決算説明会に出席
3月6日に開催された2002年12月期決算説明会に出席しました。
<日本の農薬市場の概要&日本の農業の概要>
日本の農薬出荷額は2002年農業年度(10月-翌年9月)で3,353億円とここ数年を見ると緩やかに減少してきています。その中でも水稲用の減少幅が大きく、同社が主に取り扱っている果樹・野菜はほぼ横這いとなっています。
こうした中、農薬会社の合併、統合、廃業が内外で進んでおり、大手によるシェアが一段と上昇しています。
日本の農作物の生産は、輸入野菜の影響などから軒並み減少しています。
1992年からの増減率
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2002年度(ha)
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変化率
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穀物類・イモ類 |
2,104,530
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-17.9%
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主要果樹 |
243,610
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-15.9%
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主要野菜 |
355,579
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-14.8%
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その他の作物 |
99,524
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-36.4%
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<2002年12月期実績> |
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実績金額
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対前期比
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売上高 |
7,792百万円
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+0.8%
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売上総利益 |
3,234百万円
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+0.2%
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経常利益 |
150百万円
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-46.0%
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当期純利益 |
41百万円
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-35.7%
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害虫防除剤のカネマイトフロアブル、アルバリン、除草剤のアークエースは伸びましたが、病害虫防除剤のバスアミド微粒剤が価格競争に巻き込まれ減少しました。
また販売管理費の中の委託試験費(主として大規模な施設、人員が必要な毒性試験を海外に委託しています)が、798百万円 前期比+38.5%と増加しており、営業利益以下を押し下げています。ただ、これは開発中の新剤AKD-3088にかかるもので今がピークにかかっているということです。
<2003年12月期予想>
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予想金額
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対前期比
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売上高 |
8,100百万円
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+4.0%
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売上総利益 |
3,300百万円
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+2.0%
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経常利益 |
100百万円
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-33.3%
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当期純利益 |
10百万円
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-75.6%
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カネマイトフロアブルが、地方によっては1年おきに使用せよという自治体の指導もあり微減を見込んでいますが、バスアミドの回復、上市2年目となるアルバリンの更なる拡販を目指しています。
委託試験費は678百万円と減少するものの、引き続き研究開発に力を入れるため高水準の研究開発費により利益は減少が見込まれます。
研究開発費は2002年12月期の1,251百万円がピークと考えており、今期1,204百万円、来期1,100百万円を見込んでいます。
研究開発負担の減少に伴い、ピーク8%から1%まで低下した営業利益率も来期は3%台に回復するものと見ています。
配当は引き続き一株あたり20円を予定しています。
<無登録農薬問題>
櫛引社長が今回の説明会でトピックスとして説明されたのが、無登録農薬問題です。
これは、昨年7月に山形県で無登録農薬を販売していた2業者が農薬取締法違反などで逮捕され8月には同じく東京の業者が逮捕されたものです。
その後の調べで、44都道府県で約270の業者が約4,000戸の農家に10種類の無登録農薬を販売したことが判明しました。
中国産野菜問題への関心が強まっている中でのこの事件によって、消費者の国内農産物への信頼は著しく損なわれました。
スーパー等小売業は、果樹・野菜等の生産者に、無登録農薬を使用していないという確認書を要求するなど調達方法を見直すこととなりました。
またこれを機に、農薬取締法が一部改正されこの3月10日から施行され、無登録農薬の使用は厳重に規制されることとなりました。
これによって、登録農薬の市場拡大が期待されます。
<今後の取組み>
以下の重点施策を進めていきます。
トライアングル作戦
正しい農薬の使い方を理解してもらった上での販売促進を目指して農家、JA、販売店、会員店との密な連携、情報交換を全国8支店、76名のTCAを軸に行っていきます。
人対人のコミュニケーションによる信頼関係を強化していきます。
海外展開
カネマイトフロアブルは現在、韓国、台湾で既に販売が開始されています。
今後は平成15年南米、平成16年アメリカ、平成17-18年ヨーロッパでの認可が予定されています。
適用拡大
バスアミド、カネマイト、アルバリンなど主力製品の適用拡大が多くの作物において認可予定であり、売上拡大が期待されます。
M&A
期日2003年4月1日で三菱ガス化学が大株主となっている菱陽商事から、植物調節剤の製造販売に関する営業を譲受けました。植物調節剤部門の更なる充実が目的です。
有力新製品の上市見通し *新規大型線虫剤「AKD-3088粒剤」
カネマイトに次ぐ自社開発の大型剤で、10億円の開発費をかけ平成16年申請、平成17年登録取得の予定です。
年商20億円を見込んでいます。
*新タイプダニ剤「AKD-1102」 抵抗性がつきにくく、商品寿命が長い果樹・園芸用の新ダニ剤です。
平成18年申請、平成19年ごろの登録取得を見込んでいます。
これも年商20億円を見込んでいます。
どちらも順調に開発は進んでいるということです。
生物農薬対応
前回のレポートでも紹介した、生物農薬の開発、輸出入を手掛ける「セルティス・ジャパン(同社50%、三井物産50%出資)」は2003年1月から本格的に営業を開始しました。
園芸分野における生物農薬の市場規模は、現在のところ国内30億円(園芸農薬の2%)、全世界500億円(園芸農薬の5%)ですが、将来は国内150億円(同10%)、全世界1,500億円(同15%)と急拡大すると予想されています。
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