ブリッジレポート
(4709) 株式会社IDホールディングス

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ブリッジレポート:(4709)インフォメーション・ディベロプメント vol.7

(4709)インフォメーション・ディベロプメント/尾崎 眞民社長

2002年11月21日(木)

インフォメーション・ディベロプメント本社で行われた中間決算説明会に出席しました。
舩越副社長が決算概要、今後の方針を説明されました。


尾崎社長と舩越副社長

2003年3月期中間決算概要「ストックビジネスの寄与で増収・増益達成」

<連結>
売上高
5,498百万円
前年同期比
+14.1%
営業利益
85百万円
前年同期比
+48.1%
経常利益
85百万円
前年同期比
+37.5%
当期利益
20百万円
前年同期比
-35.7%

部門別売上
ソフトウェア開発
1,967百万円
前年同期比
+  0.5%
運営管理
2,608百万円
前年同期比
+ 17.8%
データ入力
672百万円
前年同期比
+ 28.1%
その他
251百万円
前年同期比
+100.8%

当初計画も上回り、営業利益、経常利益ベースで増収・増益を達成しました。
IT投資の手控えなどで、SI(システム開発)企業は厳しい環境となっています。同社もその例外ではありませんが、「運営管理:売上高構成比 47.4%」、「データ入力:売上高構成比 12.2%」というストックビジネスの効果が大きかったといえます。
(独立系のシステム開発会社で運営管理が50%ある企業はそうないということです。)
「運営管理」は金融再編やシステム運営管理業務のアウトソーシングの流れに沿って売上を拡大し、「データ入力」は企業再編に伴う株券移行業務などの受注獲得に力を入れた他、イメージデータ処理を導入した結果、より大量の入力が可能になっています。
また、前期の減益の要因であった赤字案件は予定通り対応が終了し損失は止まっています。

子会社では、日本ユニシスとの合弁のSD(ソフトウェア・ディベロプメント)が日本ユニシス絡みの案件を積極的に受注したことなどから大幅に回復しました。
IDnetはモバイル関連業務からコールセンター業務へ主力業務を転換しました。

 

下期の対応

部門別重点ポイント
業界の現状はバブル崩壊時よりも不透明となっています。経済産業省の発表するデータによればSI業界の売上高は今年7月27ヶ月ぶりに前年を下回っています。
今下期も企業の投資意欲減退から、ソフトウェア開発、システム構築需要は低迷が予想され、まめに中小型の案件を効率的に獲得することをシステム開発部門の重点ポイントと考えています。

一方運営管理部門は、引き続き安定的な運営業務の収益体制を維持していくと同時に、上期にIBMアウトソーシング部門のコアパートナー(IBMのベスト20に入る)に任命され評価された品質および顧客満足度を、より一層向上させることに注力していきます。
また新規顧客の開拓、既存顧客への業務拡大も進めていきます。
運営管理の10月の売上は前年比10%以上の伸びと好調が続いているようです。

データ入力部門に関しては、利益率の改善と新規優良顧客の開拓を継続していくとともに、既存優良顧客業務の更なる浸透を重点ポイントと捉えています。

前期問題点の改善状況
前期の一部大型プロジェクトの失敗を踏まえ、子会社、提携企業を含めて、「コンサルティング力の強化」、「プロジェクト管理の強化」、「品質管理の強化」、「開発競争力の強化」を図ってきました。前述の通り現在赤字は止まっており、効果が出てきているようです。

BOOの強化
前々回のレポートで報告したように、同社の売上高拡大のためのポイントは、新規顧客の開拓とBOOと呼んでいる「川上から川下までの一括アウトソーシング受託」をいかに拡大するかにあります。
顧客が同社のどの事業部との取引があるかを調べてみると、
一つの事業部のみと取引
146社
(全体の78%。内、新規顧客 29社)
複数の事業部と取引
41社
(全体の22%。内、新規顧客  2社)
と、顧客数では単独の事業部との取引に終っている会社の方が多いのですが、売上の構成比を見ると、
一つの事業部のみと取引による売上割合 27%
複数の事業部と取引による売上割合 73%
と完全に逆転しています。
そのために、「新規顧客の開拓」、「営業戦略の構築(BOOアプローチ、営業ツール)」 、「営業チャネルの開拓(IDグループチャネルの有効活用)」、「新規プロジェクト企画・営業サポート」を役割とする営業本部を創設し営業体制を整備・強化しました。
上期は24社に対し営業活動を実施し、新規BOO案件を3社、4件獲得することに成功しました。来期にかけてさらに注力し、売上拡大を図っていきます。

2003年3月期通期見通し

<連結>
売上高
12,393百万円
前年同期比
+11.8%
営業利益
892百万円
前年同期比
+62.7%
経常利益
869百万円
前年同期比
+59.1%
当期利益
479百万円
前年同期比
+75.8%

部門別売上
ソフトウェア開発
5,468百万円
前年同期比
+ 10.0%
運営管理
5,500百万円
前年同期比
+ 12.9%
データ入力
1,060百万円
前年同期比
-  3.8%
その他
365百万円
前年同期比
+168.4%

計画達成に当たっては、内部リスクとして「一括受注プロジェクトの受注動向」、
外部リスクとして「値引き要請」、「大型開発案件の凍結」、「金融機関関連の動向」を上げています。

 

中期経営計画

同社では2004年3月期
連結売上高
150億円
連結経常利益率
10%
ROE
15%
を掲げており、そのための戦略として以下の4点をあげています。

マーケット開発 :
BOO(ビジネス・オペレーション・アウトソーシング)ソリューションをベースとする営業戦略により、新規顧客及び新規顧客セグメントの開拓を狙う。

新規事業展開 :
中長期的なビジネス展開をフォーカスし、将来の当社の利益母体の立案及び、確立を狙う。

マーケット浸透:
既存顧客業務に対してさらなるBOOソリューションを提供することにより既存顧客に対して業務拡大を狙う。

新技術開発:
顧客の要求に対して十分なソリューションを提供するため、新技術の調査及び、新技術力の強化を行う。

この中で最も重要なポイントとなるのが前述したBOOの強化となっています。

 

取材を終えて

説明会の冒頭、舩越副社長は最新号の日経コンピュータという雑誌を紹介されました。 その表紙には「運営部門こそが主役」という文字が大見出しとなっていました。
10数年購読している副社長でも初めてのことで、経営環境がよくないSI業界において、いかに運営部門が安定したストックビジネスであり重要であるかを示したものといえるでしょう。
「ゆっくりと堅実に成長していきます」と船越副社長が日ごろおっしゃっているように、運営部門が売上高の約50%を占める同社は、開発専業のような派手さはありませんが、着実に成長する基盤を持っていることが特徴です。また、3年連続の1割の株式分割、12円配当など投資家還元も積極的で、個人株主がこの半年で53名増加していることも目を引きます。