ブリッジレポート
(2435) 株式会社シダー

スタンダード

ブリッジレポート:(2435)シダー vol.1

(2435)シダー/ 山崎 嘉忠社長
2005年6月7日(火)

シダーの決算説明会に出席しました。
山崎社長が、決算の概要、今期の見通し、及び今後の戦略について説明されました。


山崎 嘉忠社長

会社概要

本社のある福岡県を拠点に介護保険法の適用を受ける介護サービス等を、九州、山口地区及び関東地区を中心に展開しています。2005年3月末現在、デイサービスセンター12施設等、全国に43拠点を展開しています


<事業構成>

事業は、デイサービス事業、訪問看護業、ヘルパー事業、ケアプラン事業、及び着手して間もないグループホーム事業に分かれます。

売上高構成
(単位:100万円)
 
2005年
3月期
構成比
前期比
事業内容
デイサービス
2,811
77.0%
+22.0%
デイサービスセンターでの日常生活の世話、機能訓練等
訪問看護
379
10.4%
-3.9%
訪問看護、訪問リハビリ
ヘルパー
209
5.7%
-1.6%
訪問介護
ケアプラン
240
6.6%
+11.7%
ケアプラン作成
グループホーム
8
0.2%
-
グループホーム施設サービスの提供
合計
3,649
100.0%
+16.8%
 


<業界環境>

日医総研の調査によると、介護保険法による要支援認定者の48.9%の方が、支援開始から2年後にはその認定が重度化(症状が悪化)しており、更に8.9%の方が死亡しているそうです。本来介護保険の目的は、要支援認定者が充実した生活を送るために必要なサービスを提供することにあるわけですが、現実は必ずしもその目的にかなっていない訳です。
こうした状況を踏まえ、2006年4月に施行が予定されている改正介護保険法では、「明るく活力ある超高齢化社会」をスローガンに掲げ、「筋力トレーニング」、「口腔ケア」、「栄養改善」等に重点を置く"予防重視型システム"への転換が図られる見込みです。このため、今後、リハビリテーションに対するニーズの高まりが予想されます。

 

<同社の特徴>

同社は「単に生活の世話を受けるだけでは、要支援認定者がその後充実した生活を送ることにはつながらず、かえってマイナスになりかねない。充実した生活を送るためには元気な体作りが不可欠である」との認識の下、専門スタッフを充実させリハビリテーション重視の大型施設運営及びサービスを提供しています。
高齢者の「筋力トレーニング」とは、すなわちリハビリテーションであり、つまり、同社の経営方針と介護保険制度が今後目指す方向とが一致しているわけです。

(1)ゆとりあるスペース、本物志向の施設とサービスの提供
主力事業であるデイサービス事業は、リハビリセンターの運営事業と言い換えることもできます。収容人員30人以下の家族経営的な施設が多い中、同社はリハビリ重視と多様なサービスの提供が可能な60~130人収容できる大型施設での事業展開を進めています。このため、リハビリ(運動)の習慣を身につけてもらうための様々なメニューが用意されています。また、シアタールーム等の設備もあり、1日をゆったりとリラックスして過ごしてもらえるように、リハビリ以外の設備とサービスにも配慮されています。


(2)充実した専門スタッフ
本格的なリハビリテーションを可能にするため、リハビリ専門病院に匹敵する専門スタッフ(理学療法士、作業療法士)を擁しています。

(単位:人)
 
01/3
02/3
03/3
04/3
05/3
理学療法士
20
24
29
30
31
作業療法士
26
33
35
41
51
出所:説明会資料より

 

<リハビリ専門病院>

(単位:人)
 
初台リハビリ
テーション病院
誠愛リハビリ
テーション病院
ボバース記念
病院
理学療法士
61
43
51
作業療法士
54
44
38
出所:説明会資料より

 

2005年3月期決算概要

<単体>
(単位:100万円)
 
実績
前期比
売上高
3,649
+16.7%
営業利益
352
+187.3%
経常利益
288
+194.3%
当期純利益
164
+298.5%

介護保険法が施行されて5年が経過し、利用者は大幅に増加していますが、参入も相次ぎ、サービスを提供する事業者間の競争は激化しています。

こうした中、同社の2005年3月期はデイサービス事業の施設稼働率の上昇とコスト管理の強化により、営業利益が2.9倍に拡大しました。

<セグメントの動向>

デイサービス事業
利用者の増加により既存施設の稼働率上昇に加え、新たに黒崎(福岡県)、建部(滋賀県)、馬橋、新柏、鎌ヶ谷(いずれも千葉県)の5施設を新設。売上高は2,811百万円と前期比22.1%増加しました。

訪問看護事業
コア事業であるデイサービス事業へ経営資源の集中を図ったため、売上高は379百万円と前期比3.8%減少しました。

ヘルパー事業
訪問看護と同様の理由により、売上高は209百万円と前期比1.5%減少しました。

ケアプラン事業
黒崎にケアプランセンターを新設、売上高は240百万円と前期比11.4%増加しました。

グループホーム事業
2004年11月より事業を開始し、売上高は8百万円強となりました。

 

2006年3月期業績予想

<単体>
(単位:100万円)
 
予想
前期比
売上高
4,300
+17.8%
営業利益
425
+20.7%
経常利益
400
+38.9%
当期純利益
217
+32.3%

デイサービス事業をけん引役に増収・増益が見込まれます。

<セグメント別の予想>
(単位:百万円)
 
予想
構成比
前期比
デイサービス
3,283
76.4%
+16.8%
訪問看護
380
8.8%
+0.2%
ヘルパー
210
4.9%
+0.3%
ケアプラン
241
5.6%
+0.2%
グループホーム
38
0.9%
+330.3%
有料老人ホーム
148
3.4%
-
合計
4,300
100.0%
+17.8%

 

介護保険法の趣旨に沿ったリハビリテーション特化のサービス提供に努め、主力事業であるデイサービス事業の拡大を図ります。また、前期に立ち上げたグループホーム事業を軌道に乗せると共に、新たに有料老人ホーム事業を立ち上げ、事業基盤の強化を図る考えです。
一方、訪問看護、ヘルパー、ケアプランはデイサービス事業を中心に、上記事業への経営資源の集中を図るため、現状維持に努めます。
新施設のオープンは、デイサービスセンター3施設、有料老人ホーム3施設を予定しています。


今後の戦略

今後の戦略として次の3項目を掲げています。

(1)ドミナントエリアの拡大
既に説明したように、2006年4月の介護保険法改正により予防重視型システムへの転換が図られる見通しで、リハビリ重視の運営を行う同社にとって追い風となりそうです。こうしたなか、同社はドミナントエリアの拡大を目指し、東京、千葉、埼玉、神奈川など、人口当たりの理学療法士や作業療法士の数が少ない関東地区を中心に事業展開を強化していく考えです。

(2)人材育成強化
この拡大政策を進める上でポイントとなるのが、人材の育成と専門スタッフの確保です。介護職員については、入社時からセンターの運営など管理職育成を視野に入れた教育を行っており、また、十分な確保が難しいといわれる専門スタッフについても、入社後の教育を充実させることで同社への入社インセンティブを高めています。

(3)有料老人ホームの積極展開
現在、全国の特別養護老人ホーム総数4500施設に対して、入所希望者総数は51万人。実に定員の2倍が待機を余儀なくされている状況です。また、特別養護老人ホームでは、これまで無料であった食事代の自己負担が決定されています。このため、今後、有料老人ホームと特別養護老人ホームとの格差が縮小するため、需要が拡大するものと見られています。関東圏で国道16号線沿い中心の事業展開を計画しています。

 


取材を終えて

介護サービス業界は事業者間のさらなる競争激化が予想されますが、高齢者人口が増加基調であることや介護サービスがより利用者に身近になっていくことで市場自体は高い成長が続くものと思われます。会社設立以来、リハビリ重視を掲げて施設運営を行ってきた同社にとって、こうした市場拡大に加え、"予防重視型システム"への転換を目指す改正介護保険法の施行も追い風になるものと思われます。
ただ、同社は現状に満足することなく、有料老人ホーム事業の展開により更なる事業基盤の強化を目指しています。投資家にとって中期的には楽しみな材料ではありますが、足下、特別養護老人ホームに人気が集まる状態が続いておりリスクも伴います。引き続き新規事業の進捗状況等をフォローしていきたいと思います

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