重点施策
1.トライアングル作戦
トライアングル作戦は、同社、販売店・JA、農家の3者間の相互コミュニケーションを緊密に行うことにより、今まで以上に顧客ニーズの機動的・迅速な収集、活用を可能とすることを目指した、営業技術普及活動です。
トライアングル作戦の背景としては、顧客である農家に「農薬を正しく理解してもらいたい」という願いがあります。自然環境との調和を図り、農薬を正しく使い、食糧生産に従事してもらうことが重要と考えています。
本社のほか8支店、8営業所を全国に配置し、76名のTCA担当者が各担当地域をカバー。農家、会員店、JA等とコミュニケーションを密にしてた営業活動を行っています。
2.適用作物の拡大
農薬は、その対象となる病害虫、対象作物に関して無制限に使用できるものではなく、農薬登録制度によってその対象病害虫、対象作物等が細かく規制されています。
農薬取締役法改正による制度改訂をチャンスと捉え、積極的に適用拡大を図ることにより、売上拡大を目指します。
主力のダニ剤「カネマイトフロアブル」では、平成15年、16年で「ぶどう」「すもも」「やまのいも」「あづき」等が予定されています。これによる売上増は平成15年、平成16年それぞれ45百万円程度と見込んでいます。
3.海外展開
「カネマイトフロアブル」は、現在韓国、台湾向けに輸出が始まっています。 また、南米エクアドル及びチリにおいて、2003年10月に登録が認可され、アメリカでも11月5日に非食用分野の登録が認可されました。
ヨーロッパでは2003年4月17日に登録申請を行いました。
アメリカ、ヨーロッパ向けにそれぞれ5-10億円程度の輸出が可能と考えています。
4.重点事業領域の強化
以下の4点を重点事業と位置付けて強化を進めます。 ① 土壌処理剤及びダニ剤の研究開発強化
土壌処理剤
順調に研究開発が進んでおり、バスアミド、アルバリンに加え、園芸用線虫剤AKD-3088「ネマキック」は、平成16年の登録申請、平成18年登録取得に向け開発中です。販売開始後は年間20億円程度の売上を見込んでいます。
ダニ剤
カネマイトフロアブルに続いて、AKD-1102、AKD-2036、AKD-2115を開発中です。 「AKD-1102」は、果樹・園芸用の新ダニ剤です。多くの種類のハダニに高い効果を見込みます。最大の特徴は抵抗性(続けて何度も使うと効果がなくなる現象)がつきにくく、商品寿命が長いことです。平成17年の登録申請、平成19年登録取得に向け開発中です。販売開始後は年間15億円程度の売上を見込んでいます。
②生物農薬
今後期待される分野です。
2002年7月に三井物産と合弁でセルティス ジャパン株式会社を設立し、BT剤、フェロモン剤の販売を開始し、生物農薬部門の強化を図りました。
当面は、微生物を利用した害虫防除剤であるBT剤を、米国のセルティス USAから輸入し、国内で販売します。
営業を開始した2003年1月から12ヶ月で約1億4千万円の売上高を計上し、着実な立ち上がりとなっています。
生物農薬の市場規模は、国内市場では、果樹・野菜の園芸分野で30億円程度と果樹・園芸向け農薬全体の約2%とまだ少ないですが、世界市場では500億円と園芸分野の約5%を占めています。近い将来、国内でこの比率が10%、市場規模150億円、世界でも比率が15%、市場規模1,500億円まで成長すると見込まれています。
③特殊肥料分野への積極的な進出 海藻エキスなどを原料とする特殊肥料分野へ積極的に進出していきます。
モーニング:海藻エキスの植物活力素
野菜の硝酸態窒素を低減し、食味・食感の向上、日持ち向上といった効果があります。
フロリアード:塩化コリンと植物活力素
みかん、いちごの花や芽の生長を促進させる効果を持っています。
5.BASFの土壌処理剤事業の買収
2003年12月、ドイツの世界的メーカー「BASF」から、全世界で展開している土壌処理剤事業の営業権を買収しました。
背景
近年、海外の農薬メーカーの合従連衡が盛んに行われ、 その結果、膨張した製品ラインを整理するために、事業規模や効率性から不要な剤が放出される動きが強まっています。
同社はこうした中、土壌処理剤市場にビジネスチャンスを見出し、買収を決定しました。
また、合従連衡により力を増した海外メーカーは、複雑な流通構造となっている日本の農薬販売の仕組みの中で、同社の有する農家とのダイレクトチャネルを高く評価しています。今後は、同社を日本市場におけるパートナーと位置付けていくと予想され、これも同社の事業機会拡大につながると考えられます。
概要 買収した主要剤は、バスアミド(土壌防菌剤)、DD(土壌線虫剤)、ネマクロペン(土壌線虫剤:日本市場をターゲット)、メタム(土壌防菌剤:欧州市場をターゲット)などで、2002年度BASFの売上高は59億円となっています。
ベルギーに同社が60%出資して子会社設立し、アグロ カネショウ本体が、日本、韓国、台湾での販売を、この子会社がその他全ての地域での販売を担当します。
今後の見通し
土壌処理剤の国内市場は平成12年で478億円。同社は23億円で第5位でしたが、この買収により3位にアップすることになります。
土壌処理剤は今後以下の2段階で大きく成長していくことが期待されています。
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平成17年1月末に農薬として臭化メチルが原則使用禁止となり、その代替品としてバスアミドの需要が拡大すると見られています。 |
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これにつづいて新製品「ネマキック」を含めた土壌処理剤のラインアップが出揃い、ポートフォリオが強化されます。
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土壌処理剤は、防虫剤の使用量が天候などに左右されるのに対し、そうしたことが少なく安定的な使用量が読めることも大きな特徴です。
現在はバスアミドが全売上の20%程度ですが、将来的には土壌処理剤の売上構成比を50-60%に引き上げることで、同社の収益安定性にも大きく寄与することが期待されます。
櫛引社長は今回の買収によって「果樹・野菜のための薬剤構成がほぼできあがり、収益構造は大きく変化する」と、考えています。
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