ブリッジレポート
(4767) 株式会社テー・オー・ダブリュー

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ブリッジレポート:(4767)テー・オー・ダブリュー vol.8

(4767)テー・オー・ダブリュー 川村 治社長
2005年8月10日(水)

テー・オー・ダブリューの決算説明会に出席しました。
川村社長、草柳専務、秋本専務、小林常務が、決算の概要及び今後の対応と施策について説明されました。


川村 治社長

 

2005年6月期決算概要

<個別>

(単位:100万円
 
実績
前期比
売上高
10,705
+11.1%
営業利益
771
-1.3%
経常利益
782
+2.2%
当期純利益
465
-0.3%

グループは、同社と連結子会社 1社(株式会社ティー・ツー・クリエイティブ)により構成されています。

<非連結>
(単位:100万円
 
実績
前期比
売上高
10,579
+10.2%
営業利益
740
-1.4%
経常利益
769
+1.0%
当期純利益
464
-2.1%

増収ながら、利益はほぼ前期並みにとどまりました。
下期の売上高が伸び悩む中、直接原価のコントロールが不十分であったこと、及び小規模案件から中規模案件への拡大が遅れていることが利益面で苦戦した要因です。

<特色と傾向>

(1)期中受注の推進不足
(2)企画勝率は3割を超える
(3)提案型案件の減少
(4)中規模案件の減少
(5)官公庁・団体(花博など)の増大、その他の減少

(1)期中受注の推進不足
上期は電通、博報堂の案件で繁忙を極め、中間決算予想を上方修正したほどですが、このため下期に向けての受注活動が十分に行えませんでした。結果として、通期の期中受注・期中制作高はほぼ前期並みにとどまりました。

(単位:100万円)
 
2004年6月期
2005年6月期
売上高
9,599
10,579
期首受注残高
3,978
4,939
期中受注・期中制作高
5,621
5,640


(単位:100万円)
 
上期
前年同期比
下期
前年同期比
売上高
5,772
+19.9%
4,807
+0.5%
営業利益
464
+16.6%
276
-21.6%
経常利益
476
+14.4%
293
-15.1%
当期純利益
274
+12.3%
190
-17.4%


(2)企画勝率は3割を超える

企画専門チームの拡大により企画案件の勝率(成約率)は3割を超えました。業界で唯一、企画専門チームを持つ同社の強みが発揮されました。

(単位:件数)
 
2004年6月期
2005年6月期
未決定企画本数
724
1,181
制作移行案件獲得数
197
366
勝率
27.2%
31.0%


(3)提案型案件の減少
営業色の強い提案型が不足しました。

(単位:100万円)
 
2004年6月期
2005年6月期
 
件数
金額
件数
金額
競合
279
3,499
347
4,750
提案
130
1,975
113
1,197
指定
371
4,079
421
4,510
合計
780
9,554
881
10,456
*企画売上高は除く


(4)中規模案件の減少
中長期的な業績拡大に向けた人材育成の途上にあり、小規模案件から中規模案件への拡大が遅れています。

(単位:件数)
 
2004年6月期
2005年6月期
前期比
~1,000万円
502
611
+21.7%
1,000~2,000万円
141
127
-9.9%
2,000~5,000万円
96
107
+11.5%
5,000~1億円
34
29
-14.7%
1億円~
7
7
0.0%
合計
780
881
+12.9%


(5)官公庁・団体(花博など)の増大、その他の減少
既存案件に追われて、新規営業に十分な時間を割くことが出来ませんでした。

(単位:100万円)
 
2004年6月期
構成比
2005年6月期
構成比
情報・通信
2,709
28.3%
2,921
27.9%
食品・飲料・嗜好品
994
10.4%
1,011
9.7%
化粧品・トイレタリー
469
4.9%
725
6.9%
自動車
1,774
18.6%
1,913
18.3%
精密機器その他製造
484
5.1%
485
4.6%
官公庁・団体
773
8.1%
1,396
13.4%
金融
402
4.2%
513
4.9%
流通・小売
562
5.9%
386
3.7%
その他
1,383
14.5%
1,106
10.6%
合計
9,554
100.0%
10,456
100.0%

 

2006年6月期業績予想

<連結>
(単位:100万円
 
予想
前期比
売上高
11,750
+9.8%
経常利益
662
-15.3%
当期純利益
355
-23.7%

 

<非連結>
(単位:100万円)
 
予想
前期比
売上高
11,400
+7.8%
営業利益
624
-15.7%
経常利益
621
-19.3%
当期純利益
336
-27.6%

 

売上総利益率の悪化が響き、増収ながら3期連続の減益となる見込みです。
ただ、試行錯誤を繰り返してきた人材育成のための教育研修プログラムが、完成の域に達してきました。これにより、既存の若手社員の営業力向上はもちろん、新卒・中途採用社員の早期戦力化のプロセスがシステム化されたわけです。質と量、両面からの営業力強化を背景に、来期から再来期にかけて再び成長軌道に乗る見込みです。

<品目別売上高>

(単位:100万円)
   
2004年6月期
2005年6月期
2006年6月期
イベント 博展
533
858
3,700
文化・スポーツ
65
232
広報
1,764
2,321
SP 販促
5,628
5,477
7,700
制作物
1,514
1,568
合計
9,505
10,456
11,400
*企画売上高は除く



今後の対応と施策


(1)積極的な営業アプローチのための営業体質強化
(2)粗利率アップのための原価低減
(3)特に若年層教育に力点をおいた組織体質強化

(1)積極的な営業アプローチのための営業体質強化

現状の課題と方向

①チーム(営業部門は14のチームに分かれている)格差の拡大 → 社内体質改善が必要
②SPのノウハウと機能が社内に充分蓄えられていない → SPのインフラの社内整備、全社的な取り組み

対応と施策
①社内体質改善による営業強化に向け、組織改革、人材確保、教育・研修、人事制度改善の実施
②SPの社内インフラ(プレミア制作、キャンペーンオペレーション、SPツール制作)の本格的な整備、及びSP推進体制の整備(イベントチームとSPチームの連携強化)


(2)粗利率アップのための原価低減

2005年6月期は、粗利率が20.5%と1ポイント低下しました。要因は、低収益案件の増加と同案件の平均粗利率の低下です。
低営収案件(粗利率15%未満)が、前期の17.3億円から28.9億円に増加すると共に、同案件の平均粗利率は9.05%から7.43%に低下しました。一方、通常案件(同15%以上)の平均粗利率は25.0%から25.4%に上昇しています。
2006年3月期の粗利率は20.12%を計画しており、0.38ポイント低下する見込みです。原因は、若手社員の成長の遅れ、SP業務の粗利率低下、及び博覧会案件の低粗利率見通し、の3点です。

対応と施策
教育による利益意識と技術の向上、コストマネージメントチームによる個別指導、及び低営収案件のチェック機能強化に取り組む考えです。


(3)特に若年層教育に力点をおいた組織体質強化

①大型チームである第1、第3、SP戦略本部に副本部長を設置し、本部長を補佐する体制を整備
②組織体制の変更 ⇒ 個別スキルの向上と全社的にSP領域への営業促進
第1本部 ⇒ SP専門人材の投入(実績のあるSP営業とデザイナー等の専門人材の配属
第3本部 ⇒ チーム人員のスリム化(チーム受注数字を抑えて、指導・管理を徹底)
SP戦略本部 ⇒ ベテランイベント施策マンの配属(SPからイベントへの受注促進)


取材を終えて
企画からイベント本番までを受注し、「企画」・「制作」・「運営」・「演出」を行い、イベント全体をトータルにディレクション、プロデュースすることで主催者の意図することを来場者に伝える、それが同社の業務です。
株式公開を機に更なる成長を目指す。そのためには受注の拡大が不可欠となりますが、株式公開当時のベテラン社員の多くは、イベント全体をトータルにディレクション、プロデュースする能力に長けていても、受注活動には消極的な職人気質の方が多かったようです。このため、同社は株式公開を機に営業力の強化に取り組んできましたが、ベテラン社員の中には会社の方針に付いて行けず離れて行った社員もいたようです。一方、教育研修プログラムの確立に時間がかかり、若手社員のスキルアップが遅れていました。その結果が、ここ数年の業績低迷です。
しかし、教育研修プログラムがようやく完成の域に達したことで、既存の若手社員のスキルアップはもちろん、新卒・中途採用者の早期戦力化が可能になりました。川村社長は、来期から再来期にかけて同社を再び成長軌道に乗せる手応えを感じているようです。減益を見込む今期の業績も、「達成可能な下限値」といった印象を受けました。

 

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