この記事の結論
- ダイレクトリスティングとは「新株を発行しないで上場」すること
- 上場による資金調達はできないが、様々なメリットもある
- これからダイレクトリスティングは増える可能性がある
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最近ニュースで耳にするようになった「ダイレクトリスティング」について皆さんはご存知でしょうか?
ご存知の方も多いかもしれませんが、音楽ストリーミングアプリを運営する「Spotify」とビジネスチャットツールを提供する「Slack」はダイレクトリスティングという方法で上場しました。
そして21年4月14日には暗号資産関連企業のコインベースがダイレクトリスティングで上場しましたね。
この記事では、投資家だけでなく、ビジネスパーソンにとっても必要な知識である「ダイレクトリスティング」について解説致します!
ダイレクトリスティングについて理解できている人は少ないから、周りと差をつけられるね!
ダイレクトリスティングとは、直接上場のこと
そもそも、ダイレクトリスティングとは英語(Direct Listing)です。
これを日本語訳すると直接上場です。
そもそも上場とは何か?についてはこちらの記事でご説明しましたが、直接上場も「株式を証券取引所(市場)で自由に売買可能にすること」という点は共通しています。
違ってくるのは上場する手順です。
ダイレクトリスティングの場合は、新株を発行しないで既存の株式だけを売り出すので、手順が大きく変わってきます。
上場の手順
通常の上場では、企業は投資銀行を雇って新株を引き受けてもらったり(主幹事証券)、ロードショーと呼ばれる投資家への株式お披露目会をして、どの値段で売り出すかを決めたりするなど、複雑な手続きを踏みます。
確かに、上場するにはすごい時間がかかるって聞いたことあるなぁ
しかしながら、ダイレクトリスティングの場合は新株を発行しないので、これらの手順を全部飛ばして、いきなり株式を上場することができます。
新株を発行しないということは、新株を引き受ける証券会社も必要ありませんし、新株の発行条件を決める必要もないので、直接上場ができてしまうんですね。
すっごいシンプルなんだね!!
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ダイレクトリスティングのメリット
ダイレクトリスティングのメリットは主に3つあります。
①コストがかからない
通常、上場する際には引き受け証券会社を決めるため多額の手数料がか買ってしまいます。
しかし、ダイレクトリスティングでは新株を発行しないため、多額の手数料がかかりません。
②ロックアップ期間が設定されない
一般的なIPOではロックアップ期間が設定されますが、ダイレクトリスティングではロックアップ期間が設定されません。
ロックアップ期間とは、大株主が上場後の一定期間株式を売却できないことだワン!
ロックアップ期間がないことで、多くの株を持っている創業者やベンチャーキャピタル(未上場企業の株式を買ってくれる投資家)は通常の上場よりも早く株式を売り、利益を得ることができます。
③株式の希薄化が起きない
例えば、株式がすでに100万株発行されていて、そのうちの10万株を持っていた場合、あなたは10%の株式を所有していることになります。
しかし、上場に伴い新しく100万株発行した場合、あなたの持ち分は200万株のうちの10万株なので、5%になってしまいますよね。
これを、株式の希薄化と言います。
ダイレクトリスティングでは、新株を発行しないので、希薄化が起こらないのです。
たしかに、売ったわけでもないのに自分の持ち分が減ったら嫌だよね。
ダイレクトリスティングのデメリット
デメリットは主に2つあります。
①資金調達ができない
上場とは一般的に、「株式を自由に売買できるようにする」という側面と同時に、「新しく資金調達をする」という側面もあります。
ですが、ダイレクトリスティングでは新株を発行しないため、新しく資金調達をすることができません。
②流動性が低下する可能性がある
ダイレクトリスティングでは新株を発行しないので、流動性が低下する可能性があります。
上場したとしても、そもそもの株式数が少ない場合は売買が成立しない場合があります。
メリットがデメリットより大きいと認識しているからダイレクトリスティングするんだワン!
なんでダイレクトリスティングを選ぶの?
上場を目指す会社は
- 資金調達をして新しいビジネスを立ち上げたい
- 上場して知名度を上げたい
という会社が多いのですが、実はSpotifyはこの二つをどちらもクリアしていました。
Spotifyは、上場する前から約2,800億円の資金調達をしていたため、上場時に新たに資金調達する必要はありませんでしたし、音楽ストリーミングアプリの知名度も世界中で高いため、上場による知名度向上も必要ありませんでした。
なので、Spotifyは多額のコストがかかる一般的なIPOをする必要はなかったのです。
IPOをする必要がないのにどうしてダイレクトリスティングしたの?
その理由は、「ベンチャーキャピタルなどの既存投資家が株式を売って利益を得るため」ではないかと考えられます。
もちろん、将来資金調達がしやすくなったり、Spotifyを好きな投資家が株式を買えるようになったりするのも目的の一つではあります。
ですが、Spotifyのように上場前から多くの投資家がいる企業は、ダイレクトリスティングでも上場することで、既存株主に株式を売る機会を与えることで恩返しができるのです(イグジット)。
また、2019年6月にはビジネスチャットツールを提供するSlackもニューヨーク証券取引所にダイレクトリスティングで上場しました。
初日には48.5%も急上昇し、一時は参考価格を6ドル上回る42ドルまで上がりました。
Slackもまた、上場前より既にソフトバンク・ビジョン・ファンド等から十分に資金を調達できており、2018年のラウンドでは、4億2700万ドル(約446億円)を調達しました。
また、知名度も世界的に高くサービス利用者は800万人を超えていました。
だからSlackはSpotfiyと同様に一般的なIPOをする必要がなかったんだね!
さらに、2020年9月30日にタスク管理ツールを提供するAsanaやデータ分析会社のPalantirが同日にニューヨーク証券取引所へダイレクトリスティングで上場しました。
その一方で、日本ではダイレクトリスティングで上場したケースは1999年が唯一となっています。
これからダイレクトリスティングをする企業は日本でも出てくるのでしょうか?
注目していきたいですね!
また、最近はダイレクトリスティングの他にもSPAC(特定買収目的会社)を介した上場手法も注目されているのでこの記事と合わせてぜひご覧ください!