この記事の結論
- D2CとはDirect to Consumerの略で、消費者に直接販売するビジネスモデル
- D2Cのメリットはコスト削減、データ収集、顧客との関係構築
- コロナ禍でECが普及したことや自社ECサイトを構築するハードルが下がったことによりD2Cは再注目されている
最近D2Cとか、O2Oとか色々聞くけどチンプンカンプン!
ビジネスやマーケティングの世界ではアルファベットが多用されますが、その意味を理解できている人は意外と少ないかもしれません。
今回はその中から、2018年~21年にかけて日本でも再注目されているD2Cについて解説いたします。
D2Cとは?
D2Cとは“Direct to Consumer”の略で、ビジネスモデルの名前です。
日本語では“消費者へ直接”という意味になります。
D2Cのビジネスモデルの特徴は、自社で企画・生産した製品を直接自社ECサイトで販売する点にあります。
従来のビジネスモデルとの違いは以下の図の通りです。
従来のビジネスモデルに比べるとシンプルだね!
D2Cのメリット
D2Cには以下の3つのメリットがあります。
- コスト削減
- データ収集
- 顧客との関係構築
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①コスト削減
従来型のビジネスモデルでは問屋、小売り、ECモールなどで仲介料が発生していました。
しかし、D2Cでは販売まで自社で行うため仲介料を大幅に削減することができます。
ECモールに商品を出店した場合、出店料は以下の通りになります。
- Amazon(大口出品プラン)
4,900円/月+販売手数料+商品代金総額8~15% - 楽天(スタンダードプラン)
50,000円/月+月間売上高の2.0%~4.5%
これに対し、D2Cでは自社ECサイトで販売を行うため出店料がかかりません。
自社サイトの構築費用が掛かる点には注意が必要だワン!
②データ収集
従来型のビジネスモデルでは、製造者が顧客のデータを直接収集することはできませんでした。
と言うのも、データを収集するには複数の小売り店などの流通チャネルから間接的に集める必要があったからです。
一方、D2Cでは自社ECサイトで直接顧客のデータを収集することができます。
例えば商品閲覧履歴、商品Aを見た人は他にどの商品を見たのか などのデータを簡単に入手することができるのです。
広告とかマーケティングに使えそうだね!
③顧客との関係構築
D2Cでは顧客と直接コミュニケーションを取ることができます。
間接的にコミュニケーションを取る従来のビジネスモデルよりも、濃密なコミュニケーションを取ることができるのは大きなメリットです。
この濃密なコミュニケーションの中で得た顧客の声を活かして、顧客の体験価値を高めることもできます。
そして、このように顧客のフィードバックをサービスや商品に活かすことは顧客のロイヤルティとLTVの向上に繋がるとも言われています。
D2Cが再び注目されている理由
D2Cは、グローバルでは2013年から2014年にかけて急成長しましたが、日本国内では2018年頃から拡大が始まりました。
現在は日本でもD2Cのブランドや企業は多く存在し、ネオマーケティングの調査によるとアンケート回答者の約4割がD2Cのサイト利用経験者でした。
では、D2Cはなぜ今再注目されているのでしょうか。
その背景には新型コロナウイルスの影響があります。
コロナの影響??
新型コロナウイルスによりオンラインショッピングの需要が高くなったことはご存知かもしれません。
そして楽天やアマゾンなどのECモールでは様々な商品を閲覧し、比較することができるので便利ですよね。
ただ、インターネットに慣れていない方はこれらのモールを複雑に感じてしまいます。
対してD2Cの直販サイトは構成がシンプルな場合が多く、情報量もECモールと比較して少ないです。
そのため、D2Cの直販サイトを好んで利用する消費者が増え、今後も増えることが期待されています。
また、今までは自社のECサイトを作って維持するには大きなコストがかかってしまいました。
しかし、ShopifyやBASEといったサービスの出現により、誰でも低コストでECサイトを作れるようになりました。
D2C関連企業・銘柄
今回はD2C関連銘柄として大注目の「BASE」と「Shopify」をピックアップしました。
BASE[4477]
BASEには以下の3つの特徴があります。
- デザイン性の高いネットショップを無料で作ることができる
- 決済システムが簡単に使える
- アプリ経由でショッピングができる
また、2020年12月期には新規ショップ開設数が大幅に増加し、業績は以下の通り大きく伸長しました。
2019年 | 2020年 | |
---|---|---|
売上高 | 38億49百万円 | 82億88百万円 |
営業利益 | ▲4億41百万円(損失) | 8億3百万円 |
BASEについてもっと詳しく知りたい方は、以下より無料でアナリストレポートを読むことができます。
Shopify[SHOP]
Shopifyはカナダ発の企業で、ECサイトの作成、運営、成長(マーケティングなど)のプラットフォームを提供しています。
現在世界175ヵ国で累計100万店以上がShopifyを使っていて、Shopifyも2020年度に黒字転換しました。
BASEとShopifyを比較したのが以下の表です。
BASEの方がショップ数は多いのに、どうしてShopifyの方が売上が大きいのかな?
それは、Shopifyの売上高が月額料金・決済手数料・取引手数料などによって構成されていて、ユーザー数が多いので流通総額が多いためです。
Shopifyの月額料金
- ベーシックプラン:29ドル
- 通常プラン:79ドル
- アドバンスプラン:299ドル
一方、BASEは初期費用・月額費用が全て無料であり、ネットショップの作成から運営も基本的に無料となっています。
売上は手数料となる決済金額の6.6%+40円と、一部の有料機能から得ているようです。
そのため、月額料金の有無が売上の大きな差につながっていると考えられます。
D2Cとは?まとめ
D2Cについて、その概要や再注目されている背景、関連銘柄をご紹介しました。
最後にDC2のポイントを3点にまとめます。
- D2Cとは Direct to Consumer の略で、消費者に直接販売するビジネスモデル
- D2Cのメリットはコスト削減、データ収集、顧客との関係構築
- コロナ禍でECが普及したことや自社ECサイトを構築するハードルが下がったことによりD2Cは再注目されている
個別株投資をする際には企業の財務諸表を分析するだけでなく、ビジネスモデルの特徴をしっかりと理解することが大切ですね。