【緊急事態宣言解除】アフターコロナの日本、これからの経済はどうなる?
この記事の結論
- 失業率の増加、売上の減少で家計も企業も苦しいが、うまくいけば7~9月からは改善の兆しが見え始める
- アフターコロナでは生活スタイルが変化し、消費や働き方が以前とは違うものになる
- サプライチェーンは脱中国化とデジタルツインの活用がより求められる
新型コロナウイルス感染者の増加が落ち着いたことを受け、日本各地で緊急事態宣言が解除されました。
外出・営業自粛要請が軽くなり、生活も徐々に戻りつつあります。
今後、私たちは以前と同じ生活を営むことはできるのでしょうか?
それとも、今回のコロナショックを機にニューノーマル(新常態)に適応した生活を送るのでしょうか?
この記事では、日本経済が直面している課題や、アフターコロナの日本について解説します!
コロナが日本経済に与えた影響をおさらい
まずは現在の日本の状況をおさらいしましょう。
雇用への影響
5月29日に総務省が発表したデータによると、2020年4月の休業者数は597万人と、前年同月比で420万人も増加していることが分かりました。
休業者数が3倍になっていたなんて知らなかった…
さらに下のグラフをご覧ください。
これは働く意思があるにも関わらず、職がなくて失業している人の割合を示す完全失業率の推移です。
先ほどの休業者は「職があっても働けない人」のことですが、こちらのグラフで表される完全失業者は「職がない人」のことです。
そしてグラフが示す通り、ここ1年間完全失業率は2.2%~2.4%を推移していましたが、2020年4月は2.6%まで完全失業率が上がってしまいました。
およそ6万人もの完全失業者が生まれたことになります。
消費への影響
また、家計の消費も落ち込んでいます。
同じく総務省の調査によると2020年3月の消費支出は前年同月比で6.0%の落ち込みとなっていて、ある調査結果では4月の消費は14.2%の落ち込みと推定されています。
このように、新型コロナウイルスは雇用・収入を不安定にし、消費下押し圧力をかけています。
企業への影響
大変な思いをしているのは企業も同様です。
東京商工リサーチの調査結果によると、6月3日時点で新型コロナウイルスの影響で今期の業績予想を下方修正した上場企業数は813社に及んでいます。
全上場企業3,789社の21.5%が下方修正をしたことになるんだワン!
この下方修正によって、売上高は当初の予定から合計で約5兆9,964億円減少したことになります。
また、来期の予想に対しても雲行きは怪しいです。
下のグラフは来期の決算見通しです。
2,200社のうち、1,300社もの企業で業績予想が立てられず「未定」となっています。
減収減益だと予想した388社と合わせると企業数は7割にも及ぶことが分かります。
企業が来期見通しを立てる際に考慮する要素には「金利」や「為替」、「他企業の戦略」、「国際情勢」など様々なものがあります。
しかし今回の場合、「感染症の影響」や「ワクチンの開発にかかる時間」など普段ならほとんど経営に関係のない要素を考慮する必要があります。
これによって、企業は正確な見通しを立てづらくなっているのです。
緊急事態宣言解除後の日本はどうなる?
ここからはアフターコロナの日本経済がどのように変化していくのか考えていきます。
簡単に言ってしまうと、
- 消費のオンライン化(Eコマース、ライブ配信)
- 働き方のオンライン活用(リモートワーク)
- サプライチェーンの分散化(脱中国依存)
- デジタルツインを活用したビジネスの合理化
が加速します。
経済回復の目処はどれくらい?
まず、日本経済が回復するにはどれくらい時間がかかるのでしょうか?
「ウイルスの収束はいつなのか」、「家計の消費や企業の生産能力が以前と同水準に戻るのはいつなのか」など分からないことばかりなので、はっきりとお伝え出来ないのが現状です。
しかし、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの見解としては、7~9月期には前期比で+1.8%の成長が見込めるとなっています。
そんなに早いの!?
もちろんこの推定には様々な仮定が置かれていて、全て仮定通りに進むとは限りません。
実際、コロナ前の経済水準に戻るには2年程度かかるという見解もあります。
また、新型コロナウイルスの感染拡大第2波、第3波という景気下振れリスクにも注意が必要です。
ちなみに、現在政府が実施している経済対策についてはこちらの記事でご紹介しています。
人々の生活スタイルが変わる?
下のグラフはアクセンチュアによって行われた調査で、今後の買い物時に意識する点の回答結果です。
「食料廃棄量の意識」や「持続性の高い商品」といった資源を大切にする意識が人々に芽生えていることが明らかになりました。
支出内容としては、趣味・娯楽への支出よりも、マスクや消毒液など健康を意識した消費が今後増えるということも同調査で指摘されています。
観光業やブランドを扱う企業にとっては、まだ厳しい時期が続きそうだね。
こうした消費ですが、店に足を運んで物を買うというより、オンラインショッピングのEコマースが勢いを増すとも予想されています。
また、「テレワークにまだ慣れない」という労働者が一定数いるのとは裏腹に、多くの人が在宅勤務に満足しており、テレワークを継続していくと意思表明する企業が増えていることからも、働き方やライフスタイルの変化が見て取れます。
会社に行く頻度が減ればお店に寄ることも少なくなって、よりEコマースが勢力を伸ばしそうだね!
実際、ビデオ会議大手のZoomや国内ECサイト構築のBASEなど、コロナによって株価が大幅に上昇している企業もあるんだワン!
サプライチェーンも変化?
サプライチェーンの変化も注目されています。
我々が手にしているコンピューターやスマートフォン、自動車などは様々な部品から成っています。
世界経済がグローバル化するにつれて、日本企業は製造コストが安い海外をサプライチェーンに組み込んできました。
日本の場合、輸送コストがあまりかからず、労働力が豊富な中国に工場を設け、中国がサプライチェーンの中核を成してきました。
しかし、今回のコロナショックでは物流がストップし、中国依存のサプライチェーンの機能不全が露になりました。
そこで今後は以下の2つの変化が重要だと考えられます。
- 脱中国依存
- デジタルツインの強化
1つ目は脱中国依存です。
今までのサプライチェーンは利益最大化を目的として構築されていたため、中国に強く依存するようになっていました。
しかし、中国に工場を集中的に持っている場合、中国で操業ができないとサプライチェーン全てに影響が出ることを、今回のコロナショックで思い知らされました。
アジアの他地域、他国にも施設を持つことができれば、どこかが操業できなくても他でカバーしてリスクを減らすことができるんだワン!
さらに、トランプ氏が大統領に就任してから米中覇権争いが激化しました。
米中の関税戦争や覇権争いが続いている中、中国一国に頼って貿易をするのは日本にとってリスクとなってしまいます。
こうしたサプライチェーンから見たリスクと、政治的な地政学リスクを考慮して、日本企業は今後、中国依存を弱めると予想することができます。
そして、もう1つの変化がデジタルツインの強化です。
デジタルツイン?
デジタルツインとは、現実世界にあるものをデジタル空間で再現することです。
例えば、サプライチェーンで必要な工場を新たに建設するとき、どこにどのような工場を建てるのがいいのか、デジタルツインはこのようなシュミレーションを簡単にしてくれます。
この技術によって、様々なシュミレーションを低コストで実施することができます。
デジタルツインを活用して、収益性を落とさずにリスクを抑えることができるサプライチェーンを構築できれば、非常時でも商品の供給が滞らない体制を作ることができるようになります。
以上のように、アフターコロナの日本では、
- 消費のオンライン化(Eコマース、ライブ配信)
- 働き方のオンライン活用(リモートワーク)
- サプライチェーンの分散化(脱中国依存)
- デジタルツインを活用したビジネスの合理化
が加速していくでしょう。