生物農薬強化のため三井物産と合弁で「セルティスジャパン株式会社」を設立
今年7月、三井物産と合弁で生物農薬専業の「セルティスジャパン株式会社」を設立しました。
代表者は櫛引社長。両社50%づつの出資です。
<生物農薬とは?> 文字通り、生物由来の農薬です。以下のようなものがベースになります。
・微生物(かび、バクテリア): |
ナットウ菌などのような良いバクテリアを利用 |
・ フェロモン: |
害虫のメスのフェロモンを果樹園に散布。オスは寄ってくるがメスを見つけられずに交尾できない=卵が生まれない→幼虫の食害による被害が出ない
|
・ 天敵昆虫: |
害虫のアブラムシを食べるテントウムシのような益虫を利用 |
・ 植物抽出物: |
蚊取り線香に使われる除虫菊などを利用したもの |
同社では20年程前からバクテリア由来のBT剤というものを販売しています。これは「蝶、蛾の幼虫にのみ効果があり、その他の動植物には影響がないものです。
<生物農薬強化の狙い>
現在、世界的に「化学農薬、生物農薬双方をうまく組み合わせて使う」総合病害虫防除という考え方が浸透してきたことと、有機農作物指向の高まりで生物農薬の果たす役割が増加してきています。
また、従来に比べ生物農薬が使いやすくなってきたこと、価格が低下してきたことに加え、効果を化学農薬と比較すると以前は100:50だったのが、100:70~80へと向上してきたことも生物農薬に注目が集まっている大きな要因だそうです。
<「セルティスジャパン」の優位性>
1つは、生物農薬専業のセルティスUSAを三井物産が買収。
また欧州にもセルティス社があり様々な生物農薬を世界中から供給することができます。 もう1つは、生物農薬は使いやすくなったといっても、効果をあげるためには使い方を農家にしっかりと教えてあげる必要があります。その点で、同社は「顧客=農家」という点を強く認識して、「どこまでも農家とともに」を信条とし、TCA(テクニカル&コマーシャル アドバイザー)という担当者が、農家と密着したコミュニケーションをとっており、生物農薬のマーケティングにおいて有利なポジションにあります。
<主な取り扱い製品>
・ |
BT剤:微生物を利用した害虫防除剤 |
・ |
微生物を利用した病害防除剤 |
・ |
植物由来の病害防除剤 |
<市場規模>
|
農薬全体
|
内、果樹・野菜
|
国内
|
3500億円
|
1500億円
|
全世界
|
3兆円
|
1兆円
|
現在の生物農薬の園芸農薬(果樹・野菜)に対するシェアは国内2%、30億円。全世界 5%、500億円だそうですが、有効性が認識されていく中でかなり速いスピードで国内10%、150億円。全世界 15%、1500億円へと拡大すると見込んでいます。
同社では、この新市場を開拓して、投資家、株主の期待に応えていきたいと考えています。
|