投資初心者向け企業分析では、投資初心者でも読みやすい「ブリッジレポート」を基に様々な企業をご紹介しています。
前回のBuySell Technologiesに引き続き、今回は農業機械の大手メーカーである井関農機をご紹介。
事業内容や業績、社長インタビューを5分で理解できます。
井関農機の会社概要 ~農家の負担を減らす会社~
まずは井関農機の会社概要を見ていきましょう。
代表取締役社長 | 冨安 司郎 |
所在地 | 愛媛県松山市馬木町700番地 |
決算期 | 12月 |
株価(4/20) | 1,643円 |
時価総額(4/20) | 37,764百万円 |
会社概要
1926年創立の農業機械総合専業メーカー。
長期ビジョンとして『「食と農と大地」のソリューションカンパニー』を掲げ、日本のほか、北米・欧州・アジアの3極で事業を展開。
「高い技術力」「農家を支える営農提案・サポート力」「連携によるイノベーション」が特徴・強み。
「農家を過酷な労働から解放したい」という創業者の想いで設立され、現在でも基本精神として受け継がれています。
農機を導入することで作業時間が短縮されるんだね!
実際に農林水産省のデータを見てみると、作業時間は1960年と比べ7分の1程減少していることが分かります。
作業時間短縮によって副業ができる農家が増え、豊かな農村の実現も進んでいます。
収穫高が不安定な農家にとって、副業はリスク分散にもつながるね!
井関農機の事業内容 ~国内と海外~
井関農機は稲作や野菜作に関連する農業用機械や景観整備用機械の開発、製造、販売・サービスを手掛けています。
日本国内だけでなく海外事業も展開しているので、それぞれ見ていきましょう。
国内事業
国内事業では以下の2つの機械を軸に、機械化一貫体系を確立して農家に提供しています。
- 稲作用機械
- 畑作・野菜柵用機械
稲作用機械
耕耘から乾燥調整まで、コメの生産にかかわる工程の大半の機械を取り扱っています。
畑作・野菜用機械
コメの生産が減少する一方で、多くの農家は付加価値の高い野菜や果物の生産に注力しています。
そのため、ニンジンやダイコンなど多種多様な野菜品種に対応した製品を同社はラインナップしています。
海外事業
海外では、北米・欧州・アジア(アセアン、東アジア、中国)の3地域で事業を展開しています。
各地域での販売形態や取扱商品を以下の表にまとめてみました。
中国は人口も多いし、市場規模も大きそうだな。
中国では2004年の「農業機械促進法」制定以降、田植機やコンバインの需要が拡大し、急激に農業機械の普及が進んでいます。
そのため同社は高機能・高品質の田植機やコンバインを投入するなど市場ニーズに即した商品を提供しています。
その他の地域でも、同社の機械の人気は非常に高いです。
例えば売上の大半を占める北米・欧州ではガーデニングを趣味とする個人や、公園などの景観整備業者が主要顧客になっています。
海外事業の製品構成はトラクタ・芝刈機が全体の7割を占めているんだワン!
5年間の業績
井関農機の5年間分の業績は以下の通りです。
今期(20年12月期)は新型コロナウイルスの影響などで業績が悪化してしまい、減収・最終減益(赤字)となってしまいました。
大幅な赤字になったのは、連結製造子会社に関する土地・建物・機械装置について減損損失93億円を計上したことが大きな要因だワン!
ただ、来期は業績の回復が予想されているため今後の動向に要注目です。
冨安社長にインタビュー!
今回のブリッジレポートでは、同社の舵取りを担う冨安社長へのインタビューも実施しました。
今回は抜粋版をお届けします。
冨安 司郎 代表取締役社長執行役員
1958年生まれ。福岡県出身。東大法卒。
80年 第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行、11年 みずほ銀行常務執行役員。
16年 井関農機顧問、同年3月 取締役専務執行役員、17年 副社長、19年 社長に就任。
社長の手腕次第で企業価値は大きく変わるので、要注目だワン!
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現在の社長の役割、ミッションは何であると考えていますか?
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100周年を迎える2025年、更にその先100年に向けた礎をどうやって作るか、これこそが私のミッションであり、そのための変革を先頭に立って牽引するのが私の役割であると認識しています。
中期経営計画でキーワードとしている「変革」は、前中期経営計画から掲げているのですが、改めて変革にしっかりと取り組んでいきます。私は井関農機の生え抜きではありませんが、外からきた人間が社長を務める意味がまさに「変革の実行」にあるのではないかと思っています。
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では、井関農機の強み、競争優位性はどこにあるとお考えでしょうか?
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農業機械の総合メーカーであるとともに、唯一の専業メーカーとして農業一筋に農家に最も近い所に立ち続けていること、高い技術力で本当に農家にとって役立つものを創り出していることだと考えています。
先程の変革とは一見すると反対のようですが、当社で絶対に変えてはならないのが「農家を過酷な労働から解放したい」という創業者の想いです。
これは井関農機100年の歴史の最大の土台です。
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続いて、課題についても伺いたいと思います。
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最も重要な課題が「需要、ニーズ変化への対応」です。
国内では農家の大規模化、米から野菜などへの作付転換、先端ICT技術への対応が不可欠です。
海外では日本企業としてのアドバンテージを活かしたアジアにおける米作市場への浸透です。いずれも、最も取り組まなければならないのは「人材」であり、全社挙げて取り組んでいきます。
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では最後に株主・投資家へのメッセージをお願いいたします。
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変化の激しい事業環境ですが、中期経営計画に掲げた施策を着実に実行して社会課題を解決するとともに、企業価値の向上を実現してまいりますので、株主、投資家の皆様にはぜひ当社を中長期的な視点で応援していただきたいと存じます。
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