将来展望
このように経営環境は厳しいものがありますが、今後の将来展望について以下のポイントをあげています。
1、トライアングル作戦
これは農家、JA、販売店、会員店(卸)との密な連携、情報交換を行っていき、パーソナルコミュニケーションによる信頼関係を強化していく作戦です。
農家にとっては「良い作物がより高く売れるように」なることが最も望むことであり、その点での顧客満足度を向上させるために営業技術普及活動に力を入れていきます。
この先頭に立つのが本社、9支店、6営業所の76名のTCA(テクニカル&コマーシャル アドバイザー)です。
「農薬を正しく理解させる」、「自然環境との調和」、「地域農業振興実践のための支援」を目的に、農家勉強会の開催、商品学習会の実施、などでコミュニケーションを図り、実際の商品に対する興味、購買意欲を起こさせる活動を続けています。
2、海外展開
カネマイトフロアブルの登録認可を海外各国で取得していきます。
前回のレポートでも報告したとおり、昨年10月、アメリカのEPA(環境庁)は、カネマイトフロアブルを「危被害軽減農薬」として認定しました。
この「危被害軽減農薬」の認定制度というのは、安全性が高いもの、緊急性が高いものと、EPAが認めた農薬は、他の登録申請中の農薬よりも優先的に登録作業を進めるというものです。
カネマイトフロアブルはダニ剤ですが、人畜、環境および有益な昆虫に悪い影響を与えない特性があり、その点が評価されて認定を受けました。
アメリカでは環境問題に対し、「現在使われているものに比べて環境に優しい製品・商品を代替物として使用していく」という認識、考え方が近年進んでいるそうです。
そうした中、同商品が「危被害軽減農薬」に認定されたということはいくつかの点で、非常に大きな意味があります。
まず第一に、優先的な登録によって、通常では4―5年かかる登録までの時間が1―1.5年に短縮されるという点で、順調に行けば2003年春までには登録が認可されると予想されます。
第二に環境問題に対する意識の強いアメリカで評価されたということで、他の国における申請にも好影響をもたらすことが予想されます。
アメリカでは今回は「花卉」を適用対象として申請していますが、本年には「食用」に適用を拡大して申請する方針です。
米国市場および平成16-17年認可予定のヨーロッパでは、それぞれ年商5~11億円を目標としています。
3、適用拡大
農薬は適用作物ごとに登録認可を得なければなりません。逆に一つの農薬の適用作物が増えればそれだけその農薬の使用量、ニーズが増えるわけです。
カネマイトフロアブルは現在の「りんご、もも、なし、なす、きゅうり、メロン、きく、カーネーション」などに加え、平成15年には「ぶどう、すもも、やまのいも」、平成16年には「あずき」を予定しています。
またバスアミドも今期は、ちんげん菜、ぶどうへと適用作物を拡大させていきます。
4、有力製品の上市見通し
- 新規大型線虫剤「AKD-3088粒剤」
防除が難しいといわれている、土壌内の線虫を防除するもので、カネマイトフロアブルに次ぐ自社開発による大型剤です。平成10年から登録のための試験を開始しており、平成16年に申請、平成18年末登録取得を予定しています。開発費10億円をかけるこの製品の年商は20億円に上る見通しです。
- 新タイプダニ剤「AKD-1102」
果樹、園芸用の新ダニ剤で、ダニに抵抗性がつきにくく商品寿命が長いのが特徴です。 平成19年ごろの登録取得を見込んでおり、これも年商20億円を見込んでいます。
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