ブリッジレポート
(7590) 株式会社タカショー

スタンダード

ブリッジレポート:(7590)タカショー vol.3

(7590)タカショー / 高岡 伸夫社長
2005年3月24日(木)

 

タカショーの決算説明会に出席しました。
高岡社長、有村部長が、会社概要、決算概要及び中期計画について説明されました。


高岡 伸夫社長

会社概要
<事業内容>
「やすらぎのある空間づくり」を基本コンセプトに、インドア、アウトドア、緑化、庭園等の環境エクステリアに関する商品など、造園や工務店等の施工業者向けを含めたガーデニング商品の仕入れ、製造、販売を行っています。
6割のシェアを持つ人工竹垣をはじめ、商品アイテムは約1万8千点に及び、国内トップクラスの規模を誇ります。


<商品分類別売上>

(単位:100万円)
04/1
05/1
構成比
前期比
ガーデンフェンス
5,109
5,403
49.6%
+5.8%
庭園資材
4,156
4,580
42.0%
+10.2%
照明機器
530
489
4.5%
-7.7%
池・滝・噴水
203
202
1.9%
-0.5%
その他
152
218
2.0%
+43.4%
合計
10,153
10,895
100.0%
+7.3%


<企業グループ>
企業グループは、同社のほか、国内外で製造、販売、仲介、その他関連サービスを手がける連結子会社8社及び持分法適用会社2社を含む関連会社7社からなります。
国内は、本社(和歌山県)のほか2支店、9営業所、4製造拠点を展開。連結子会社 (株)青山ガーデンでインターネット販売も行っています。
海外は、中国(天津、広東、上海)、韓国、北米、欧州に子会社・関連会社を有します。上海、広州、天津の中国拠点は現在のところは製造及び現地商品の仕入れを行っていますが、将来的に中国市場は有望な販売先と考えています。
ただ、海外を含むグループ展開は緒に就いたばかりで、連単倍率は売上高が1.03倍、当期利益が0.98倍にとどまります。

<販売ルート>
工務店向け「プロユース」、ホームセンターへの卸売を中心にした一般消費者向け「ホームユース」、「通信販売」、「輸出」等があります。構成比は、2005年1月期単体ベースで、それぞれ49.4%、44.1%、4.4%、2.0%です。
「ホームユース」が伸び悩む中、近年伸びているのが「プロユース」です。プロユーザー向けのカタログ「プロエクス」を業界最大の約20万冊印刷し、顧客である造園業者、設計士、エクステリア施工店、商業施設などにダイレクトメールで配布しています。カタログは単なる商品紹介ではなく、商品を使った庭園イメージの写真もついており、顧客はこの写真を見ながら実際に施工する場所と庭園の簡単な図面を書いてファックスで申し込みます。
注文を受けると、CAD(コンピュータによる設計支援システム)、CG(コンピュータ映像)を駆使した完成予想図と共に見積書を当日中に返送し、正式な注文があれば注文どおりの商品を1週間以内に届けます。
現在では、Webを使っての積算も可能になっており、IT化を更に推進していく考えです。


2005年1月期決算概要
<連結>
(単位:100万円)
 
実績
対前期比
売上高
10,895
+7.3%
営業利益
528
+13.3%
経常利益
498
+43.9%
当期純利益
270
+26.8%

競争激化による価格下落からガーデニング業界を取り巻く環境は厳しい状態が続きましたが、同社の2005年1月期は増収・増益となりました。

増収の原動力となったのは、猛暑による日除け商品の好調と欧州子会社(タカショーヨーロッパ)の売上拡大です。
利益面では、物流関係や新市場創設のための先行投資により販管費が10%強増加(*1)したものの、売上総利益の増加(*2)で吸収し、営業利益は13%強増加しました。
為替差損の減少等で営業外損益も改善、経常利益は44%弱の高い伸びを示しました。当期純利益の伸びが27%弱にとどまったのは、関係会社出資金減損処理及び引当金処理等で特別損失を計上したためです。

*1.販管費増加要因
新物流拠点過度に伴う一時的な費用の発生、欧州子会社の売上増に伴う手数料の増加、中央ロジスティクスセンター増築及び倉庫増床に伴う賃料等の増加、新システム稼動に伴うリース料の増加、自社展示会開催による販促費の増加等です。

*2.売上総利益の増加要因
増収効果と、為替予約による仕入原価の低減及び新規夏物商品導入による売上総利益率の改善(1.3ポイント)の相乗効果によります。

<単独>

(単位:100万円)
 
実績
対前期比
売上高
10,504
+7.2%
営業利益
328
+19.7%
経常利益
282
+33.6%
当期純利益
146
+13.2%

<ルート別の動向>

(単位:100万円)
 
実績
構成比
前期比
プロユース
5,194
49.4%
+12.4%
ホームユース
4,629
44.1%
+1.4%
通信販売
466
4.4%
+1.7%
輸出
213
2.0%
+63.8%
合計
10,504
100.0%
+7.2%



迅速なレスポンスと幅広い品揃えが好評なプロユースが伸びる一方、ホームユース向けは主要顧客であるホームセンター向けの不振により小幅な伸びにとどまりました。


2006年1月期  計画
<連結>

(単位:100万円)
 
計画
対前期比
売上高
11,295
+3.7%
営業利益
553
+4.7%
経常利益
507
+1.8%
当期純利益
273
+1.1%

引き続き厳しい事業環境が続く見通しです。こうした中、人と自然の共生を考えた「ビオガーデンシステム」(池・滝・噴水等)やリサイクル木材「エバーエコウッド」などの商品群を拡充する計画です。また、下期以降、次世代照明として注目を集めるLED(発光ダイオード)ライティングシステム事業が連結子会社タカショーデジテックを中心に本格化します。

この他、価格訴求型商品として、人工強化竹垣ユニット「e-バンブー」、防腐処理をした天然木製品フェンス「e-ウッド」、人工洋風フェエンス「e-モクプラ」、壁面に取付ける人工石「e-ストーン」など「e- シリーズ」の販売を強化しいく考えです。


<単体>

(単位:100万円)
 
計画
対前期比
売上高
10,800
+2.8%
経常利益
322
+14.2%
当期純利益
161
+10.3%

 


中期計画

数値的な目標として、2008年1月期に連結売上高120億円、営業利益6億円強を掲げています。「リビングガーデン」のコンセプトに基づく事業展開を進めると共に、リフォーム事業やLED(発光ダイオード)ライティングシステム事業などの周辺事業も拡大させていく考えです。

(1)「リビングガーデン」のコンセプトに基づく事業展開

金属エクステリア商品が約6割を占める日本のガーデニング市場において、EU諸国に見られるような"暮らす庭「リビングガーデン」"をテーマとした商品開発を進めていく考えです。

具体的には、屋外の庭を、室内と一体化した生活空間としてとらえ、居室同様にくつろいで過ごせる庭つくりの提案です。この一環として、ファッションデザイナー・プロデューサーの山本寛斎氏と提携し、新たなガーデンスタイルブランド「人間讃歌」(Ningen Sanka Gardenism)を立ち上げました。
「単なる価格競争ではなく、魅力ある売り場づくりも含めた消費者への生活提案が競争を勝ち抜くカギとなる」という考えから、販促用陳列BOXとしても使える「人間讃歌」ロゴ入り商品出荷段ボール(シェード・デッキ用)や、服飾ブランドのような高級感のあるロゴ入りネームタグなど、魅力ある売り場づくりを実現する各種の販促支援策も検討されています。4月以降、順次販売が開始されますが、今後シーズンごとの新商品アイテムの展開も予定しており、ブランド価値をさらに高めていく考えです。

また、同社商品の最上位ブランドとして、独ロイヤルガーデン社製品の品揃えを拡充していくほか、生活イメージの提案力強化や工務店の組織化によりリフォーム事業を拡大させていく考えです。

(2)LED(発光ダイオード)ライティングシステム事業

今下期から、連結子会社タカショーデジテックを中心に、屋外標識向け等にLEDライティングシステムの販売事業を本格化します。

LEDとは、電気を通すと発光する半導体で、長寿命、低消費電力、更には発熱が少ないなどの特徴があり、電球や蛍光灯等に代わって利用されるケースが増えています。家電製品やデジタル機器はもちろん、電飾や屋外標識、あるいは信号等での利用も広がっています。
公共施設や商業施設等での標識の市場は約5,000億円。このうち500億円がLED 市場と言われており、同社がターゲットとする市場です。


<LEDライティングシステムの事業計画>

(単位:100万円)
 
06年1月期
07年1月期
08年1月期
売上高
240
360
600

 

取材を終えて

ガーデニング先進国ドイツと日本のGDP(国内総生産)を比較すると、日本はドイツの2倍程度になりますが、ガーデニング市場の規模はドイツの1兆1,000億円に対して日本は5,200億円と、その半分の規模にとどまります。国民性の違い等から先進国間でも対GDP比の市場規模が違う例は珍しくありません。しかし、一時期程ではないにせよ、「癒し(いやし)」といった言葉をよく耳にします。「人生を楽しく豊かにするガーデニングの素晴らしさを普及させる」余地は未だ大きいのではないでしょうか。
市場規模の大きい関東地区での営業強化等により、同社自身、未だ大きな成長余地を残していることも付け加えておきます。

http://takasho.jp/