投資家から寄せられる主な質問について
同社がアナリスト、機関投資家などから良く寄せられる質問について、石塚社長がお答えになりました。
1. 中期経営計画達成のキードライバーである「供給=開発」は大丈夫か?
同社は2008年3月期までの中期経営計画を策定しており、骨子は以下のとおりです。
売上高 |
930億円
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経常利益 |
76億円
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純利益 |
40億円
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ROE |
13%
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株主資本比率 |
30%
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ネットDER |
1.0倍以下
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・ 売上高、利益ともに10%成長を持続
・ 売上高1,000億円企業へ企業規模拡大
・ 財務体質の強化
実現のための課題はいくつかありますが、経営全般の効率化とともに重要なのが「物件開発力の強化」です。
- 今後はドミール、学生寮を中心に開発を強化し、社員寮の成長鈍化を補っていく考えです。2005年3月期の目標開発室数は約2,200ですが、今年10月時点で約1,900室がほぼ確定しています。2006年3月期 3,000室、2007年3月期 4,500室、2008年3月期 6,500室の開発を計画しています。
- e-cube工法、CMの確立で建築コストを20%削減します。
- 営業面では、銀行各支店との情報ネットワークの確立を進めます。 ・ 物件情報の収集は子会社:共立エステートが担当しますが、従来の待ちの姿勢から「攻めの体制」へ転換させます。
- 金融不況の中で金融機関がビジネスチャンス獲得のために積極的な姿勢を見せており、大手銀行以外の金融機関からの紹介件数が、今期は前期から倍増すると見込まれています。来期もさらに倍増すると見ています。
2. 同じく「需要」はあるのか?また「需要」獲得の優位性は何か?
学生マーケット動向
平成4年の205万人をピークに減少を続けている18歳人口は、平成20年には124万人で底入れすると見られます。
加えて、高学歴化、進学率の上昇、首都圏への集中などで同社が対象とする学生マーケットは今後も有望と考えています。
同社の優位性
契約企業 1300法人、提携学校 1,500校という既存のネットワークにより広告宣伝費をかけずに集客が可能です。こうした先行者の有利性を活かして大学市場へ参入します。
提携学校増加が加速
有力大学を中心に毎年10校程度の新規提携が見込まれています。
潜在需要
学生寮だけで18,000室の需要があると推定しています。これは540室が満室になった「ドミール高尾」のケースを基にマーケティング分析を行った結果で、「4大生の25%が自宅外通勤」、「同社シェア5.3%」、「在寮年数2.5年」を前提としています。
開発エリア
首都圏の中で、三多摩地区などを重点開発エリアとしています。 このエリアに200室以上の大型寮の建設を進めていき、スケールメリットを追及します。
中高一貫校への取り組み
平成15年現在、日本には約120校の中高一貫校があり、今年4月には佐賀県立の中高一貫校の管理運営がスタートしています。5年後には30-50校の中学・高校との提携関係構築を目標としています。
社会人マーケットの動向
現状は、
・ 単身赴任者増加
・ 首都圏集中。大阪苦戦。
・ 寮費に割高感
となっています。 そこで、首都圏を中心に廃寮提案を積極化させるとともに、単身赴任社をターゲットにマーケティングを強化していきます。
ドミール事業の可能性
現在、同社の寮利用者数は約2万人います。寮利用者とワンルーム利用者の割合は、2:8であるとの経験上の推測から、ドミールの潜在需要は約8万人と考えられます。
またよりローコストを実現するe-cube工法の新バージョンを開発中で、これもドミール事業の成長に大きく寄与すると見られます。
3. いろいろな「事業領域」に手を拡げ過ぎではないか?
同社は連結子会社8社、持分法適用関連会社1社を持ち、多様な事業を手がけていますが、「主柱は下宿屋」とのスタンスには今後とも寸分の狂いもないと、石塚社長は明言されています。
安心できる食、住を提供する寮事業を中心に、学生食堂の運営管理受託、契約保養所の運営管理受託、学校施設の清掃・保守の受託、学生募集パンフレットの製作など、グループによる総合サービスを提供することによって信頼を獲得し、同社を指定校に指名した大学のケースもあります。
4.沖縄は大丈夫か?
来年7月開業予定の「ザ・ビーチタワー沖縄」は、総投資額62億円の大型物件です。 事業計画達成に関しては、現状の需要動向(旅行代理店、修学旅行、直販)と開発・運営準備の状況から達成は確実と考えています。
- 沖縄への旅行者は、航空運賃自由化、台湾・中国からの旅行者の増加などから20015年には年間600-700万人とシンガポール並みの水準まで達すると見られています。
- 修学旅行、コンベンションに関し手順調な申込み、引き合いが来ています。
- 有名リゾートホテル8件に比べると、行政が周囲のインフラ投資を行い同社はホテルのみの投資のため、総コストは低く抑えられています。また、稼働率(70%)、客単価(6,691円)も無理ない水準で設定しています。
- 売上高計画比70%(稼働率49%)でも経常利益は±0と計画されています。
- 制度資金を活用したため、期間合計1,257百万円、年間平均50百万円のコストメリットが生じます。また長期低利固定資金の活用により、安定的かつハイレバレッジ効果が実現でき、この投資によってROEは12.3%から13.4%へ1ポイント以上上昇させることができると考えています。
5.「有利子負債」が過大ではないか?
ROI(投資収益率)と調達金利である長期金利のイールドギャップが大きい現在は、「所有者」の利益が拡大する時期と捉えており、開発投資の方針としては旺盛な開発需要に対して取得を組み合わせた投資を選択します。リース、SPC、投資をバランスよく活用し投資効率を前期の6.3%から2008年3月期には8.4%へ引き上げます。
一方、金利上昇の影響をシュミレーションし、投資および有利子負債残高については、格付けが維持できる水準に上限を設定します。毎年0.75%金利上昇し、2008年3月期には3%まで調達金利が上昇した場合でも、投資適格であるBBBを維持できる計算です。
また、いつでもフリーキャッシュフローが創出可能なように、オフバランススキームの検討は継続していきます。
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