2006年5月期中間決算概要
<非連結>
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(単位:100万円) |
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実績
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対前期比
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期初計画
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取扱高 |
4,635
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+28.1%
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4,085
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売上高 |
1,281
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+48.6%
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1,187
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営業利益 |
323
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+11.5%
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301
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経常利益 |
325
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+13.9%
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299
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当期純利益 |
191
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+14.8%
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169
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取扱高が順調に拡大、全項目で計画値をクリアしました。
6月4日に開催された上場記念オークションは、落札総額がルノアールの作品3億10百万円を含む約14億円となり、売上増に貢献しました。
高額品の取扱いが増加したことも、この中間決算の特徴です。
<健全な財務>
オークションで落札された美術品が再び市場に出回るのは、相続が発生した場合などに限られるそうです。このため、購入から売却までのサイクルは20~30年、或いはそれ以上になります。安心して購入してもらうためには、売りたい時に何時でも売れる市場が必要です。同社は、こうした二次流通市場を提供する役割も担っています。このため、バランスシートに細心の注意を払い、健全な財務体質の維持に努めています。
<セグメント別動向>
(単位:100万円)
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実績
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手数料収入① |
811
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カタログ収入② |
67
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小計③=①+② |
878
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商品売上高④ |
402
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(商品売上原価)⑤ |
(286)
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粗利③+④-⑤ |
995
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商品売上高とは、顧客の都合で引き取った美術品を売却した際の落札額です。
<部門別取扱高実績>
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(単位:100万円) |
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実績
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構成比(%)
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近代美術オークション |
3,376
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72.8
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近代陶芸オークション |
259
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5.6
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近代美術Part-2オークション |
460
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9.9
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その他オークション |
400
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8.6
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プライベートセール |
104
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2.2
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その他 |
33
|
0.7
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合計 |
4,635
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100.0
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<販売費及び一般管理費>
営業員の増員や株式上場に伴うIR経費の増加により、販売費及び一般管理費は前年同期比41.2%増の5億79百万円となりました。売上原価に近い性格の支払販売手数料及び支払手数料が計画を上回りましたが、全体としてはほぼ計画通りに推移しました。支払販売手数料及び支払手数料の増加は、出品に係る紹介案件の増加に伴う紹介手数料の増加が要因です。
<中間期の落札実績>
「主な高額落札品」
2005年6月開催 近代美術オークション
婦人習作 花籠を持つ少女:ルノワール 3億1,000万円
マルコポーロ東方見聞行:平山郁夫 2億1,000万円
2005年9月開催 近代美術オークション
Buste de femme パブロ・ピカソ 1億8,000万円
2005年11月 近代美術オークション
墨繪牡丹圖:村上華岳 7,000万円
玄猿:橋本関雪 4,000万円
経営戦略
主力の近代美術オークションでは、明治以降の近代日本作家群の作品を取り扱っており、これまでの最高落札価額は、岸田劉生「毛糸肩掛せる麗子肖像」の3億6,000万円(2000年12月開催の近代美術オークション)です。一方、300年近い歴史を持つ海外のオークションでは、印象派等の著名作家の作品が数十億~百億円レベルで落札されているそうです。このため、150~200億円相当の日本の美術品が、高額で落札される海外のオークションに流れているとのことです。
同社は、CHRISTIE'SやSotheby'sなど海外の大手オークション運営会社に比肩するブランドの構築と日本のオークション市場の育成を目指しています。
<平均落札価格の推移>
美術品コレクターの間で、"高級美術品は「シンワ」"というイメージが定着しつつあるようです。近代美術オークションにおける、ここ1、2年の落札総額及び一点平均落札価額の伸びは目を見張るものがあります。
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2000年
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2001年
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2002年
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2003年
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2004年
|
2005年
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回数 |
4回
|
6回
|
6回
|
6回
|
6回
|
7回
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出品数 |
1,010
|
1,182
|
969
|
998
|
1,026
|
1,050
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落札数 |
850
|
970
|
845
|
828
|
904
|
936
|
落札率(%) |
84.2
|
82.1
|
87.2
|
83.0
|
88.1
|
89.1
|
落札総額(百万円) |
3,239
|
2,756
|
2,882
|
2,784
|
4,845
|
5,527
|
一点平均
落札価額(万円) |
381
|
284
|
341
|
336
|
536
|
590
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<財務基本方針>
財務基本方針として、次の5項目を掲げています。
・ROE15%以上の維持
・配当性向30%以上の維持
・経常利益2桁増益の継続
・在庫リスクの低減
(1年以上の在庫は持たない)
・固定資産・固定負債の管理
(フロー・ビジネスの徹底)
2006年5月期業績予想
<非連結>
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(単位:100万円)
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予想
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対前期比
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取扱高 |
8,190
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+13.9%
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売上高 |
2,190
|
+12.9%
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営業利益 |
516
|
+17.3%
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経常利益 |
511
|
+24.6%
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当期純利益 |
281
|
+19.6%
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キーワードは、「飛躍・堅実・遵守」(前期は「飛躍・変化・遵守」)
更なる高額作品の出品と落札に向けた積極的なマーケティングを展開すると共に、上場による知名度及び信用力の向上、営業部門の強化、業務提携の模索等の施策を進めていく考えです。
<デフレ終焉後の美術品市場>
現在、日本の美術品市場と世界の美術品市場との格差は違和感がある程大きいとの事です。ただ、デフレの終焉により、今後、美術品オークション市場への資金流入の活発化が予想されます。その過程で「日本の美術品の再評価が行われ、格差が是正されていく」と言うのが同社の見方です。
取材を終えて
日本の美術品の評価は、世界はもちろん同じアジアに位置する中国の美術品などと比べても低いそうです。日本の美術品市場が未だ未成熟であることが要因ですが、日本の美術品市場は未成熟なだけに成長余地も大きいわけです。ただ、景気回復に頼っただけの市場拡大では限界があり、海外の市場に一歩でも近づくためには、オークション運営者が出品・落札両面で営業を強化していく必要があります。
上場により向上した知名度及び信用力の活用や業務提携等、具体的にどのような施策を施していくか、業界最大手である同社の今後の展開に注目したいと思います。
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