ブリッジレポート
(6914) オプテックスグループ株式会社

プライム

ブリッジレポート:(6914)オプテックス vol.17

(6914)オプテックス  小林 徹社長
2006年3月3日(金)

オプテックスを取材しました。
大津の本社で小林社長にお話を伺いました。

小林 徹社長

2005年12月期決算概要

<連結>
 (単位:100万円)
 
実績
対前年比
売上高
19,012
+10.90%
営業利益
2,655
+23.00%
経常利益
2,776
+19.60%
当期利益
1,584
+22.10%

2桁の増収・増益となり、売上高・利益共に過去最高を記録しました。


<事業分野別動向>

防犯用製品
売上高 9,983百万円(前期比 -1.3%)

国内市場:犯罪の増加と多様化により防犯機器に対する需要が高まっているものの、前期好調だった画像関連製品の大型物件向け売上高の低迷により、国内売上高は前期を下回りました。
海外市場:前期好調であった韓国向けを中心とするアジア地域への売上高が減少したものの、欧州向け及び南アフリカ向けのセンサ関連製品が好調に推移し、売上高は前期を上回りました。


自動ドア用製品

売上高 4,268百万円(同 +25.3%)

国内市場:民間設備投資が堅調に推移したことに加え、自動ドアに対する安全性重視のニーズの高まりによる置換え需要が拡大。また、前期より同社グループに加わった技研トラステムの客数情報システムの受注が好調で、売上高は前期を上回りました。
海外市場:欧州及び北米、韓国向けの売上高が好調で、売上高は前期を上回りました。


産業機器用製品
売上高 3,584百万円(同 +12.2%)

国内市場:従来当社グループの市場シェアが高い3品(食品・薬品・化粧品)業界に加え、半導体、自動車業界向けへの販路開拓により、汎用センサの売上高が好調に推移しました。
海外市場:汎用センサを中心に欧州向けの売上高が好調であったため、売上高は前期を上回りました。


環境関連
売上高 113百万円(同 +4.1%)

公共投資の冷え込みにより既存製品の売上高が低迷したものの、デジタルパックテストや濁度計といった単機能・低価格な新製品の売上高が好調でした。
輸出もスタートしました。



<地域別動向>

日 本
売上高   15,853百万円(前期比 + 7.9%)
営業利益   2,263百万円(前期比 +36.3%)36.3%増)

「防犯用製品」
依然として増大する社会不安を背景に、その需要が高まると共にニーズの多様化が進んでいます。
画像記録装置や機械警備用センサ、個人用途向けの新しいコンセプトの防犯用製品の販売に注力しましたが、前期好調であった画像関連製品の大型物件向け売上高の低迷と、新しいコンセプトの新製品が市場に浸透するのに時間を要したため、売上高は前期を下回りました。

「自動ドア用製品」
民間設備投資の増加や、自動ドアに対する安全性重視のニーズの高まりによる置換え需要の発生で、売上高は前期を上回りました。

「産業機器用製品」
設備投資の回復と積極的な新規販路開拓により、増収となりました。

北米
売上高  1,814百万円(前期比 +2.5%)
営業利益    16百万円(前期 36百万円の損失)

「防犯用製品」
屋外用センサの販売が堅調に推移し、売上高は前期を若干ながら上回る結果となりました。

「自動ドア用製品」
自動ドアに対する安全性が重視され、増収となりました。

ヨーロッパ
売上高 2,605百万円(前期比 - 0.6%)
営業利益   71百万円(前期比 -61.2%)

防犯用製品は、イギリスにおける公共投資減少の影響を受けた結果、減収となり、販管費の増加で減益となりました。

アジア
売上高 5,301百万円(前期比 +27.2%)
営業利益  190百万円(前期比 -40.6%)

韓国における防犯用機器の売上高が減少したものの、中国工場における生産受託事業が順調に推移しました。

 

2006年12月期決算概要

<連結>
(単位:100万円)
 
予想
対前年比
売上高
21,300
+12.00%
経常利益
3,100
+11.70%
当期利益
1,750
+10.50%

今期も2桁の増収・増益を計画しています。
積極的な新製品の投入や、新規事業分野の創出・育成などにも注力し、更なる成長を目指していく考えです。
特にセンサ技術や画像技術の応用範囲を拡大し、徹底した顧客ニーズへの対応力を強みとして、事業拡大を図っていきます。
一方で、激化する市場競争に即応するため、生産の合理化追求などにより、更なるコストの削減を図り、利益の確保に努めていきます。

 

今後の経営方針

前期決算は増収・増益となりましたが、社内計画を下回ったことで小林社長は決して満足していません。
結果を踏まえ、今期及び今後の経営方針について伺いました。


<2006年経営方針>


「確実な事業規模拡大のための前進」(「組織・チーム」の力で「信頼」される企業になる。)というテーマの下、以下の3点に注力します。

・ 新規事業の創出、育成
前回のレポートで紹介した「ドライブ・トレーナー」のような新規事業を拡大していきます。

・ 既存事業の経営効率改革
直近力を入れている画像システムのみでなく、既存のセンサでも海外などでの更なるシェアアップを図ります。

・ コスト競争力、収益体質の更なる強化
経常利益率15%を目指します。



<事業別ポイント>


1. 防犯事業

「方針」

犯罪の増加・凶悪化とそれに呼応して防犯システムに対する重要度は益々増加しています。
そうした中、防犯システムにおける課題を認識しています。

・ 侵入後検知から侵入前検知へ(屋内検知から屋外検知へ)

・ 誤報の徹底排除

・ 有人警備レベルの警備機能を有しつつ、コスト削減の実現

こうした課題解決のため、警備会社等で使用する機械警備システム向け防犯機器「モニタリング・セキュリティ」においては、以下のような戦略の方向性を考えています。
・ 屋外センサ(アウトドア・プロテクション)への注力
・ 高信頼性センサ技術に加え、画像技術、通信技術などの融合によるシステムの強化
・ 英国での画像遠隔監視システムの事例を元に、世界展開

「戦略」

「3つのHigh」の追求により市場シェア拡大と新規市場開拓を狙います。

High reliability(高信頼性)の追求
誤動作防御、妨害工作検知機能を搭載した屋内・外用センサを販売します。
英国では防犯センサに対する新しい規格が定められ、妨害工作検知(アンチマスキング)機能が搭載されていない防犯センサは実質的には販売できなくなりました。
今後、欧州各国も同様の対応を取ると予想されます。

High efficiency(高性能)の追求
高性能屋外設置センサによるアウトドア・プロテクションの積極販売を進めます。
アウトドア・プロテクションを推進することにより、侵入者の検知を早め、現行の機械警備システムの弱点を補います。
信頼性を更にアップし、シェアの拡大を目指します。

High deterrent(高抑止力)の追求
海外市場に対するより進化した画像防犯システムの提案による新規市場の開拓を目指します。
今回小林社長が特に強調していらしたのがこの分野で、「RVR事業部」を新設しました。
RVRとは「Remote Video Response」の略で、防犯センサと防犯カメラとの融合による、より進化した防犯システムのことで、これを提案することにより海外防犯画像市場を積極的に開拓していきます。

*RVRシステムの概要
自動車ディーラーの展示場などで柱に防犯カメラと防犯センサを設置。
侵入者があった際、遠隔地でモニタリング専門会社が侵入者を検知すると、カメラ映像を確認しながら音声威嚇で撃退すると共に、証拠画像を録画します。
専任体制をしき、今期から事業拡大の絵を描いています。
ビジネスモデルとしては、単にセンサを販売するのみではなく、サービスカンパニー(モニタリング専門会社)を運営し、より付加価値の高いソリューション提供を目指しています。
屋外警備のマーケットは大きく、また確実に伸びると見ており、期待を持っているとのことです。


2. 自動ドア事業

自動ドアには安全性の追求が世界共通の最大の課題です。これに対しては既存技術である赤外線センサ技術により更なる安全性やスムーズな開閉を追求します。
また、安全性と同様に必要性が増しているのが「防犯性能」であり、同社の独自技術である画像技術や子会社「技研トラステム」の画像センシング技術を活用した「自動ドア用共連れ防止センサ」、「来客者数画像カウントシステム」など、同社独自の製品によって対応していきます。

具体的戦略として、国内市場においては、

・ 赤外線センサの安全性の向上によるシェア50%維持(検知エリアの拡大、見直し)

・ 自動ドア周辺事業に着目した新規事業開発(画像センシング技術や防犯関連技術の活用)
を、海外市場では、

・ ハイブリッド方式自動ドアセンサの海外への積極展開(同社の赤外線センサと海外で主流の電波式センサの共用による検知エリアの拡大)による世界シェア50%の早期実現

・ 画像センシングセンサ(共連れ防止センサ)の新機種投入
を掲げています。

国内のシェアを維持するとともに海外のシェアップを図り、他社との差を広げていく考えです。


3. 産業機器、環境関連

どちらも得意分野への特化戦略を推進していきます。


4. 新規事業

人的検知機能や物体検知機能といった既存技術の活用による「お困りごと」の解決策を提案するという方針の下、交通事故防止、抑止のために「交通関連事業」へ進出。専任組織としてSTP事業部(Safety Transportation Processing)を設置しました。
前回のレポートで紹介した、「ドライブトレーナー」の拡大に注力します。

まずは一部の商用車が対象であり、現時点で見えているマーケットはそう大きいものではないそうですが、様々なニーズに対応した製品開発を進め、厚みを増して中長期の拡大を目指しており、小林社長は大いに期待していらっしゃるそうです。


以上のような各事業における戦略を推進し、「2007年度連結経常利益 50億円、連結売上高 300億円」という「七五三計画」の実現にこだわっていきたいとのことでした。

 


取材を終えて

これまでも取材をする際に、小林社長は同社の最大の課題として「人材の育成」を上げていらっしゃいました。
「もちろん100%ではないにせよ、、」との但し書き付ではありますが、人材は着実に育ってきていると小林社長は認識しています。
適度な危機意識の下、「従来の延長線上の事業構築では通用しない」との意識が社員に根付き、発想、行動に変化が出てきているようです。

同社が更なる成長を遂げるドライバーは「RVR」と「交通関連事業:STP」になっていくものと思われます。
既存事業の拡大とともに、これら新たな取組みの今後についてもフォローして行きたいと思います。

 

http://www.optex.co.jp/

このレポートは公開された企業情報の提供を目的としており、対象企業に対する投資の推奨、勧誘などを目的としたものではありません。投資の最終判断は御自身で行ってください。仮にこのレポートに基づいて投資を行った場合でも、その結果に対し弊社には一切の責任は生じません。