ブリッジレポート
(9616) 株式会社共立メンテナンス

プライム

ブリッジレポート:(9616)共立メンテナンス vol.8

(9616)共立メンテナンス 石塚晴久社長
2004年11月22日(月)

 

共立メンテナンスの中間決算説明会に出席しました。
石塚社長、榑松広報室長が中間決算概要、今後の展望について説明されました。


石塚 晴久社長

2005年3月期中間期実績

(単位:100万円)
 
中間実績
対前期比(%)
売上高
27,261
+4.8
営業利益
2,516
+5.6
経常利益
2,478
-4.1
中間純利益
1,390
+0.6

当社にとって京都での初の学生寮となる「ドーミー京都二条」が満室稼動でスタートするなど学生寮事業が好調に推移しました。企業の福利厚生施策見直しで社員寮事業は苦戦を強いられましたが、寮事業全体の9月末稼動数は22,296名と前年同期に比べて1,126名増加しました。
利益面では、7月にオープンしたリゾートホテル「ザ・ビーチタワー沖縄」の開業準備費等の負担増を吸収して営業利益は増加しましたが、前年同期の一時的な収益であったドミールガーデンの開発収益がなくなったことや有価証券売却益が減少したことにより経常利益は減少しました。中間純利益が増加したのは、特別損失の計上がなかったためです。 セグメント別動向 <>

<セグメント別動向>
寮事業:学生寮、社員寮、ドミール、受託寮
単位:100万円
中間実績
前年同期比
売上高
16,313
+5.8%
営業利益
2,799
+5.0%

社員寮事業は苦戦したものの、主力の学生寮事業、ワンルームマンションタイプ寮として開発供給を強化しているドミール事業、企業や学校が保有する寮の管理運営を行う受託寮事業が好調に推移した結果、寮事業全体では増収増益となりました。

学生寮事業 売上高 10,039百万円 (前年同期比 +7.2%)

学生寮事業は、少子化というマイナス材料がある一方、高学歴化、進学率の上昇、更には大都市への集中化傾向などを背景にビジネスチャンスも拡大しています。このチャンスを捉えるべく進めてきた四年制大学への営業強化が成果を上げており、新たに上智大学、国学院大学などとの提携が実現しました。
この結果、学生寮の利用実績は、1,593 校(前年同期比4.7%増)、契約者数14,438 名(前年同期比7.0%増)となりました。

社員寮事業 売上高 3,869百万円 (前年同期比 -3.5%)

寮・社宅の売却など福利厚生を見直す動きが続いており、社員寮の利用企業社数は1,184 社と前年同期比7.2%減少しました。
これに伴い入居者数も5,236 名と前年同期比2.8%減少しました。 こうした厳しい事業環境が続く中で、BEAS(Business Expansion Assistance Service:ベアス、社員寮にとどまらない福利厚生総合アウトソーシング事業)の深耕による問題解決型の提案営業の推進により、新規契約の獲得に努めています。

ホテル事業:ドーミーイン、リゾート
単位:100万円
中間実績
前年同期比
売上高
3,833
+24.8%
営業利益
-27

長期滞在型ビジネスホテル事業であるドーミーイン事業では、出張宿泊や深夜業務宿泊等の企業ニーズを捉えることができました。加えて、女性専用サービスの導入や休日の家族利用の営業強化など幅広く集客に努めた結果、全11 事業所の稼動率が89.2%と前年同期比1.5%上昇しました。 また、リゾート事業も、今年7月オープンの「ザ・ビーチタワー沖縄」が稼動率92.8%と順調な滑り出しとなったほか、その他の既存事業所も高い稼働率を維持し、リゾート事業全体の平均稼動率は73.9%と前年同期比8.4%上昇しました。
その結果、ホテル事業の売上高は3,833 百万円と前年同期比24.8%増加しました。ただ、「ザ・ビーチタワー沖縄」の開業準備費の計上や猛暑による温浴事業の一時的な集客減により27 百万円の営業損失となりました。

総合ビルマネジメント事業
単位:100万円
中間実績
前年同期比
売上高
5,319
-3.2%
営業利益
184
+21.0%

ビル・マンションの管理を行う総合ビルマネジメント事業では、プロパティ・マネジメント(PM)の受注拡大を進めた他、西日本事業部を新設するなど地方拠点の拡充を図りました。
価格低下の影響で売上高は前年同期比3.2%減少したものの、コスト削減を含む生産性の向上により営業利益は前年同期比21.0%増加しました。

デベロップメント事業
単位:100万円
中間実績
前年同期比
売上高
1.690
-41.7%
営業利益
67
-72.8%

寮・マンションの開発・販売を行うデベロップメント事業では、新たなビジネスホテルの基本設計等の受注がありましたが、「ザ・ビーチタワー沖縄」の完成に傾注した結果、売上高、営業利益共に減少しました。

フーズ事業及びその他事業
フーズ事業(外食、受託給食、ホテル等レストラン受託)事業は、新たな受託先の獲得により売上高が前年同期比11.5%増加し、営業損益も改善しました。
ウェルネスライフ事業(高齢者向け住宅の管理運営事業)、賃貸不動産仲介管理事業、広告代理事業、総合人材サービス事業等のその他事業は、売上高が19.0%増加し、営業損益が黒字化しました。


2005年3月期通期予想

<連結>
(単位:100万円)
 
予想
前期比
売上高
58,200
+7.6%
営業利益
4,450
+11.1%
経常利益
4,270
+5.2%
中間純利益
2,250
+5.2%

学生寮を中心に主力の寮事業が、下期も引き続き好調を持続する見込みです。ホテル事業は、台風、猛暑等の影響により温浴事業が苦戦していますが、「ザ・ビーチタワー沖縄」の立ち上がりが順調なほか、ドーミーイン事業が高稼動率を維持しています。デベロップメント事業は、年度末には部分工事も含め寮9棟、ドミールカーデン6棟、ビジネスホテル1棟、分譲マンション1 棟が完成し増収となる見込みです。
また、増益が見込まれる総合ビルマネジメント事業では、オフィス系とレジデンス系のシナジー効果を高め、大阪をはじめとする地方拠点の拡充を進めていく考えです。
このほか、フーズ事業は黒字化を目指し受託運営事業を中心に新規顧客の獲得に注力、その他の事業はほぼ計画通り推移しています。

<セグメント別売上高>
(単位:100万円)
予想
前期比(%)
寮事業
30,579
4.7
ホテル事業
8,453
+43.1
総合ビルマネジメント事業
10,495
-4.1
フーズ事業
3,896
+19.4
ディベロップメント事業
8,200
-33.6
その他事業
3,010

+15.8

消去
-6,433
-
合計
58,200
+7.6

今後の展望
今期は5%の経常増益を計画していますが、次の3点の重点項目を推進することにより、来期以降、売上高で5~10%、経常利益で10%の成長を目指します。また、経営指標としては、経常利益率8%、連結ROE10%、連結ROA 7.5%を掲げています。


重点施策
1.大学との提携強化による学生寮事業の成長加速
2.リゾートホテル事業の基盤構築
3.ビジネスホテル事業の強化

1.大学との提携強化による学生寮事業の成長加速
収益基盤である学生寮事業は、有力大学を中心に提携学校数が順調な伸びを示しています。
2004年3月期は早稲田大学など14校との提携に成功しましたが、今2005年3月期も既に7校との提携が決まっています。また、独立行政法人への移行に伴い国立大学の開拓余地も広がっており、全国で10%のシェア獲得を前提に38,000室の開発余地があると試算しています。首都圏と京都を重点ターゲットとして開発を進めていく考えです。

(単位:室)
05/3
06/3
07/3
08/3
09/3
学生寮の開発計画
1,106
1,360
1,600
2,000
2,240

2.リゾートホテル事業の基盤構築
リゾートホテル事業はプロジェクトの規模が大きいだけにハイリスク・ハイリターンなビジネスです。このため、事業化に当たってのポイントが二つあります。一つは、物件の収益性を高めるべく、パブリックスペースを極力減らして客室中心の宿泊特化型の施設にすること。もう一つは、客室面積を広めに取り、家族や小グループが1室で泊まれるよう設計すること。これにより、客単価が低く抑えられて価格訴求力が強まる一方で、客室単価を確保することができます。 顧客満足度の高い「ドーミーヴィラ箱根」をビジネスモデルとして全国30ヶ所で事業化を計画しており、このうち16ヶ所で事業が動き出しています。

客室数
客室面積
レンタブル化
稼働率
室あたり客数
客単価
有名リゾート
8社平均
360
38
39
74
2.5
7,798
当社ホテル
295
48
50
71
2.8
6,691

3.ビジネスホテル事業の強化
サービスの内容等で他社との差別化を図り、リピーターを確保していくことで、今後の競争激化に対応していく考えです。具体的には、地方都市で展開する場合、1室当たり最低15平方メートルを確保し、長期滞在者の利便性を考えて各室で水回りの設備を備え、更に温泉大浴場も備えています。 現在、全国で11棟が稼動しており、2005年の春から2006年の春にかけて、7棟の開業計画が進行しています。
また、今後の積極的な事業展開に備え、資金調達手段の多様化を図るために日本初のホテル専門のJREIT(不動産投資信託)への参入も計画されています。


取材を終えて

寮事業と言うと、寮の管理運営というイメージが先行しがちですが、この事業の成否を握るポイントの一つが不動産の開発力です。リゾートホテル事業やビジネスホテル事業とは、寮事業では"縁の下の力持ち"に徹していた不動産開発力を前面に出し、かつ、一段の強化を図ろうと言うものです。
ホテル事業は寮事業に比べてプロジェクトの規模が大きく、ハイリスク・ハイリターンという一面もありますが、差別化のポイントが明確であり、経営理念も一貫しておりますので、今後も引き続き事業の進捗状況をフォローアップしていきたいと思います。

http://www.kyoritsugroup.co.jp