今後の取り組み
以下の5つの重点施策を推進していきます。
1.トライアングル作戦
同社、販売店・JA、農家の3者の関係を従来の同社と会員店・JA、同社と農家のつながりから、3者相互のコミュニケーションをつなげることにより、今まで以上に顧客ニーズの機動的・迅速な収集、活用が可能となることを目指します。
このための体制として、本社のほか8支店、8営業所を全国に配置し、76名のTCA担当者(営業技術普及担当者)が各担当地域をカバーし、農家、会員店、JA等と日々コミュニケーションを密に営業活動を行っています。
2.海外展開
主力のダニ剤であるカネマイトは、現在韓国、台湾向けに輸出が始まっています。
またアメリカでは、今年末から来年初めにかけて登録が認可される見込です。
ヨーロッパでは、オランダのバラ向けを中心に販売していく考えです。
また今年度登録認可予定の南米ではコロンビアがバラの栽培で世界第2位であることから、ここもバラ向けの出荷に期待しています。
ダニ剤の世界マーケットは約500億円。日本130億円、ヨーロッパ150億円、アメリカ100億円などとなっています。同社では、ヨーロッパ向け10億円、アメリカ向け10億円を目標とし、現在2%の海外売上比率をカネマイトフロアブルの拡大によって近いうちに10%まで高め、新たなダニ剤の投入などで更にこの比率を引き上げたいと考えています。
3.適用作物の拡大
農薬は、その対象となる病害虫、対象作物に関して無制限に使用できるものではなく、農薬登録制度によってその対象病害虫、対象作物等が細かく規制されています。
ただ、その対象病害虫、対象作物は「適用拡大」の申請を行うことにより広げることが出来ます。この適用拡大により、販売対象が広がり売上増を期待することができます。
4.M&A
まだ大規模なM&Aの実績はありませんが、時代の流れとして機会があれば取り組む方向で、常に外への情報収集のアンテナは高く掲げています。
最近のM&Aの実績としては、「菱陽商事からの営業の一部譲受け」(平成15年4月)があります。
菱陽商事は、同社の取り扱っていたサンキャッチ、ハイタック、フルハート等の植物調整剤の製造元でしたが、菱陽商事の「経営資源のコア事業への集中化」という目的と、同社の「植物調整剤の更なる充実と経営改善」という目的が合致し、実現したものです。
5.事業特化の推進
資本の効率的な活用と農業の概要、農薬市場を考慮して、以下の3つの方向に特化して行く方針です。
(1) 土壌病害虫防除剤への特化 土壌病害虫防除剤の分野は需要が拡大する分野でもあることから、開発の重点分野としています。バスアミド、アルバリンに続く剤として「AKD-3088」の開発を進めています。
(2) ダニ剤への特化
創業以来得意としてきた分野であり、現在のカネマイトフロアブルに次ぐ、「AKD-1102」および、それに次ぐ新剤の開発を進めています。
(3) 生物農薬への特化
今後期待される分野です。2002年7月に三井物産と合弁でセルティス ジャパンを設立し、BT剤、フェロモン剤の販売を開始し、生物農薬部門の強化を図りました。
「有力新製品上市の見通し 」
現在、大型の新剤の開発を2剤並行で進めています。 コードネーム「AKD-3088」
カネマイトフロアブルに次ぐ、自社開発大型剤。
10億円の開発費をかけ平成16年申請、平成17年の登録取得を予定しています。
年商20億円程度を見込んでいます。
コードネーム「AKD-1102」
2つ目の事業特化方針にあった果樹・園芸用の新ダニ剤です。
最大の特徴は抵抗性(続けて何度も使うと効果がなくなる現象)がつきにくく、商品寿命が長いことです。
平成18年申請、平成19年頃の登録取得を見込んでいます。
これも年商20億円程度を見込んでいます。
「新薬販売までのスケジュールとコスト」
新規の薬剤が開発されてから実際に農薬として監督官庁の認可を得て、販売にいたるまで最短でも約8年以上の年月がかかります。
主要な開発費用でも、安全性・環境影響試験を主体に15億円以上の費用がかかります。これは日本国内だけを対象とした場合で、国が異なると別途費用がかかります。
「生物農薬への対応」
2002年7月に三井物産とともに、生物農薬を主体として取り扱う会社、セルティス ジャパン株式会社を設立しました。
資本金5000万円で、三井物産、同社がそれぞれ50%出資しています。
現在、世界的に「化学農薬、生物農薬双方をうまく組み合わせて使う」総合病害虫防除という考え方が浸透してきたことと、有機農作物指向の高まりで生物農薬の果たす役割が増加してきています。
また、従来に比べ生物農薬が使いやすくなってきたこと、価格が低下してきたことに加え、効果を化学農薬と比較すると以前は100:50だったのが、100:70~80へと向上してきたことも生物農薬に注目が集まっている大きな要因です。
当面の取扱商品は微生物を利用した害虫防除剤であるBT剤で、米国のセルティス USAから輸入、販売することとします。農薬市場への販売は同社が行います。BT剤については、第1船が今年1月に到着し営業が本格化してきています。
将来的には三井物産の世界に張り巡らした情報網も利用し、新規に微生物を利用した病害虫防除剤、植物由来の病害虫防除剤等を開発してゆくことを目指しています。
生物農薬の市場規模
国内市場: |
果樹・野菜の園芸分野で30億円(園芸農薬の約2%) |
世界市場: |
果樹・野菜の園芸分野で500億円(園芸分野の約5%) |
近い将来この市場規模は、国内150億円(同比率は10%)、世界1,500億円(同比率15%)になると予想されています。 |
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