これに対し、同社では2つの方法で対応することを考えています。
一つは、2002年FIFAワールドカップ関連の仕事です。
同社ではワールドカップに関する提案を約200本ほど持っており、この中から確実に受注して、カバーしていく考えです。
期初の計画の中にワールドカップ関連のイベントを全て入れているわけではなく、そこから受注すれば純粋にプラスとなります。
もう一つは、SP(セールスプロモーション)への注力です。
SPは「販売促進」のことで、簡単にいえば販売促進のための企画を考え、そこで使用するカタログ、パンフレット、ノベルティグッズなども制作するもので、非常に利益率の高いビジネスです。
景気が悪く、モノが売れなくなってきているからこそ企業は売上増加のための方策を真剣に求めています。つまり、パイの食い合いの状況の中で、SPの重要性、多様性が大変高まってきていると社長は考えています。
そこで、同社の大きな強みである「豊富な提案力」を前面に押し出してSPの大型案件を獲得していく作戦です。
前回のレポートでも触れましたが、同社では「良い企画」を生み出す為に、徹底的なブレーンストーミングを行うムードが社内にあります。
外部のプランナーも交え徹底的な話し合いを行い、同社はその中で、「方向性」を決め、具体的な形作りは外注先も活用します。 同社はこのようにして、年間約1200本という大量の企画案をこなすことが可能となっています。加えて、外部のプランナーを使うことができる資金的余裕という点でも、公開企業としての優位性が発揮されています。
これらの対応によって、今期売上高85億円という目標達成は十分可能と考えています。
社長が今考えているのは、来期のことです。ワールドカップという短期間に集中する仕事をこなしながら、責任もって取り組める案件を受注し、今期末受注残を目標の55億円(前期末43億円)に乗せ、来期中の受注を43-45億円獲得することによって、来期売上101億円を達成したいと考えています。(同社の場合、80%以上の確度で受注できる案件以上のものを合計し、制作見込み残高として公表していますが、実際の結果と比較しても10%未満のブレにとどまっており、しっかりとしたリスク管理体制になっています。)
景気の影響、ワールドカップの終了を考慮すると、同社の提案力を生かしてのイベントおよびSPの受注拡大の動向が注目されます。
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