2004年3月期決算概要
<連結>
(単位:100万円)
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実績
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対前期比
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売上高 |
15,000
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+16.8%
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売上総利益 |
4,781
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+3.0%
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営業利益 |
615
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+454.1%
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経常利益 |
-177
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前期 -626百万円
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当期純利益 |
-645
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前期 -899百万円
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売上は、上期に発生したSARSの影響から営業活動や生産移管が遅れ、下期以降のCMS事業に影響が及び計画未達となりました。不採算の国内SMT事業から撤退し、中国に全面移管しました。その他の事業は下期から回復に転じ概ね計画通りでした。
売上総利益は増収効果で増加しましたが、プロダクトミックスの影響で利益率は低下しました。
人件費を中心に販管費を削減したため、営業利益は大幅に増加しました。
為替差損、投資有価証券評価損、国内工場閉鎖費用の発生などにより経常利益、および当期純利益は損失となりましたが、前期に比べ大きく改善しています。
2005年3月期業績予想
<連結>
(単位:100万円)
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計画
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対前期比
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売上高 |
20,000
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+33.3%
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売上総利益 |
6,113
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+27.9%
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営業利益 |
1,200
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+95.1%
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経常利益 |
850
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前期 -177百万円
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当期純利益 |
350
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前期 -645百万円
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コンピュータシールが減少するものの、他の主力事業が順調に拡大し、大幅な増収・増益、黒字転換を計画しています。
今後の展望
山村社長が今後の展望について説明されました。
新たな成長ステージへ
山村社長は、これまでの主力製品であったコンピュータシールは需要が減少していくことを予見し、ここ数年でそれを補って利益を上げる製品ラインアップを強化する戦略を進めてきました。
それぞれ順調に立ち上がり何とか間に合ったものの、中国への生産移管、国内リストラ、CMSの先行投資などコストも増大し、加えて半導体不況、SARSの発生などもあり、赤字が続きました。
しかし、そうした時期も終了に近づき、今期からは以下のような成長要因によって新たな成長ステージ(収穫期)へ向かうものと考えています。
・ CMS成長による収益改善
・ 生産移管による収益改善
・ 自動車向けサーモモジュールの伸張
・ 半導体、FPD(Flat Pannel Display)業界の好調
セグメント別動向 売上高
(単位:100万円)
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04/3上期
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04/3下期
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05/3上期
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05/3下期
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装置関連事業 |
3,778
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4,144
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4,760
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5,041
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電子デバイス事業 |
1,820
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1,800
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1,848
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1,499
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CMS事業 |
1,227
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2,231
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2,890
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3,960
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1.装置関連事業
<真空シール>
(単位:100万円)
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04/3上期
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04/3下期
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05/3上期
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05/3下期
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1,436
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1,669
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1,830
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1,850
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*前期実績
下期は国内のFPD関連需要が好調でした。米国半導体需要も回復に転じました。
*今期計画
半導体製造装置産業が回復するのに加え、FPD製造装置向けは引き続き好調と予想しています。特に国内需要に対応するため釜石工場を拡大し生産能力を強化します。
<石英製品>
(単位:100万円)
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04/3上期
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04/3下期
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05/3上期
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05/3下期
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1,216
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1,442
|
1,730
|
1,760
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*前期実績
下期後半に半導体需要が回復しました。中国移管が完了し、いままで取引のなかった海外顧客との取引が始まりました。
*今期計画
業界全体で拡大基調にあり、300mm製造装置向けが更に成長すると見ています。
中国への生産移管が一巡したため、収益の好転が見込まれます。また、海外顧客からの受注拡大と新規顧客獲得も期待できます。
現在約11%の米国向け売上高は近い内に50%まで上昇する見込みです。
2.電子デバイス事業
<コンピュータシール>
(単位:100万円)
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04/3上期
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04/3下期
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05/3上期
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05/3下期
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652
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711
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560
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120
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*前期実績
サーバー向けBB(ボールベアリング)モーター需要が堅調でした。
FFB(磁性流体軸受け)は納入先のサンプルテストで高い評価を受けています。
*今期計画
BBモーター需要は下期以降FDB化による減少が予想され、コンピュータシールの売上高は下期に大きく低下する見込みです。
また、これまでのシール技術を活かしたHDD用ピボットシールの評価出荷が始まります。 FFB(磁性流体動圧ベアリング)はいよいよ実機テスト段階に入ります。
<サーモモジュール>
(単位:100万円) |
04/3上期
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04/3下期
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05/3上期
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05/3下期
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805
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772
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940
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1,020
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*前期実績
主要な納品先の米国アメリゴン社の生産調整で伸び幅が縮小しました。エアバッグ作動に関する座席への感知装置の設置義務付けの影響で、シートメーカーがサーモモジュールの装着に手が回らなくなったためです。
しかしトレンドとしての需要拡大を予測して、生産体制の強化を実施しました。
*今期計画
前述の新規制の影響でアメリゴン向けは緩やかな拡大となります。 自動車向け以外では、エレクトロニクス、バイオ、光学などの分野で他社製品からの切り替えが進みそうです。
生産体制を更に強化する計画で、中国杭州に延べ床面積40,000平米の新工場を建築中です。(2005年3月竣工予定)
世界乗用車メーカーの生産台数42百万台に対して、アメリゴン社の温調装置出荷実績は22万台分で全世界での装着率は0.5%と依然として小さく、マーケットポテンシャルは極めて大きいと考えています。
<CMS事業>
(単位:100万円)
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04/3上期
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04/3下期
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05/3上期
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05/3下期
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1,227
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2,231
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2,890
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3,960
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*前期実績
SARSの影響が収束した後は順調に拡大しました。 第四四半期は月次ベースで黒字に転換しました。
*今期計画
ウェハー加工が拡大し下期はフル寄与します。
リチウム二次電池パッケージングも順調な成長が見込まれます。
いかに利益を確保するかがテーマと考えていますが、全体に収益は改善し上半期から黒字が継続すると見込んでいます。
半導体ビジネスへのかかわりと研究開発
ここ数年の中国への生産移管により、ウェハ製造から製造装置の部品洗浄およびメンテナンスまで、半導体製造にかかわるトータルサポートが中国において完成しました。
ただ同社としては今後も新しい製品、材料を生み出す努力を続けて行く考えに変わりはなく、「FFBの量産技術開発」、「サーモモジュールの高性能材料の開発:発電用、省電力型など」を中心に研究開発を進めていきます。
その際、今後人件費が急速に上昇することが予想される中国ではなく、東欧の優秀な技術者に期待し、ルーマニア開発チームが研究開発に当たっています。
取材を終えて
これまでの主力事業であったコンピューターシールから、他事業への移行が着実に進展し、収益低下は底を打った模様です。
ここ数年の投資先行期を脱し「業績回復&収穫期」を迎え新たな成長ステージに入る同社の動向をこれからもウォッチして行きたいと思います。
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