2006年3月期第1四半期決算概要 <連結>
(単位:100万円)
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実績
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前年同期比
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売上高 |
15,000
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+11.0%
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営業利益 |
1,758
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+23.2%
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経常利益 |
1,617
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+21.9%
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四半期純利益 |
942
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+29.1%
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主力の寮事業の拡大に加え、既存・新規事業所(施設)共に好調に推移したホテル事業、M&Aや提案営業の成果が現れた総合ビルマネジメント事業が高い伸びを示しました。
尚、同社グループの主力事業である寮事業は、毎期4 月に学生寮事業の新寮生を迎えるため、それに伴う保証金に係る売上が期初に計上されます。このため、年間を通じて比較すると第1
四半期に利益が集中する特性があります。
<セグメント別動向>
(単位:100万円)
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実績
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前年同期比
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内部売上を
含めた売上高
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前年同期比
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寮事業 |
9,083
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+2.3%
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9,095
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+2.3%
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ホテル事業 |
2,051
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+45.6%
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2,026
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+45.2%
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総合ビルマネジメント事業 |
2,232
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+11.8%
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3,499
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+28.7%
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フーズ事業
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606
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+21.9%
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1,029
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+18.6%
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デベロップメント事業 |
474
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+136.1%
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509
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+6.3%
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その他事業 |
554
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+5.9%
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817
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+3.4%
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合計 |
15,000
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+11.0%
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17,009
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+12.2%
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寮事業 : 学生寮、社員寮、ドミール、受託寮の管理運営
学生に人気の学生寮・ドミール(ワンルームマンションタイプ寮)を新たに13 棟オープン。6月末現在の寮事業全体の稼動契約数は23,746
名(前年同期1,077 名増)となり、売上高は9,095 百万円と前年同期比2.3%増加しました。
ホテル事業 : ドーミーイン、スパ、リゾート事業
ビジネスタイプのドーミーインが高い稼働率を維持していることに加え、夏のリゾートシーズンを前にリゾートタイプの事業所も順調に推移しました。また、前期7月にオープンした「ザ・ビーチタワー沖縄」、当期4月にオープンした「ドーミーイン札幌アネックス」といった新施設も好調に推移、売上高は2,060
百万円と同45.2%増加しました。
総合ビルマネジメント事業 : オフィスビル及びレジデンスビルマネジメント事業
前期3 月に全株式を取得し子会社化した「日交ファシリティマネジメント(株)」の業容が拡大。総合的なビル管理の提案営業により新規取引先の開拓も進み、売上高は3,499
百万円と同28.7%増加しました。
デベロップメント事業 : 建設・企画・設計・仲介事業、分譲マンション事業、その他開発付帯事業
前期まで行っていた大規模工事(工事進行基準適用/ザ・ビーチタワー沖縄)の完成引渡しに伴う減収を、新規開発物件の受注で補い、売上高は509
百万円と同 6.3%増加しました。
2006年3月期通期業績予想 <連結>
(単位:100万円)
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予想
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前期比
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売上高 |
62,600
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+7.9%
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営業利益 |
5,000
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+13.4%
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経常利益 |
4,630
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+4.9%
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当期純利益 |
1,740
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-25.7%
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主力の寮事業に加え、「ザ・ビーチタワー沖縄」が通期で稼動するホテル事業、前期の新規受注案件が寄与する総合ビルマネジメント事業等をけん引役に増収・増益が見込まれます。
経常利益の伸びが低いのは、有価証券売却益(前期計上額 約329百万円)を見込んでいないためです。また、減損会計の導入に伴い、稼働事業所、電話加入権、遊休資産で13億円程度の減損損失を見込んでいます。
今後の見通し
同社は現在進行中の新中経営計画において、最終の09/3期に連結売上高935億円、経常利益78億円の達成を目指しています。売上高を今期予想比で約300億円増加させることになりますが、大雑把に言えば、寮事業で約100億円(300億円 → 400億円)、ホテル事業で約200億円(100億円 → 300億円)の上積みを目指しています。計画達成に向けた重点施策として掲げている次の3項目についてご説明頂きました。
(1)大学との提携強化による学生寮事業の成長加速
(2)ビジネスホテル事業の強化
(3)新しいリゾートホテル事業の基盤構築
(1)大学との提携強化による学生寮事業の成長加速
同社の寮事業は、地権者に対して土地の有効活用の機会を提供するという一面があります。ただ、同様に土地有効活用を提案するレオパレスや大東建託等のように、地権者から受け取る開発収益(企画・建築請負などにかかる収益)に依存するのではなく、建築後の寮の運営で収益を上げています。前者は受注棟数の多寡で収益が変動するフロー型のビジネスですが、後者は運営棟数の増加で右肩上がりの収益が期待できるストック型。言い換えると、収益予想が比較的立て易く、予想に対して実績が大きく振れる可能性の少ないビジネスです。このため、足下の状況で注意すべきポイントは、売上や利益よりも来期以降の業績に影響する提携校の開拓と物件開発の状況です。
その足下の状況ですが、少子化が追い風となり提携校の開拓が順調です。学校側は少子化に対応したサービス強化の一環として、寮の拡充に取り組んでいます。既に、06年4月のオープン予定1727室(ワンルーム12棟:834室、寮10棟:893室)が決まっていますが、旺盛な需要に応えるべく寮の確保に追われている状態です。
ちなみに、1室1ヶ月10万円とすると、10万円×12ヶ月×1727室=2074百万円の売上が見込めます。つまり、あくまで概算ですが、来期は21億円弱の増収が見込める計算になります。
(2)ビジネスホテル事業の強化
現在決まっている来07/3期オープン予定のビジネスホテルは、9棟(金沢、岡山、秋田、北見、仙台(2棟)、松本、東梅田、甲府)です。
出張宿泊や深夜業務宿泊等の企業ニーズが回復しつつあり、ビジネスホテル業界を取り巻く環境は良好です。ビジネス関係の利用者はリピート率が高く、場合によっては企業単位の取引に拡大する可能性もあります。この機を逃さず一気にネットワークを拡大して顧客を囲い込むことで、数年後には安定的に収益を生む事業に育てる考えです。
もちろん、ただ単に先行逃げ切りと言うだけでなく、「温泉感覚を取り入れた大浴場」と「美味しい朝食」というテーマにこだわることで差別化を図っています。また、女性専用サービスの導入や休日の家族利用など、個人顧客の利用増にも取り組んでいます。
(3)新しいリゾートホテル事業の基盤構築
現在確定しているリゾートホテルの来期のオープン予定は、箱根、強羅、奥飛騨、大雪山、南紀白浜、伊豆高原等、7棟です。
ビジネスホテル事業は今後3~5年が勝負。短期間でのネットワーク構築により一気に事業を拡大させ、その後は安定成長期に入ります。代わって成長のけん引役としての役割を担うのが、リゾートホテル事業です。この頃は団塊世代が定年退職を迎え、悠々自適な生活に入る頃。ある新聞の調査によると、団塊世代の男性の7割が、「引退後は、旅行、自動車、映画等の出費を増やす」と答えたそうです。
同社のリゾートホテル事業は、引退後の団塊世代を主要ターゲットとしたビジネスです。
各個室には、従来のようなユニットバスではなく露天風呂を完備し、差別化を図ります。1泊2万円程度の既存のホテルが、個室のユニットバスを露天風呂に改装すると、宿泊代を4万円程度に引き上げざるを得ないそうです。しかし、最初から露天風呂で設計されているのであれば、宿泊代はユニットバスとほぼ同じ2万円程度で済むそうです。
同社の寮では、1棟70~75室の寮を寮長・寮母の2人(調理・配膳の人員を含めて3人の事業所もある)で管理・運営します。この効率的なオペレーションをホテル運営にも応用し、必要最小限の人員による運営で人件費を抑制、またテレビコマーシャル等も行わず広告費を抑えます。こしたローコストオペレーションでリーゾナブルな宿泊料金を実現、一方、食材へのこだわりや源泉かけ流しの温泉など設備の充実により顧客満足度を追求、国内に30ケ所のリゾートホテルネットワークを構築する計画です。
取材を終えて
寮事業では懸念された少子化がかえって追い風となり、リゾートホテル事業では高齢化に伴う需要を取り込む考えです。言い換えると、今後避けて通れない「少子高齢化」に対応した事業ポートフォリオが出来つつあるわけです。
ただ、寮事業の拡大に加え、ホテル事業を加速させるため、引き続き積極的な投資が続きます。このため、資金の手当てが気になるところですが、株式の需給悪化につながるファイナンス等の心配はないようです。と言うのは、SPC(特定目的会社)、サブリース、定期借地権等を利用することで、バランスシートへの負担を軽減していく考えだからです。
課題を挙げるとすれば、寮事業では旺盛な需要を満たすための開発力、ホテル事業では人材の育成(もてなし)です。「事業の拡大や成否を占う上でのポイントである」とも言えます。
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