ブリッジレポート
(2435) 株式会社シダー

スタンダード

ブリッジレポート:(2435)シダー vol.3

(2435)シダー/ 山崎 嘉忠社長
2006年6月22日(水)
 


山崎 嘉忠社長

シダー 基本データ

- 株式情報(6/22現在データ)-

株価

時価総額

発行済株式数

単元株数

決算年月

1株配当

465円

2,668百万円

5,738,000株

100株

2006年3月

5.00円

配当利回り

PER

1株利益

PBR

1株株主資本

ROE

1.08%

16.04倍

28.99円

2.37倍

 196.19円

 15.71%

 

- 財務データ推移 -                            (単位:百万円)

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期利益

2002年3月期

1,594

17

21

11

2003年3月期

2,352

111

104

30

2004年3月期

3,125

122

97

41

2005年3月期

3,649

352

288

164

2006年3月期

4,251

309

297

166


 

シダーの決算説明会に出席しました。

山崎社長が、決算の概要、今期の戦略等について説明されました。

 

― 目次 ― (各タイトルをクリックすれば直接ご覧いただけます。)

     2006年3月期決算概要

     2007年3月期業績予想

     同社の特徴と強み

     2006年4月改定介護保険制度

     今後の戦略

     取材を終えて

 

 

○ 20063月期決算概要

<非連結>

(単位:100万円)
 
実績
前期比
売上高
4,251
+16.5%
営業利益
309
-11.3%
経常利益
297
+3.1%
当期純利益
166
+0.9%

 

増収ながら、営業減益となりました。

利用者増に伴う施設稼働率の上昇やデイサービスセンター2ヶ所の新設効果により、主力のデイサービス事業の売上が伸びました。施設分門では、有料老人ホーム5施設を開設、入居者獲得も堅調に推移しています。

ただ、200510月からの一部介護報酬の改定(食事加算の廃止等)が、60百万円の減収・減益要因となりました。加えて、前期は営業外に計上されていたIR関連費用が今期から販管費に計上されています。このことが、営業損益段階で31百万円の減益要因となりました。

 

 

<セグメント別動向>

(単位:百万円)
 
実績
構成比
前期比
デイサービス
3,281
77.2%
+16.7%
訪問看護(リハビリ)
391
9.2%
+3.2%
ホームヘルパー
182
4.3%
-12.7%
ケアプラン
243
5.7%
+1.3%
施設部門
152
3.6%
+1730.1%
合計
4,251
100.0%
+16.5%

 

 

○ 20073月期業績予想

<非連結>

(単位:百万円)
 
予想
前期比
売上高
4,900
+15.2%
営業利益
113
-63.5%
経常利益
100
-66.4%
当期純利益
52
-68.2%

 

増収・減益の予想です。
2の収益の柱として育成中の有料老人ホーム事業において、9施設の新設を予定しています。
利益面では、常勤を減らしてパートの比率を上げるなど経費削減に努めるものの、20064月からの介護報酬改定の影響を大きく受ける上、有料老人ホーム開設費用及び管理強化に伴うコスト増も負担となります。

 

 

<セグメント別予想>

(単位:百万円)
 
予想
構成比
前期比
デイサービス
2,973
60.7%
-9.4%
訪問看護(リハビリ)
412
8.4%
+5.3%
ホームヘルパー
170
3.5%
-6.6%
ケアプラン
225
4.6%
-7.5%
施設部門
1,117
22.8%
+734.8%
合計
4,900
100.0%
+15.2%

 

 

○ 同社の特徴と強み

高齢化社会を向けるに当たって予防重視型システムへの転換が求められています。このため、同社は専門スタッフを充実させリハビリテーション重視の施設運営及びサービスを志向しています。

 

<新規施設のデイサービス平日平均推移>

 

 

<デイサービス利用者(全体)の推移>

利用者数、利用件数共に増加傾向にあります。

 

<ゆとりのリハビリスペース>

主力事業であるデイサービス事業は、リハビリセンターの運営事業と言い換えることもできます。「予防重視のサービス」を積極的に提供しています。

 

 

 

<利用者に優しい最新鋭のリハビリマシン>

利用者に優しい最新鋭のリハビリマシンを導入すると共に、リハビリの習慣を身につけてもらうための様々なメニューも用意しています。

 

<高齢者施設をイメージしない明るい施設>

また、来たくなる空間造りがポイントです。


 

 

 

<個別に選択できる多様なサービス>

1日をゆったりとリラックスして過ごしてもらえるように、リハビリ以外の設備とサービスにも配慮されています。

 

 

 

○ 20064月改定 介護保険制度

<高齢者人口(65歳以上)の増加>

高齢者人口の増加と介護サービスの認知度向上に伴い、介護サービスの需要は持続的な拡大が見込まれています。

 

 

<要介護度別認定者数の推移>

2000年4月からの増加率
要支援
要介護
1
要介護
2
要介護
3
要介護
4
要介護
5
122%
137%
53%
61%
45%
62%
84%
社会保険旬報2005年4月をもとに作成した同社資料より

 

介護保険財政の健全性を維持するために、給付負担の軽い「要支援」や「要介護 1」の認定者が増える傾向にあります。

「要支援」、「要介護 1」と認定された方には、自らをケアして少しでも健康な状態に近づける努力が求められますが、ある調査によると、介護保険法による要支援認定者の48.9%が、支援開始から2年後にはその認定が重度化(症状が悪化)しており、更に8%が死亡しているそうです。同社では「単に生活の世話を受けるだけでは、要支援認定者がその後充実した生活を送ることにはつながらず、かえってマイナスになりかねない。充実した生活を送るためには元気な体作りが不可欠である」との認識の下、専門スタッフを充実させリハビリテーション重視の施設運営及びサービスを提供しています。

 

<運動能力に合わせたプログラムと豊富なトレーニングマシンの種類>

理学療法士、作業療法士など専門スタッフの陣容は、大手のリハビリ専門病院に匹敵する規模を誇り、運動能力に合わせた最適なプログラムが用意されています。

 

<体力評価の結果>

 

このデータは、20056月から7月までの新規利用者のうち、要介護区分が「要支援」又は「要介護 1」で、体操及びマシントレーニングの実施者を対象にした評価結果です。

比較的個人差は大きいものの、リハビリテーションにより運動能力は平均して17.7%改善しています。

 

 

20064月改定 通所介護の介護報酬の見直し>

 

デイサービス施設(80/日)での試算収支

改定前は1件当たりの収益が9,500円程度でした。このため、80人が利用した場合の1日の収入は76万円、1ヶ月(30日)では2,280万円になりました。一方、月間の費用は、人件費を収入の約40%(912万円)、固定費を収入の約30%(684万円)とします。すると、1ヶ月の収支は684万円となります。

改定後は1件当たりの収益が7,800円程度になります。このため、80人が利用した場合の1日の収入は62万円、1ヶ月(30日)では1,860万円になります。一方、月間の費用は、人件費(常勤職員をパートに切り替えコストを圧縮)を収入の約40%(744万円)、固定費は、684万円としますと、1ヶ月の収支は432万円となり、252万円減少してしまいます。

 

 

 

○ 今後の戦略

(1)介護付有料老人ホームの強化

(2)訪問リハビリの強化

 

(1)介護付有料老人ホームの強化

自由で上質な暮らしへの「住み替え」、「暮らし替え」を提案します。そして、生活全般へのサービス支援により安心をもっと身近に感じて頂きます。

 

<全世帯に占める高齢者一人暮らし世帯の割合>

同社は高齢化の進行が早い地域(比率上昇が大きい地域)へ拠点展開を進めています。

 

 

 

<高齢者一人暮らし世帯の増大>

 

 

<全国有料老人ホーム全施設数・定員数ランキング>

 

 

<介護付有料老人ホーム ラ・ナシカ今年度事業計画>

 

既存施設(5施設)

ラ・ナシカ あすみが丘 (干葉) 平成179

ラ・ナシカ ふじまつ   (福岡) 平成1710

ラ・ナシカ みとま     (福岡) 平成1711

ラ・ナシカ ちはや    (福岡) 平成183

ラ・ナシカ こうざい    (香川) 平成183

 

今年度オープン予定(9施設)

ラ・ナシ力 もりまつ  (愛媛) 平成185

ラ・ナシ力 ていね   (北海道)平成186

ラ・ナシ力 たかしな  (干葉) 平成187

ラ・ナシカ つるみ   (大阪) 平成187

ラ・ナシ力 さかい   (大阪) 平成188

ラ・ナシ力 くらしき   (岡山) 平成188

ラ・ナシ力 おかやま  (岡山) 平成1810

ラ・ナシ力 おたる   (北海道)平成1811

ラ・ナシ力 いなげ   (干葉) 平成1811

 

<介護付有料老人ホーム ラ・ナシカの特徴>

・充実のトレーニングメニュー

専門の職員による指導と充実のトレーニングマシン

体調に合わせた最適なメニュー

 

・栄養バランスの優れたおいしい食事

リビング感覚の明るく開放的な食堂

栄養バランスに優れたおいしいメニュー

 

・本格的な娯楽設備

カラオケ、映画等を自由に楽しめる空間

図書スペースやパソコンルーム等も準備

 

・温泉気分でリフレッシュ

温泉気分でゆっくり入浴できる大浴場

職員の介助による入浴

 

 

・年間行事イベント

日中の囲碁・将棋や手工芸等の趣味活動はもちろん、春夏秋冬、既設に合わせた各種イベントが企画されています。また、入居している方とスタッフとの懇親会や、多彩なレクリエーション等も行なっています。

 

・地域に根ざしたコミュニティーケア

「外部の方が自由に使える施設」、「地域に役立つ施設」、「地元に溶け込んだ施設」を目指しています。

①図書・パソコンルームやトレーニングルーム等コミュニティースペースの地域への開放

②周辺他施設のスタッフの指導・育成・組織づくり

③健康教室や介護相談会の開催

④地域に根付いたリハビリ・ヘルパーの派遣

 

(2)訪問リハビリの強化

居宅サービス全体からみた「訪問リハビリテーション」の利用者率(0.9%)と費用額のシェア率(0.2%)は低く、成長余地が大きいと言えます。一方、作業・理学療法士は不足している状態です。同社は生活環境に合わせたトレーニングにより在宅生活での自立を支援します。また、住宅改修のためのアドバイスや仲間作りためのレクリエーションの企画等も行なっています。

リハビリスタッフは現在30名ですが、80名体制への移行を進めています。

 

教育の充実

教育の充実により、介護予防専門職、介護職員、理学療法士、作業療法士の育成に努めます。そして、中長期的には、通所、訪問、施設の3本柱の事業をバランスよく展開し、リハビリテーションにおいて他社と更に差別化し、事業規模の拡大を図る考えです。

 

 

 

拠点紹介

 

○ 取材を終えて

20064月の法改正により今後の有料老人ホーム建設が難しくなるため、20073月期は介護報酬がカットされる逆風下ではありますが、有料老人ホーム9施設を一気に設立ち上げる計画です。20073月期は、この先行投資が負担となりますが、9施設が通期で寄与する20083月期は業績の拡大が期待できます。

また、中長期的にはリハビリを重視する同社の姿勢が評価され、更なる業績拡大につながっていくものと思われます。引き続き同社の事業展開をフォローしていきたいと思います。

http://www.cedar-web.com/

このレポートは公開された企業情報の提供を目的としており、対象企業に対する投資の推奨、勧誘などを目的としたものではありません。投資の最終判断は御自身で行ってください。仮にこのレポートに基づいて投資を行った場合でも、その結果に対し弊社には一切の責任は生じません。