ブリッジレポート
(4709) 株式会社IDホールディングス

プライム

ブリッジレポート:(4709)インフォメーション・ディベロプメント vol.2

(4709)インフォメーション・ディベロプメント/舩越 真樹専務
5月30日(水)

 インフォメーション・ディベロプメントを訪問しました。
 事業内容の確認と最近のビジネス展開などについて、舩越専務、熊谷部長にお話を伺いました。


舩越 真樹専務

 

事業内容について

 同社は「システム開発」、「システム運営・管理」、「データ入力」、「セキュリティ」と情報処理全般にわたる総合的な問題解決を顧客に提供できる体制となっています。売上に占める金融機関の比率は約60%というのが特徴です。


1. システム開発

 IDの主用顧客はみずほグループなど大手金融機関です。これら金融機関にとっては、顧客の利便性向上と業務の効率化のためにオンラインネットワークのシステム化が非常に重要であり、IDはこの開発などを受注しています。全売上の約40%を占めています。
 

2. システム運営・管理

 次に開発したシステムを安定して、効率的に稼動させることもIDの仕事です。365日、24時間の運営・管理をアウトソーシングする形で受託しています。この運営・管理はそれのみを受託するのではなく、業務の流れを一括して受注すると利益率を向上させることができます。IDではこの2、3年で「川上(バックオフィス)から川下(ネットワーク、フロントオフィス業務)まで」受託できるような体制になってきており、収益の基盤強化が図られています。全売上の約40%を占めています。これがIDの安定収益源になっています。
 

3. データ入力

 売上の約10%を占めます。帳票類などの生データをコンピュータ用の入力データに変換する作業です。保険伝票の薬価点数の入力や、信託銀行における証券代行業務などがこれにあたります。
 

4.セキュリティ業務

 インターネットなどネットワークの高度化、複雑化が進む中で、コンピュータウィルス、不正アクセスへの安全対策は重要な課題となっています。IDは、ネットワーク安全対策で世界最大を誇る「ネットワークアソシエイツ社」はじめトレンドマイクロ、シマンテック、コンピュータアソシエイツなど主力商品を全て取り扱っています。

 

2001年3月期決算(連結)のポイント

売上高 
+15%
情報化投資、金融再編に伴うシステム開発および運営管理業務の受託が順調。
経常利益
+25.5%
純利益
-24.3%
退職給付債務積み立て不足の一括処理、ゴルフ会員権の評価損等で286百万円計上。一過性の要因。

2002年3月期(連結)の会社側予想

売上高 
11,190百万円
+15%
経常利益
790百万円
+ 7%
純利益
435百万円
+80%
*金融機関向けのシステム開発、運営管理が好調に推移。来期にかけてもこの流れは続くとみているそうです。


最近のビジネス展開

・R&D部門への注力
 IDおよび子会社ID netの技術力を活かし、ビジネスチャンスを広げていく為に、中期的にR&D(研究・開発)部門へ注力していく方針です。 その一つとして、高度な専門技術ノウハウを持った人材をスカウトして「未来技術研究所」をID社内に設置しました。

・中国のシステム開発会社との提携
 Fan High Technology Co.,Ltd(中国武漢市)(代表取締役社長:聶 梅)とソフトウェア開発業務の効率化及び、開発コストの削減、技術交流等を目的としたソフトウェア開発業務基本契約を締結致しました。
  この会社は日本企業の100%子会社であること、金融関係のシステム開発に既に実績を持っているということからリスクは低いと判断しています。
 高い技術を持ったコスト競争力のある新しいシステム開発所点として注目されます。

 

訪問を終えて

 「大手金融機関との永年にわたる信頼関係」という同社最大の資産をベースとした、安定した収益構造に変化はないようです。むしろ金融再編に伴うビジネスの拡大はまだしばらく続くという状況なのでしょう。
  同社は中期目標として「2004年3月期(連結) 売上高 150億円、経常利益 15億円」という目標を掲げており、そのために「子会社ID netによるe―businessの拡大」を中心に、上記のような組織作り、提携などを積極的に展開しています。
 ただ、こうした戦略をとる事ができるのも「安定した収益基盤から生まれるキャッシュフロー」をベースとしている同社ならではの強みといえるでしょう。
 将来的には東証上場も視野に入れた同社の動向に引き続き注目していきます。