(6914)オプテックス/小林
徹社長
2004年3月4日(木)
オプテックスをフォローアップ取材しました。 大津の本社で小林社長、IR担当の若林部長にお話を伺いました。
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小林 徹社長
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2003年12月期決算概要
<連結>
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(単位:100万円)
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実績
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対前期比
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売上高 |
15,173
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+16.3%
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営業利益 |
2,203
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+38.1%
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経常利益 |
2,215
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+43.3%
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当期純利益 |
1,354
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+42.4%
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大幅な増収・増益となりました。 国内・外における防犯需要の増大と多様化に応え、製品の更なる市場浸透に注力しました。
特に海外における屋外警備用センサを中心とした高付加価値製品の伸びが大きく寄与しました。
また、利益面では、韓国における防犯用製品の販路を代理店から、子会社に変更したことで利益率が大幅に向上。加えてコストの伸びを管理体制の強化により抑制できたことも寄与しました。
- 韓国では販売子会社を設立し、現地最大手の警備保障会社にきめの細かい営業を行うことができました。
- 国内では個人レベルでの防犯需要が高まり、一般家庭において犯罪を未然に防ぐ製品群が脚光を浴び、大幅に売上を伸ばしました。
- 自動ドア用製品は、北米を中心とした顧客開拓が進み、中国でも販売台数が増加しました。
-
産業用機器では、国内では業種とアプリケーションに絞り込んだ特化型センサのシェアが高まりました。海外では、非接触温度計が中国におけるSARSの一次検査用として伸びたほか、ヨーロッパを中心に光電センサの売上が復調しました。
2004年度業績予想 <連結>
(単位:100万円)
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実績
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対前期比
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売上高 |
18,500
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+21.9%
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経常利益 |
2,500
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+12.9%
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当期純利益 |
1,500
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+10.8%
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今期も堅調な伸びを予想しています。 新ルートの開拓と既存ルートの拡大強化に注力する一方、生産合理化などによるコスト削減も進めます。
今年3月に本社を移転することもあり、それらに関する経費を多めに計上しています。またコストダウンは進めますが、目標数字を計画に織り込んでおらず、堅めの数字となっているようです。
<事業分野別連結売上>
(単位:100万円)
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今期計画
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対前年比
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防犯用製品 |
11,850
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+24.1%
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自動ドア用製品 |
2,800
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+6.8%
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産業機器用製品 |
3,300
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+15.8%
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環境関連製品 |
150
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+110.6%
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その他 |
400
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+349.4%
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合計 |
18,500
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+21.9%
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<地域別連結売上>
(単位:100万円)
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今期計画
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対前年比
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北米 |
2,240
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+22.4%
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ヨーロッパ |
5,960
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+7.9%
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アジア |
2,100
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+8.7%
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その他 |
1,050
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+69.1%
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国内 |
7,150
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+35.8%
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合計 |
18,500
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+21.9%
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事業部門別施策 <セキュリティ部門>
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今期計画
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対前期比
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プロテクション(国内) |
1,480
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+52.0%
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モニタリング (国内) |
3,070
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+61.3%
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モニタリング(海外) |
7,300
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+9.5%
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合計 |
11,850
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+24.1%
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セキュリティを、自己警備ニーズの高まりをうけた「プロテクション・セキュリティ・システム」と、機械警備における新たなニーズである「モニタリング・セキュリティ・システム」に分類しています。
プロテクションセキュリティ
犯罪が起きてから対応するのみではなく、早期認知、光や音による威嚇・撃退で犯罪を抑止し、また映像による犯罪の証拠確認を行います。
センサライトカメラとセキュリティTVドアホンのシステムは、警備会社ルートで順調に拡大しています。
従来の電気工事業者、家電量販店、電気材料卸などに加えて、新たな販路として、ホームセキュリティの需要増加に伴って、ハウスメーカー、リフォーム業者、住宅建材健在メーカーなどへ、新築住宅への標準装備として採用を提案するなど、一般住宅をターゲットとした新たな販路の開拓を進め、「プロテクションセキュリティNo.1」を目指します。
モニタリングセキュリティ
高信頼性センサと画像監視システムの組み合わせによるモニタリングセキュリティは、国内外での拡大を目指しています。
「国内市場」 |
・ |
通信機器メーカー、OA機器メーカー、金庫メーカー、防災機器メーカーなどの業界トップ企業に防犯ノウハウの提供という形で、アライアンスを強化します。 |
・ |
警備会社、防犯商社、防犯工事店などへは、ソリューションの提案により、内部シェアの拡大を図ります。 |
「海外市場」 |
・ |
成長市場における拠点を中心に現地大手警備会社への直接営業を強化します。 |
・ |
屋外センサカメラとデジタル記録装置のラインアップを強化し、「アウトドアプロテクション(屋外警備)」、「センサ起動型画像監視」といったソリューションの提案を警備会社に行います。
これらによって、「モニタリングセンサシェアNo1.の確立とセンサ起動型画像監視による市場創造」を目指します。 |
<自動ドア部門>
国内市場においては、入退室管理、シャッター防犯などエントランス新分野へのチャレンジを行います。
海外においては、以下のような展開を進めます。 |
・ |
海外仕様に特化した専用センサの積極投入 |
・ |
海外大手自動ドアメーカーへのアプローチ |
・ |
徹底したコストダウンにより価格競争力のアップ |
国内市場トップシェアを維持しながら、海外市場では米・欧を中心にシェア50%を目指します。
<産業機器部門>
計測(非接触温度計)分野では、食品、自動車、電気保守メンテナンス向けなど、用途特化した製品展開を進めます。
制御(光電センサ・カラービジョンセンサ)分野では、国内市場において化粧品、食料・飲料、薬品業界などの業界を絞り込んだ特化型センサでシェアアップを図ります。大手競合先からOEM供給のオファーがあるということです。
両分野ともに特化型産業機器用センサNo1ブランドを目指します。
<環境監視部門>
同社のセンサ技術によって琵琶湖の透明度を監視していますが、「きれいな水」を身近から実現するために、簡易に水の透明度をモニタリングできる「ポータブル透視度センサ」を開発しました。
水分野の環境関連センサで地位の確立を図ります。
中期経営計画
今年が創業25周年の同社は「EXPANSION 25」と題して、更なる発展・成長を目指しています。
2006年12月期までの中期計画は以下のような数字となっています。
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04年計画
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05年計画
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06年計画
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売上高 |
18,500(+21.9%)
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22,000(+18.9%)
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26,000(+18.2%)
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経常利益 |
2,500(+12.9%)
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3,000(+20.0%)
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4,000(+33.3%)
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*単位:100万円。カッコ内は対前年比 |
<分野別売上計画>
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04年計画
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05年計画
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06年計画
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防犯 |
11,850(+ 24.1%)
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13,650(+15.2%)
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15,750(+15.4%)
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自動ドア |
2,800(+6.8%)
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3,300(+17.9%)
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3,800(+15.2%)
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産業用機器 |
3,300(+15.8%)
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4,100(+24.2%)
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4,900(+19.5%)
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環境監視 |
150(+120.6%)
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300(+100.0%)
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500(+66.7%)
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EMS |
350(+797.4%)
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600(+71.4%)
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1,000(+66.7%)
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その他 |
50(+ 0.0%)
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50(+ 0.0%)
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50(+ 0.0%)
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小林社長のビジョン
現在の小林社長の考え、同社の取組みなどを伺いました。
以前のレポートでも紹介しましたが、同社では「売上高の20%成長」を一つの目標としています。今期の売上高も+22%ということになっていますが、小林社長は現状には決して満足していないということです。
数年前の停滞期からは上向きになっており、社員が一生懸命がんばっているのは評価していますが、現状に満足することなく更に上を目指そうというのが「EXPANSION」という言葉の意味となっています。小林社長が良く使われる「健全な危機意識」の必要性を認識しようということです。
「売上高の20%成長」の実現を、かけ声だけでなく更に具体的にブレークダウンしていく作業を現在行っています。
一つは「発想と行動のダイナミズム化」です。
前述のように、同社では成長市場での海外拠点作りを強化しています。従来であれば1国の市場開拓のためにその国に拠点を開設していたのを、その拠点をベースに同時に周辺数カ国の調査、マーケティングも行ってしまおうというものです。
また、新製品の開発に関しても、今までは1機種毎に開発を進めていたのを、共通する部品、機能を利用するのなら同時並行で複数機種の開発を進めるといった考え方です。
どちらも今までの同社ではなかった考え方であり、従来の延長線ではなくいわば、「創業期における事業構築の考え方」を社員に持ってもらおうということです。
二つ目は「10億円プロジェクト」と呼ばれているものです。
同社は40億円の現預金を保有し、18億円の営業キャッシュフローを稼ぎ出しています。 従来は要素技術への注力に投資してきましたが、今後はこの資金を活用し、新技術の獲得と成長スピードのアップのためのM&Aの可能性を探っていくということです。
社内体制・動向としては、以下の数点を指摘されていました。
1. 新本社の完成
雄琴にある技術センターの隣地の土地を取得し、新本社を建設しました。(2004年3月竣工)
営業、技術、企画が一体化する物理的変化から生まれる「もの」に小林社長は大いに期待されています。
というのも、技術者だった社長自身が創業前に在職していたメーカーで、営業が製品に関するクレームに追われているのを見て、製品開発の意識が大きく変わったというように、営業と技術の一体化は大変重要と考えているからです。
2. 「Revolution 25」
今年は創業25周年ですが、更に25年後の創業50周年時に定年に達していない社員(35歳以下)によって、将来の同社像を描き提言するというプロジェクトです。自発的に参加した約20名の社員が「制度」、「ブランド」、「コミュニケーション」の3委員会を組織して運営されています。近日中に、1回目の報告が行われるということです。
若手社員の自発的な経営参加意識を育成します。
3. 世代交代に向けて
社長のビジョンを社員と共有化するに際し、従来は社長が自ら社員に向けて語っていましたが、最近は、それだけでなく、次代を担う経営陣を育成するために、執行役員など幹部社員がTV会議で順番に社員へ語るようにしています。
また経営幹部の拡充については、内部での育成とともに、ダイナミズムの導入や外部から刺激を与える観点で、優秀な幹部社員を採用することも検討しています。
取材を終えて
「ダイナミックな発想・行動によるダイナミックな成長」
小林社長が目指しているものを一言で表せばこうなるでしょう。足元の好業績にも一切楽観視することなく、更に上を目指して行きたいという強い決意を感じることができました。
今後も同社の動向を引き続きフォローしていきたいと思います。
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