2005年3月期第3四半期決算概要 <連結>
(単位:100万円)
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第3四半期累計
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前年同期比
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売上高 |
40,527
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107.0%
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営業利益 |
2,907
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-
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経常利益 |
2,386
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-
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当期純利益 |
1,560
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-
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学生寮・ドミール(ワンルームマンションタイプ寮)の好調で主力の寮事業が堅調に推移したほか、「ザ・ビーチタワー沖縄」など今期オープンしたリゾートホテル2棟が寄与したホテル事業、新規受託先の獲得に成功したフーズ事業も伸びました。
尚、前年同期は売上高のみの開示にとどまったため、営業利益以下の前年同期との比較はありません。
<セグメント別動向>
(単位:100万円)
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第3四半期累計
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前年同期比
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寮事業 |
23,162
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104.2%
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ホテル事業 |
5,774
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129.8%
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総合ビルマネジメント事業 |
7,892
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98.7%
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フーズ事業 |
2,881
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116.4%
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デベロップメント事業 |
3,040
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58.3%
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その他事業 |
2,069
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117.0%
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消去 |
-4,291
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合計 |
40,527
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107.0%
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寮企業 当社初となる京都での学生寮開発の「ドーミー京都二条」が満室稼動でスタートするなど学生寮が好調に推移しました。社員寮については企業契約の減少が続いていますが、ワンルームマンションタイプの寮であるドミールは学生だけでなく社会人の方にも好評なようです。
12 月末現在の寮事業全体の稼動契約数は、21,492 名と前年同期に比べて1,133 名増加しました。
ホテル事業
昨年5 月にオープンした「大谷田(おおやた)温泉明神の湯」、及び同じく7 月にオープンした「ザ・ビーチタワー沖縄」が高い稼働率を維持していることに加え、既存事業所も堅調でした。
総合ビルマネジメント事業
オフィスビルマネジメント事業部門とレジデンスビルマネジメント事業部門を統合した当事業では、新規取引先の開拓に努めていますが、サブリースしていた大型の倉庫ビル賃貸契約が解約となったため、前年同期の実績をわずかに下回りました。
フーズ事業
受託給食及びホテルレストラン等受託運営事業において、新たな受託先の獲得に成功したほか、周辺事業も伸びました。
デベロップメント事業
減収は、主に内部売上高の減少によります。前年同期は進行基準によるザ・ビーチタワー沖縄の都度売上の計上がありました。新たなビジネスホテルの基本設計等の受注があり、内部売上高消去後の比較では増収を維持しています。
その他事業
ウェルネスライフ事業(高齢者向け住宅の管理運営事業)、賃貸不動産仲介管理事業、広告代理事業、総合人材サービス事業等からなるその他事業も堅調に推移しました。
2005年3月期 予想 <連結>
(単位:100万円)
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予想
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前期比
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売上高 |
58,200
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107.6%
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営業利益 |
4,450
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111.1%
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経常利益 |
4,270
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105.2%
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当期純利益 |
2,250
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105.2%
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第3四半期が終わった時点での通期予想に対する進捗率は売上高で69.6%、経常利益で55.9%にとどまりますが、ほぼ計画通りの推移です。寮事業において4月からの入居に先立ち保証金等の払い込みがあるため、例年第4半期の売上ボリュームが膨らみます。前年同期は売上高のみの開示でしたが、通期の売上高(実績)をベースに進捗率を計算すると、ちょうど70%でした。
トピックス 「ザ・ビーチタワー沖縄」の課題と今後の展望 (1)見えてきたいくつかの課題
昨年7月にオープンした「ザ・ビーチタワー沖縄」は、早くも宿泊客数が10万人を突破しました。前評判の高さから旅行代理店も取り扱いを積極化しているようです。ただ、旅行代理店経由の宿泊の場合、自社営業に比べ収益性で劣るのが玉にキズ。代理店の比率が予想を大きく上回るようであれば、稼働率が高くても、利益は計画に達しない可能性があります。
また、この事業は自治体との提携による事業であったため、利用料金についても配慮がなされています。つまり、料金が低めに設定されています。しかし、ホテルのグレードを決めるのは、ハード(物件・施設等)やソフト(サービス)の良し悪しもさることながら、利用料金の多寡が大きなポイントとなります。つまり、「料金が高ければグレードが高く、安ければ低い」といった具合です。このため、料金を低く抑えた「ザ・ビーチタワー沖縄」のホテルとしてのグレードは、ハード・ソフト両面からの充実度の割にはあまり高くないようです。
こうした事を踏まえて、料金の引き上げも含めて、前向きな意味で戦略の見直しを進めている模様です。
(2)リゾートとしての沖縄の成長性
目先的な売上・利益はともかくとして、リゾートとしての沖縄の成長性は魅力的です。
沖縄県観光リゾート局によると、沖縄県の年間入域観光客数は2002年が前年比9.0%増、2003年は同5.2%増加し500万人を突破、2004年は、年後半こそ台風の影響や新潟中越地震による旅行マインドの低下等で落ち込んだものの、1-6月の累計では6.9%増加し年間の観光客数は515万人を超え過去最高を更新しました。
同局では、①沖縄の音楽、文化、芸能、食材等への関心の高まり、②修学旅行の増加(2004年は過去最高の約40万人、19.9%増)、③外国人観光客の回復(台湾からのプログラムチャーター便の就航やクルーズ船の運行拡大)、そして④官民上げての積極的な誘客キャンペーン等を増加要因として挙げています。
そして、今2005年の年間入域観光客数を、前年比4.8%増の540万人と予想しています。
沖縄県は、こうしたリゾート地としての人気の高さに加え、経済特区に指定されるなど国を上げての経済振興策が打たれています。このため、2006年以降も引き続き入域観光客数の増加が予想され、「ザ・ビーチタワー沖縄」もこの恩恵を受けるものと思われます。
取材を終えて
同社のリゾートホテル事業は、「ドーミーヴィラ箱根」で成功したビジネスモデル(注)をベースに展開されていますが。リゾート地としての沖縄は箱根よりもはるかにスケールが大きいだけに、「ザ・ビーチタワー沖縄」のオペレーションいついては、箱根での成功事例をそのまま適用できない難しさがあります。このため、試行錯誤を繰り返しながら進まざるを得ない面もありますが、リゾート地としての人気の高さに加え、国を上げての経済振興策等もあり、引き続き入域観光客数の拡大が期待できます。
投資家としては収益の動向が気になるところですが、中期的な事業の拡大を考えた上で重要ことは、"リピーターの確保につながる質の高いサービスが提供されているか否か"ではないでしょうか。同社の寮事業の成功は、一にも二にも顧客満足度の追及によるリピーターの確保にあったわけですから、ホテル事業においても同様に期待したいものです。そうなれば、今後も市場拡大の波に乗っていくことができると考えます。
(注)「ドーミーヴィラ箱根」の成功要因 成功のポイントが二つあります。一つは、物件の収益性を高めるべく、パブリックスペースを極力減らして客室中心の宿泊特化型の施設にしたこと。もう一つは、客室面積を広めに取り、家族や小グループが1室で泊まれるよう設計したことです。これにより、客単価が低く抑えられて価格訴求力が強まる一方で、客室単価を確保することができます。
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