この記事の結論
- 東証では3,706社もの会社が上場していて、そのうち6割近くが東証一部に属している
- 東証一部の会社数は近年増加傾向にある
- 東証一部に直接上場するよりも、市場変更をした方が基準が緩い
※本記事は、2020年2月時点の情報を元に作成されています。最新の市場区分見直しについては以下の記事をご覧ください。
関連記事:東証の市場再編(市場区分見直し)を徹底解説!東証一部が変わる?見直しのスケジュールは?
圧倒的に企業数が多い『東証一部』
さて、今回は東証一部の企業数が多い理由について、「市場変更(鞍替え)」という観点からご説明いたします。
まずは直近20年の上場企業数の推移を見てみましょう。
上のグラフは1990年~2019年末までの、各年の上場企業数を市場別に示したものです。
2013年に上場企業数が急激に伸びているね
これは東証と大証(大阪証券取引所)が統合した際に、 大証に存在していたJASDAQ市場が東証に移行したためです。
また、上のグラフには記していませんが、2019年末に上場していた企業は3,706社にのぼり、内訳は以下のようになっています。
- 東証一部が2,160社
- 東証二部が488社
- マザーズが315社
- JASDAQスタンダードが669社
- JASDAQグロースが37社
- PROが33社
東証一部に上場している企業数がダントツに多いことが分かりますね。
さらに、上のグラフの通り、東証一部に上場する企業数の伸び率はここ数年上昇しています。
(1990年を100としたときの各年の東証一部上場企業数)
なんで東証一部がそんなに増えているの?
東証一部上場には『市場変更』が有利?
東証一部の企業数が増えている主な要因の一つとして、上場基準と市場変更の条件が異なる点を挙げることができます。
下の表では、以下の5つの条件を比較しています。
- 東証一部に直接上場する条件
- マザーズから東証一部に市場変更する条件
- マザーズに上場する条件
- JASDAQから東証一部に市場変更する条件
- JASDAQスタンダードに上場する条件
ご覧の通り、東証一部上場が一番厳しい条件で、JASDAQやマザーズ上場は比較的緩い条件となっています。
注目してもらいたいのは、マザーズから東証一部へ市場変更する際の条件です。
株主数や利益に関する条件は同じですが、時価総額にはかなりの開きがあります。
東証一部へ直接上場する際に必要な時価総額は250億円であるのに対し、マザーズから東証一部へ市場変更する際は40億円しか求められません。
マザーズを経由して東証一部へ上場する方が、直接東証一部に上場するよりも簡単なんだワン!
これは東証二部から一部へ編入する一部指定でも同様で、40億円以上の時価総額がある二部の会社は、上の表のような条件さえ満たしていれば一部へ編入することが可能となります。
同じ東証一部に属してる会社でも大きな会社と小さな会社が混在してそうだね。
その通りで、現在の東証一部上場企業の中には時価総額や流動性が低い会社も多くあるため、海外の投資家から疑問の声が多く上がっています。
最初に紹介した記事にも書きましたが、今後行われる市場再編では上場基準と上場維持基準は統一され、現在の緩い移行基準は無くなります。
新しいプライム市場では、厳格な基準で審査された時価総額がある程度大きく、流動性の高い企業のみが上場していることになるでしょう。
今後も市場再編に関わるトピックスを、いろはに投資では分かりやすく解説していきます!