ブリッジレポート
(4849) エン・ジャパン株式会社

プライム

ブリッジレポート:(4849)エン・ジャパン vol.9

(4849)エン・ジャパン/越智 通勝社長
2006年5月20日(土)


越智 通勝社長

 

エン・ジャパン 基本データ

 株式情報(現在データ)-
株価
時価総額
発行済株式数
単元株数
決算年月
1株配当
665,000円
160,071百万円
240,709株
2005年12月
2,300円
配当利回り
PER(連)
1株利益(連)
PBR(連)
1株株主資本(連)
ROE(連)
0.35%
(単) 72.24倍
(単) 9,205.85円
(単) 22.89倍
(単) 29,049.85円
(単) 36.41%


連結財務データ推移 -  (単位:百万円)
決算期
売上高
営業利益
経常利益
当期利益
2001年12月
1,876
933
898
464
2002年12月
3,107
1,305
1,283
663
2003年12月
4,372
1,749
1,754
1,083
2004年12月
6,980
2,245
2,254
1,253
2005年12月
11,491
3,791
3,826
2,203


同社が5月に発表した第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告いたします。

 

― 目次 ― (各タイトルをクリックすれば直接ご覧いただけます。)

  ・ エン・ジャパンの特徴について

  ・ 事業内容について

  ・ 外部環境について

  ・ 平成18年12月期第1四半期決算概況について

  ・ 平成18年12月期の業績予想について

  ・ 英才網聯(北京)科技有限公司への出資について

 

○ エン・ジャパンの特徴について

23年間にわたる求人広告ビジネスのノウハウをベースとしつつ、将来インターネット社会が中心になることを見据えて1995年にサイトを立ち上げたネットビジネスの先駆者でもあるという、ネットとリアルの両方の側面を持つ、いわゆる「クリックアンドモルタル型」のビジネスモデルです。
同社の特徴は、原稿については100%取材をおこない、求人企業のよいところだけでなく、あえて仕事の厳しさを記載するところにあると言えます。世界を見渡しても類をみないモデルでもありますが、これは、同社の「社会正義性」と「独自性」という理念に基づいたものであり、「人間成長R」という言葉の中に、同社の仕事や職業というものに対する考え方を窺い知ることが出来ると思います。

 

<人間成長Rとは : 「仕事を自らの成長ステージと捉え、心技一体のプロとして心物両面豊かになること」>


同社は、業界の未経験者をゼロから育てている会社で、入社の条件として三つの条件があり、この三つの条件に賛同していただく方に来て欲しいという考え方をはっきり示すそうです。

一つ目は、正社員である限りは一流を目指す人。

仕事そのものを自分の成長の場として捉えられる陽転思考をもてること。これは、仕事というのは楽しいこともあるけれども、つらいことが多い。プロだから当たり前のことですが、それを嫌々ながらやるのではなく、自分の成長の糧としてとらえることができるかどうか。


二つ目は、いい意味で仕事人間になれるかどうか。


例えば、野球で一流になろうと思ったら野球を、ボランティアで一流になろうと思えばボランティア、というように特に若いときに、人から何を言われようがその仕事に打ち込めだけのエネルギー、集中力を持っている人かどうか。当然、仕事だけでなく家庭も大切にできること。
 

三つ目は、仕事や社会で受けた恩を忘れない。


年功序列や終身雇用制が崩壊し、成果報酬が中心となる中で、若い人の間に間違った仕事観を持つ人も増えております。いくら能力があるからといっても、新卒ですぐに活躍することは難しく、先輩や上司からの育ててもらって一人前への道を歩むわけです。それは自分ひとりで得ることは不可能で、いわば育ててもらっているという過程を必ず経るものでありますが、近年の社会風潮として、この受けた恩を忘れる、自分の事しか考えていないという道徳、倫理の欠如が目立ってきている中で、もう一度教育していかないといけないと越智社長は考えているそうです。だからこそ同社に入社するに際しては、この考え方を切り替えられるかどうかを3つ目の条件として聞くそうです。
 
すなわち、一流というのは仕事が出来るだけではダメであり、人間的な感動を与えるような人、すなわち人から受けた恩を返すテイクアンドギブの精神がなければ人間的に成長できないというのが越智社長の持論でもあり、エン・ジャパンの社風でもあると思います。



○ 事業内容について

同社の主要な事業は、下図のとおりです。主力である[en]社会人の転職情報が、売上の57%を占めます。他社との差別化としては、通常の求人広告は人事担当者が書いた原稿などを掲載するのが多いそうですが、同社は1社ずつ独自に取材や動画撮影をおこない、「仕事のやりがい」だけでなく、敢えて「仕事の厳しさ」も書くことにあります。厳しさを書くことにより雇用のミスマッチを防ぐほか、長く働いてもらえることを意図しており、これが同社の質的No.1たる所以だと思われます。

各サービスの売上高の推移については、次のとおりです。




○ 外部環境について

同社の調査によりますと、2010年の求人広告市場全体としては、4050億円に縮小するものの、従来の紙媒体からネットへの移行が進むことで、ネット市場としては2005年と比べて2.5倍の3000億円まで増えると予想しております。
また、内訳としては、やはり中途求人広告が1800億円(2.8倍)、アルバイト・パート求人広告が850億円(4.3倍)、新卒求人は横ばいの300から400億円と、それぞれ予想しております。
従いまして、同社の外部環境としても、これからもますます好況を呈するものと思われます。

 

○ 平成18年12月期 第1四半期決算概況について

 
実績(百万円)
前年同期比(%)
売上高
3,574
+43.2
営業利益
1,426
+40.9
経常利益
1,429
+41
四半期(当期)純利益
794
+37.8

 

要約

引き続き売上利益とも好調な結果となり、各サービスも順調に伸びてきております。加えて、昨年2月にサイトをオープンした「[en]本気のアルバイト」も好調な伸びを示しております。
また、昨年10月にスタートした平成19年4月新卒採用向けの「[en]学生の就職情報2007年度版」も順調な立ち上がりを見せており、全体としても前年同期比で大幅な伸びとなりました。

 

<サイト別の売上高>
 
17年12月期第1四半期
18年12月期第1四半期
売上高
構成比
前年同期比
売上高
構成比
前年同期比
(千円)
(%)
(%)
(千円)
(%)
(%)
中途採用関連事業
 [en]社会人の転職情報
1,478,700
59.3
73.1
1,942,087
54.3
31.3
 [en]転職コンサルタント
273,305
11
21.3
344,895
9.7
26.2
 [en]派遣のお仕事情報
342,342
13.7
71.6
577,850
16.2
68.8
 [en]本気のアルバイト
17,723
0.7
-
169,665
4.7
857.3
そ の 他
21,067
0.8
-
41,479
1.2
96.9
新卒採用関連事業
 [en]学生の就職情報
216,859
8.7
-
318,601
8.9
46.9
そ の 他
117,864
4.7
-
143,273
4
21.6
教育・評価関連事業
27,308
1.1
-
36,363
1
33.2
合計
2,495,170
100
95.1
3,574,213
100
43.2

<四半期業績の推移>

 

○ 平成18年12月期の業績予想について 

(単位:百万円)
 
通期
前期実績
売上高
15,420
11,491
経常利益
4,716
3,826
当期純利益
2,630
2,203


― ポイント ―


前期に比べて増収増益を予想しております。
企業の業績は好調に推移すると予想され、加えて団塊世代の大量退職も控えていることから、引き続き企業の採用需要は旺盛であると考えられます。これによって求人広告ニーズもますます増大することが予想されます。
引き続き積極的な広告を行って知名度・認知度を向上させることにより、当社のサイトへの求職者の集客能力を高めるほか、人員増強等の施策によって、より一層営業力・制作力を強化し、質を重視しつつ成長していくとのことです。

 



○ 中国 英才網聯(北京)科技有限公司への出資について

エン・ジャパン社は、5月16日に中国の英才網聯(北京)科技有限公司に対する出資(出資金額は3500元(約4.9億円)で同社の出資持分権の49%)について、同社と合意いたしました。
中国経済の発展に伴い、人材の需要は年々拡大する中、今後の同国における人材ビジネスにおけるマーケットの成長が予想されます。同社は、中国において15の業界別転職サイトを運営しており、すでに中国市場での実績があります。エン・ジャパンが得意とする独自取材などのノウハウを取り入れていくなどおこなうなど、エン・ジャパンの海外進出第1弾として、下図にもあるように、今後の海外事業展開の足がかりとなると思われます。

(参考:エン・ジャパンの今後の戦略図)

 

http://www.en-japan.com/company