平成14年6月期の特色と傾向
「企画力、制作力で他を圧倒。不景気をフォローの風に」
1.引き続く発注サイクルの短期化
長引く不況に加え、昨年9月の米国同時多発テロ事件の影響で、企業のイベントなどに対する姿勢は冷え込み、同社の期首の制作見込残は3,220百万円と11億円減少しました。
企業は無意味な予算を削減し、その効果を厳しく見るようになっています。同時にあまり先の発注はしなくなっており、サイクルの短期化が顕著です。
こうした環境下、同社は期中制作高を5,380百万円獲得し、上記の11億円の減少を補って余りある売上8,600百万円を達成しました。
これは、提案営業に注力し「広告代理店担当者の更なる開拓」、「SP(セールスプロモーション)への集中」を行ってきたことによるものですが、そのベースには同社の高い企画力、制作力があることはいうまでもありません。
*同社では、イベントの規模、実施時期などが確定している案件を「A」、金額、実施時期などに不確定要素のある案件を「B」、80%以上の確度で自社が受注する見込みの案件を「松」と呼んでいます。制作見込残、期中制作高はその合計です。
2.小型案件の増加・中規模案件の獲得へ
この不況の中で、新規クライアントの獲得や広告代理店の新規担当者の開拓を進めました。
2000万円以下の案件は全体の82%を占めています。
新規顧客はさすがに最初は少額ですが、同時にこの新規顧客をリピーターとすることにも力を入れました。この結果、5000万円―1億円の大型案件も、この環境下にもかかわらず45%増加しています。
3.企画競合案件の勝率上昇
いわゆるコンペの勝率は平成13年6月期が22.1%だったのに対し、平成14年6月期は27.7%と前の期を上回りました。今後は30%を目指していくそうです。
4.提案案件獲得の増加・随意契約案件の増加
案件を「競合」、「提案」、「指定」と分類すると、提案案件は件数で前期比+78%、金額で+101.5%と大幅に伸びており、構成比も前々期13.2%(金額ベース)が前期は23.4%となっています。
景気低迷の中、待っていて仕事がやってくる環境ではなく、提案営業に注力しています。今期に入っても効を奏しているということです。
5.エンドユーザーの拡大
先ほどの新規顧客とも重なりますが、ワールドカップを契機としたエンドユーザーの広がりも見られます。韓国HYUNDAI自動車はワールドカップのオフィシャルスポンサーでしたが、モーターショーのブース受注など大型案件に結びついています。
またエネルギー、流通、素材など、いままであまり関係の深くなかった業種にもユーザーが拡大しています。
6.売りに結びつくイベントへ
企業は売上に結びつく「効果」を大変重要視しています。そのためSP(セールスプロモーション)の提案を積極的に進めています。
販促および制作物の売上高構成比は、前々期49.1%が前期は62.0%へ上昇しています。
以上のような特色・傾向は「企業にとって価値のあるイベント・SPを創造できる優れた企画力、制作力」があってこそであり、同社の強み・特徴がこの不況を逆にフォローの風に変えてしまったといえるでしょう。
|