットアンドセキュリティ総研の転職サイト調査において、総合評価(民聞サイトで)No.1を獲得しました。
(5)顧客満足度調査で過去最高の91.1%を記録しました(6月調べ)。
(6)サイトリニューアル(7月3日よりリニューアルオープン)「http://employment.en-japan.com/」
採用成功につながる新商品を投入し、求人ニーズの多様化に対応。人が採りづらい時代の採れるサイトを目指します。
①大量採用ニーズへの対応
・採用予定10名以上の「積極採用企業コーナー」の新設
・キャリアマッチDMによるオファーメール一括送信
(2)経験者採用ニーズへの対応
・業界初の「コミュニケーション機能つきスカウト」(特許申請中)
・年収500~1,000万円以上の「管理職・スペシャリスト求人コーナー」の新設
(3)アウトソーシングサービスの充実
・「サーチ&スカウト」サービス
・非公開求人情報「シークレットプラン」(9月リリース予定)
(4)価格の見直し
・地域別料金の導入
・基本企画の定価見直し ⇒ 約10%の値上げ
・オプションの価格見直し
2.[en]転職コンサルタント
(1)過去最高の売上高を達成、圧倒的な業界No.1を維持
(2)前年同期比0.7億円(25%)の増収
(3)掲載社数は6月末時点で302社。前年同期比25社増
(4)2005年10月より価格改定(約15%値上げ)
3.[en]派遣のお仕事
(1)過去最高の売上高を更新。売上高、社数共に業界No.1の座に。
(2)前年同期比2.3億円(59%)の増収
(3)掲載社数は6月末時点で482社。前年同期比137社増
(4)ユーザー支持率No.1サイトの信頼と実績をもとに着実に掲載社数を増加
4.[en]本気のアルバイト
(1)前年同期比1.3億円(203%)の増収。過去最高の売上高を更新
(2)新規掲載社数の増加が売上を牽引
(3)IT業界及び営業職を中心に掲載社数が増加。20代のフリーターに人気
(4)6月末で約8万人の会員を獲得
5.[en]学生の就職情報
(1)前年同期比1億円(53%)の増収
(2)掲載社数は6月末時点で1,397社。前年同期比55%増
(3)「プロの仕事研究」掲載人数は6月末時点で前年同期比46%増の2,351人
(4)2008年3月度卒業者向け[en]学生の就職情報・就職準備サイトを6月にオープン
○ 2006年12月期業績予想
<非連結>
(単位:100万円)
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予想
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前期比
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売上高 |
15,420
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+34.2%
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経常利益 |
4,716
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+23.3%
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当期純利益 |
2,630
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+19.4%
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増収・増益が見込まれます。
業績予想に変更はありませんが、期初の計画に比べ、広告宣伝費を3億60百万円、人件費を1億60百万円、それぞれ上乗せしました。
800人を予定していた期末人員を、900人に引き上げました。前期末に比べて、362人増加します。ネット求人広告市場の拡大に加え、企業の採用意欲も回復しているこの機を捉えて成長を加速させる考えです。
<セグメント別予想>
中途採用事業
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売上高 130億90百万円 |
経常利益 48億44百万円
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新卒採用事業 |
売上高 22億円 |
経常損失 99百万円 |
教育・評価事業 |
売上高 1億30百万円 経常利益 |
経常利益 1百万円 |
<進捗率>
同社の売上高は下期偏重の傾向があり、上期
: 下期 = 4 : 6 ないし、同 = 4.5 : 5.5です。
1.売上高
全社
46.0%
中途採用事業
47.2%
新卒採用事業
38.0%
教育・評価事業 64.6%
2.経常利益
50.1%
○ 今後の事業展開
ネット求人広告マーケットの更なる拡大が見込まれる中、エリア拡大と人材確保により継続的な成長を目指します。また、長期的には、ヒューマンリソースマネジメント(HR)周辺事業の強化、採用ビジネスの海外展開、更には新規分野への参入により業容の拡大を図ります。このため、主力事業が成長期にあるこの時期に、健全な不採算部門を持つことも必要と考えています。
<中国への進出について>
北京のネット求人広告会社 英才網聯(北京)科技有限公司へ出資しました。持分権の買取りと増資の引き受けにより3,500万元(約5億円)を出資、出資比率は49%となります。
英才網聯社は、既に中国において15の業界別転職サイトを運営しています。今後、エン・ジャパンが人材ビジネスのノウハウを提供することで、中国の企業と求職者のニーズに応えていくと共に、将来的には独自取材に基づく詳細情報も取り入れていく考えです。
この案件は海外進出の第一弾であり、今後の海外事業展開への布石としていく考えです。
【概要】 |
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資本金 |
: |
657.14万元(8,397百万円) |
董事長 |
: |
越智 通勝 |
従業員 |
: |
148名 |
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2005年実績
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2006年予定
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売上高 |
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437万元(63百万円)
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1,000万元(1.45億円)
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経常利益 |
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▲207万元(30百万円)
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最大▲1億円
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○ 取材を終えて
「転職は慎重に」と言う“爆笑問答”のテレビCMが好評なようですが、転職先を紹介している同社が「転職は慎重に」とCMで呼びかけるのは矛盾しているようにも思えます。
しかし、同社は転職先を紹介しているのではなく、求人をしている企業を紹介しているのです。「より多くの方に仕事の場で活躍して欲しい、そのためには真剣に自分が輝ける仕事を選んで欲しい」という「社会正義性」。そして、[en]学生の就職情報に掲載されている独自企画「プロの仕事研究」に代表される新しいサービス・システムを常に考え提供していく「独自性」。企業理念でもある「社会正義性」と「独自性」、これが同社の強みです。
3月末には563人であった人員が3ヶ月間で322人も増えました。この数字だけ見ると、「大丈夫だろうか」と思わず絶句してしまいそうですが、説明会で100名前後のアナリスト・ファンドマネージャーを前にプレゼンテーションを行った越智社長に驕りは全く感じられませんでした。
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