今回はIPO企業の中から、12月27日に東証グロースに上場したyutori(5892)をご紹介します。
yutoriは、衣料品及び雑貨等の企画並びにそれらの小売・卸売事業を行う企業です。
想定時価総額は39.3億円で、小売業のIPOとなっています。
yutoriのIPO基本情報
ここでは上場日や、いろはに投資独自の初値予想を見てみましょう。
上場日 | 12月27日(水) |
いろはに投資独自の初値予想 | D(1.0倍未満) ※想定価格2,510円未満 |
企業Webサイト | https://yutori.tokyo/ |
取り扱い証券 | 大和証券(主幹事)、SBI証券、SMBC日興証券、松井証券、マネックス証券など |
IPO取り扱い数No.1のSBI証券が取り扱っているね!
yutoriのIPO日程と価格
IPOの日程と価格は次のようになっています。
想定価格 | 2,510円 |
仮条件 | 2,420円~2,520円 |
ブックビルディング期間 | 12月12日(火)~12月18日(月) |
当選発表日 | 12月19日(火) |
公開価格 | 2,520円 |
申込期間 | 12月20日(水)~12月25日(月) |
上場日 | 12月27日(水) |
初値 | 2,829円 |
初値は公開価格を12.26%上回ったよ!
yutoriのIPO初値予想
想定時価総額39.3億円、吸収金額16.5億円はいずれも小さく、荷もたれ感はありません。
また、VC保有株がなく、売り圧力が弱い点はプラスに働きます。
一方で、オファリングレシオがやや高く、公募比率が低い点はマイナスに働きます。
売上高は伸びているものの、2023年3月期は業績赤字となっていることがネックになりそうです。
人気の出づらい業種であることも鑑みると、総合的に初値の上昇は期待しづらいです。
これらの点から、IPO評価: D(予想レンジ1.0倍未満=2,510円未満)と判断しました。
※IPO評価、初値予想は過去のデータを元に編集部が予想したものであり、結果を確約、投資を推奨するものではございません。
詳しい評価項目を知りたい方はこちら(クリックで開きます)
- 発行済み株式数:想定時価総額を計算。
- オファリングレシオ:小さい方が投資家からの人気が高い。市場に出回る株式数が少なくなることを意味するため。
- 公募割合:大きい方が投資家からの人気が高い。企業に資金が多く入ることを意味するため。
- 上場市場:グロースに上場する企業は人気が高くなりやすい。
- 事業のトレンド性:成長市場に位置し、トレンド性が高い企業は人気になりやすい。
- VC保有比率:VCが多くいる企業は事業のトレンド性が高く・成長企業であることが多いが、ロックアップがない場合はIPO後の需給が悪化しやすい
- 売上高成長率・経常利益率:大きい方が人気。過去の業績が良い。
- 前後2週間のIPO数:少ない方が投資家からの人気が高くなりやすい。
- 過去1ヶ月の日経平均リターン:高い方が人気。投資家心理に影響。
初値予想方法については、「【IPO初値予想】IPOの評価方法を初心者向けにやさしく解説!過去の事例も」の記事で解説しています。
また、IPO初値・騰落率結果一覧では直近のIPOデータを掲載しています。
yutoriの主幹事・幹事証券
同社のIPO株を取り扱う証券会社は、次のようになっています。
証券会社名 | 割当率 | 割当株数 |
---|---|---|
大和証券(主幹事) | 93.06% | 610,000株 |
SMBC日興証券 | 1.74% | 11,400株 |
SBI証券 | 1.74% | 11,400株 |
楽天証券 | 0.87% | 5,700株 |
岡三証券 | 0.87% | 5,700株 |
松井証券 | 0.87% | 5,700株 |
マネックス証券 | 0.43% | 2,800株 |
極東証券 | 0.43% | 2,800株 |
当選しやすい証券会社ランキング
なかなかIPOが当選しないな…
この記事をご覧頂いている方の中には、1つの証券口座だけでIPO抽選に参加している方も多いのではないでしょうか。
IPO投資で成功するには、複数口座を使い分けて抽選に参加するのがおすすめです。
以下の表では、IPO投資で開いておくべき”おすすめの証券口座”を紹介しています。
証券会社名 | 取扱数 | 主幹事数 | 抽選方法 | 事前入金 |
SBI証券 | 89 | 13 |
完全平等抽選: 60%
IPOチャレンジポイントに基づいた配分: 30%
取引状況等を踏まえて定めた配分: 10%
|
必要 |
楽天証券 | 65 | 0 | 完全平等抽選 | 必要 |
SMBC日興証券 | 47 | 24 | 完全平等抽選: 10% ステージ別抽選: 最大5% ※ほか対面割り当て | 必要 |
松井証券 | 55 | 0 | 配分予定数量の70%以上を抽選 | 不要 |
岡三証券 | 38 | 0 | 取引実績に応じて優遇抽選 | 不要 |
マネックス証券 | 60 | 0 | 完全平等抽選 | 必要 |
※取扱数、主幹事数は2022年のデータ
松井証券や岡三証券は、事前入金不要で抽選に参加できるワン!
証券会社を詳しく比較
大株主情報
大株主の状況は以下の通りで、筆頭株主の株式会社ZOZOが親会社となっています。
また、第2位の片石 貴展氏は代表取締役社長で、同氏24歳の時に同社を創業した若手起業家です。
株主名 | 比率 |
---|---|
(株)ZOZO | 46.63% |
片石 貴展 | 31.82% |
(株)pool | 9.15% |
瀬之口 和磨 | 7.20% |
佐藤 祐介 | 0.70% |
濱田 栞 | 0.65% |
舩橋 誠 | 0.60% |
土田 天晴 | 0.55% |
穀本 周 | 0.54% |
青嶋 剣士郎 | 0.35% |
ベンチャーキャピタルの保有株は無いね!
yutoriの業績情報
決算期 | 2019年3月 | 2020年3月 | 2021年3月 | 2022年3月 | 2023年3月 |
---|---|---|---|---|---|
売上高 | 16 | 140 | 568 | 1,631 | 2,470 |
成長率 | ー | +775.0% | +305.7% | +187.1% | +51.4% |
経常利益 | -31 | -58 | 2 | 224 | -54 |
成長率 | ー | ー | ー | +11100.0% | ー |
経常利益率 | ー | ー | 0.4% | 13.7% | ー |
当期純利益 | -31 | -58 | 32 | 149 | -68 |
成長率 | ー | ー | ー | +365.6% | ー |
EPS | -29.1 | -46.3 | 22.9 | 101.1 | -46.2 |
BPS | -4.8 | -51.0 | 45.4 | 149.2 | 103.0 |
※2023年9月1日付で普通株式1株につき100株の株式分割を実施。
売上高は、設立初年度より順調な成長を見せ、2023年3月期は2,470百万円(前年同期比51.4%増)となりました。
この増収の要因としては、M&Aや新規ブランド展開によるブランドポートフォリオの拡充などが挙げられます。
一方で、サプライチェーンの管理体制の強化や円安による原価率の上昇により、2023年3月期の経常損失は54百万円となりました。
今後は、既存ブランドの更なる成長やY世代などZ世代以外の顧客層拡大を目指して、M&Aの検討やインターネット販売の強化等に注力していくとのことです。
Z世代を対象としたSNSマーケティングを得意としているよ!
yutoriの事業内容
yutoriは、衣料品及び雑貨等の企画及び販売に係るアパレル事業を行っています。
Z世代を対象としたストリートファッションブランドを発端として、その後は新規ブランドの立ち上げやM&Aによる「Younger Song」、「Wudge Boy」などのブランドを獲得し、多様性に富んだブランドを展開しています。
ブランドのポートフォリオは以下のようになっています。
ティーンカルチャー | 過去のトレンドアイテムをリバイバルし、現代カルチャーのエッセンスを取り入れながらブランドを展開するブランドカテゴリー |
トレンド | ZOZOTOWNでの販売をメインに、流行をいち早く取り入れた手に取りやすいアイテムを展開するブランドカテゴリー |
デザイナーズ | アパレル業界で著名なデザイナーやスタイリストのもと、コアなファンを獲得するブランドを展開するブランドカテゴリー |
インフルエンサー | インフルエンサーがブランドディレクターを務め、個人の発信力も併せてブランドを運営しているブランドカテゴリー |
同社は、主に同社ブランドを取り扱う自社ECサイトである「YZStore」を運営し、株式会社ZOZOが運営する「ZOZOTOWN」とあわせて、販売チャネルの8割を占めています。
以下では事業の特徴を紹介します。
・SNSマーケティング
広告宣伝としてInstagramやTikTok等のSNSを利用したSNSマーケティングに注力しています。
社内運用アカウントは、各SNSで多くのフォロワーを抱え、特にInstagramのフォロワー数の合計は152.6万人(2023年11月15日時点)で増加傾向にあります。
さらに、外部のインフルエンサーへの委託により、商品の認知度の向上、新規顧客の流入を図っています。
SNSマーケティング活動は、販売開始前の需要予測や認知拡大に寄与するため、商品企画力の強化にもつながっています。
・NICOモデル
Z世代の熱狂を獲得する競争力の源泉として「NICOモデル」による企画、開発を行っています。
オンライン販売などを通じてブランド・商品の認知を高めた後に店舗展開を行うことで、店舗の現存リスクを最小限に抑えています。
・自律分散型ブランド運営
各ブランドが自走して自ら利益を獲得できるようにするため、「Yリーグ」という制度を導入しています。
Yリーグとは
ブランドごとの売上金額に応じて、Y5からY1の5段階で各ブランドを以下のフェーズに応じてランク付けする社内の制度。
ブランドの成長ストーリーを定量的に示すことで、各ブランドの担当者に分かりやすい目標を提示し、合理的な意思決定を可能にしています。
直近IPOの初期予想と騰落結果
直近の10月、11月にIPOした企業の初値予想と結果は以下の通りです。
企業名 | 上場日 | 初値予想 | 初値騰落結果 |
---|---|---|---|
バリュークリエーション | 11/22 | B(1.3~1.5倍) | 1.73倍 |
Japan Eyewear Holdings | 11/16 | D(1.0倍未満) | 0.93倍 |
DAIWA CYCLE | 11/8 | B(1.3~1.5倍) | 1.12倍 |
ドリーム・アーツ | 10/27 | B(1.3~1.5倍) | 1.13倍 |
笑美面 | 10/26 | C(1.0~1.3倍) | 1.45倍 |
日経平均が足踏みした中、初値が公開価格を下回ったIPO銘柄もありました。
ですが、条件の良い銘柄はしっかりと強い上昇を見せています。
最後に、他の企業の上場スケジュールについて知りたい方は「IPOスケジュール」もご覧下さい。
IPO投資におすすめのネット証券3選
- SBI証券
公式サイト:https://www.sbisec.co.jp/
2021年のIPO取扱数No.1。IPO投資をするなら必ず持っておきたい証券会社です。 - マネックス証券
公式サイト:https://www.monex.co.jp/
IPOが完全平等抽選制なので、初めてのIPO投資でも平等に抽選に参加できます。 - SMBC日興証券
公式サイト:https://www.smbcnikko.co.jp/
主幹事になることが多いので、IPOの割当率が高い証券会社です。