そして2000年1月に日本ブレーンセンターのデジタルメディア事業部を分離独立させ、[en]社会人の就職情報を継承させたエン・ジャパン株式会社が設立されたのです。
つまり、20年近く採用、人事に関するキャリア・実績を積み、既に紙媒体でやってきたことをネットに絞ってやり始めたということで、しっかりとした経営基盤を持っている会社なのです。
事業内容
同社の求人求職情報サービスは、
- 100%インターネットによる提供
- 社会人の転職のみ(新卒は無し)
というのが特徴です。
求人のための企画・提案を行った求人広告掲載企業からの広告掲載料が同社の売上です。
またキャリアエグゼクティブの場合は、採用成立の場合の成功報酬制をとっています。
2001年12月末の広告掲載社数は646社。登録ユーザー(求職者)は34万人です。
商品内容は以下のとおりです。
- 総合転職情報サイト:[en]社会人の就職情報
掲載企業数約350社。掲載職種件数約1600。 掲載企業全社にわたり、1社1社独自の取材・撮影を行った「詳細な求人情報」を発信しています。
キャリアマッチ検索といって、ユーザー(求職者)のキャリアと求人企業が求めるキャリアを自動的にマッチングさせるサービスを行っています。自分のスキル・キャリアがどのような企業に求められているかを把握し、キャリアを活かした転職を可能にします。現在ビジネスモデル特許を出願中です。
売上高の73%を占めています。(2001年12月期。以下同じ)
- 紹介会社集合サイト:[en]転職コンサルタント
全国の人材紹介会社約141社をデータベース化した日本最大の人材紹介会社集合サイトです。 ユーザーは各社の特徴と約13,000件の求人案件を横断的に検索できます。
自分の履歴書・職務経歴書を匿名で公開し、コンサルタントからの打診を受けることができます。この匿名公開により転職活動に対するリスクの軽減や自分の強み・市場価値を知ることができます。
また、求人サイトとして初めて「ユーザーからの評価」を導入しました。 ユーザーは自分と同じ立場にある転職者の、コンサルタントに対する5段階評価を知ることができ、自分に適した人材紹介会社やコンサルタントを選べます。
売上に占める構成比は16%です。
- 派遣会社集合サイト:[en]派遣のお仕事情報
仕事選びの利便性を実現する完全カスタマイズ機能を備えた派遣情報のポータルサイトです。
勤務地、仕事内容、時給、勤務時間、期間などユーザーの希望就業条件に合致した求人情報のみが表示される「MYページ」や「仕事情報配信メール」機能を備えています。
仕事情報の検索結果は、ユーザーの希望条件の「マッチ度順」に並べることができるので、自分の希望に合った仕事を見つけたいユーザーと、条件に合ったスタッフを確保したい派遣会社双方のより高いマッチングを図ることが可能です。
売上高構成比は10%です。
この他に1000万円クラスの転職情報:[en]キャリアエグゼクティブを2000年12月にオープンさせました。(売上高構成比 1%)
急拡大が予想されるネット求人マーケット
「求人広告」、「人材派遣」、「人材紹介」、「人材教育」を中心とする人材マーケットは、経済産業省認定の新規成長15分野の一つに選定されており、2000年6.3兆円(推定)が2010年には12.6兆円まで成長すると予測されています。
このうち、同社がかかわる求人広告市場は約7000億円、その中で中途求人広告市場は約4000億円と推定されます。(いずれも2000年。新卒 1000億円、アルバイト2000億円)
また紙媒体市場が前年比約30%アップなのに対し、ネットによる求人広告市場は前年比約3倍とその急成長ぶりが目立ちます。
もちろん規模そのものが200億円以下ということもありますが、将来的には90%が「ネット」へ移行すると予想されており、その場合は4000億円×90%=3600億円という急成長が見込まれます。
求人広告の足元の環境は折からの不況から厳しく、広告件数は今年1月、2年8ヶ月ぶりに前年同月比2桁のマイナスとなっています(紙媒体)。中でも正社員は22%のマイナス。掲載社数もマイナスが数ヶ月続いています。これに対して同社の掲載社数は前年比170%近い伸びを見せています。現在ネット求人は同社とリクルートが2大大手で、この環境下で利益を出しているのもこの2社くらいと見られています。
競争力の源泉
同社の中核的な能力として以下の3点を上げることができます。
- 人事コンサルティングで培った採用課題に対する問題解決能力
- 企業の魅力を的確に表現することができるクリエイティブ能力
- 経験から蓄積されたネットに関する知識
繰り返しになりますが、20年近く採用、人事に関するキャリア・実績を積み、既に紙媒体でやってきたことを、他者に先駆けてネットに絞ってやり始めたということが同社の競争力の源泉になっているのです。
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